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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W14
審判 全部申立て  登録を維持 W14
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管理番号 1313276 
異議申立番号 異議2015-900274 
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-08-24 
確定日 2016-04-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5765205号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5765205号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5765205号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成よりなり,2013(平成25年)年7月8日に大韓民国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成26年1月6日に登録出願され,第14類「時計,腕時計,電気時計,電子時計,ストップウォッチ,時計の文字盤,時計のガラス,自動車用時計,時計鎖,時計用ケース,時計用部品,時計入れ,置き時計,ネックレス,ブレスレット,貴金属製の装身用鍵輪,貴金属製装飾用ワイヤー,指輪,身飾品」を指定商品として,同27年3月25日に登録査定,同年5月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は,以下の2件であり,いずれも現に有効に存続しているものである(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。
1 登録第2184860号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2に示すとおりの構成よりなり,昭和60年8月30日に登録出願され,第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成元年10月31日に設定登録,その後,同11年10月5日及び同21年7月7日に商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同21年7月29日に,指定商品を第14類「時計,時計の部品及び附属品」とする書換の登録がされたものである。
2 登録第4730932号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲3に示すとおりの構成よりなり,平成15年3月4日に登録出願され,第14類「時計,時計の部品及び附属品,身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,キーホルダー,貴金属製宝石箱,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト」を指定商品として,同年12月5日に設定登録され,その後,同25年11月19日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)商標の類否について
本件商標と引用商標の対比として,その外観について述べる。本件商標を構成する英文字部分は,「G」「W」「a」「t」「c」「h」の6文字の欧文字からなり,その音節は「G」「Wa」「tch」の3音節である。また引用商標を構成する英文字も「s」「w」「a」「t」「c」「h」の6文字のアルファベットからなり,その音節も「s」「wa」「tch」の3音節である。
上記のとおり,本件商標と引用商標は,いずれも6英文字中,「W(w)atch」の5英文字部分が同一である点,3音節である点及び商標の構成が「一文字の英文字」+「W(w)atch」である点が共通する。
また,本件商標と引用商標の実際の使用商品は「腕時計,身飾品」等であり,商品自体の大きさは,「腕時計」においては大きくてもせいぜい4ないし5cm程度であり,「身飾品」等においては更に小さなものであることが大多数である。よって,それらの商品に表示される商標は自ずと小さな文字となり,本件商標と引用商標は外観上の相違が非常に軽微なものであり,一般需要者がよほど注意を払わない限り,その相違には気付かず出所の混同を生じることは明らかである。
上記のことから,商標全体を観察した場合,本件商標と引用商標はその外観が類似する。
(2)商品の類否について
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は,同一又は類似する。
(3)引用商標の周知性について
申立人の引用商標の時計は,1983年の発売以来,常に高い人気を博し,現在においてもその人気は衰えていない。
例えば,インターネットのウェブサイト「ベストプレゼント」においては,人気のブランド腕時計(メンズ)において,その順位が85ブランド中54位であり,人気のブランド腕時計(レディース)においては,その順位が107ブランド中19位である。
また,申立人の引用商標の時計は,1996年アトランタオリンピックの公式スポンサーとなり,公式タイマーとして採用された。
また,以降2000年シドニーオリンピック,2004年アテネオリンピックにおいても同様である。申立人の引用商標の時計が1996年から2004年にかけて3度のオリンピックにおいて公式スポンサーであり,公式タイマーとして採用された事実は,引用商標の世界における著名性を揺るぎないものとした。
上記のほか,申立人の引用商標2の指定商品「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品」等も実際に販売されており,日本国内の店舗においても展示販売されている。さらに,世界的に著名な宝飾品ブランド「ハリー・ウィンストン」をアメリカハリー・ウィンストンホールディングスより買収し,宝飾品の分野においても日本国内のみならず,世界的にも大規模にビジネスを展開し,その名声を得ている。
これらの事実は,引用商標が日本のみならず,世界においても極めて著名な商標であることを証左するものである。
(4)以上のことから,本件商標と引用商標とは,その外観が類似し,指定商品も同一又は類似であって,かつ,引用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標の対比については,上記1(1)及び(2)において述べたとおりである。
(2)以上のことから,本件商標と引用商標とは,その外観が類似し,指定商品も同一又は類似であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知性については,上記1(3)のとおりである。
(2)次に,商品の出所の混同について述べる。本件商標と引用商標の指定商品は,共に第14類の「時計,身飾品」他である。してみると,引用商標の著名性から,本件商標の商品と引用商標の商品とが誤認されるおそれがあることは明らかである。このような出所の混同を生じるおそれがある本件商標は,商標の保護のみならず,需要者の利益の保護にもつながらず,商標法の目的にも反するものである。
(3)以上のことから,本件商標は,引用商標の権利者の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり,商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第19号について
(1)引用商標の周知性については,上記1(3)のとおりである。
(2)次に,不正の目的について述べる。本件商標の出願日は平成26年1月6日であり,引用商標の商品が既に長い間販売され,オリンピックの公式スポンサー及び公式タイマーであった事実も世界中に知れ渡った後であることから,本件商標権者は,引用商標の存在を知らなかったとはいえない。引用商標が世界中で周知であるにもかかわらず,本件商標権者がその商標の構成を「一文字の英文字」+「Watch」と選択したことは,明らかに申立人の高い名声にただ乗りし,また同時に市場においては出所の混同をひきおこし,需要者をも欺く行為であるといえる。申立人はそのブランドを守るため,またそのブランドの信用を維持するため,非常に長い年月及び莫大な額の宣伝広告費を費やした企業努力により,引用商標は高い名声を得ることができたのである。その結果,3度に渡るオリンピックの公式スポンサー及び公式タイマーに採用されるまでになったのである。この事実は,いかに申立人の引用商標の商品が世界中において信用され,信頼されているかを証明するものである。
一方,本件商標権者は,申立人のような企業努力によることなく,引用商標の世界的な著名性を知りながら,それらに類似する商標を類似する商品に使用していることは,自助努力によるものではなく,安易に他人の信用にただ乗りし,利益を得ようとしていることは明らかである。
(3)以上のことから,本件商標は,申立人の周知商標である引用商標と類似する商標であり,不正の目的をもって使用する商標であることから,商標法第4条第1項第19号に該当する。
5 むすび
以上のとおり,本件商標は商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,「G Watch」の欧文字よりなるものであり,「G」と「Watch」との間に1文字分の空白があるとしても,全体が同じ書体で表されていること,構成文字も6文字と比較的少ないこと,構成文字全体から生じる「ジーウォッチ」の称呼も5音と短い音構成であることから,本件商標は一体的に認識され把握されるものとみるのが相当である。
そうすると,本件商標からは,その構成文字に相応して「ジーウォッチ」の一連の称呼が生じるものである。
また,本件商標を構成する「G Watch」の欧文字は,全体として特定の観念を有しない一種の造語とみるのが相当であるから,本件商標は,特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は,別掲2及び3のとおりの構成よりなり,いずれも,統一されたデザインにより「swatch」の欧文字を一連にまとまりよく表してなるものであり,その構成文字も6文字と比較的少ないこと,構成文字全体から生じる「スウォッチ」の称呼も4音と短い音構成であることから,引用商標は一体的に認識され把握されるものというべきである。
そうすると,引用商標からは,その文字構成に相応して「スウォッチ」の称呼が生じるものである。
また,引用商標を構成する「swatch」の欧文字は,特定の観念を有しない一種の造語とみるのが相当であるから,引用商標は,特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は,別掲1のとおりの構成よりなるところ,構成中の1文字目の「G」と2文字目の「W」の欧文字を大文字で,後に続く「atch」の欧文字を小文字で表し,その構成文字の態様も特段のデザイン化もされていない平易な書体により表されている。
一方,引用商標は,別掲2及び3のとおりの構成よりなるところ,その構成文字は全て小文字により,かつ,特徴ある統一されたデザインにより,「swatch」と一連に表してなるものである。
本件商標と引用商標の外観を比較した場合には,上記のとおり,両商標おける先頭の文字の「G」と「s」との字形の相違,その直後における空白の有無,大文字の混在の有無,文字のデザイン化の有無という差異を有するから,両商標は,外観上,類似しない。
なお,申立人は,「腕時計,身飾品」は商品自体が小さいことから,それらの商品に表示される商標は自ずと小さな文字となり,本件商標と引用商標は外観上の相違が非常に軽微なものであり,出所の混同を生じることは明らかと主張する。
しかしながら,仮に上記商品自体に商標を直接付すことで,商標自体も相対的に小さく表示されるとしても,自他識別標識としての商標が視認できない程の大きさでない限り,本件商標と引用商標との上記差異があれば,両商標を見分けることは十分可能であるから,申立人の上記主張は,採用できない。
次に,本件商標から生じる「ジーウォッチ」の称呼と,引用商標から生じる「スウォッチ」の称呼とは,称呼における識別上,重要な要素を占める語頭音において,長音を伴う有声音「ジー」と,無声音「ス」の差異を有するから,両商標は,称呼上,類似しない。
また,本件商標と引用商標とは,観念において比較することはできないから,相紛れるおそれはなく,両商標は,観念上,類似しない。
そうすると,本件商標と引用商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれはなく,非類似の商標と認められる。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第10号及び同項第19号について
上記1のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標と認められるものであるから,その余の点について判断するまでもなく,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当する商標とは認められない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
上記1のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標と認められるものであるから,その需要者の注意力の程度や本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との共通性を考慮しても,本件商標が,出所混同のおそれがある商標であるとはいえない。これに反する取引の実情を認めるに足りる証拠もない。
そうすると,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれはない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり,本件の商標登録は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当するとは認められないから,同法第43条の3第4項に基づき,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 引用商標1


別掲3 引用商標2



異議決定日 2016-04-07 
出願番号 商願2014-284(T2014-284) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W14)
T 1 651・ 222- Y (W14)
T 1 651・ 263- Y (W14)
T 1 651・ 25- Y (W14)
T 1 651・ 262- Y (W14)
T 1 651・ 261- Y (W14)
最終処分 維持  
前審関与審査官 青野 紀子松浦 裕紀子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
田中 幸一
登録日 2015-05-22 
登録番号 商標登録第5765205号(T5765205) 
権利者 エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
商標の称呼 ジイウオッチ 
代理人 青木 篤 
代理人 山川 政樹 
代理人 山川 茂樹 
代理人 田島 壽 

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