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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1313268 
異議申立番号 異議2015-900292 
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-09-15 
確定日 2016-04-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5773274号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5773274号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5773274号商標(以下「本件商標」という。)は,「Jオペラワイン」の文字を横書きしてなり,平成27年2月5日に登録出願,同年5月14日に登録査定,第33類「ワイン」を指定商品として,同年6月19日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第286228商標(以下「引用商標」という。)は,「OPERA」の欧文字を横書きしてなり,2001年(平成13年)2月5日に国際商標登録出願(事後指定),第33類「Wines, sparkling wines, ciders, aperitifs, alcohols and eau-de-vie, various liqueurs and spirits.」を指定商品として,同年10月5日に設定登録され,2004年(平成16年)7月11日及び2014年(平成26年)7月11日に国際登録の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである旨申し立て,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む)を提出した。
1 本件商標について
本件商標は,「Jオペラワイン」の文字及び記号を一連にて横書きした態様よりなるところ,その構成中「ワイン」の文字部分は,本件商標の指定商品である「ワイン」を表すものにすぎないから,自他商品の識別標識としての機能はない。
また,本件商標の「J」の文字部分については,商品の規格,型式,品番等に使用される記号,符号の類型に属するアルファベットの1文字といいうるものといえる。この点については,過去の審決においても,商標の構成中のアルファベットの1文字に対し,指定商品との関係から,商品の記号,符号等を表す一類型として表示するものと判断されており,アルファベットの1文字と和文字(片仮名)の結合商標の類否について判断したものに限っても,多数の先例が確認される(甲24の1ないし7)。
該審決(異議決定)や裁判例はあくまでも一例であるが,これらの事実は,本件商標の構成中「J」の文字部分が,単に指定商品である「ワイン」の品番やタイプ等を表示するための記号,符号にすぎず,自他商品等識別力がなく,要部として類否判断の対象とならないことを示すものである。
とりわけ,日本国においては,「J」のアルファベットは,「Japan」のイニシャルにあたることから,「Jリーグ」など,特定の商品・役務の分野に偏ることなく,極めて広く一般に用いられている文字である。この点は,審決においても,「J」を正当に有する商標が多数審理の対象となり,「J」のアルファベットを除いた他人の登録商標に類似すると判断されているところに照らすことで,より強く首肯されるところである。
その一方で,本件商標の「オペラ」の文字部分は,我が国で最も親しまれた英語において「歌劇,オペラ,オペラ劇場」等の意味合いを,仏語において「オペラ,歌劇,オペラハウス,歌劇場」等の意味合いを有する語であり(甲4の1及び2),強い識別力を発揮し,取引者,需要者は,本件商標の構成中,馴染み親しまれた「オペラ」の文字部分を本件商標の主要な部分と認識し,これより生ずる称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
そうとすれば,本件商標は,その構成中,「オペラ」の文字部分が,他の構成部分より独立して自他商品の識別力を有する要部とみるべき部分といえるものであって,これに接する需要者・取引者にとって,おのずと,「オペラ」の部分が強く記憶に残り,該部分が,本件商標の要部となるというべきである。
してみれば,本件商標は,その構成文字全体に相応して,「ジェイオペラワイン」の称呼を生ずるほか,「オペラ」の文字部分に相応して「オペラ」の称呼をも生ずるものというべきである。
また,該「オペラ」の文字は,後述するとおり,申立人が製造販売する世界的に周知なスパークリングワイン「OPERA」(オペラ)を意味する言葉として我が国において広く知られていることから,本件商標に接する取引者・需要者は,本件商標から,申立人の製造販売に係る商品「スパークリングワイン」(以下「申立人商品」という場合がある。)を想起するというべきであり,かかる観念が生じるものである。
2 引用商標について
引用商標は,「OPERA」の欧文字を一連に表した構成よりなり,該文字は,本件商標中の「OPERA」の文字部分と同様に,「歌劇,オペラ,オペラ劇場」等の意味合いを有する語である。
また,引用商標は,後述するとおり,永年,申立人商品に継続している使用している商標であり,申立人商品について日本を含む世界60か国以上に輸出され,本件商標の登録出願前からその査定前を通して広く知られていたことが認められる商標である。
したがって,引用商標からは,「オペラ」の称呼とともに,申立人商品を想起させるものといえる。
3 引用商標及び申立人の周知著名性について
申立人である「コンパニー フランセーズ デ グラン ヴァン,ソシエテアノニム」(COMPAGNIE FRANCAISE DES GRANDS VINS,societe anonyme)は,1909年にフランスで創業された老舗のスパークリングワインメーカーであり(申立人は,その頭文字をとって「C.F.G.V.」社として略され取引に資されることが多い),また,引用商標の商標権者として世界的にかつ最高級のスパークリングワインメーカーの一つとして知られており(甲5及び甲6),その高いプレステージは,フランス国内のみならず,日本においても広く知られているところである。
特に,申立人の代表的な商品となっている引用商標を付した申立人商品は,パリのオペラ座をイメージした華やかで祝祭ムードあふれるデザインとそのフルーティーな味わいときれ味のよさにより高い人気を集め,日本を含めた世界60か国以上に輸出され販売されている(甲6)。
日本においても,申立人商品は,現在は,サッポロビール株式会社が代理店となって輸入販売されており(甲6),サッポロビール株式会社によるイベント等が開催される等(甲7),盛んに宣伝される等して日本の需要者に広く普及されているものである。
このことは,「世界の名酒事典」に1997年頃から現在に至るまで継続して掲載されていること(甲8の1ないし10)や,インターネット上で需要者によりブログ等で話題にされており,多くの酒屋で販売されていたり,飲食店のドリンクメニューで「スパークリングワイン」のブランドとして選ばれていることからも明らかである(甲9ないし甲21)。
また,申立人は,引用商標に係る「OPERA」ブランドを保護すべく,日本のみならず世界各国において「OPERA」に係る商標権を取得している(甲22の1ないし9)。
したがって,日本において,引用商標は,申立人商品を表すものとして,酒類の取引者・需要者に広く認識されるに至っているというべきである。
以上に述べたところから,引用商標は,本件商標の出願日である平成25(2013)年1月29日以前より,申立人商品を表示する商標として,その取引者・需要者において,周知著名性を獲得するに至っていたというべきである。
4 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は,「Jオペラワイン」を横一連に表してなるところ,「ジェイオペラワイン」の称呼が生ずる他,「オペラ」の称呼も生ずるというべきものである。
それに対して,引用商標からは,その構成態様より「オペラ」の称呼が生ずる。
してみれば,引用商標から生ずる称呼である「オペラ」と,本件商標の「オペラ」の文字部分から生ずる称呼「オペラ」は同一である。
よって,本件商標と引用商標は,称呼上,類似する商標というべきである。
また,本件商標と引用商標から生ずる観念について比較すると,いずれも「歌劇,オペラ,オペラ劇場」等を意味するものであり,さらに引用商標が申立人商品を表すものとして周知著名であることを併せ考えると,本件商標と引用商標は,観念上も類似する商標というべきである。
本件商標は,引用商標と,称呼上及び観念上,類似する商標というべきであり,また,本件商標の指定商品は,引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
5 商標法第4条第1項第15号該当性について
商標法第4条第1項第15号は,周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリュージョン)を防止し,商標の自他商品識別機能を保護することによって,商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り,需要者の利益を保護することを目的とするものであるから,同号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には,当該商標をその指定商品等に使用したときに,当該商品等が他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがある商標を含むものと解するのが相当である。そして,この場合,同号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知・著名性及び独創性の程度,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度,商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきものであるとされている(平成12年7月11日最高裁第三小法廷判決平成10年(行ヒ)第85号審決取消請求事件)。
かかる基準に照らし合わせた場合,本件商標に接した取引者・需要者は,恰も申立人若しくは申立人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく,商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
すなわち,申立人は,引用商標を付した商品「スパークリングワイン」の販売に対する懸命な宣伝広告及びこれまでの申立人の地道な努力により築き上げられた引用商標に化体した信用により,引用商標は,すでに申立人商品を表すものとして,日本を含め世界中で周知著名に至っているものである。
そして,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であり,また両者の取引者・需要者も共通している。
また,本件商標と引用商標とは,既述のとおり,類似性の高い商標であり,特に,本件商標からは,文字どおり「申立人の製造販売する“最高級品の”OPERA」といった観念が生じ,申立人の周知な引用商標を付した商品に関連するもの,例えば,“OPERA”シリーズの一つと認識されるおそれがあるというべきである。
本件商標は,我が国において「スパークリングワイン」等の商品に関して周知著名な引用商標を容易に想起させるものというべきであり,また,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は,同一又は類似の商品であるといった事情を考慮すると,本件商標がその指定商品「ぶどう酒」に使用された際には,これに接する取引者・需要者は,恰も申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何等からの関係がある者の業務に係る商品であるかの如くその商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,「Jオペラワイン」の文字を横書きしてなるものであるところ,その構成は,外観上,同じ書体,同じ大きさ,同じ間隔をもってまとまりよく一連に表されているものである。
そして,その構成中「ワイン」の文字部分は,本件商標の指定商品との関係においては,商品の品質,普通名称を表すものであるから,該文字部分を捨象した「Jオペラ」の文字部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。
そうとすれば,本件商標は,その構成文字に相応して,「ジェイオペラワイン」の称呼を生ずるほか,その構成中の「Jオペラ」の文字部分から,「ジェイオペラ」の称呼をも生じるものである。
なお,申立人は,本件商標の構成中「J」の文字部分は,単に指定商品である「ワイン」の品番やタイプ等を表示するための記号,符号にすぎず,自他商品等識別力がなく,要部として他の部分との類否判断の対象とならない旨主張している。
しかしながら,欧文字1字が商品の種別,形式を表示するための符号等として一般的に使用されるとしても,本件商標の構成における「J」の文字部分は,看る者の最も注意を惹く語頭部分にあって,かつ,外観上一体的に表された構成,態様であることから,かかる態様の下では,商品の記号,符号等として認識させるというよりも,むしろ,後に続く語句と一体となり一種の造語を表したものとして認識,把握されるものとみるのが自然である。
そうとすれば,本件商標の構成中の「Jオペラ」の文字部分は,その構成文字全体として特定の意味合いを理解させない一種の造語からなるものとみるのが相当である。
以上を総合すると,本件商標は,その構成全体より「ジェイオペラワイン」の称呼を生ずるほか,その構成中の「Jオペラ」の文字部分に相応して,「ジェイオペラ」の称呼をも生じるものであり,特定の観念を生じないものといえる。
(2)引用商標について
引用商標は,「OPERA」の欧文字を書してなり,これからは,「オペラ」の称呼を生じ,該文字は,「歌劇,オペラ,オペラ劇場」の意味を有する英語であるから,「歌劇,オペラ,オペラ劇場」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標の類否について検討するに,外観においては,本件商標は,「Jオペラワイン」の欧文字及び片仮名からなるのに対し,引用商標は,「OPERA」の欧文字からなるものであるから,両商標は,その構成文字及び態様において顕著な差異を有し,外観上,明確に区別できるものである。
また,本件商標の「Jオペラ」の文字部分と引用商標とを比較してみても,その構成文字及び態様が異なるものであるから,十分に区別できるものである。
次に,称呼においては,本件商標から生ずる「ジェイオペラワイン」の称呼と,引用商標から生ずる「オペラ」の称呼とは,語頭における「ジェイ」の音と語尾における「ワイン」の音の有無,及び構成音,構成音数が明らかに相違するものであるから,判然と聴別できるものであり,本件商標から生ずる「ジェイオペラ」の称呼と,引用商標から生ずる「オペラ」の称呼とは,語頭における「ジェイ」の音の有無により,互いに聞き誤るおそれはないものと認められる。
さらに,本件商標は,特定の観念を生じないものであるから,「歌劇,オペラ,オペラ劇場」の観念を生ずる引用商標と,観念上,相紛れるおそれはないものである。
そうとすれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他,本件商標と引用商標とが類似するとすべき理由は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 引用商標及び申立人の周知著名性について
申立人が提出した証拠によれば,申立人は,1909年にフランスで創業されたスパークリングワインメーカーであって,引用商標を付した申立人商品は,日本を含めた世界60か国以上に輸出され,我が国においては,2005年(平成17年)頃から,サッポロビール株式会社により広告され販売された。
そして,申立人商品は,1997年(平成9年),2002年(平成14年)からおおむね2013年(平成25年)まで「世界の名酒事典」に掲載され,酒類を取り扱う者のウェブサイトにおいて,申立人商品が紹介され販売等された。
しかしながら,サッポロビール株式会社の広告は,年に1回程度チラシやカタログに掲載されたにすぎないものであって,「世界の名酒事典」は,いわば酒に関する専門雑誌であって,これらにおける掲載は,一部の愛飲家(酒通)の間での評価を示すことはあっても,ワインの一般的な取引者,需要者の間で,引用商標が広く知られていることまでを示すものとはいえない。
また,本件商標の登録出願日及び登録査定日の前における申立人商品の日本国内での販売数量,売上高等も明らかではない。
してみれば,申立人等のウェブサイトにおける広告宣伝,上記雑誌の掲載等の事実によっては,引用商標が,申立人又は同人の業務に係る申立人商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものということができない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は,上記2のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人又は同人の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていたということはできないものであり,しかも,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうとすれば,本件商標の指定商品と申立人商品とが,その需要者を共通にするとしても,本件商標は,これを本件商標権者がその指定商品について使用をしても,これに接する需要者が,申立人の引用商標を連想,想起するということはできないから,申立人又は同人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかと誤認し,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-03-31 
出願番号 商願2015-10687(T2015-10687) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W33)
T 1 651・ 262- Y (W33)
T 1 651・ 271- Y (W33)
T 1 651・ 263- Y (W33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 平澤 芳行
田中 亨子
登録日 2015-06-19 
登録番号 商標登録第5773274号(T5773274) 
権利者 株式会社スタッフ・コーポレーション
商標の称呼 ジェイオペラワイン、ジェイオペラ、オペラワイン、オペラ 
代理人 大塚 忠 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 池田 万美 

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