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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 取り消して登録 W25
管理番号 1313243 
審判番号 不服2015-1686 
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-28 
確定日 2016-04-20 
事件の表示 商願2014-26322拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は,「トランクス」の片仮名を横書きしてなり,第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成26年4月4日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同年10月8日付けの手続補正書により,第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,エプロン,靴下,手袋,ネクタイ,バンダナ,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,バンド,ベルト,ガーター,靴下止め,ズボンつり,履物,靴類,仮装用衣服,運動用特殊靴」に補正され,さらに,当審における同28年3月2日付けの手続補正書により,「寝巻き類,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ」が削除され,最終的に,第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,エプロン,靴下,手袋,ネクタイ,バンダナ,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,バンド,ベルト,ガーター,靴下止め,ズボンつり,履物,靴類,仮装用衣服,運動用特殊靴」(以下「当審指定商品」という。)となったものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は,「トランクス」の片仮名を標準文字で表してなるところ,「トランクス」は,「運動競技で用いるパンツ」及び「男子用の下着」の普通名称として広く認識され,使用されているものである。
本願商標の補正後の指定商品は,いずれも,日常的に消費されるものであって,その主たる需要者は一般的な消費者であり,これらの商品には比較的安価なものも存することからすると、これらの商品の選択,購入の際に払われる需要者の注意力は,必ずしも常に高いとはいい得ない取引の実情があるといえる。
そうすると,需要者は,商品の細部を検討した上で,商品を選択するとはいえず,「運動競技で用いるパンツ」や「男子用の下着」の普通名称である「トランクス」の文字から,本願商標を付した補正後の指定商品を「運動競技で用いるパンツ」や「男子用の下着」として認識するおそれがあることは否定できない。
したがって,本願商標は,これをその補正後の指定商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきであるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,上記1のとおり,「トランクス」の片仮名を横書きしてなるところ,「トランクス」の文字については,以下アないしウの記載が認められる。
ア 広辞苑第6版
「運動競技,特にボクシングで用いるパンツ。また,それと同じ型の男子用下着。」
イ コンサイスカタカナ語辞典第4版
「主にスポーツ(水泳・ボクシングなど)用として使われる,男性用ショートパンツ。」
ウ 新・田中千代服飾事典第一版新訂
「男子用の短いパンツのこと。運動用のランニング・パンツや,ボクシング競技用のパンツ,水泳用のスウィミング・トランクスなどがこれにあたる。」
そうすると,本願商標は,当審指定商品を取り扱う取引者や需要者である一般消費者に,「男子用の短いパンツ(下着)」ないし「(ボクシングや水泳等の)スポーツ用の短いパンツ」の商品である「トランクス」を一般に認識させるものであると認められる。
(2)商標法第4条第1項第16号該当性について
ア 商標法第4条第1項第16号が「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることができないと規定しているのは,商標を構成する文字,図形等が直接的に特定の商品の特性を表示したものであるため,当該商標が特定の商品以外の商品に使用された場合に,取引者,需要者が商品の品質を誤認して,商品を購入することがないように取引者,需要者の保護を図ることにあるものと解される。
そうすると,本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するというためには,取引者又は需要者において,本願商標の構成から将来を含め一般に認識される特性を有する特定の商品と指定商品とが関連し,かつ,本願商標が表示している特定の商品の特性と指定商品が有する特性が異なるため,本願商標を指定商品に使用した場合に,本願商標が使用された「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があることを要するものと解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10162号同年12月25日判決)。
イ そこで,本願商標の構成から一般に認識される「男子用の短いパンツ(下着)」ないし「(ボクシングや水泳等の)スポーツ用の短いパンツ」の商品である「トランクス」と当審指定商品との関連性について,以下検討する。
(ア)本願商標の構成から一般に認識される「男子用の短いパンツ(下着)」ないし「(ボクシングや水泳等の)スポーツ用の短いパンツ」の商品である「トランクス」は,汗等をとり汚れを防ぐためのもの(下着)又はスポーツ用のものであり,下着類製造業者又はスポーツ用衣服製造業者によって製造され,主として下着専門店若しくはその売場又はスポーツ用品店若しくはその売場において販売されるものである。
(イ)他方,当審指定商品中の「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類」は,日常生活において表着として用いられるものであり,衣服製造業者によって製造され,主として紳士服・婦人服・子供服を取り扱う衣料品店若しくはその売場で販売されるものであるから,「トランクス」とは,具体的用途,生産部門,販売部門において相違する。
(ウ)当審指定商品中の「エプロン,靴下,手袋,ネクタイ,バンダナ,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子」は,日常生活において,衣服の汚れを防ぎ(エプロン),身体の一部に着用することで寒さ等を防ぎ(靴下,手袋,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子),衣服を装飾するためのもの(ネクタイ,バンダナ)であり,各商品の製造業者によって製造され,主として衣料品店若しくはその売場又は日用品店若しくはその売場で販売されるものであるから,「トランクス」とは,具体的用途,生産部門,販売部門において相違する。
(エ)当審指定商品中の「バンド,ベルト,ガーター,靴下止め,ズボンつり」は,主として身体を装うことによって,ズボンや靴下がずり落ちないように保持するためのものであり,衣類製造業者や皮革製品製造業者によって製造され,主として衣料品店若しくはその売場又は日用品店若しくはその売場で販売されるものであるから,「トランクス」とは,具体的用途,生産部門,販売部門において相違する。
(オ)当審指定商品中の「仮装用衣服」は,仮装用のものであり,注文服製造業者によって製造され,主としてイベント用品店若しくはその売場又はおもちゃ店若しくはその売場において販売されるものであるから,「トランクス」とは,具体的用途,生産部門,販売部門において相違する。
(カ)当審指定商品中の「履物,靴類,運動用特殊靴」と「トランクス」とは,商品の具体的用途,生産部門及び販売部門において,明らかに相違する。
ウ そうすると,「トランクス」と当審指定商品とは,いずれも,用途,生産者,販売場所が異なる等,両者が互いに関連する商品とはいえないことから,本願商標を当審指定商品に使用しても,商品の品質の誤認を生ずるおそれはないというべきである。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決日 2016-03-30 
出願番号 商願2014-26322(T2014-26322) 
審決分類 T 1 8・ 272- WY (W25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉野 晃弘 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 田村 正明
冨澤 武志
商標の称呼 トランクス 
代理人 一之瀬 香子 
代理人 宇梶 暁貴 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 塩谷 信 
代理人 谷口 登 
代理人 岩瀬 ひとみ 

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