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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1312101 
異議申立番号 異議2015-900286 
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-09-07 
確定日 2016-03-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5768484号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5768484号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5768484号商標(以下「本件商標」という。)は,「ELLELL」の欧文字と「エレール」の片仮名とを上下2段に書してなり,平成27年1月9日に登録出願,同年4月23日に登録査定,第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として,同年6月5日に設定登録されたものである。
なお,本件商標の商標権は,商標登録原簿の記載によれば,同28年2月12日に放棄の申請がなされ,その登録が抹消されているものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する登録商標(以下「引用商標」という。)は,以下の2件であり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4297137号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲のとおり,「ELLE」の欧文字からなり,平成10年3月11日に登録出願,第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き」を指定商品として,平成11年7月23日に設定登録され,その後,平成21年6月16日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第1793479号商標(以下「引用商標2」という。)は,「ELLE」の欧文字からなり,昭和54年7月17日に登録出願,第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,昭和60年7月29日に設定登録され,その後,平成7年10月30日及び同17年6月28日に商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同18年1月4日に,指定商品を,第3類「つけづめ,つけまつ毛」,第8類「ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」,第10類「耳かき」,第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト」,第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」,第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」,第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花(「造花の花輪」を除く。),つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされ,さらに,同27年4月14日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 登録異議申立ての理由
申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第11号,同項第10号及び同項第15号に該当するにもかかわらず登録されたものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第51号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標「ELLE(エル)」の著名性について
ア 申立人は,女性向けファッション雑誌「ELLE(エル)」(以下「ELLE誌」という。)をはじめ各種雑誌を発行し,同時にファッション関連商品,各種生活用品の製造販売や紹介を行う企業である(甲3)。
ELLE誌は,衣料品・身の回り品・化粧品・家具・食器等の多種多様な商品,とりわけ世界的に有名なファッションブランドの商品に関する記事を多数掲載する週刊誌であり,フランスでは第二次世界大戦前から発行されてきた。ELLE誌は,現在では,日本を含む世界44か国において発行されている。
そして,ELLE誌に掲載されるファッションは,「ELLE(エル)」ファッションと呼ばれ,全世界の女性の間で広く支持を得ている(甲4,甲5)。
イ 日本における商標「ELLE(エル)」の使用は,1970年(昭和45年)3月に,株式会社マガジンハウスが,申立人の許諾の下で雑誌「an・an(アンアン)」を日本版ELLE誌と位置付けて創刊し,「ELLE(エル)」ファッションの紹介・普及を図り,その表紙には「ELLE japon(エル・ジャポン)」の標章を付してきた(甲6)。
そして,ELLE誌は,フランスで発行され世界各国へ輸出され,日本でも,1970年(昭和45年)以来,ファション関連商品の紹介・広告を掲載してきた。
したがって,ELLE誌を通じて,商標「ELLE(エル)」が,申立人の業務に係る商品・役務を示す商標として,本件商標の登録出願日前から,我が国の需要者の間で広く知られていたことは明らかである。
ウ 商標「ELLE(エル)」を付して販売される商品
申立人は,1964年(昭和39年)から,帝人株式会社(以下「帝人」という。)に対し,商標「ELLE」の独占的使用権を許諾し,商標「ELLE(エル)」を用いたファッション関連商品,各種生活用品の商品化を推進してきた(甲6)。帝人は,商標「ELLE(エル)」を付した衣料品を製造販売する一方で,イトキン株式会社,川辺株式会社等の6社に商標「ELLE」の再使用権を許諾して,商標「ELLE(エル)」を付した商品の普及に努めた。
その後,日本における商標「ELLE(エル)」を付した商品は,複数のライセンシーを通じ,婦人服・紳士服・子供服・ベビー服・毛皮・肌着・ナイトウェア・ハンカチ・タオル・靴下・エプロン・水着・浴衣・スキーウェア・手袋・帽子・ネクタイ・マフラー・スカーフ・履物・ベルト,アクセサリー・身飾品・時計,陶器・金属製食器・ガラス食器・刃物・ランチボックス,傘・バッグ・革小物,家庭用リネン製品・化粧用具・眼鏡・ゴルフ用品・自転車・ベビーカー・ガーデニング用品・家具・クッション・バス用品・トイレ用品・せっけん・健康グッズ・レイングッズ・喫煙具・文房具等まで広がった(甲15?甲44)。
以上の事実に鑑みれば,商標「ELLE(エル)」は,本件商標の出願日前から,各種生活関連用品の取引者・需要者の間で,申立人の業務に係る商品・役務を想起させるものとして広く知られており,その状態が本件商標の登録査定時においても継続していたことは明らかである。
エ 商標「ELLE(エル)」の著名性については,これを認定した審決があり,また,申立人の有する登録第1978527号を基本商標として,防護標章7件の登録がある(甲45?甲51)。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は,申立人の商標「ELLE」の末尾に「LL」の文字を付したものであり,該単語は,英語又はフランス語に存在するものではなく,特段の意味を有しない。また,本件商標中の片仮名は,その出願人が付したものであり,欧文字部分の正式な読み方が存在するものではない。
これに対し,引用商標は,我が国を含む世界各国で広く知られたものである。
よって,「ELLE」の文字を含む本件商標は,著名な引用商標と類似するものであり,本件商標と引用商標は,「エル」の称呼を共通にする類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
ア 商標の類似性
申立人の著名な商標が使用されるファッション関連商品及び各種生活用品を取り扱う分野の取引者・需要者は,引用商標と同一の文字を含む本件商標から,引用商標を容易に連想・想起するというべきであり,両者は類似する。
混同を生ずるおそれ
本件商標の指定商品が,引用商標が使用される商品分野と共通することから,本件商標と引用商標とが,取引者・需要者において,外観上混同して認識される可能性は高い。
引用商標は,申立人により独自に採択された標章であり,1970(昭和45年)年から略半世紀にわたり,一貫して申立人の業務に係るファッション関連商品及び各種生活関連の商品・役務を示すものとして,継続的に使用され,申立人を指標するものとして,極めて強い出所表示力を発揮するものというべきである。
さらに,本件商標の指定商品の取引者・需要者は,引用商標を使用した商品のそれと共通する。
したがって,本件商標がその指定商品について使用された場合は,該商品が申立人と何らかの関連を有する者の業務に係る商品であるかのごとく商品の出所について混同して認識するおそれは高いというべきである。
ウ よって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
仮に,商標法第4条第1項第10号該当性が認められないとしても,申立人の著名な商標である「ELLE」を含む本件商標は,他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標に該当するから,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同項第10号及び同項第15号に違反してされたものであるから,取り消されるべきである。

4 当審の判断
本件商標は,上記1のとおり,平成28年2月12日に,商標権が放棄され,本件商標権の登録の抹消がなされているが,本件商標権は,それまでは有効に存続していたものであるから,本件登録異議の申立について審理するものであり,以下のとおり判断する。
(1)引用商標の著名性について
申立人は,女性向けファッション雑誌「ELLE」等の各種雑誌を発行し,ファッション関連商品,各種生活用品の製造,販売等を行うフランスの企業であり,1945年(昭和20年)に,革新的女性週刊誌として「ELLE」誌を創刊し,その後,ヨーロッパ,南北アメリカ,アジア及びアフリカ等の多数の国において創刊したものであり,該雑誌の表紙には,題号として,引用商標1と同一の構成態様からなる商標が表示され,ファッションを中心に,美容,インテリア,アクセサリー等様々な分野の商品が掲載された(甲1,甲4ないし甲6)。
そして,ELLE誌は,我が国において,1970年(昭和45年)に平凡出版社が日本版として雑誌「アンアン・エル・ジャポン」を出版し(甲6),1982年(昭和57年)5月1日に,「ELLE JAPON」の創刊号を発行した(甲7)。以後,「ELLE JAPON」の出版は,ハースト婦人画報社により承継され,現在も我が国において発行され,その他,「ELLE」の文字を冠した題号の雑誌が同社により多数発行された(甲8ないし甲13)。
また,ハースト婦人画報社は,ウェブマガジンの日本版として,ファッション,美容,健康等の各種情報を内容とする「エル・オンライン」(http://www.elle.co.jp/)を1996年(平成8年)に開設した(甲14)。
そして,申立人は,日本において,複数のライセンシーを介して,婦人服,紳士服,子供服,アクセサリー,時計,バッグ,靴,眼鏡等のファッション関連商品,せっけん,化粧雑貨,喫煙具,食器,文房具等の日用品,ゴルフ用具,自転車等の様々な商品の販売活動を展開し,これらの商品には,引用商標1が大きく表示されている(甲21?甲43)。
以上によれば,引用商標1は,「エル」と称呼され,申立人の発行に係るファッション雑誌の題号として,本件商標の登録出願時(平成27年1月9日)において,我が国の若い女性を中心とした需要者及び出版関連の分野の取引者の間に広く知られていたものであり,ELLE誌を介して様々な商品が紹介され,申立人のライセンシーを通じて,引用商標1を付した婦人服,紳士服,子供服,アクセサリー,時計,バッグ,靴,眼鏡等のファッション関連商品,せっけん,化粧雑貨,喫煙具,食器,文房具等の日用品等,様々な商品が我が国において販売されたものであるから,申立人の業務に係るこれら商品を表示する商標としても,我が国の需要者・取引者の間に広く認識されていたものと認めることができ,その著名性は,本件商標の登録査定時を含め,現在も継続しているものといえる。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は,「ELLELL」の欧文字と「エレール」の片仮名を上下2段に書してなるところ,その構成各文字は,同書,同大,同間隔をもってそれぞれがまとまりよく表されているものである。
そして,下段の「エレール」の片仮名は,上段の「ELLELL」の欧文字の読みを表したものと無理なく理解されるものであるから,構成各文字に相応して,「エレール」の称呼を生ずるものであり,「ELLELL」の欧文字及び「エレール」の片仮名は,特定の語義を有しない一種の造語といえるものであるから,特定の観念を生じないものである。
他方,引用商標は,いずれも「ELLE」の欧文字を表してなり,これからは,「エル」の称呼を生じ,申立人の業務に係るファッション関連商品,各種生活用品を表示するものとして,我が国の取引者・需要者に広く知られているものであるから,申立人の業務に係る商品を表すものとしての「ELLE(エル)」の観念を生ずるものである。
本件商標と引用商標との類否について検討するに,本件商標は,「ELLELL」の欧文字と「エレール」の片仮名とを上下2段に書してなるものであるのに対し,引用商標は,「ELLE」の欧文字を表してなるものであるから,両商標は,構成文字及び構成態様が異なり,外観上,相紛れるおそれはないものである。
そして,称呼においては,本件商標から生ずる「エレール」の称呼と引用商標から生ずる「エル」の称呼とは,その構成音及び構成音数に明らかな差異を有するものであるから,明確に聴別できるものと認められる。
また,観念においては,本件商標は,特定の観念を生じないものであるから,申立人の業務に係る商品を表すものとしての「ELLE(エル)」の観念を生ずる引用商標と,相紛れるおそれはない。
してみれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
前記(1)のとおり,引用商標1は,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の需要者・取引者の間に広く認識されていたものと認められる。
しかしながら,前記(2)のとおり,本件商標は,引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであって,別異の商標と認められる。
そうとすれば,引用商標が使用されている商品と本件商標の指定商品とが,その需要者を共通にし,関連性を有するとしても,本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用をした場合,これに接する需要者が,引用商標を連想,想起し,申立人又は同人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかと誤認し,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同項第10号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲 (引用商標1)





異議決定日 2016-03-02 
出願番号 商願2015-5065(T2015-5065) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
T 1 651・ 25- Y (W03)
T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 263- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 田中 亨子
平澤 芳行
登録日 2015-06-05 
登録番号 商標登録第5768484号(T5768484) 
権利者 株式会社アクシージア
商標の称呼 エレール、エルエル 
代理人 達野 大輔 

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