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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1314416 
審判番号 取消2014-300902 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-11-07 
確定日 2016-04-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第971820号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第971820号商標(以下「本件商標」という。)は、「LE MANS」の欧文字を横書きしてなり、昭和42年1月25日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として同47年7月13日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、また、平成15年8月27日に指定商品を第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,襟巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」とする指定商品の書換登録がされているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成26年11月27日である。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,襟巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、上記の商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
2 弁駁の理由
被請求人は、「審判事件答弁書」において、本件商標権者(被請求人)から使用許諾を受けた通常使用権者である「株式会社フィールドハウス」は、請求に係る指定商品中、「ネクタイ」について本件商標を使用しているとし、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出している。
(1)被請求人の提出した上記の乙各号証によっては、本件商標を本件審判請求の予告登録前3年以内に、日本国内において、請求に係る指定商品中の何れについても使用していたものとは認められない主な理由は、ア 調査会社を通じて事前に使用状況を調査したが、過去3年間使用の事実を発見できなかった。 イ 乙第9号証以外の証拠によっては、実際に商取引の場に供された事実が証明されていない、の2点である。
(2)以下、上記ア及びイについて、詳述する。
ア 本件審判の請求前の事前調査について
請求人は、本件審判を請求するに当たり、調査会社を通じて被請求人(本件商標権者)ケントジャパン株式会社のほか、株式会社ヴァンヂャケット、その他関連会社に対し、過去3年内に本件商標「LE MANS」が、本件審判の請求商品に使用されていたか否かの調査を行った。その調査内容及び調査結果の概要は,以下のとおりである(甲4)。
(ア)2014年10月9日及び10月22日におけるケントジャパン株式会社(台東区蔵前)の対応者、S氏は、次のとおり見解を述べている。
a 「LE MANS」は,当社が保有するブランドである。
b 以前は、衣服類に使用していたが、今は衣服類では使用していない。
c 衣服類には使用していないが、雑貨類等で例えば、イトーヨーカ堂の店舗で「LE MANS」の物を販売している。
d ライセンシーは言えない。
e 先行き、「雑貨類」やその他の商品も復活させる用意がある。
(イ)2014年10月23日におけるKent イトーヨーカドー木場店(東京都江東区木場)の対応者、E氏は、「過去3年間の仕入れ台帳、販売台帳を精査した結果、『LE MANS』の文字を使用したブランド、名称として使用した商品の取り扱いはない。」と見解を述べている。
(ウ)2014年10月23日におけるKentイトーヨーカドー湘南台店(神奈川県藤沢市石川)の対応者、S氏は、E氏と同様に「過去3年間の仕入れ台帳、販売台帳を精査した結果、『LEMANS』の文字を使用したブランド、名称として使用した商品の取り扱いはない。」と見解を述べている。
(エ)2014年10月15日における株式会社ヴァンヂャケット(台東区蔵前)の対応者、K氏は、「確かに何十年も前に『ルマン』、『LE MANS』ブランドの衣服類を取り扱っていたが、当社のラインアップからはずれ、何十年も前から、このブランドは取り扱っていない。」との見解であった。
なお、K氏は、旧(株)ヴァンヂャケットの取締役であった人物であり、現在は、新(株)ヴァンヂャケットの取締役からは外れているが、隆盛を極めたヴァンヂャケット及びヴァンヂャケットが保有していたブランドに精通している人物であり、現在のVANオンラインストアの責任者ともなっていて、昔からのヴァンヂャケットが保有していたブランドに詳しい人物である。
(オ)過去に「LE MANS」ブランドの商品を取り扱ったことのある企業4社についても調査を行ったところ、何れも過去3年間に使用したことはない、と述べている。
(カ)その他、株式会社ケントジャパンの公式ホームページ、株式会社ヴァンヂャケットのホームページ、オンラインストア、及び一般サイト検索によっても、本件商標の使用は認められなかった。
(キ)以上のとおり、本件審判請求前の使用状況調査によれば、本件商標「LE MANS」商標は、その取消しに係る指定商品の何れにも過去3年間使用されていた事実は、発見できなかった。
イ 被請求人の提出した乙各号証のうち、実際に商取引の対象として流通に供されたことを立証する証拠は、乙第9号証のみであり、それ以外の証拠は、実際に商取引の場に供された事実を証明するものではないことについて
商標法第50条第1項及び同法第2条第3項第1号、第2号及び第8号の規定における「商品」とは、現に流通している商品を意味し、現に流通していない商品は、これらの規定における「商品」には該当しないものというべきである。
したがって、単に商品の販売の準備を行っていたことを窺わせる証拠等を提出したとしても、これらが登録商標を現実に使用したことを立証するものではない。(甲6ないし8)
そこで、被請求人の提出した乙各号証によれば、これらは何れも商品販売のための準備行為に係る書類であるから、当該商品が市場において独立して商取引の対象として流通に供され、かつ、商標法第2条3項、第4項所定の行為がなされていたことを何ら立証したものではない。
なお、乙第9号証は、使用権者である株式会社フィールドハウスからイトーヨーカドーカワゴエ店宛に商品が納品されたことを窺わせる「納品書(控)」であるから、一応、イトーヨーカドーカワゴエ店宛に商品が納品、譲渡されたともいえる。
しかしながら、乙第9号証「納品書(控)」は、本件審判請求前の使用調査の内容からも、また、「納品書(控)」の作成者が被請求人の関連会社である株式会社フィールドハウスであること等からしても、実際の商品の譲渡・販売があったことを客観的に裏付ける証拠とはなり得ない。
例えば、実際に商品の納品が行われたのであれば、商取引が行われたことを立証する「商品受領書」、「請求書」、「代金支払書」等の証拠が提出されるべきであるが、これらは一切、提出されていない。
したがって、単に乙第9号証の「納品書(控)」のみの証拠をもって、「ネクタイ」が実際に納品、譲渡されたのか否かは極めて疑わしい。
以下、乙各号証について、詳述する。
(ア)乙第1号証「委託商品発注書」
乙第1号証は、2014年2月6日付けのイトーヨーカ堂から株式会社フィールドハウス宛「委託商品発注書」であるが、単に、委託者が商品の製造を発注したことを証明するにすぎないものである。
(イ)乙第2号証「統合商品マスター登録用紙」
乙第2号証は、委託者であるイトーヨーカドーの「統合商品マスター登録用紙」である。
(ウ)乙第3号証「商標使用権契約書」
乙第3号証は、2013年12月1日付けで締結された本件商標権者と株式会社フィールドハウスとの「商標使用権契約書」であり、上記契約の期間は、2013年12月1日2014年11月30日となっている。
(エ)乙第4号証「メールの記録」
乙第4号証は、会社フィールドハウスの安住氏から株式会社テスートの砂金氏宛のブランドネーム及び下げ札の依頼メールである。
なお、日付は2013年12月4日付けであるが、テスートの砂金氏から安住氏宛のメールは、1年後の2014年12月3日となっている。
(オ)乙第5号証「発注書」
乙第5号証は、2013年12月7日付けの株式会社フィールドハウスから株式会社テスートヘの「発注書」であり、フィールドハウスが商品の製造のために発注したことを証明するにすぎないものである。
(カ)乙第6号証「受注証明書」
乙第6号証は、株式会社テスートが株会社フィールドハウスから「ネクタイ」を5000本受注したことの証明書である。
(キ)乙第7号証「ネクタイの写真」
乙第7号証は、「LE MANS」の下げ札を付したネクタイの写真であるが、撮影日は、2015年1月13日で要証期間後のものであるから、証拠価値はない。
(ク)乙第8号証「請求書」
乙第8号証は、平成26年2月28日付けの株式会社テスートから株式会社フィールドハウス宛の請求書である。
以上の乙第1号証ないし乙第8号証は、何れも商品販売のための準備行為に係る書類であり、当該商品が市場において独立して商取引の対象として流通に供され、かつ、商標法第2条3項、第4項所定の行為がなされていたことを何ら立証したものではない。
(ケ)乙第9号証「納品書(控)」
乙第9号証は、株式会社フィールドハウスからイトーヨーカドーカワゴエ店宛の「納品書(控)」であり、「発注日」の欄に「140211」、「納品日」の欄に「140220」との記載があるから、一応、2014年2月11日に発注を受け、2014年2月20日に納品したことが窺われる。
なお、1枚目の前段は商品名の記載欄に「メンスクラブ」と読めるが、後段の商品名は不明である。また、2枚目及び3枚目は、商品蘭に「Eルマン」と記載されているから、一応「LE MANS」ブランドの「ネクタイ」が納品されたことを窺わせる。
ただし、上記は「納品の事実」を窺わせるだけで、例えば、納品後の「受領書」、「請求書」等が提出されない限り、実際に商取引があったかは確認できないものである。
(コ)乙第10号証「ライセンス商品売上報告書」
乙第10号証は、平成26年12月5日付けで使用権者である株式会社フィールドハウスがパソコン等で作成した「ライセンス商品売上報告書」であるが、このようなものは簡単にパソコンで作成できるものであるし、しかも要証期間経過後の作成に係るものであるから、客観性に乏しいものである。
ウ まとめ
以上のとおり、被請求人の提出した乙第1号証ないし乙第10号証によっては、要証期間内に本件商標を付したネクタイが市場において独立して商取引の対象として流通に供され、かつ、商標法第2条3項、第4項所定の行為がなされていたことを何ら立証したものとはいえない。
よって、本件の商標権者又は使用権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を本件審判請求の取消しに係る何れの指定商品についても使用していたものと認めることはできない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
本審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者である被請求人から許諾を受けた通常使用権者である株式会社フィールドハウスが、その請求に係る指定商品のうち、ネクタイについての本登録商標を使用している事実を立証する。以下、詳しく説明する。
1 2013年11月頃に、株式会社イトーヨーカ堂から株式会社フィールドハウス対し2014年の春物として「LE MANS」ブランドのネクタイ5,000本について委託生産の依頼があった。なお、株式会社イトーヨーカ堂から株式会社フィールドハウスに対する発注書(乙1)や株式会社イトーヨーカ堂のデータベース(乙2)では、2014年2月6日あるいは2014年2月4日となっている。
2 株式会社イトーヨーカ堂から上記委託生産の依頼を受けた株式会社フィールドハウスは、被請求人であるケントジャパン株式会社から2013年12月1日に本件商標の指定商品中「ネクタイ」について通常使用権の許諾を受けた(乙3)。なお、株式会社フィールドハウスは、ケントジャパン株式会社の関連会社である。
3 そして株式会社フィールドハウスは、株式会社テスートに対し「LE MANS」ブランドのネクタイ5,000本についての生産を依頼した。
詳しくは、当該ネクタイに付す織りネーム及び当該ネクタイを販売する際に付す下げ札の作成を、株式会社フィールドハウスの安住氏は株式会社テスートの砂金氏に2013年12月4日に依頼した(乙4)。
また、株式会社フィールドハウスは、株式会社テスートに対し「LE MANS」ブランドのネクタイ5,000本についての発注書を2013年12月7日に発行した(乙5及び乙6)。
4 株式会社テスートは、「LE MANS」ブランドのネクタイ5,140本を生産し、2014年2月5日に納品した(乙6)。なお、5000本の発注に対し、実際には5,140本を生産・納品したのは、不良品が生じて取り替える場合を考慮したものである。また、乙第7号証は、「LE MANS」ブランドのネクタイである。
株式会社テスートは、2014年2月28日付で株式会社フィールドハウスに対し請求書を発行し(乙8)、株式会社フィールドハウスの安住氏は2014年5月10日に送金処理を行った。
5 また株式会社フィールドハウスは、2014年2月20日に株式会社イトーヨーカ堂の各店舗に対して「LE MANS」ブランドのネクタイ約3,700本を納品した。例えば、株式会社イトーヨーカ堂川越店には、「LE MANS」ブランドのネクタイを18本納品した(乙9)。そして株式会社フィールドハウスは、2013年12月2014年11月までの間に、株式会社イトーヨーカ堂に対し、「LE MANS」ブランドのネクタイ2,667本を販売した(乙10)。
6 以上の通り、本件商標の商標権者である被請求人から許諾を受けた通常使用権者であるフィールドハウスが、本審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品のうち、ネクタイについて本件商標を使用している。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証及び同人の主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証は、株式会社イトーヨーカ堂が株式会社フィールドハウスに対して2014年2月6日付けで発行した「委託商品発注書」であり、売場分類欄に「064紳士ネクタイ&小物」、品揃え分類欄に「7388紳士ネクタイ」、品番欄に「7104」の記載があり、また、商品名欄に「Eルマン ネクタイ」の記載があるほか、「数量:5,000」、「初回予定日:2014年2月20日」、「初回投入予定数:3,900」、「予定店舗数:155」、「発注期間:2014年2月20日?2014年4月30日」の記載があり、単品コード、コード(色/サイズ)、名称等を項目として20行に渡ってそれぞれ対応した数字が記入され、例えば、3行目の行には、「45-62264-69764-9」、「010」、「01-002」及び「赤O」の記載と数量「170」、原価単価「830.00」、売価単価「2,089」の記載があることから、株式会社イトーヨーカ堂が株式会社フィールドハウスに対して2014年2月20日を初回納品予定とする商品名「Eルマン」のネクタイを5,000本発注し、各規格毎に単品コード等が付されていこととが認められる。
(2)乙第3号証は、「商標使用権契約書」とされるものであり、2013年12月1日付けで、ケントジャパン株式会社(本件商標権者)を甲、株式会社フィールドハウス(以下「使用者」という。)を乙とし、甲より乙に対し本件商標の通常使用権を許諾するとの記載があり、期間(第1条)として2013年12月1日?2014年11月30日、本件商標として「LE MANS」、指定商品 第25類「ネクタイ」、商標登録番号971820号及び本件通常使用権の範囲として日本国とするものである。
(3)乙第4号証は、株式会社フィールドハウスの安住氏から株式会社テスートの砂金氏宛に送られたメールを打ち出したものであり、「Sent:Wednesday,December 04,2013 3:41AM」及び「Subject:5000本口のブランドネーム、ブランド下げ札の件」に続いて「砂金様 5000本のブランドネーム、ブランド下げ札の件ですが、データ送ります。中国で、つくっていただきたい。宜しくお願いいたします。 (株)フィールドハウス 安住」と記載され、2葉目には、上段に「LE MANS」と大きく記載され、その下に「■下げ札プラン」として「LE MANS」を表記した長方形の裏表の図、「■織りネームプラン」として「LE MANS」を含む長方形の4図形が記載されていることから、使用者が株式会社テスートに対し、下げ札及び織りネームに「LE MANS」を付したネクタイ5,000本の受注を申し入れたことが認められる。
(4)乙第5号証は、2013年12月7日に株式会社フィールドハウスが株式会社テスートに対する、商品名を「LE MANS」とする商品の発注書と認められるところ、1葉目の一覧表中、数量を「170」と記載された行に「赤O」の文字、これと対応する下げ札状の枠内に表されたバーコードの上に「赤O」、バーコードの下に「4562264697649」、「¥1,990」及び「(税込 ¥2,149)」と記載され、同枠外に「No.3-190枚」と記載されており、バーコードの下の数字が上記(1)の委託商品発注書(乙1)の単品コードと一致し、乙第5号証における各数量の合計が5,000となることから、株式会社フィールドハウスが株式会社イトーヨーカ堂からの発注(乙1)に対応した発注であると認められる。
(5)乙第6号証は、株式会社テスートが株式会社フィールドハウスあてに2014年12月5日に発行した受注証明書と認められるところ、証明内容として、「下記の通り、ネクタイの生産を受注したことを、証明致します。」とし、「ブランド名:LE MANS(ルマン) ネクタイ」、「本数:5,000本」、「単価:@500-」、「受注日:2013年12月7日」及び「納品日:2014年2月5日」と記載されていることが認められる。
(6)乙第7号証は、撮影日を「2015年1月13日」とする「LE MANS」と表示された下げ札及び織りネームが付されたネクタイの写真と認められるところ、この下げ札及び織りネームの態様は、乙第4号証に添付された下げ札及び織りネームの態様と一致する。
(7)乙第9号証は、「納品書(控)」であり、「発注日」の欄に「140211」、「納品日」の欄に「140220」の記載があり、左上の欄に、社名「イトーヨーカドー」及び店名「カワゴエ」と記載され、右上に取引先名として「フィールドハウス」の記載がある。
また、1葉目の商品欄等の表中には、その4行目に、「品名・規格」の項目に「064-7388 7104 7259」及び「Eルマン ネクタイ」の記載、「商品コード」の項目に「04562264697649」の記載、「色/入数」及び「サイズ/ケース」の項目に「レッドO フリー」及び「フリー 1」の記載があり、これらは、株式会社イトーヨーカ堂が使用者に対して発行した委託商品発注書(乙1)の単品コードと、また、株式会社テスートに対する株式会社イトーヨーカ堂からの発注(乙1)に対応した発注書(乙5)とも一致するものである。
2 上記1及び被請求人の主張を総合すれば、次のとおり認めることができる。
(1) 本件商標の通常使用権者について
2013年12月1日付けで、本件商標権者は、使用者に対し、商品「ネクタイ」について、期間を2013年12月1日?2014年11月30日とする本件商標の通常使用権を許諾したことが認められるから、2013年12月1日以降の要証期間において、使用者は、本件商標の通常使用権者であるということができる(乙3)。
(2) 使用商標、使用商品及び使用時期について
ア 株式会社イトーヨーカ堂は、使用者に対し、2014年2月6日付けで、初回投入(仕入)予定数3,900本、初回予定日を2014年2月10日とする商品名「Eルマン」とするネクタイ5,000本を発注した(乙1)。
この委託商品発注書には、発注した個別商品の単品コード、コード(色/サイズ)、名称等が記載されている。
イ 使用者は、上記アの発注書に先駆けて、2013年12月4日に株式会社テスートに対し「LE MANS」の商標を表示するための下げ札及び織りネームの製作依頼をメールで行い(乙4)、2013年12月7日付けで、2014年2月5日を納品予定日とし、商品名を「LE MANS」とする発注書(乙5)を発行しており、この発注書に記載された下げ札状の枠内に表されたバーコードの上の「赤O」、バーコードの下の「4562264697649」が、株式会社イトーヨーカ堂が使用者に発行した委託商品発注書(乙1)に記載の単品コード、名称等の記載と一致することから、乙第1号証及び乙第5号証が、商品名を「LE MANS」とするネクタイ5,000本の受注に関する取引書類と認められる。
ウ そして、2014年2月20日を納品日とする使用者から株式会社イトーヨーカ堂川越店への納品書(控)(乙9)にも、品名を「Eルマン ネクタイ」とする商品コード「4562264697649」により特定された商品が納品されており、株式会社イトーヨーカ堂が使用者使用者に発行した委託商品発注書(乙1)に記載の単品コードと一致することから、使用者が株式会社イトーヨーカ堂に商品「ネクタイ」を2014年2月20日に販売したものと認められる。
また、使用者が株式会社イトーヨーカ堂に納品するために製造を依頼したメールの添付データ(乙4)、ブランド名を「LE MANS」とするネクタイ5,000本の受注証明書(乙6)及び要証期間外ではあるが「LE MANS」の商標が付されたネクタイの写真(乙7)を併せみれば、使用者は株式会社イトーヨーカ堂に対し「LE MANS」の商標を付した商品「ネクタイ」を販売したことが推認されるところ、該商標は、その文字構成に照らし、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
エ 以上によれば、被請求人が提出した証拠によって、通常使用権者である使用者は、要証期間内である平成26年2月20日に、本件審判の請求に係る指定商品中、「ネクタイ」に本件商標と社会通念上同一の商標を付して譲渡したといえ、これは、商標法第2条第3項第2号にいう行為に該当するものと認められる。
3 請求人の主張について
請求人は、本件審判請求前の使用調査の内容からも、また、「納品書(控)」(乙9)の作成者が被請求人の関連会社である株式会社フィールドハウスであること等からしても、実際の商品の譲渡・販売があったことを客観的に裏付ける証拠とはなり得ない。
例えば、「商品受領書」、「請求書」、「代金支払書」等々の証拠が提出されるべきであるが、これらは一切、提出されていないから、単に乙第9号証の「納品書(控)」のみの証拠をもって、「ネクタイ」が実際に納品、譲渡されたのか疑わしい旨の主張をしている。
しかし、使用者である株式会社フィールドハウスが被請求人の関連会社であるとしても、その他具体的な証拠が無い限り、そのことのみもって提出された乙各号証の信憑性がないとはいえないし、請求人のいう「商品受領書」等の提出がないとしても、提出された他の証拠と併せみれば、株式会社イトーヨーカ堂からの発注(乙1)から使用者の納品(乙9)に至るまでの一連の取引を十分推認できることは、上記2のとおりであるから、請求人の主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者がその請求に係る指定商品中の「ネクタイ」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-11-13 
結審通知日 2015-11-18 
審決日 2015-12-03 
出願番号 商願昭42-4237 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 堀内 仁子
今田 三男
登録日 1972-07-13 
登録番号 商標登録第971820号(T971820) 
商標の称呼 ルマン、レマンス、マン 
代理人 山田 清治 
代理人 萼 経夫 
代理人 特許業務法人はなぶさ特許商標事務所 
代理人 藤沢 則昭 
代理人 藤沢 昭太郎 

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