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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効としない W25
審判 全部無効 称呼類似 無効としない W25
審判 全部無効 観念類似 無効としない W25
管理番号 1314509 
審判番号 無効2014-890061 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-09-09 
確定日 2016-05-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第5650460号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5650460号商標(以下「本件商標」という。)は,「ドリームブラ」の片仮名を標準文字で表してなり,平成25年6月4日に登録出願,第25類「ブラジャー」を指定商品として,同26年1月23日に登録査定,同年2月21日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人の引用する登録第5508594商標(以下「引用商標」という。)は,「夢ブラ」の文字を標準文字で表してなり,平成24年3月9日に登録出願,第25類「ブラジャー」を指定商品として,同年7月20日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第352号証を提出した。
1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)指定商品の類否
本件商標及び引用商標の各指定商品は,共に第25類「ブラジャー」であるから,同一である。
(2)商標の類否
ア 本件商標中の「ドリーム」は,英語の「dream」の発音を片仮名で表記したものであるところ,英語の「dream」が「夢」などを意味する語として英和辞書に記載されているのはもちろんのこと,片仮名の「ドリーム」も「夢,空想」といった意味を持つ語として日本語の辞書にも掲載されている。つまり,「ドリーム」は単に英語「dream」を片仮名表記したものというよりも,外国語からそのまま取り入れられて日本語となった,いわゆる外来語として需要者間に定着しているといえる。そうすると,「ドリーム」と「夢」は,同義語と認識・理解されており,互換的に使用されているものであるといえる。
次に,本件商標中の「ブラ」は,指定商品との関係で「ブラジャーの略」と理解・使用されている。
上記の事実より,「夢」を意味する単語として広く一般に理解され親しまれている語である「ドリーム」と,ブラジャーの略語として認識・使用されている「ブラ」を結合してなる本件商標は,「夢のブラジャー,夢のようなブラジャー」といった一連の意味合いを認識させるものである。
イ 引用商標中の「夢」が本件商標中の「ドリーム」と同義であることは,上述のとおりである。また,引用商標中の「ブラ」は,本件商標と共通するものである。
したがって,引用商標は,その構成文字に相応して,「夢のブラジャー,夢のようなブラジャー」との観念が生じる。
ウ なお,「ドリーム」「dream」と「夢」とが観念類似であると判断した審決例として,無効2002-35355号審決(甲8)がある。当該審決は2003年になされたものであるが,上述した「ドリーム」と「夢」との観念についての認識がこの10年余りの間に変化したという事情はなく,むしろ,平成23年度から小学校の第5学年,第6学年で年間35単位時間の「外国語活動」が必修化されたことなど,英語教育がより進められているという現状に鑑みれば,出所の混同のおそれは上記審決がなされた2003年当時よりさらに増加しているものといわざるを得ない。
現に,需要者が「ドリームブラ」と「夢ブラ」とを同義のものとして理解し,互換的に使用している例がある(甲9?225)。当該使用例においては,「ドリーム」と「夢」を単に置き換えたにすぎず,これら使用例に接した需要者は,「ドリームブラ」と「夢ブラ」とが同義の語として使用されていることを直ちに理解できるものである。すなわち,「ドリーム」と「夢」を相互に置き換えても容易に同じ意味のものと理解できるのであり,このことからも,本件商標と引用商標とが観念上相紛らわしく類似するものであることは明らかである。
エ 一方,請求人は,「夢みるブラ」の文字を書してなる商標に係る商標権を有しており,当該商標を付した商品を請求人の主力商品の一つとして2003年より販売している。そして,引用商標「夢ブラ」は,「夢みるブラ」の略称として請求人自身のほか,販売店,需要者によって使用されている。
オ 本件商標と引用商標は,外観及び称呼が相違するものの,上述のとおり,「夢のブラジャー,夢のようなブラジャー」との観念において同一の商標であり,指定商品「ブラジャー」を共通にするものである。
そうすると,本件商標と引用商標は,外観及び称呼において類似するとはいえないとしても,観念が同一であって,取引者に与える印象,記憶,連想等を総合的に考察すると,同一の指定商品である「ブラジャー」に使用した場合に,上記のような取引の実情に照らして商品の出所につき誤認混同されるおそれがあるということができ,これに反する特段の事情も見当たらない。
2 答弁書に対する弁駁
(1)本件商標「ドリームブラ」と引用商標「夢ブラ」の外観及び称呼が相違することは,あえて争わない。
(2)被請求人は,「ドリーム」と「夢」がそれぞれ複数の意味を有することを理由として,一義的に「ドリーム」と「夢」が同義語と考えることは不自然であると主張する。
しかし,辞書上,「ドリーム」の意味として「夢」がまず記載されており,一般的な需要者の認識としても「ドリーム」の意味,すなわち,この語に対応する日本語として「夢」を直ちに想起するものということができる。
(3)被請求人は,請求人が提出した審決例について,「当事者対立構造をとる無効審判において答弁書の提出もなく,審判請求人の主張のみが一方的に採用された審決例に何らの意味はない」と主張する。
しかし,商標法第56条で準用する特許法第153条第1項では,審判においては当事者が申し立てない理由についても審理することができるとする職権探知主義を採用しており,さらに,商標法第56条で準用する特許法第151条においては民事訴訟法の規定を多々準用しているところ,自白擬制について定めた民事訴訟法第159条第1項は準用していない。
つまり,無効審判においては,一方当事者が他方の当事者の主張に反論しなかった場合に自白したと擬制されることはなく,また,たとえ自白したとしても,そのことが審判官を拘束するものではない。無効審判においては審判被請求人が反論しなかったからといって,無条件に審判請求人の主張が採用されるわけではないから,被請求人の主張は失当である。
(4)被請求人は,Twitterによるツイート(審決注:ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)における140文字以内の投稿。一般に「つぶやき」とも呼ばれている。)の内容(甲9?225)は,商標権者(被請求人)から本件商標の使用許諾を受けた株式会社ピーチ・ジョン(以下「ピーチ・ジョン」という。)が用意した定型文であり,閲覧者や需要者には何らの認識もなくツイートが行われたことから,本件商標と引用商標が類似する理由とはならないと主張する。
しかし,被請求人の主張のとおり,ピーチ・ジョンが自社商品の宣伝・広告のために用意した定型文であり,ツイートしたユーザーが当該文章を作成したわけではないとしても,実際に大量のツイートが行われ,それを閲覧した者も多数いたことがうかがわれる。
そうすると,当該ツイートが多数なされたことによって,「ドリームブラ」と「夢ブラ」とが同様の意味で使用されていることが需要者に理解され,広く認識されるに至ったのは事実であるから,ピーチ・ジョンが宣伝・広告のために作成した定型文であることを理由として,閲覧者や需要者が「ドリームブラ」と「夢ブラ」とを同義のものとして認識していないということにはならない。
そして,当該文章を含むツイートが大量に拡散されたことから,需要者間にも「ドリームブラ」と「夢ブラ」とが同義のものとして認識されたことは明らかであり,この点に関する被請求人の主張は失当である。
(5)請求人とピーチ・ジョンの事業
ピーチ・ジョンは,女性用下着の製造・販売を主たる業務としており,同様に女性用下着を製造・販売している請求人の競合会社である。
請求人の登録商標「夢みるブラ」を付した商品を販売するブランドの主たる顧客層は10代?30代の若い女性であり,請求人は,直営店舗を中心に商品の販売を行っており,この点はピーチ・ジョンも同様である。つまり,請求人とピーチ・ジョンは,対象とする顧客や商品の販売形態において共通しているため,請求人の商品とピーチ・ジョンの商品は,そもそも混同を招きやすい状況にあることが推察される。
ア ピーチ・ジョンによる商標の使用状況
被請求人の主張によれば,ピーチ・ジョンは,「夢ブラ」が請求人の商標「夢みるブラ」を想起させるものであることを知りながら,自社商品「ドリームブラ」の広告・宣伝に「夢ブラ」の語を使用したことになる。
請求人の競合会社であるピーチ・ジョンによる当該行為は,ピーチ・ジョンの商品「ドリームブラ」と請求人の商品「夢みるブラ」の間に混同を生じさせる行為にほかならず,このことからも本件商標と引用商標の類似性が強く推定されるのである。
また,被請求人は,既にかかる定型文は修正されているから観念上相紛れるおそれはないと述べるが,実際にかかる定型文が大量にツイートされており,その一つ一つが修正されたわけではないから,既に投稿されたツイートが出所の混同を生じさせるおそれが大きいといわざるを得ない。たとえ定型文が修正されたとしても,ひとたび投稿されたツイートにまで当該修正点が反映されるわけではないからである。
特に,一度なされた投稿がリツイート(再投稿)されるツイッターにおいては,修正前の定型文がリツイートによって拡散されるおそれもあるから,定型文の修正をもって混同のおそれを否定できないことは明らかである。
イ 需要者において実際に混同を生じていること
甲第352号証は,株式会社博報堂(楽天リサーチ株式会社調べ)が,関東・関西在住の15才から44才の女性を対象に,2013年10月に調査を行った「夢みるブラ/夢ブラ」「ドリームブラ」の誤認混同に関する調査結果である。
本件調査によると,「ドリームブラ」と「夢ブラ」を同じ商品,又は同じメーカー又は同じ企業グループの商品であると認識している需要者は27.9%にのぼり,「ドリームブラ」と「夢みるブラ」について同じ商品,又は同じメーカー又は同じ企業グループの商品であると認識している需要者も28.4%いることがわかる。
この調査結果から,実際に需要者間でピーチ・ジョンの「ドリームブラ」と,請求人の「夢みるブラ」及びその略称である「夢ブラ」との間に誤認混同が生じていることがわかる。
したがって,「ピーチ・ジョンが使用する商標『ドリームブラ』と,請求人の登録商標『夢みるブラ』との間に混同を生ずる状況は発生していない」という被請求人の主張は誤りである。現実に,ピーチ・ジョンの「ドリームブラ」と,請求人の「夢みるブラ」及びその略称である「夢ブラ」とは,その観念上の類似性の高さから,需要者間に出所の混同を生じている。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,引用商標とは,外観と称呼において異なるとしても,観念において極めて相紛らわしいものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

第4 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,答弁の理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第29号証を提出した。
1 指定商品の抵触
本件商標及び引用商標の指定商品が同一であることに異論はない。しかし,両商標は明らかに相違し,全く類似しないことは明らかである。
2 商標の類否
(1)外観と称呼
本件商標「ドリームブラ」は,「ドリームブラ」と称呼するものである。引用商標「夢ブラ」は,「ユメブラ」「ムブラ」などの称呼が生じ得る。
それぞれの一部である「ブラ」の部分において部分的に共通するものの,両者が外観及び称呼において完全に相違することはいうまでもない。
(2)観念
ア 本件商標「ドリームブラ」のうち「ドリーム」は,外来語として日本において定着しているものである。したがって,単なる「夢」という一義的な意味を越え,「空想」「あり得ないこと」など,使用される状況において様々な意味に理解され得る。
一方,引用商標「夢ブラ」のうち「夢」は,辞書には「睡眠中に持つ幻覚」「はかない,頼みがたいもののたとえ。夢幻。」「空想的な願望。心の迷い。迷夢。」「将来実現したい願い。」など,やはり多くの意味が記載されている。
請求人は,「『ドリーム』は単に英語『dream』を片仮名表記したものというよりも,外国語からそのまま取り入れられて日本語となった,いわゆる外来語として需要者間に定着しているといえる。そうすると,『ドリーム』と『夢』は,同義語と認識・理解されており……」と主張するが,それぞれの語が互いに多くの意味を有することも認識・理解されている状況において,何らの根拠も示されないまま,一義的に「ドリーム」と「夢」が同義語であると考える事の方がむしろ不自然である。
そして,本件商標は「ドリームブラ」であり,たとえ,その構成中の「ブラ」がブラジャーの略として認識されている語であったとしても,商標全体として「ドリームブラ」から看取される観念が,引用商標「夢ブラ」から看取される観念と類似するかを検討するべきである。
本件商標「ドリームブラ」からは,外来語である「ドリーム」から認識できる様々な意味から「夢のブラジャー」のほか,「空想のブラジャー」「あり得ないブラジャー」を含んだ,「ドリームなブラジャー」という漠然とした観念が生じ,一方で,引用商標「夢ブラ」からは,「夢のようなブラジャー」のほか,審判請求人が強く使用を行う登録商標「夢みるブラ」を想起する。
したがって,両者の観念は,明らかに相違するものであり,両者が商標として類似する可能性は皆無であると確信する。
商標の類似を検討する上で,請求人の主張するように,「外観,観念,称呼によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察」すべきであるが,外観の大きな相違は,観念を検討する上で大きな要素となり,取引者に与える印象や記憶は結果として大きな差異を生むものである。
特に引用商標「夢ブラ」は,日本の漢字の「夢」と本来外国語であるブラジャーを意味する「ブラ」との結合であって,かつ,3字と短い商標で,語頭の「夢」が占める漢字の印象や記憶は,商標全体に大きな影響を与え,「支配的」であるといっても過言ではない。
イ 請求人は,「ドリーム」と「夢」が観念類似と判断した審決例を挙げるが,当事者対立構造をとる無効審判において答弁書の提出もなく,請求人の主張のみが一方的に採用された審決例は,参考にならない。一方で,「ドリーム○○」と「夢○○」とが類似しない商標であるとして,別人によって登録されている例は枚挙に暇がない。
ウ 請求人は,一般需要者による大量のTwitterによるツイートを提出し(甲9?225),「ドリームブラ」と「夢ブラ」が同義のものと理解し,互換的に使用していると主張するが,これは明らかな誤りである。
本件商標権者が使用を許諾するピーチ・ジョンが,本件商標を使用する商品を広告するサイトにおいて,Twitterへのリンクを掲載している。このリンクをたどることで,閲覧者はTwitterでツイートすることができるようになっている。このツイート欄に用意された定型文に,当該広告サイトへのリンクと,請求人の指摘する記載があったため,閲覧者や需要者には何らの認識もなく,ツイートが行われる結果となった。
既にかかる定型文は修正されており,したがって,観念上相紛れるおそれはなく,本件商標と引用商標とが類似する理由とはならない。
エ 引用商標の登録査定がなされた当時,本件商標権者により,「Dream」,「ドリーム」又は「DREAM」の各文字からなる商標が同じ指定商品を含んで登録されていた。商標「DREAM」や「ドリーム」は,本件商標権者が代表を務める株式会社ドリームが1977年(昭和52年)の創業当時から使用している商標である。「Dream」に至っては,その前身の杉浦レース株式会社から受け継がれたものであり,婦人服を中心に商標を使用してきた長い歴史は50年を超える。
今般,ピーチ・ジョンの求めに応じ,本件商標「ドリームブラ」を出願・登録するに至ったが,ブラジャーの略「ブラ」を伴って記された「ドリームブラ」は,あくまでも「Dream」,「ドリーム」又は「DREAM」の自らの先登録商標,特に,「ドリーム」に類似する若しくは取引者の印象という意味では完全に包含される商標にほかならない。
このように,商標権者によって永く継続して使用された登録商標に,指定商品の一般名称「ブラジャー」の略「ブラ」を結合しただけの本件商標が,後に成立した引用商標によって登録が阻害されることがあってはならない。ましてや,本件商標権者の先行登録商標「Dream」,「ドリーム」又は「DREAM」が存在するにもかかわらず,「夢」という漢字表記に特徴を見いだされて,「ドリーム」等とは異なるものとして登録された引用商標「夢ブラ」と本件商標とが類似するという請求人が主張する結論は,明らかに公平性と妥当性を欠き,到底認められるべきものでない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,指定商品において同一の関係にあるとしても,互いに非類似のものというべきであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

第5 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,「ドリームブラ」の片仮名を標準文字で表してなり,その指定商品を第25類「ブラジャー」とするものである。
本件商標の指定商品を取り扱う業界では,「ブラジャー」の略語が「ブラ」(広辞苑第六版)であることは広く知られているから,本件商標は,たとえ,その構成文字が全て片仮名により,同じ書体,同じ大きさで等間隔に配され,外観上まとまりよく一体的に構成されているとしても,語の最小の意味単位からみて,これが「ドリーム」及び「ブラ」(ブラジャー)の2語からなるものと容易に理解できるものである。
そして,前半の「ドリーム」は,英語の「dream」を原語とし,「夢」の意味を有する外来語(広辞苑第六版,大辞林第三版,新明解国語辞典第六版)として特に親しまれているのに対し,後半の「ブラ」は,指定商品そのものを表す略語にすぎないから,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分は,前半の「ドリーム」の文字部分であるといえる。
そうすると,本件商標は,その構成中から「ドリーム」の文字部分を抽出し,この部分を他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものである。
以上によれば,本件商標は,その構成全体から,「ドリームブラ」の称呼及び「夢のようなブラジャー」といった観念が生じ,あるいは,本件商標の構成中の「ドリーム」の文字部分から,「ドリーム」の称呼及び「夢」の観念が生じるものということができる。
(2)引用商標
引用商標は,「夢ブラ」の文字を標準文字で表してなり,その指定商品を第25類「ブラジャー」とするものである。
引用商標は,「夢」の文字部分が漢字で表されているのに対し,「ブラ」の文字部分が片仮名で表されているものであり,このように,文字の種類の相違により視覚上分離して認識される構成となっているから,「夢」と「ブラ」の2語からなるものと容易に認識し得るものである。
そして,前記(1)と同様に,引用商標も,後半の「ブラ」の文字部分は,指定商品そのものを表す略語にすぎないから,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分は「夢」の文字部分であるといえる。
そうすると,引用商標は,その構成中から「夢」の文字部分を抽出し,この部分を他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものである。
以上によれば,引用商標は,その構成全体から,「ユメブラ」の称呼及び「夢のようなブラジャー」といった観念が生じ,あるいは,引用商標の構成中の「夢」の文字部分から,「ユメ」の称呼及び「夢」の観念が生じるものということができる。
(3)本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標とを対比すると,外観については,本件商標「ドリームブラ」と引用商標「夢ブラ」とは,後半が「ブラ」の片仮名で共通するものの,前半が「ドリーム」の片仮名と「夢」の漢字であるから,構成全体又は要部のいずれであっても外観において明らかに相違する。
また,称呼についても,本件商標から生じる「ドリームブラ」又は「ドリーム」の称呼と,引用商標から生じる「ユメブラ」又は「ユメ」の称呼とは,互いの音構成又は音数が明らかに異なるから,相違する。
しかしながら,観念においては,共に「夢のようなブラジャー」又は「夢」の観念を生じるものであって,同一である。
(4)取引の実情
証拠及び当事者の主張並びに職権調査によれば,以下のとおり,認めることができる。
ア 本件商標に係る取引の実情
(ア)ピーチ・ジョンは,女性用下着の製造・販売を主たる業務とする法人である。同社は,平成6年6月1日に設立され,その設立当初から一貫して,商品の販売形態は,通信販売及び直営店販売(平成28年3月現在で,「ピーチ・ジョン・ザ・ストア」(国内は札幌店・仙台店・渋谷店・新宿店・新宿三丁目店・有楽町店・池袋店・立川店・吉祥寺店・町田店・横浜店・川崎店・大宮店・千葉店・船橋店・名古屋店・名古屋栄店・静岡店・ジャズドリーム長島店・西宮店・なんば店・あべの店・エキスポシティ店・大阪店・京都河原町店・広島店・福岡店・博多店・鹿児島店・アウトレット佐野店・アウトレット入間店・アウトレット倉敷店・アウトレットマリノアシティ福岡店・アウトレットりんくう店の計34店舗,国外は香港・上海・北京に計10店舗),「YUMMY MART」(渋谷に3店舗)及び「SALON by PEACH JOHN」(銀座店・新宿店)の3系統からなる国内計39店舗・国外計10店舗。)のみによってなされている(ピーチ・ジョンのウェブサイトにおける会社概要(http://www.peachjohn.co.jp/al/info/about/index.html?sid=footer_about))。
(イ)ピーチ・ジョンは,本件商標の商標権者(被請求人)から本件商標の使用許諾を受け,2013年(平成25年)7月頃から,同社の業務に係る商品「ブラジャー」についての商品カタログ「PEACHJOHN 2013年Autumn」等(乙28)や同社通販サイト(乙29)において本件商標を使用するとともに,当該商品の販売(通信販売及び直営店販売)を開始した。
(ウ)本件商標を使用した商品「ブラジャー」については,以下のaないしdのとおり,2013年(平成25年)7月頃の発売からわずか15日間で3.5万枚,本件商標の登録査定日(平成26年1月23日)頃である発売半年後には20万以上を売り上げ,その後も,2014年(平成26年)秋頃には累計30万枚,同年初冬には累計35万枚を突破するなど,順調な売行きを示していることがうかがわれる(乙28)。
a 商品カタログ「PEACHJOHN 2013Winter」には,ドリームブラについて「発売から15日で35,000枚のを(原文ママ)売り上げるなど驚異のヒットスピードを記録。」との記載がある。
b 商品カタログ「PEACHJOHN 2014Summer」には,ドリームブラについて「発売半年で20万枚以上を売り上げた大人気シリーズが今年の夏をもっと熱くする!」との記載がある。
c 商品カタログ「PEACHJOHN 2014Autumn」には,ドリームブラについて「シリーズ累計30万枚突破!」との記載がある。
d 商品カタログ「PEACHJOHN 初冬号2014Pre-Winter」には,ドリームブラについて「累計35万枚突破!」との記載がある。
(エ)本件商標を使用した商品「ブラジャー」に係るテレビCMや商品カタログには,ローラ,小嶋陽菜(AKB48),マギー等の有名タレントがモデルとして起用されている(乙28)。
(オ)「ドリームブラ」と「夢ブラ」とが同義のものとして認識される文章を含むツイート(甲9?225)が大量に拡散された,と請求人が主張する2013年(平成25年)8月ないし9月にかけてのツイートの内容とは,「アウターに響かなくて,でも可愛いブラが欲しかったら,ピーチ・ジョン史上最高の『ドリームブラ』が大正解!色もレースも可愛くて,こじはる(審決注:AKB48の小嶋陽菜の愛称)のCM通りの夢ブラ【8/23?26午前まで週末限定Web送料無料】」を指すものと解されるところ,これによれば,確かに,「ドリームブラ」と「夢ブラ」とが同義のものとして認識される可能性は否定できないものの,上記のとおり,「……ピーチ・ジョン史上最高の『ドリームブラ』……」と明確に記載されているのであるから,これをツイートした者やその閲覧者は,当該ツイートにおいて「ドリームブラ」と称している商品「ブラジャー」は,ピーチ・ジョンの出所に係るものであると容易に認識するものと認められる。
(カ)以上によれば,本件商標を使用した商品「ブラジャー」は,平成6年6月1日の会社設立当初から一貫して,商品の販売形態を通信販売及び直営店販売のみとするピーチ・ジョンによって,2013年(平成25年)7月頃から同様の販売形態で発売され,その発売からわずか15日間で3.5万枚,本件商標の登録査定日(平成26年1月23日)頃である発売半年後には20万以上を売り上げ,その後も,2014年(平成26年)秋頃には累計30万枚,同年初冬には累計35万枚を突破するなど,順調な売行きを示しており,その間,有名タレントをモデルに起用してテレビCMや商品カタログで広告を行ってきたものと認められる。なお,請求人が主張するツイート(甲9?225)は,これらをツイートした者やその閲覧者において,「ドリームブラ」と称している商品「ブラジャー」をピーチ・ジョンの出所に係るものと認識するのであって,それ以外の出所に係るものとは認識しないものと認められる。
イ 引用商標に係る取引の実情
(ア)請求人は,昭和39年10月10日に設立された法人であって,国内第2位の下着メーカーである。請求人においても,2008年(平成20年)末時点で290店舗を展開する「AMO’S STYLE by Triumph」などの直営店を中心に,女性用下着の製造・販売を行っている(請求人のウェブサイトにおける会社概要(http://www.triumph.com/jp/ja/cw_aboutus.html)及び事業内容(http://www.triumph.com/jp/ja/cw_business.html))。
(イ)引用商標は,2003年から「AMO’S STYLE by Triumph」の直営店及び同店の通販サイトにおいて発売された商品「ブラジャー」に係る商標「夢みるブラ」の略称として使用されている(甲229,234?237,240?258等)。
(ウ)商標「夢みるブラ」を使用した商品「ブラジャー」は,2013年8月29日時点で累計販売数700万枚を突破し(甲227),「夢ブラ10周年」や「夢ブラキャンペーン」等と称して,10周年記念キャンペーンが実施された(甲229?233,241?244,247,249,250,253等)。
(エ)2012年(平成24年)8月のツイートには,「トリンドル玲奈,トリンプの夢ブラPR!」や「トリンドル玲奈,トリンプの夢ブラ特集」との記載がある(甲315?321,324,328?333)。
(オ)株式会社博報堂(楽天リサーチ株式会社調べ)による,関東・関西在住の15才から44才の女性1080名を対象に,2013年10月25日(金)ないし同月27日(日)に調査を行った「『夢みるブラ/夢ブラ』『ドリームブラ』誤認混同調査」(甲352)によれば,「Q1.『ドリームブラ』と『夢みるブラ』について,あなたはどのように思いますか。」との設問に対し,回答選択肢として「1 同じ商品」,「同じメーカー又は同じ企業のグループの商品」,「3 無関係の商品」及び「4 わからない」が用意されたもの,「Q2.『ドリームブラ』と『夢ブラ』について,あなたはどのように思いますか。」との設問に対し,上記と同じ回答選択肢が用意されたものを調査対象者に選ばせた結果,「ドリームブラ」と「夢ブラ」を同じ商品又は同じメーカー若しくは同じ企業グループの商品であると認識している者は27.9%,また,「ドリームブラ」と「夢みるブラ」について同じ商品又は同じメーカー若しくは同じ企業グループの商品であると認識している者は28.4%いたことが認められる。しかしながら,これらの設問では,「ドリームブラ」と「夢みるブラ」ないし「夢ブラ」との言葉について,どう思うかと単純に尋ねておきながら,あらかじめ用意された回答選択肢1ないし3では,既に両者が商品であることを前提にしており,回答を恣意的に誘導しているかのような疑問を抱かせる点があること,また,これだけの調査では,本件商標と引用商標との具体的な取引の実情を反映しているものとはいい難い。
(カ)以上によれば,引用商標は,2003年から「AMO’S STYLE by Triumph」の直営店及び同店の通販サイトにおいて発売された商品「ブラジャー」に係る商標「夢みるブラ」の略称として使用されていること,当該ブラジャーは,2013年8月29日時点で累計販売数700万枚を突破し,「夢ブラ10周年」や「夢ブラキャンペーン」等と称して,10周年記念キャンペーンが実施されるなど,人気の高い商品であることが認められる。なお,「『夢みるブラ/夢ブラ』『ドリームブラ』誤認混同調査」(甲352)の結果については,回答を恣意的に誘導しているかのような疑問を抱かせる点があり,同調査結果を過大評価することはできない。のみならず,前記(3)のとおり,本件商標と引用商標とは,共に「夢のようなブラジャー」又は「夢」の同一の観念を生じるものであるから,前記(オ)で示された程度の結果が出ることは,あらかじめ十分に予想されるところであって,同調査結果が,具体的な取引の実情を反映しているものとは直ちにはいえない。
(5)小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,たとえ,観念が同一であるとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであって,具体的な取引の実情においても,少なくとも本件商標を使用する商品「ブラジャー」は,ピーチ・ジョンの長年の販売方式である通信販売及び直営店販売のみでしか取り扱われておらず,また,引用商標を使用する同商品も,直営店販売及び通信販売を主としているものであって,共に人気の高い商品として販売実績も相当程度のものと認められるから,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すると,両商標を同一の指定商品である「ブラジャー」に使用した場合に,商品の出所につき誤認混同されるおそれはなく,両商標は,類似しないというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 結論
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから,同法第46条第1項の規定により,無効にすることはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-03-09 
結審通知日 2016-03-10 
審決日 2016-03-23 
出願番号 商願2013-42364(T2013-42364) 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (W25)
T 1 11・ 261- Y (W25)
T 1 11・ 263- Y (W25)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 岩崎 安子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
前山 るり子
登録日 2014-02-21 
登録番号 商標登録第5650460号(T5650460) 
商標の称呼 ドリームブラ、ドリーム 
代理人 大田 英司 
代理人 永田 元昭 
代理人 北村 吉章 
代理人 永田 良昭 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 山崎 和香子 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 西村 弘 
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