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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1312088 
異議申立番号 異議2014-900177 
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-06-13 
確定日 2016-03-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5661816号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5661816号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5661816号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成25年10月24日に登録出願,第25類「ティーシャツ,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,和服,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,その他の被服,リストバンド,その他の運動用特殊衣服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同26年4月4日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は,以下のとおりである。
(1)登録第1716371号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,昭和55年10月17日に登録出願,第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同59年9月26日に設定登録され,その後,平成16年6月29日に商標権存続期間の更新登録,同18年3月1日に指定商品を第14類,第16類,第20類,第24類及び第28類とする指定商品の書換登録がされ,さらに,同26年9月16日に第16類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第1849612号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,昭和55年8月1日に登録出願,第23類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,昭和61年3月26日に設定登録され,その後,平成8年7月30日及び同18年2月28日に商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同19年9月5日に第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とするとする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第1974801号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,昭和57年2月18日に登録出願,第29類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,昭和62年8月19日に設定登録され,その後,平成9年6月10日及び同19年7月24日に商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同19年12月19日に第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(4)登録第2091935号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,昭和59年11月12日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同63年11月30日に設定登録され,その後,平成15年1月22日に,第12類「航空機その部品及び附属品」について一部放棄,同20年7月29日に商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同21年6月24日に第6類,第9類,第12類,第13類,第19類及び第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(5)登録第2400549号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,昭和59年11月12日に登録出願,第13類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成4年4月30日に設定登録され,その後,平成14年3月19日及び同24年3月13日に商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同16年4月21日に第8類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(6)登録第2428528号商標(以下「引用商標6」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成元年10月26日に登録出願,第20類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同4年6月30日に設定登録され,その後,同14年6月11日及び同24年5月22日に商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同16年9月15日に第14類,第20類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(7)登録第2602055号商標(以下「引用商標7」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成3年9月30日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同5年11月30日に設定登録され,その後,同15年6月24日に商標権の存続期間の更新登録,同17年2月2日に第6類,第14類,第18類,第21類,第22類,第25類及び第26類とする指定商品の書換登録がされ,さらに,同25年9月10日に第18類,第21類,第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品として商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(8)登録第2680732号商標(以下「引用商標8」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成3年9月30日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同6年6月29日に設定登録され,その後,同16年2月10日に商標権の存続期間の更新登録,同17年8月31日に,第6類,第9類,第15類,第18類,第19類,第20類,第21類,第22類,第24類,第25類,第27類,第28類及び第31類とする指定商品の書換登録がされ,さらに,同26年2月12日に第9類,第20類,第21類,第22類,第25類,第27類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品として商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(9)登録第2721876号商標(以下「引用商標9」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,昭和58年10月14日に登録出願,第3類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成9年5月30日に設定登録され,その後,同19年5月22日に商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同20年3月19日に第3類及び第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(10)登録第3328661号商標(以下「引用商標10」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成6年12月20日に登録出願,第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同9年7月4日に設定登録され,その後,同19年3月13日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(引用商標1ないし10,いずれも現に有効に存続しているものであり,以下,これらをあわせていうときは,単に「引用商標」という。)

3 登録異議申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人及び引用商標について
申立人であり,引用商標の商標権者であるドイツ連邦共和国のPuma SE(以下「プーマ社」という。)は,スポーツシューズ,被服,バッグ等を世界的に製造販売している多国籍企業である。その設立は1948年(昭和23年)であり,引用商標は,ネコ科の哺乳類動物であるピューマ(「プーマ」ともいう。)に由来するものである。
引用商標を構成する「PUmA」のロゴは,その右上に,左方に向かって跳び上がるように前進するピューマのシルエット風図形を配して使用することが最も多いが,引用商標を単独で使用し,又はピューマのシルエット風図形から離して使用することも決して少なくない。
我が国においては,1972年から,日本国内における代理店としてコサ・リーベルマン株式会社が,申立人の業務に係る商品のうち,靴,バッグ,アクセサリーについて事業を展開し,2003年5月1日に,申立人の日本法人であるプーマジャパンが同事業を承継した。そして,ウエアについては,1972年から国内のライセンシーであるヒットユニオン株式会社が製造・販売していたが,2006年1月に,日本において引用商標を付したアパレル関連商品を生産する,申立人の日本法人であるプーマ・アパレル・ジャパンが設立され,同社がヒットユニオン株式会社から営業権を譲り受けた(甲4,甲5)。2010年に,プーマ・アパレル・ジャパンとプーマジャパンは合併し,現在のプーマジャパンとなった。
引用商標は,本件商標の登録出願前から我が国で発行された多数のカタログや雑誌において,Tシャツ,スエットシャツ,ジャケット,帽子,スポーツシューズ等に付して掲載されている(甲6ないし甲8)。
2013年版スポーツ産業白書(甲10)によると,「プーマ」ブランドの売上高は,2010年41,883百万円,2011年43,414百万円,2012年44,170百万円,2013年44,595百万円と堅調に推移し,「アスレチックウエア国内出荷金額」で3位,「サッカー・フットサルウエア国内出荷金額」で2位である。
以上のとおり,引用商標は,わが国において,遅くとも1972年から今日に至るまで,幅広い商品に使用され,大々的に宣伝広告されてきたものであり,その結果,本件商標の登録出願時には既に,申立人の業務に係るスポーツシューズ,被服,バッグ等を表示する商標として,我が国の取引者・需要者の間で広く認識されて周知・著名な商標となっており,それは,本件商標の登録査定時及びそれ以降も継続している。
したがって,引用商標は,ピューマのシルエット風図形とともに使用されていなくても,それ自体で,我が国の取引者・需要者の間で広く認識されているというのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標は,独特の太く四角い書体で,全体が略横長の長方形を構成するように,「KUmA」の欧文字をロゴ化して表し,「U」の縦線の内側は,動物の頭部と尾を表す如く浸食されているものである。
他方,引用商標は,独特の太く四角い書体で,全体が略横長の長方形を構成するように「PUmA」の欧文字をロゴ化して表したものである。
そこで,本件商標を引用商標と対比すると,両商標は,4個の欧文字が横書きで大きく顕著に表され,特に,「m」の文字が他の3文字と異なり,小文字の書体を用いて表されている点において共通する。両者の4個の欧文字部分は,第1文字が「K」と「P」と相違するのみで,他の文字の配列構成を共通にする。しかも,各文字が縦線を太く,横線を細く,各文字の線を垂直に表すようにし,そして,角部分に丸みを持たせた部分を多く持つ縦長の書体で表されていることから,文字の特徴が酷似し,かつ,文字全体が略横長の長方形を構成するようにロゴ化して表した点で共通の印象を与える。
そして,両商標は,子細にみれば,文字の縦線間の隙間の幅,各文字の間隔,一部の文字の角などにおいて若干異なるとしても,かかる差異は,全体としてみれば,些細なものであるから,一般需要者は,4文字中「UmA」の3文字を同じくし,両者の欧文字部分がいずれも,近似した書体で表され,しかも全体として横長長方形の枠内に押し縮めたように表されているという共通点に強く印象付けられるものであり,両者における差異はその共通点を凌駕するものではない。
したがって,両商標は,全体として時と処を別にして観察した場合には,構成の軌を一にするものであって,外観上酷似した印象を看者に与えるものである。
イ 引用商標の周知著名性
上記(1)のとおり,引用商標は,申立人によって,スポーツシューズ,被服,バッグ等に長年盛大に使用された結果,申立人の業務に係る商品を表示する独創的な商標として広く知られ,その独創的態様が着目され,強い顧客吸引力を取得するに至り,本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に,取引者・需要者の間で周知・著名な商標となっていたものである。
また,引用商標が使用されている商品は,本件商標の指定商品と同一,又は関連性の程度が極めて高いものである。
ウ 本件商標の出願の経緯
本件商標権者(旧商号は北海道デザイン株式会社)は,登録第4994944号の商標権者でもあったが,本件異議申立人の請求によって,平成24年11月27日に,商標法第4条第1項第7号及び同項第15号違反を理由として,その登録を無効にすべき旨の審決があった。
登録第4994944号商標は,平成24年(行ケ)第10454号判決(甲11)に記載されたとおり,別掲3のとおりの構成よりなるところ,これに対し,無効審判の請求人(本件異議申立人)が,審決が無効判断の根拠とした引用商標は別掲4のとおりの構成よりなるものである。
本件商標権者は,上記無効審決の結論を不服とし,知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起したが,平成25年6月27日に請求棄却の判決が言い渡され,さらに,最高裁判所に上告及び上告受理申立てをしたが,平成25年12月17日に上告棄却及び上告不受理の決定がされ(甲12),登録第4994944号の登録の無効が確定した。
また,本件商標権者は,平成25年10月24日に,本件商標のほか,登録第4994944号商標の構成中の熊のシルエット風図形よりなる商標について登録出願し,本件指定商品と同一の商品を指定商品として,平成26年4月4日に別掲5のとおりの構成よりなる商標を,登録第5661817号として設定登録された(甲13)。
他方,本件商標権者又はこれがライセンスしている日本観光商事株式会社(甲11)は,少なくとも平成22年(2010年)から,設定登録後の今日に至るまで継続して,本件商標の右上に,熊のシルエット風図形からなる登録第5661817号商標を配したものを使用している(甲14,甲15)。
平成24年(行ケ)第10454号審決取消訴訟において,裁判所は,甲第19号証(本件異議申立ての甲14)を引用し,ウェブサイト中に記載された,本件商標の右上に,別掲5のとおり,熊のシルエット風図形からなる登録第5661817号商標を配したものを,登録第4994944号商標と同一視している。さらに,裁判所は,上記商標の使用は,申立人の業務上の信用を毀損させるおそれがあり,公正な取引秩序を乱し,商道徳に反するものと判示している。
しかるに,本件商標権者は,本件商標の出願時はもとより,上記判決から1年以上経過した現在においても,本件商標の右上に登録第5661817号商標を配したものをTシャツ,バッグ等に使用しているばかりか,裁判所が商道徳に反すると断じた,登録第4994944号商標を表示したラベルを,上記Tシャツのパッケージに貼付している(甲16)。
本件商標の出願の経緯及び登録第4994944号の無効確定後の行為に照らし,本件商標権者が,本件商標の右上に登録第5661817号商標を配したものを継続して使用する可能性は大きく,これが,上記知財高裁の判決の趣旨に照らし,公正な取引秩序を乱し,商道徳に反するものであることは明らかであり,本件商標と登録第5661817号商標が別々に登録されたからといって,上記の組み合わせ使用が公正なものになるはずがなく,著しく社会的妥当性を欠く行為である。
また,引用商標は,ピューマのシルエット風図形とともに使用されていなくても,それ自体で,我が国の取引者・需要者の間で広く認識されている。
したがって,登録第5661817号商標との関係を措いても,本件商標権者は,引用商標が著名であることを知り,意図的に引用商標に酷似した構成態様に仕上げることにより,本件商標に接する取引者,需要者に引用商標を連想,想起させ,引用商標に化体した信用,名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたものといわざるを得ない。
そして,本件商標をその指定商品に使用する場合には,引用商標の出所表示機能が希釈化(ダイリューション)され,引用商標に化体した信用,名声及び顧客吸引力,ひいては申立人の業務上の信用を毀損させるおそれがあることから,本件商標は,商標を保護することにより,商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り,需要者の利益を保護するという商標法の目的に反するものであり,公正な取引秩序を乱し,商道徳に反するものである。
以上のことから,本件商標は,引用商標が申立人の業務に係る商品を示すものとして周知著名であると承知の上で,引用商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力に便乗し,不当な利益を得る等の目的をもって引用商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたものといわざるを得ず,その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,その登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得るものではない。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものというべきである。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標との類似性の程度
上記(1)のとおり,本件商標は,引用商標と略同様の独特な態様による4個の欧文字を用い,引用商標と同様の構成態様にしたものであり,両商標は,全体として時と処を別にして観察した場合には,構成の軌を一にするものであって,外観上酷似した印象を看者に与えるものである。
イ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度
上記(2)のとおり,引用商標は,申立人によって,スポーツシューズ,被服,バッグ等に長年盛大に使用された結果,申立人の業務に係る商品を表示する商標として広く知られ,その独創的態様が着目され,強い顧客吸引力を取得するに至り,本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に,取引者・需要者の間で周知・著名な商標となっていたものである。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品との関連性及び取引の実情
本件商標の指定商品である「ティーシャツ,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,靴下,帽子,運動用特殊衣服,ベルト,履物,運動用特殊靴」等は,引用商標が使用されている「ジャケット,ジョギングパンツ,ズボン,ティーシャツ,水泳着,帽子,ベルト,スポーツシューズ」等とは同一であるか又は用途・目的・品質・販売場所等を同じくし,関連性の程度が極めて高いものであり,両者の取引者及び需要者も共通するものである。一般に,両者の需要者は,老若男女を含む一般消費者であり,商標やブランドについて詳細な知識を持たない者も多数含まれており,商品の選択・購入に際して払われる注意力は必ずしも高いとはいえない。
また,ティーシャツ,セーター類,ワイシャツ類,靴下,帽子等の被服や運動用特殊衣服,運動用特殊靴等は,胸部や脛部分等に商標をワンポイントマークとして小さく表示される場合も少なくない。かかる場合は,商標が必ずしも微細な点までに表されないこともあり,需要者が商標の全体的な印象に頼り,些細な相違点を看過して商品を選択する可能性も否定し得ない。
混同を生ずるおそれ
前記の事情を総合すると,本件商標をその指定商品に使用する場合には,これに接する取引者,需要者は,周知著名となっている引用商標ないし申立人を連想,想起することは必定であって,該商品が申立人又は申立人と組織的・経済的に密接な関係がある者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。
(4)結論
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1項により,その登録を取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
証拠及び申立人の主張によれば,以下のとおり認めることができる。
ア 申立人であるドイツ連邦共和国のPuma SE(以下「プーマ社」という。)は,スポーツシューズ,被服,バッグ等を製造販売する世界的に知られた企業である。
1920年(大正9年)にアディ・ダスラー及びルドルフ・ダスラー兄弟が靴を販売する「ゲスラー兄弟商会」を設立したのが始まりであり,その後,兄弟は1948年(昭和23年)にそれぞれ独立し,兄がプーマ社を設立した。
イ 申立人は,俊敏に獲物を追い詰め必ず仕留めるイメージを想起させるネコ科の哺乳動物のピューマから命名した「PUmA」の文字及びピューマのシルエット図形を配して申立人のブランドとして使用することが多いが,当該申立人ブランドの文字部分と酷似した引用商標を単独での使用,又はピューマのシルエット図形から離して使用し,我が国においては,1972年から2002年まで,申立人の業務に係る商品のうち,「靴,バッグ,アクセサリー」について,日本国内における代理人として,コサ・リーベルマン株式会社が事業を展開し,2003年5月1日に,申立人の日本法人であるプーマジャパンが,同事業を承継した。
そして,ウエアに関しては,1972年から国内のライセンシーであるヒットユニオン株式会社が,製造・販売していた(甲4及び甲5の1)が,2006年1月に,申立人は,日本において引用商標を付したアパレル関連商品を生産する現地法人,プーマ・アパレル・ジャパンを設立し,アパレル関連製品をライセンス製造・販売してきたヒットユニオンから営業権を譲り受けた(甲5の2)。
2010年にプーマ・アパレル・ジャパンとプーマジャパンは合併し,現在のプーマジャパンとなった。
ウ 2013版のスポーツ産業白書(甲5の3)の,「企業別スポーツ関連売上推移(1)スポーツ用品メーカー(スポーツ関連売上高10億円以上)」によれば,プーマジャパンの売上高は,2010年は約419億円,2011年は約434億円,2012年は約442億円,2013年は約446億円で第6位であり,さらに,「アスレチックウエア国内出荷金額」によれば,プーマジャパンの出荷金額は,2010年は約159億円・構成比9.6%,2011年は約159億円・構成比9.7%,2012年は約159億円・構成比9.4%,2013年は約161億円・構成比9.3%で第3位であり,アスレチックウエアについて,「アディダスジャパン」がトップ,「ナイキジャパン」が第2位であり,上位3社の「アディダスジャパン」「ナイキジャパン」及び「プーマジャパン」の3ブラントだけで市場の約46%を占めている常態にある。また,「サッカー・フットサル用品国内出荷金額」によれば,プーマジャパンの出荷金額は,2010年は約81億円・構成比14.1%,2011年は約81億円・構成比13.9%,2012年は約81億円・構成比13.0%,2013年は約81億円・構成比12.7%で第2位であり,サッカー・フットサル用品について,「アディダスジャパン」がトップ,「ナイキジャパン」が第3位であり,上位の「アディダスジャパン」「プーマジャパン」「ナイキジャパン」の3ブラントだけで市場の約46%を占めている常態にあることが認められる。
エ 我が国において発行された,以下の商品カタログや雑誌等において,引用商標は,Tシャツ,スエットシャツ,ジャケット,帽子,スポーツシューズ等に付され掲載されている。
<商品カタログや雑誌等(本件商標の登録出願前)>
「APPAREL FALL/HOLIDAY 2010」(甲6の1),「APPAREL FALL/HOLIDAY 2011」(甲6の2),「APPAREL FALL-2012」(甲6の3),「APPAREL SPRING-2013」(甲6の4),「PUMA LIFESTYLE spring 2008」(甲7の1),「PUMA LIFESTYLE fall 2008」(甲7の2),「MOTORSPORT FALL/HOLLDAY 2011」(甲8),「Japan-Boon-October 2006」(甲9),「Japan-SHOES MASTER-September 2009」(甲10)
オ 以上の事実によれば,申立人は,1948年から「PUmA」の文字及びピューマの図形をプーマ社のブランドとしてスポーツシューズに使用開始し,我が国においては,1972年から靴,バッグ,アクセサリー,ウエア等について,製造・販売してきたこと,かつ,引用商標を付した靴,バッグ,アクセサリー,ウエア等を,少なくとも2006年頃から,雑誌において掲載してきたことが認められる。
してみれば,引用商標は,本件商標の登録出願時には既に,同人の業務に係る靴,バッグ,アクセサリー,ウエア等を表示する商標として,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されて周知・著名な商標となっており,それは本件商標の登録査定時及びそれ以降も,継続していたと認められるものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
ア 本件商標
本件商標は,別掲1のとおりの構成からなるところ,「KUmA」の文字は,各文字が縦線を太く,横線を細く,「K」の右側部分や「A」のように,通常斜線となるものを含め,各文字の線を垂直に表すようにし,そして,角部分に丸みを持たせた縦長の書体で表され,全体をもってあたかも略横長の長方形の枠内にはめ込まれたような印象を与えるものである。
そして,本件商標の構成中2文字の「U」については,その中央の空白部分に重なるように北海道の地形と思しき図形を白抜きで表してなるものである。
また,本件商標からは,構成文字に相応して「クマ」の称呼を生じ,「KUmA」は辞書類に載録のない語であるところ,これをローマ字とする良く知られた日本語から「熊」の観念を生じるものである。
イ 引用商標
引用商標は,別掲2のとおりの構成からなるところ,「PUmA」の文字部分は,各文字が縦線を太く,横線を細く,各文字の線を垂直に表すようにし,そして,角部分に丸みを持たせた縦長の独特の太く四角い書体で表され,全体をもってあたかも略横長の長方形の枠内にはめ込まれたような印象を与えるものであるかた,これに接した需要者に,引用商標全体として,一体の構成からなるものとの印象を与えるものである。
また,本件商標からは,構成文字に相応して「プーマ」及び「ピューマ」の称呼を生じ,ネコ科の哺乳類である「ピューマ」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との比較
本件商標と引用商標とは,4個の欧文字が角部分に丸みを持たせた縦長の書体で表され,全体をもってあたかも略横長の長方形の枠内にはめ込まれたような構成において共通するものである。
しかしながら,両者の第1番目の「K」と「P」の文字部分が異なる点,第2番目の「U」文字部分については,本件商標が北海道の地形と思しき図形要素を有する点で相違するものである。
そして,本件商標は,その構成中の「U」の文字部分に,良く知られた北海道の地形と思しき図形要素が加わることで,当該文字部分が最も需要者の注意を引き,強い印象を与えるものといえる。
他方,引用商標は「PUmA」の4個の欧文字が全て共通した書体で書され,その構成全体をもってあたかも略横長の長方形の枠内にはめ込まれたような印象を与えるものであるから,いずれかの文字部分が特に強調されることもなく,これに接した需要者に,その構成全体として,一体のものとの印象を与えるものである。
そうすると,本件商標と引用商標とは,第1番目及び第2番目の文字部分に相異点を有し,その相異点が,全体の印象に及ぼす影響は決して低いものとはいえないことから,本件商標と引用商標とは,外観において相違するものである。
次に,称呼については,本件商標から生じる「クマ」の称呼と,引用商標から生じる「プーマ」及び「ピューマ」の称呼は,音の有無において明らかな差異を有するものであるから,両者は,称呼上,明確に区別できるものである。
さらに,観念については,本願商標からは「熊」の観念が生じる一方,引用商標からはネコ科の哺乳類である「ピューマ」の観念が生ずるから,観念においても明確に区別できるものである。
そうすると,本願商標と引用商標とは,外観,称呼,観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから,非類似の商標というべきである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されて周知・著名な商標となっていたことは認められるものであるが,本件商標と引用商標とは,上記(2)のとおり,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり,別異の商標というべきものである。
してみれば,本件商標は,本件商標権者がこれを本件登録異議の申立てに係る指定商品について使用しても,取引者,需要者をして,引用商標又は申立人を連想,想起させることはなく,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,本件登録異議の申立てに係る指定商品について,商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(4)商標法第4条第1項第7号
本件商標と引用商標とは,上記(2)のとおり,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものであり,引用商標又は申立人を連想,想起させることのないものである。
そうすると,本件商標は,引用商標にただ乗りする,あるいは,引用商標の出所表示機能を希釈化するなど,不正な目的をもって出願し,登録を受けたものということはできない。
また,申立人は,本件商標権者は,過去に所有していた登録第4994944号商標が商標法第4条第1項第7号及び同項第15号違反を理由として,その登録を無効とされたにもかかわらず,本件商標と,やはり本件商標権者が所有する他の登録商標とを組み合わせ,登録第4994944号商標と同一視できる態様で使用している。このような組み合わせ使用は,著しく社会的妥当性を欠く行為である旨主張する。
しかしながら,本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するか否かは,本件商標自体の具体的な構成をもって判断すべきであり,そして,本件商標と引用商標とは外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものであることは上記(2)のとおりであるから,申立人の主張は採用することができない。
その他,本件商標が公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 引用商標


別掲3 登録第4994944号商標


別掲4 平成24年(行ケ)第10454号判決における引用商標


別掲5 登録第5661817号


異議決定日 2016-02-23 
出願番号 商願2013-83065(T2013-83065) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
最終処分 維持 
前審関与審査官 岩崎 安子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田中 幸一
田村 正明
登録日 2014-04-04 
登録番号 商標登録第5661816号(T5661816) 
権利者 H2D株式会社
商標の称呼 クマ 
代理人 岡田 稔 
代理人 川野 陽輔 
代理人 曾我 道治 
代理人 小林 基子 
代理人 佐川 慎悟 
代理人 鈴木 昇 
代理人 坂上 正明 
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