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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
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審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1313248 
異議申立番号 異議2015-900099 
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-03-27 
確定日 2015-12-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5727037号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5727037号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5727037号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成26年8月20日に登録出願され、第25類「被服,ズボン,履物及び運動用特殊靴,帽子,靴下,手袋(被服),ネクタイ,スカーフ,ガードル,新生児用被服」を指定商品として、同年12月3日に登録査定、同月19日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたこと
申立人の本件商標に関するブランドは1979年に始まり、申立人は、履物を中心とする商品の製造販売事業を世界60か国以上で行っており、日本では1994年から事業展開を開始し、その商品は日本国内の雑誌等において広告や商品紹介記事が掲載され、ブランドを象徴する申立人の特徴的なカンガルーの図形の商標(顔を前に向け、尾をほぼ水平にまっすぐ伸ばし、前足を胸の前で揃え、後ろ足は大地を蹴ったあとのように両足を揃えて前に大きく出し、全体の姿勢が躍動している点を主な構成態様とする商標。以下「申立人商標」という。)は、遅くとも本件商標の登録出願日よりも前に、日本を含む世界における履物等の需要者の間で広く知られている。そして、本件商標は、周知・著名な申立人商標と外観が近似し、カンガルーをモチーフにしていることから、これに照応する称呼、観念が類似し、全体として時と処を異にして離隔的に観察した場合、相紛れるおそれのある類似する関係にある。
特に、本件商標及び申立人商標が使用される商品中、履物、被服などの商品は、ワンポイントマークとして、商標自体比較的目立たない箇所に小さく表示されるのが実情であり、細部において違いが見られるとしても構成の軌を一にするため相紛らわしい関係にあるというべきであり、少なくとも本件商標に係る指定商品「履物」は、申立人商標が使用されている主たる商品と同一又は類似の関係にあたる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたこと
申立人は、別掲2のとおりの構成からなる商標登録第2044613号(以下「引用商標1」という。)、別掲3のとおりの構成からなる商標登録第4378078号(以下「引用商標2」という。)、別掲4のとおりの構成からなる商標登録第378207号(以下「引用商標3」という。(なお、引用商標1ないし3をまとめていうときは「引用商標」といい、いずれも、商標登録原簿に記載のとおりの第25類に属する商品を指定商品として、現に有効に存続しているものである。)の権利者であり、引用商標は、申立人商標と実質的に同じ図形要素を含み、また、引用商標3もこれと類似する図形要素を含み、いずれの引用商標も、本件商標とは、外観が近似し、カンガルーをモチーフにしていることから、これに照応する称呼、観念も類似し、全体として時と処を異にして離隔的に観察した場合、相紛れるおそれのある類似する関係にある。
そして、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたこと
本件商標が、上記1及び2で示した各規定に該当しない場合であっても、申立人の事業は、上記1のとおりの実情にあり、その商品が、我が国の雑誌における広告、商品紹介記事に掲載され、申立人商標と本件商標とは、外観が近似し、カンガルーをモチーフにしている点でこれに照応する称呼、観念も類似し、全体として時と処を異にして離隔的に観察した場合、相紛れるおそれのある類似する関係にあるというべきであり、このような状況において、本件商標を、申立人商標が周知・著名となっていると考えられる「履物」とは類似しないとされている本件商標の他の指定商品中「被服,ズボン,運動用特殊靴,帽子,靴下,手袋(被服),ネクタイ,スカーフ,ガードル,新生児用被服」に使用した場合、その商品の出所が申立人であると誤認するか、又は、その商品が申立人と経済的、組織的に何かしらの関係を有する者の事業に係る商品であるかのように混同を生じるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、「履物」と類似しない他の指定商品に使用される場合でも、申立人の業務に係る商品「履物」との関係で混同を生じさせるおそれが極めて高く、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第3 当審の判断
1 申立人の使用に係る商標の周知性について
申立人の提出に係る証拠によれば、申立人は、1979年に米国で創業されたこと、我が国においては、2009年に子供用靴、2011年に紳士用靴の販売が開始されたこと(甲1、2)、2012年の申立人の日本代理店によるカタログ(甲1)及び当該日本代理店ウェブサイトにおいて、引用商標2が表示されていること(甲2)、雑誌「2nd」(2012年4月発行)において、申立人の靴について引用商標2が表示された記事が掲載されたこと(甲5)、楽天市場のウェブサイト(2件)において、引用商標1及び引用商標1の外輪のみの商標(以下、これらと上記引用商標2を併せて「使用商標」という。)が表示された靴が紹介されていること(甲13、14)が認められる。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠によっては、申立人が1994年から我が国において事業展開を開始したと主張する事実は確認することができないものであり、その他の雑誌(甲6、7)による広告、宣伝にしても、引用商標の使用について確認することはできないものである。
その他、外国及び我が国において、使用商用が、取引者、需要者の間で広く認識されているものと認め得る証拠の提出はない。
これらを総合して判断すると、使用商標は、申立人の業務に係る「靴」について使用されていることが散見されるにとどまるものであり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、頭部に目及び鼻、足の骨格が見てとれるものであり、頭部を下げ背を丸めて前後の足を引きつけた跳躍感のある左向きカンガルーを黒い線で描き、写実的な印象を受ける描写であるところ、商標として採択されやすい動物を描く場合、多様な表現によるのが通常であり、当該図形により特定の動物が看取されるとしても、需要者等がこれを単に当該動物の名称の称呼及び観念をもって区別し、商取引にあたるものとはいい難いものであるから、本件商標は、直ちに、特定の称呼及び観念を生じないとみるのが相当である。
(2)引用商標
ア 引用商標1は、別掲2のとおり、胴体に白色図形を有し、頭部を突き出して前足を縮め左方向に疾走するカンガルーのシルエットであるが、直ちに、特定の称呼及び観念を生じないとみるのが相当である。
イ 引用商標2は、別掲3のとおり、「KangaROOS」の文字の後半部「ROOS」の上部に、頭部を突き出して前足を縮め右方向に疾走するカンガルーのシルエットを配してなるものであり、その構成文字から「カンガルー(ズ)」の称呼及び観念を生じる。
ウ 引用商標3は、別掲4のとおり、「KANGAROO」の文字の上部に、黒色を背景に、頭部を突き出して後足を伸ばて左方向に疾走するカンガルーの白抜きのシルエットを配してなるものであり、その構成文字から「カンガルー」の称呼及び観念を生じる。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とを比較すると、いずれもカンガルーを看取し得る図形を配してなるものであるが、顔や足の動きが描かれた線図からなり写実的な本件商標とカンガルーの外形を把握できるシルエットからなる引用商標とは、その構成態様が明らかに異なる。さらに、引用商標1は胴体における白色図形を有し、引用商標2は右向きであり、また、引用商標3は黒色背景にした白抜きのシルエットで足を伸ばした構成である点において、本件商標と顕著な差異を有するものであって、本件商標とは明らかに別異の印象を与えるものであるから、両者は、その構成態様及び描写方法の相違により、外観上、明確に区別し得るものである。
そして、本件商標は、上記のとおり、特定の称呼、観念を生ずるものではないから、引用商標とは、称呼、観念において、比較することができないものであり、紛れることはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点からみても類似する商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
3 商標法第4条第1項第10号について
使用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
そして、本件商標と引用商標1及び2とは、上記2のとおり、非類似の商標であるから、本件商標と使用商標とにおいても、同様に非類似の商標であるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号について
使用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものとは認められず、さらに、本件商標とは類似しないものであって、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、使用商標と本件商標とが使用される商品の関連性、取引者、需要者の共通性を考慮したとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合に、これに接する取引者、需要者が使用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものということはできない。
5 まとめ、
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標1)



別掲3(引用商標2)



別掲4(引用商標3)



異議決定日 2015-12-02 
出願番号 商願2014-69789(T2014-69789) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W25)
T 1 651・ 261- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 263- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小松 孝 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 堀内 仁子
藤田 和美
登録日 2014-12-19 
登録番号 商標登録第5727037号(T5727037) 
権利者 林崇波
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 

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