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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W05 審判 一部申立て 登録を維持 W05 審判 一部申立て 登録を維持 W05 |
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管理番号 | 1312092 |
異議申立番号 | 異議2015-900199 |
総通号数 | 196 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-06-19 |
確定日 | 2016-02-29 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5750501号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5750501号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5750501号商標(以下「本件商標」という。)は、「腎活」の漢字を標準文字で表してなり、平成26年10月27日に登録出願、第5類「薬剤,漢方薬,生薬,生薬を配合したサプリメント,生薬を配合した食餌療法用飲料,生薬を配合した食餌療法用食品」及び第44類「薬剤及び漢方薬並びに生薬に関する情報の提供,栄養の指導」を指定商品及び指定役務として、同27年2月4日に登録査定、同年3月20日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)に示すとおりのものであり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)。 (1)登録第698920号商標(以下「引用商標1」という。)は、「活腎」の漢字を横書きしてなり、昭和39年8月6日に登録出願、第1類「薬剤」を指定商品として、同41年2月14日に設定登録、その後、平成17年10月12日に、指定商品を第5類「薬剤」とする指定商品の書換登録がされたものである。 (2)登録第3039540号商標(以下「引用商標2」という。)は、「活腎」の漢字、「カツジン」の片仮名及び「KATSUZIN」の欧文字を3段に横書きしてなり、平成4年6月5日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同7年4月28日に設定登録されたものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第5類「薬剤,漢方薬,生薬」については、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。 (1)本件商標と引用商標1との対比 本件商標は、「腎活」の文字を標準文字で表してなるものであり、引用商標1は、「活腎」の文字を横書きに書してなるものであるところ、両商標は、いずれも「腎」と「活」の2文字が結合したものであり、それらの文字の前後が入れ替わっただけの違いしかないと容易に理解されるものである。 また、本件商標と引用商標1は、いずれも国語辞典や現代語辞典などにも掲載されていない造語であるから、観念上の明確な差異により文字の前後を正確に理解し、記憶し、両者を区別することもできないものである。 そして、両商標を構成する「腎」と「活」の文字は、それぞれ「腎臓」又は「いきること。勢いよく動くこと。」の意味合いを生じる漢字であることから、人体や生命と密接に関連する文字であり、両商標が指定商品「薬剤」に使用されても、構成文字そのものが取引者、需要者に突飛な印象や連想を与えるということはなく、文字自体が特に印象に残ることによってその配置が記憶されるということもない。 さらに、語順を視覚的に把握できる縦書きの商標とは異なり、両商標は横書きに書してなるため、取引者、需要者は、語順を正確に記憶して理解することが必ずしも容易でない。 このように、本件商標と引用商標1は、互いに混淆して認識されるおそれがあることからすると、本件商標より生じる「ジンカツ」の称呼と、引用商標1より生じる「カツジン」の称呼は、「腎」の文字より生じる「ジン」の音節と、「活」の文字より生じる「カツ」の音節のいずれが前でいずれが後であるかを明確に記憶することが極めて困難であるといえるから、称呼上相紛れるおそれがあるとするのが相当である。 また、観念についてみるに、本件商標と引用商標1は造語であり、特定の意味合いを有しないものではあるが、「腎」と「活」それぞれの漢字より生じる意味合いから、活発に動いている腎臓のイメージが思い浮かぶといえ、その構成文字の前後が入れ替わったとしても、取引者、需要者に同一の観念を生じさせるものといえるから、両商標は観念においても紛らわしい。 さらに、外観についてみるに、本件商標と引用商標1は構成文字「腎」と「活」が入れ替わっただけの違いしかなく、「腎活」と「活腎」は、互いに混淆して認識されるおそれがあるから、両者は外観においても紛らわしいものというべきである。 以上のとおり、本件商標と引用商標1は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛らわしく、全体として互いに類似する商標といわざるを得ない。 そして、本件商標と引用商標1の指定商品は、同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (2)本件商標と引用商標2との対比 引用商標2は、「活腎」の文字と、「カツジン」の片仮名文字と、「KATSUZIN」の欧文字を横書きに三段に併記してなるものであるところ、「カツジン」及び「KATSUZIN」の文字は、いずれも漢字で記載された「活腎」の読みを示したものと理解されるから、「活腎」の文字部分が出所識別機能を有する特徴のある部分(要部)と解すべきである。 そこで、本件商標と、引用商標2の要部「活腎」を比較するに、両者はいずれも「腎」と「活」の2文字が結合したものであり、それらの文字の前後が入れ替わっただけの違いしかないと容易に理解されるものである。 また、本件商標と引用商標2は、いずれも国語辞典や現代語辞典などにも掲載されていない造語であるから、観念上の明確な差異により文字の前後を正確に理解し、記憶し、両者を区別することもできないものである。 そして、両者を構成する文字「腎」と「活」は、それぞれ「腎臓」又「いきること。勢いよく動くこと。」の意味合いを生じる漢字であることから、人体や生命と密接に関連する文字であり、両商標が指定商品「薬剤」に使用されても、構成文字そのものが取引者、需要者に突飛な印象や連想を与えるということはないといえるから、文字自体が特に印象に残ることによってその配置が記憶されるということもない。 さらに、語順を視覚的に把握できる縦書きの商標とは異なり、両商標は横書きに書してなるため、取引者、需要者は、語順を正確に記憶して理解することが必ずしも容易でない場合があるといえる。 このように、本件商標と引用商標2は、互いに混淆して認識されるおそれがあることからすると、本件商標より生じる「ジンカツ」の称呼と、引用商標2より生じる「カツジン」の称呼は、「腎」の文字より生じる「ジン」の音節と、「活」の文字より生じる「カツ」の音節のいずれが前でいずれが後であるかを明確に記憶することが極めて困難であるといえるから、称呼上紛らわしいものというべきである。 また、観念についてみるに、本件商標と引用商標2は造語であり、特定の意味合いを有しないものではあるが、「腎」と「活」それぞれの漢字より活発に動いている腎臓のイメージが思い浮かぶといえ、本件商標と引用商標2の要部「活腎」は、構成文字の前後が入れ替わったとしても、取引者、需要者に同一の観念を生じさせるものといえるから、両商標は観念においても紛らわしい。 さらに、外観についてみるに、本件商標と引用商標2の要部は構成文字「腎」と「活」が入れ替わっただけの違いしかなく、「腎活」と「活腎」は、互いに混淆して認識されるおそれがあるから、両者は外観においても紛らわしいものというべきである。 そうとすれば、本件商標と引用商標2は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛らわしく、全体として互いに類似する商標といわざるを得ない。 そして、本件商標と引用商標2の指定商品は、同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (3)指定商品「薬剤」について 本件商標と引用商標に共通する指定商品「薬剤」は、その使用を誤れば、人間の健康・生命に極めて重大な影響を与えるおそれがある商品であることはいうまでもなく、「薬剤」の分野において、他者の登録商標と混同を生じさせるおそれのある商標が使用されることは、薬剤の取り違えによる投薬ミスなど、重大な医療事故を引き起こしてしまうことにもなりかねない。 そうとすれば、「薬剤」を指定商品とする商標において、互いに紛らわしい商標が存在することは、他の商品、役務の場合よりも深刻な危険性をはらんでいるという観点からしても、引用商標と類似する本件商標は、その登録を取り消されるべきである。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似し、また、同一の指定商品を含むものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)本件商標について 本件商標は、前記1のとおり、「腎活」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、まとまりよく一体に表されており、わずか2文字の短い構成からなるものであるから、直ちに構成文字全体を把握し得るといえるものであり、しかも、横書き文字は左から読み書きすることが一般的であることを踏まえるならば、「腎」の文字の後に「活」の文字を綴ったものとして把握、理解されるとみるのが相当である。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「ジンカツ」の称呼のみを生じるものである。 そして、本件商標を構成する「腎活」の文字は、特定の意味合いを有するとはいえないものであり、一種の造語を表したものとして認識されるとみるのが自然であるから、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標について ア 引用商標1 引用商標1は、前記2(1)のとおり、「活腎」の文字を横書きしてなるところ、その構成は、まとまりよく一体に表されており、わずか2文字の短い構成からなるものであるから、直ちに構成文字全体を把握し得るといえるものであり、しかも、横書き文字は、左から読み書きすることが一般的であることを踏まえるならば、「活」の文字の後に「腎」の文字を綴ったものとして把握、理解されるとみるのが相当である。 そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して「カツジン」の称呼のみを生じるものである。 そして、引用商標1を構成する「活腎」の文字は、特定の意味合いを有するとはいえないものであり、一種の造語を表したものとして認識されるとみるのが自然であるから、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標2 引用商標2は、前記2(2)のとおり、「活腎」、「カツジン」及び「KATSUZIN」の文字を3段に横書きしてなるものであるところ、その構成中の上段の「活腎」の文字部分は、わずか2文字の短い構成からなるものであって、当該文字全体を直ちに把握し得るものであり、かつ、横書きの文字が左から読み書きすることが一般的であることに加え、その下の片仮名が「カツジン」、欧文字が「KATSUZIN」とあることを踏まえると、漢字の部分も「活」の文字の後に「腎」の文字を綴ったものとして把握、理解されるとみるのが相当である。 そうすると、引用商標2は、その構成中の「カツジン」の片仮名及び「KATSUZIN」の欧文字部分は、「活腎」の読みを表したものであり、その構成文字に相応して「カツジン」の称呼のみを生じるものである。 そして、引用商標2は、各段の文字が特定の意味合いを有するとはいえないものであり、一種の造語を表したものとして認識されるとみるのが自然であるから、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標1とは、外観においては、その構成文字を同じくするものの、上記(1)及び(2)アのとおり、両商標は、いずれもわずか2文字から構成され、直ちに構成全体を把握し得るものであり、横書き文字が左から読み書きすることが一般的であることからすると、その配置が逆であるにすぎないとしても、印象が大きく異なるものといえ、外観上、相紛れるおそれのないものである。また、本件商標と上記(2)イのとおりの構成からなる引用商標2とは、その構成文字全体においては明らかな差異を有するものであり、さらに、本件商標と引用商標2の構成中の「活腎」の文字部分においても、引用商標1と同様に、その印象が大きく異なるものといえるから、外観上、相紛れるおそれのないものである。 そして、称呼においては、本件商標から生じる「ジンカツ」の称呼と引用商標から生じる「カツジン」の称呼は、その音構成に明らかな差異を有するものであるから、十分に聴別し得るものであり、称呼上、相紛れるおそれのないものである。 さらに、観念においては、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、相紛れるおそれはないものである。 そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (4)申立人の主張 ア 申立人は、本件商標と引用商標とは、「腎」と「活」の構成文字を共通にし、これらの文字が入れ替わっただけの違いしかなく、その語順を正確に記憶して理解することが必ずしも容易ではないことから、互いに相紛れるおそれのある類似する商標である旨主張する。 しかしながら、本件商標と引用商標1及び引用商標2の構成中の漢字の文字部分は、上記(1)及び(2)の記載のとおり、いずれもわずか2文字からなるものであって、その全体が直ちに把握し得るものであり、かつ、横書き文字は左側から読み書きすることが一般的であって、その語順を記憶することが容易でないとはいえないものであるから、上記申立人の主張は採用することができない。 イ 申立人は、薬剤の取り違えによる医療事故の可能性を指摘し、本件商標と引用商標とが類似すると主張する。 しかしながら、申立人は、薬剤の取り違えと本件事案がいかに関係するも のであるかについては、具体的に主張、立証するところがなく、本件商標と引用商標の類否は上記のとおりであるから、上記申立人の主張も採用することができない。 (5)まとめ 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2016-02-19 |
出願番号 | 商願2014-94939(T2014-94939) |
審決分類 |
T
1
652・
262-
Y
(W05)
T 1 652・ 263- Y (W05) T 1 652・ 261- Y (W05) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小田 昌子 |
特許庁審判長 |
林 栄二 |
特許庁審判官 |
中束 としえ 高橋 幸志 |
登録日 | 2015-03-20 |
登録番号 | 商標登録第5750501号(T5750501) |
権利者 | なかがわ漢方有限会社 |
商標の称呼 | ジンカツ |
代理人 | 杉本 勝徳 |
代理人 | 倉知 孝匡 |