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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201415573 審決 商標
不服201415575 審決 商標
不服201513749 審決 商標
不服20148420 審決 商標
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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W29
管理番号 1313150 
審判番号 不服2015-7470 
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-21 
確定日 2016-03-18 
事件の表示 商願2014-53789拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、「だしの力」及び「だしのチカラ」の文字を二段に横書きしてなり、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成26年6月27日に登録出願され、指定商品については、当審における平成27年12月7日付け手続補正書により、第29類「かつお節,削り節」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、「本願商標は、その構成中の『だし』の文字が『出し汁』の略を意味し、その指定商品との関係においては、商品の品質を表し、また、『力』の文字が、『効能』等を意味する語として親しまれていることから、商標全体からは『だしの効能を有する商品』程の意味合いを理解させるものである。そして、『だしの力』及び『だしのチカラ』の文字は、味を高める効果があることを表すものとして普通に使用されていることから、本願商標をその指定商品に使用しても、本願商標に接する取引者・需用者は、上記意味合いを認識するにとどまり、商品の効能、品質を普通に用いられる方法で表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権による証拠調べをした結果、別掲2((2)イ(エ)を除く。)に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成27年10月27日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、平成27年12月7日付けで手続補正書及び意見書を提出し、指定商品を、前記1のとおり、「かつお節,削り節」に補正し、要旨以下のように主張した。
証拠調べ通知書で挙げられた各事実からは、いずれも、「出し汁」と「出し汁を使った調味料や料理」に関する証拠であり、「出し汁」を作る原料としても使用される「かつお節,削り節」についてのものではないから、指定商品「かつお節,削り節」について、「だしの力」が「かつお節や削り節」の効能を表す言葉として普通に用いられている証拠はなく、「かつお節や削り節から旨味成分が抽出された出汁がかつお節や削り節の旨味を有する商品」であるとしても、「かつお節や削り節が出汁の旨味を有する商品」であることは原理上ありえないから、本願商標をその指定商品である「かつお節,削り節」に使用したとしても、需要者、取引者が「かつお節,削り節」を「出汁の効能を有する商品」と認識することはありえないことは明らかである。したがって、本願商標は、その指定商品の効能、品質を直接的かつ具体的に表すとはいえないものであり、これらのみでは、商標法第3条第1項第3号の根拠とはならない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「だしの力」及び「だしのチカラ」の文字を二段に横書きしてなるところ、その構成中、「だし」の文字は、本願指定商品との関係において、「鰹節・昆布・椎茸しいたけなどを煮出した汁」(広辞苑第六版)を意味する「出し汁」の略語を直観し、また、「力」及び「チカラ」の文字は、「効能」の意味を有する語として親しまれていることから、商標全体として、「だしの効能」ほどの意味合いを容易に理解するものである。
そして、「だし」は、別掲2(1)に記載のとおり、その中に旨み成分を有し、それによって料理の素材のおいしさを際立たせる効能又は料理全体をおいしくする効能を有するものとして一般に知られ、料理に活用されており、また、その旨み成分を煮出すための原材料の一つとして、本願指定商品が使用されることが一般に知られているところ、「だしパック」等の旨み成分を煮出して「だし」をとるための商品及び本願指定商品を取り扱う分野において、「だしの力」又は「だしのチカラ」の文字が、「料理の素材のおいしさを際立たせる効能」又は「料理をおいしくする効能」という意味合いで使用されていることが、例えば、別掲2(2)で示したインターネット上のウェブサイト及び新聞記事の情報によって認めることができる。
そうすると、「だしの力」及び「だしのチカラ」の文字からなる本願商標は、その指定商品「かつお節,削り節」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「料理の素材のおいしさを際立たせる効能又は料理をおいしくする効能がある」商品であることを理解、認識するにすぎず、単に商品の効能、品質を普通に用いられる方法で表示するものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、食品や飲料等を扱う業界においては、「原料等の普通名称」と「の力」との語を組み合わせてなる商標は、直ちに特定の商品の品質等を直接的かつ具体的に表示したものであるとはいえず、同様の構成の商標が多数登録されていることからも、本願商標も商標登録を受けることができるものであり、また、証拠調べ通知に示された用例は、「出し汁」と「出し汁を使った調味料や料理」に関するものであるから、本願商標が商品の品質を直接的に示した根拠とはならない旨主張する。
しかしながら、出願商標が自他商品の識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、請求人の挙げる登録例等の存在により、本願商標についての上記判断が左右されるものではない。
また、「だしの力」及び「だしのチカラ」の文字は、「出し汁」と「出し汁を使った調味料や料理」に関する分野のみならず、本願指定商品を取り扱う分野においても、「料理の素材のおいしさを際立たせる効能」又は「料理をおいしくする効能」の意味合いで使用されていることは、上記(1)で述べたとおりであるから、本願商標は、その指定商品の効能、品質を表したものと認識されるというべきである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)



別掲2(平成27年10月27日付け証拠調べ通知書をもって開示した事実((2)イ(エ)を除く。))
(1)料理における「だし」及び「だしの力」又は「だしのチカラ」を説明したインターネット記事及び新聞記事(下線は、当合議体が付加。以下同じ。)
ア 「あおもり産品情報サイト」の「青森のうまいものたち」ウェブサイトにおいて、「注目商品情報!」の項目中に、「青森うまれの『できるだし』」の見出しの下、「和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことからも注目されている『だし』。だしのうま味は、塩味を補って料理の味をしっかりさせるため、塩分控えめでもおいしい料理を作ることができます。青森県では、この『だしの力』に注目!だしのうま味で減塩を推進する『味感を育む『だし活』事業』を、全国で初めて展開しています。」との記載があり、「だしパック,だしの素」等の商品を紹介している。
(http://www.umai-aomori.jp/know/HOT-items/201503/item.phtml)
イ 「久原本家」のウェブサイトにおいて、「特集記事一覧」の項目中に、「だしで料理が美味しくなる理由」の見出しの下、「料理はだしで決まると言われるように、煮物やお吸い物、おひたしやつゆなど、だしがあるのとないのでは美味しさが格段に違ってきます。・・・薄味でもうまみを感じる、だしの力。だしのきいた汁物などを頂いて、食べたあとにしみじみと『美味しかったなあ』と思うことはないでしょうか。これは、うまみが他の味に比べ、口の中に長く残りやすいからだと言われています。この『あと味』によって、濃い味付けでなくても、深い満足感が得られます。素材の美味しさをひきたてる。だしそのものにも味はありますが、それだけで特別に美味しいということはありません。少量を料理に使い、他の味との調和によって美味しさがひきだされるのです。素材の美味しさを邪魔せず、むしろ際立たせてくれるのが、だしの特徴です。昆布と鰹節の組み合わせで、うまみは倍以上に。実は、昆布と鰹節には、異なる種類のうまみ成分が含まれています。昆布は主にグルタミン酸、鰹節はイノシン酸。この二つを組み合わせると、うまみの相乗効果があることが分かっています。日本料理における『一番だし』は、この効果をいちばん上手に利用した組み合わせと言えるでしょう。」との記載がある。
(https://www.k-shop.co.jp/catalog/vol29.html)
ウ 「パルシステム神奈川ゆめコープ」のウェブサイトにおいて、「こだわりの商品」の「パルシステムの商品案内 商品図鑑」の項目中に、「4種類の国産原料だけを使用 うまみの濃い『合わせだし』が手軽にとれます だしパック」の見出しの下、「和食の基本『一汁二菜』のすばらしさと、おいしさの要となる『だしのチカラ』を見直したい。そんな日本型食生活への意識の高まりとともに、本格派のだしを手軽にとれる『だしパック』が注目されています。・・・アツアツのみそ汁や煮物からふんわりと立ちのぼる、だしの香り。・・・そして、口の中にじんわりと広がる、だしのうまみ。その正体は、うまみ成分といわれるイノシン酸、グルタミン酸、グアニル酸などです。・・・だしには、味をまろやかにし、コクを出す効果もあります。だしをきかせた料理なら、薄味でもおいしく感じるのはそのためです。・・・とはいえ、だしを自分でとろうとすると、どうしても手間がかかってしまうもの。かといって、化学調味料の入った粉末だしは使いたくない。そんな方におすすめしたいのが、だしのプロが完成させたパルシステムオリジナルの『だしパック』です。」との記載がある。
(http://www.palsystem-kanagawa.coop/zukan/2009_05/index.html)
エ 2014年12月31日付け「東京新聞」(朝刊10頁)に、「新年に向けて おいしい和食を 煮干しだしが決め手」の見出しの下、「和食を本格的に作ってみたい。そんな人にお薦めするのが、基本のだしの取り方だ。・・・一つ一つの手順には、魚臭さの主因となる酸化した油分を除き、アミノ酸などのうま味を効率良く引き出す知恵が生かされている。・・・だしの力で、ワンランク上の味を目指してみてはいかが。」との記載がある。
オ 2014年1月27日付け「朝日新聞」(朝刊12頁)に、「(堂々上々! 道上洋三が行く)だし一滴、無限のうまみ 高橋英一さん 【大阪】」の見出しの下、「日本料理は京料理に代表されると言われますが、季節感を大切に、見た目に美しく、だしを使っておいしく料理する。・・・昆布とカツオを足すと、味は1+1は2やなく、7にも8にもなる。食材をよりおいしくするのが、おだしの力。」との記載がある。
カ 2012年4月16日付け「河北新報」(朝刊)に、「素材生かし和食おいしく/『だしの力』伝える/料理家の引頭さん、レシピ添」の見出しの下、「東京を拠点に全国各地で教室を開く料理研究家の引頭(いんどう)佐知さんが、『引頭佐知さんのだしとり教室 だしのとり方と定番の和食』(アノニマ・スタジオ)を出版した。天然の素材を生かしただしで和食がおいしくなり、食への向き合い方も変わるという『だしの力』を伝える一冊だ。・・・だしの素材となる昆布、かつお節、煮干しの種類や選び方、保存方法を紹介。」との記載がある。
キ 「株式会社レブニーズ」のウェブサイトにおいて、「店舗紹介」の「フードメニュー」の項目中に、「昆布だしイクラ御重」の見出しの下、「昆布だしで寝かせたイクラ重」、「贅沢イクラ」、「利尻昆布だしの力で、一粒一粒の旨味が引き出されたイクラ。」との記載がある。
(http://www.rebun.jp/shop/menu.html)
ク 「辻外科リハビリテーション病院」のウェブサイトにおいて、「鮭の照り焼き定食」の見出しの下、「みそ汁は、だしの力で色々な素材のうま味を引き立てます。」との記載がある。
(http://www.kankikai.com/tsujigeka/eiyoubu/tsujigeka_eiyoubu.html)
(2)旨み成分を煮出してだしをとるための商品及び本願指定商品を取り扱う分野における「だしの力」又は「だしのチカラ」の文字を用いた用例
ア 旨み成分を煮出してだしをとるための商品を取り扱う分野
(ア)前記別掲2(1)アに同じ。
(イ)前記別掲2(1)ウに同じ。
(ウ)「瀬戸内庵のだし」のウェブサイトにおいて、だしパックの「瀬戸内庵のだしの使い方」の項目中に、「瀬戸内庵のだしで作る、ひと味ちがった家庭料理」の見出しの下、「アジのラビコットソースがけ」という料理の説明として、「クセのない淡泊な味が多くの人に好まれるアジ。そのアジのうまみをよりいっそう引き出すのがいりこだしの力です。」との記載がある。
(http://page.setouchi-an.com/dashi.html)
イ 本願指定商品を取り扱う分野
(ア)前記別掲2(1)イに同じ。
(イ)「かつをぶし池田屋」のウェブサイトにおいて、「その他」の項目中に、「お醤油に入れる鰹節『こだま節』」の見出しの下、「お醤油に入れる鰹節。いつものお醤油が極上のだし醤油に変わります!お醤油に入れるだけで、自家製だし醤油が出来上がります。極上の本枯れかつお節を使用しております。浸してから4?5日目頃からお醤油に自然のうまみ、だしの力が染み出します。1袋に2?6片の鰹節が入っています。」との記載がある。
(http://shop-ikedaya.com/SHOP/573.html)
(ウ)「沼津市物産振興協議会」のウェブサイトにおいて、「海の幸(ひもの・お寿司)」の項目中に、「沼津ブランド さば節けずり」の見出しの下、「【マルト工藤水産】伊豆近海で育った魚を主体に、鮮魚にも出来る魚を原料として、削り節に加工しております。和食は焼き物以外、汁もの、煮物等、だしの力によって美味しくなります。」との記載がある。
(http://numazu-jiman.com/%28X%281%29S%28zim5up55t1swz345dc3ok455%29%29/goods_list.aspx?%3B01&AspxAutoDetectCookieSupport=1)
(エ)「株式会社久世」のウェブサイトにおいて、「KUZE通信No.57」の電子版パンフレット中の「P2」に、「だしの力」との見出しの下、「和食の基本と言われているのが『だし』です。和食には甘味・辛味・酸味・苦味に加え、“うま味”という第五の味があると言われています。淡白な味の米を主食とし、うま味成分の少ない植物性食品が多かった日本では、古来より昆布やかつお節といった『だしの力』を活用することで味に深みを与えてきました。この『だし文化』に裏打ちされた“うま味”こそが和食の美味しさの源です。」との記載があり、また、同じく「P6」及び「P7」に、「だし関連商品紹介」との見出しの下、「『だしの力』を簡単に料理に取り入れることができる様々な『だし関連商品』を取扱っております。」との記載があり、「かつお削りぶし」が紹介されている。
(https://www.kuze.co.jp/pdf/vol.57.pdf)


審理終結日 2016-01-14 
結審通知日 2016-01-20 
審決日 2016-02-02 
出願番号 商願2014-53789(T2014-53789) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 雅也 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 堀内 仁子
藤田 和美
商標の称呼 ダシノチカラ、チカラ、リョク、リキ 
代理人 八木田 智 
代理人 浜野 孝雄 

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