• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W05
管理番号 1311995 
審判番号 不服2014-230 
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-07 
確定日 2016-02-25 
事件の表示 商願2012-95043拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「イオンチャネル開口薬」の文字を標準文字で表してなり、第5類「眼科用剤」を指定商品として、平成24年11月22日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同25年5月30日付け手続補正書により、第5類「緑内障・高眼圧症治療用薬剤」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『イオンチャネル開口薬』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、『イオンチャネル』の文字が『興奮性、非興奮性細胞の生体膜を数回貫通する構造をもつタンパク質』を意味する語として用いられているものであり、『開口』の文字が『外に向かって穴が開くこと。』を意味する語であることから、その構成全体として『イオンチャネルを開口させる薬』の意味合いを容易に理解させるものである。そして、薬剤を取り扱う業界においては、近年、イオンチャネルに関する研究が進んでいるところ、血管拡張作用等の効果を有するものとして、イオンチャネルを開口させる薬物が開発されている実情があり、また、血管循環器系以外にも、例えば抗てんかん薬や泌尿器系の薬剤等の様々な医療分野においても、イオンチャネルを開口させる薬剤が研究、開発されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者、取引者は、上記意味合いの薬剤であることを認識するにすぎず、単に商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示するにとどまり、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「イオンチャネル開口薬」の文字よりなるところ、その構成は、その指定商品との関係及び文字種の相違から、「イオンチャネル」の片仮名、「開口」の漢字及び「薬」の漢字を結合してなるものであると、直ちに看取されるものである。
そして、本願商標の構成中、「イオンチャネル」の文字は、例えば、「生化学辞典第4版」(株式会社東京化学同人発行)の記載を始めとした、別掲1のとおりに記載されている内容からすれば、イオンチャネルとは、概ね「興奮性、非興奮性細胞の生体膜を数回貫通する構造をもつタンパク質で、生体膜内外に異なる濃度で存在するイオンを直接エネルギーを使わず通過させる機能をもち、情報伝達に重要な役割を担う分子である。」といえるものであり、本願の指定商品に係る取引者、需要者においては、一般に理解、認識される技術用語であるというのが相当である。
また、本願商標の構成中、「開口」の文字が「外に向かって穴が開くこと」(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)の意味を有するものであることから、「開口薬」の漢字部分は、「開口させる薬」程の意味合いを認識させるものであり、近年、イオンチャネルに関する研究が進んでいるところ、血液循環器系の分野において、血管拡張作用等の効果を有するものとして、イオンチャネルを用いて開口させる薬物が開発されている実情や泌尿器系等の分野においてもイオンチャネルを用いて開口させる薬の開発が行われ、血管拡張作用の効果を有することは、原審で説示した別掲2の情報からもうかがい知ることができる。
さらに、本願の指定商品である「緑内障・高眼圧症治療用薬剤」の分野においても、請求人の取扱に係るものも含め、例えば、別掲3のような記事情報を見いだすことができる。
その記事情報からすると、「緑内障」は網膜神経節細胞が死滅する進行性の病気であり、その治療の基本は眼圧を下げることで視野障害の進行を停めるという方法が行われている。そのために、目の中を循環する液体(眼球を満たしている液体)のことで、毛様体という組織で作られて、虹彩の裏を通過して前房に至り、線維柱帯を経てシュレム管から排出され、眼外の血管へ流れていくという定まった経路で循環している「房水」の産生を抑える効果や房水の流出を促す効果によって、眼圧を低下させ、一定の圧力(眼圧)が眼内に発生し眼球の形状が保たれ、病気の進行を抑えることをうかがい知ることができる。そして、「房水」の産生については、イオン濃度による浸透圧差が作用しており、イオンを発生させるイオンチャネルに作用することで眼圧の調整が図られることがうかがわれる。
そうとすれば、上記実情よりして、本願商標をその指定商品「緑内障・高眼圧症治療用薬剤」に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、本願商標を構成する「イオンチャネル」及び「開口薬」の各文字をそれぞれ上記の意味合いで把握、理解し、構成文字全体として、当該商品が「イオンチャネルを用いて開口させる薬」であること、すなわち、「緑内障において房水の産生や流出を改善する薬」であることを表示する語として理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものというのが相当であるから、本願商標は、単に商品の品質、効能、用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといわざるを得ない。
(2)請求人の主張について
ア 請求人(出願人)は、本願商標は、「イオンチャネル開口薬」の文字をまとまりよく一体的に構成してなるものであり、仮に「イオンチャネル」の語および「開口」の語がそれぞれ指摘の意味合いを有するとしても、まとまりよく構成された本願商標それ自体は、特定の意味合いを有するものとして一般的に通用している熟語ではないから、本願商標は、新しく生成された熟語、すなわち造語として認識するのが自然であり、一定の商品の内容を直ちに理解することはできない旨主張する。
しかしながら、「イオンチャネル開口薬」の語は、それを構成する各単語の語義から上記意味合いを有する複合語として認識されるものであって、本願商標を指定商品に用いた場合には、当該商品が「イオンチャネルを用いて開口させる薬」であることを表したにすぎず、かつ、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきものであるから、本願商標が単に商品の品質等を認識させるものである以上、それを登録することはできない。
イ また、請求人は、「イオンチャネル開口薬」の文字は、「緑内障・高眼圧症治療用薬剤」の分野において、出願人の他に一切使用されておらず、出願人以外の同業者の商品を表示するものとして、不特定の取引者又は需要者により使用されていないものであり、数ある同分野の薬剤の中で、「イオンチャネル開口薬」の表示を使用しているものは、出願人の製造販売に係る「レスキュラ点眼液」のみである旨主張する。さらに、請求人は、出願人以外の同業者によって使用されていないことを考慮すると、仮に本願商標を登録させたとしても、特定の業者の営業活動を阻害するとか、市場流通の秩序に何ら混乱や悪影響を与えるおそれはない旨主張する。
しかしながら、上記(1)(別掲3も参照)のとおり、緑内障を取り扱う業界における取引の実状からすれば、本願商標は、全体として「イオンチャネルによって眼圧を下降させる商品(薬)」であることを表示する語として容易に理解されるものといわなければならない。現に、別掲4のとおり、薬効分類において「イオンチャネル開口薬,緑内障・高眼圧症治療薬」の表示が使用され、その分類中の製品として、出願人の薬品「レスキュラ点眼液」を始め、その他の製造会社数社の「イソプロピルウノプロストン点眼液」が存在することからすれば、特定の業者の営業活動を阻害するとか、市場流通の秩序に何ら混乱や悪影響を与えるおそれはないということはできない。
ウ したがって、上記ア及びイの点に関する請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、これをその指定商品「緑内障・高眼圧症治療用薬剤」について使用しても、単にその商品の品質、効能、用途を表示するにすぎないものといわざるを得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 「イオンチャネル」の意味について
(ア)「生化学辞典第4版」(株式会社東京化学同人発行)において、「イオンチャネル[ion channel]」の見出しの下、「イオンチャンネルともいう.興奮性,非興奮性細胞の生体膜を数回貫通する構造をもつたんぱく質で,生体膜内外に異なる濃度で存在するイオンを直接エネルギーを使わず通過させる機能をもち,情報伝達に重要な役割を担う分子である.・・・イオンチャネルは,開閉のメカニズムと通るイオンの種類が多用であり,・・・.神経伝達物質活性化型イオンチャネルは細胞外ドメインにアセチルコリンやグルタミン酸などと特異的に結合するドメインをもち,これらの伝達物質の結合によりポアをつくる部分の構造が変化し開口が起こる。電位依存性チャネル・・・は電位センサードメインの構造変化により膜電位を感知し開閉する.これら以外で陽イオンを通すチャネル分子として,温度変化や機械的刺激,酸化ストレスなどで活性化するTRP・・・チャネルや,腎臓や肺などでNa+(+は上付き。以下同じ。)の輸送に働くアミロライド感受性Na+チャネル,静止膜電位の形成に重要な内向き整流性K+チャネルなどがある.陰イオンチャネルはCLC(塩素イオンチャネル)やCFTR(?胞性繊維症膜貫通調節タンパク質)がよく知られ,これ以外に体液の組成や細胞容積の調節に重要な未知の分子が存在する。・・・」との記載がある。
(イ)公益社団法人日本薬学会による「薬学用語解説」において、「イオンチャネル」の見出しの下、「膜に存在するタンパク質で、刺激に応じて開閉しイオンが通過する小孔を形成する。・・・(2007.3.9掲載)」との記載がある。(http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB)
(ウ)「京都薬科大学病態薬科学系薬理学分野」のウェブサイトにおいて、「イオンチャネル関連疾患の分子薬理学的研究」中の「イオンチャネル研究とは・・・」の表題の下、
「1.イオンチャネルとは…/ イオンチャネルは細胞膜を貫通し、イオン(Na+,Ca2+,K+,Cl-)(+、2+、-はいずれも上付き。以下同じ。)を選択的に透過させる膜タンパク質です。/2.イオンチャネルの生理機能とは…/ イオンチャネルは以下のような重要な細胞機能を調節しています。/ 1)静止膜電位の保持/ 2)電気的シグナルの伝導/ 3)神経シナプス伝達/ 4)隣接細胞へのイオンの運搬/ 5)感覚的知覚/ 6)興奮収縮連関/ 7)刺激分泌連関/ 8)細胞増殖・分化・死/ 9)細胞浸潤・移動/3.薬理学」で学ぶイオンチャネル作用薬 /1)高血圧治療薬-Ca2+チャネル阻害薬…アムロジピン 等/2)抗不整脈薬 -Na+チャネル阻害薬…ジソピラミド 等/K+チャネル阻害薬…ニフェカラント等/3)狭心症治療薬-K+チャネル開口薬…ニコランジル/4)経口糖尿病治療薬-K+チャネル阻害薬…グリベンクラミド 等」との記載がある。(http://labo.kyoto-phu.ac.jp/yakuri/ion_channel.html)
(エ)フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」において、「イオンチャネル」の見出しの下、「イオンチャネルまたはイオンチャンネル(英: ion channel)とは、細胞の生体膜(細胞膜や内膜など)にある膜貫通タンパク質の一種で、受動的にイオンを透過させるタンパク質の総称である。細胞の膜電位を維持・変化させるほか、細胞でのイオンの流出入もおこなう。神経細胞など電気的興奮性細胞での活動電位の発生、感覚細胞での受容器電位の発生、細胞での静止膜電位の維持などに関与する。/イオンチャネルの原理/電荷を持つイオンは、誘電率の小さい油に入るためには大きなエネルギーが必要なので、油に入りにくい。このために脂質二重層で構成された部分の生体膜をほとんど透過できない。生体膜にあって、イオンを透過させる経路(チャネル)を提供する膜タンパクがイオンチャネルである。イオンは細孔(ポア)を通って流れるが、多くのチャネルはその途中にゲートと呼ばれる構造がある。ゲートは閉じた状態と開いた状態の2状態をとり、開いているときのみイオンを透過させる。」との記載がある。(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB)

2 原審で説示した「イオンチャネル」に係る薬物開発の実情及びその効果
(ア)1994年5月1日付け日経産業新聞(3頁)において、「カリウム・イオン・チャンネル??新薬開発の焦点に(テクノトレンド)」の見出しの下、「カリウム・イオン・(K)チャンネルが医薬開発の焦点に浮かび上がってきた。・・・Kチャンネルでは、イオンチャンネルにふたをするCa拮抗剤とはことなり、むしろイオンチャンネルを開放するKチャンネルオープナーの開発が焦点となっている。第一の狙いは狭心症や高血圧である。Kチャンネルを開放すると、カリウムイオンが細胞内に漏れ出て、細胞の膜電位を変化(過分極)させ、血管が拡張する。この反応では動脈の方が静脈に比べて拡張しやすい。このため、Kオープナーは心臓に栄養・酸素を供給する動脈である冠状動脈を拡張し、狭心症の治療薬になる。また、細い動脈を拡張させるため、血圧降下作用も示すと期待されている。」との記載がある。
(イ)2004年6月24日付け日刊薬業(3頁)において、「アストラゼネカ 最新の開発パイプラインを公表」の見出しの下、「アストラゼネカは22日の記者懇談会で、最新の開発パイプラインを公表した。【アストラゼネカが22日の記者懇談会公表した開発パイプライン】・・・カリウムチャンネルオープナー『ZD0947』(過活動膀胱)」との記載がある。
(ウ)エルゼビア・ジャパン株式会社のウェブサイト「ミクスOnline」において、「FDA 抗てんかん薬Potigaを承認」の見出しの下、「米食品医薬品局(FDA)は6月10日、抗てんかん薬Potiga(ezogabine)を承認した。適応は、成人におけるてんかんに伴う部分発作の追加療法。同剤はてんかん治療薬としては初のニューロン・カリウムチャネルオープナー。」との記載がある。(https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/40937/Default.aspx)

3 緑内障に係る症状及び治療について
(ア)新宿東口眼科医院のウェブサイトにおいて、「緑内障専門治療」の表題の下、以下の記載がある。(http://www.shec-glaucoma.com/sub5.html)
□緑内障の治療
緑内障の治療は病気の進行をくい止めるため、眼圧を低くコントロールすることが最も有効とされています。治療法としては薬物療法、レーザー治療や手術が一般的です。閉塞隅角緑内障の発作時に有効な治療法としては、点滴療法が挙げられます。・・・
・薬物療法
眼圧を下げるために使われる薬は、主に房水の産出量を減らしたり、房水の流れをよくする薬です。
まず点眼薬からはじめ、最初は1種類の薬で様子を見ながら、途中で薬を変更したり、また2?3種類を併用することもあります。
(イ)日本眼科学会のウェブサイトにおいて、「緑内障」の表題の下、以下の記載がある。(http://www.nichigan.or.jp/public/disease/ryokunai_ryokunai.jsp)
■はじめに
緑内障は、厚生労働省研究班の調査によると、我が国における失明原因の第1位を占めており、日本の社会において大きな問題として考えられています。しかも最近、日本緑内障学会で行った大規模な調査(多治見スタディ)によると、40歳以上の日本人における緑内障有病率は、5.0%であることが分かりました。つまり40歳以上の日本人には、20人に1人の割合で緑内障の患者さんがいるということになります。・・・最近の緑内障の診断と治療の進歩は目覚しく、以前のような「緑内障=失明」という概念は古くなりつつあります。現代医学を駆使しても失明から救えないきわめて難治性の緑内障が存在することも事実ですが、一般に、早期発見・早期治療によって失明という危険性を少しでも減らすことができる病気の一つであることは間違いありません。
■房水と眼圧
「房水」とは目の中を循環する液体のことで、・・・毛様体という組織で作られて、虹彩の裏を通過して前房に至り、線維柱帯を経てシュレム管から排出され、眼外の血管へ流れていくという定まった経路で循環しています。この房水の循環によって、ほぼ一定の圧力が眼内に発生し眼球の形状が保たれます。この圧力のことを「眼圧」と呼びます。つまり、眼圧とは、眼の硬さであるといえます。眼圧が上昇すると(眼球が硬くなると)、視神経が障害されやすくなり、緑内障になるリスクが高くなることが知られています。緑内障の治療としては、薬物療法、レーザー療法、手術療法など多彩な手段が行われていますが、その多くは、眼圧を下げることで緑内障の悪化を防ぐためのものです。したがって、自分の眼圧がどれくらいであるのかを知っておくことは、とても大事です。
(ウ)ファイザー株式会社のウェブサイト「目の広場」において、「緑内障にはどんな治療法があるのでしょうか?」の表題の下、以下の記載がある。(http://eye.pfizer.co.jp/general/glaucoma/glau02.html)
(緑内障の治療の目標)
緑内障の治療で一番大切なことは、視神経(ししんけい)が障害を受けるのを防ぐことによって、視力などの視機能を保つことです。眼圧(がんあつ)(目の中の圧力)が高いとその圧力やその他の原因で視神経が障害を受けるので、眼圧を下げることが、緑内障治療の第一目標となります。眼圧が下がると、多くの患者さんでは視野(しや)(見える範囲)が狭せまくなるスピードが遅くなったり、止まります。ただ、少数ではありますが、眼圧が充分に下がっても視力がいくらか低下し続ける患者さんもいます。
(緑内障のタイプ)
緑内障では、まず薬物による治療が行われます。開放隅角緑内障の患者さんの多くが、薬により眼圧が効果的に下がります。点眼薬・・・は、目や全身に対する重大な副作用はほとんどありません。また、内服薬は、点眼薬だけでは眼圧が充分下がらない患者さんに投与されます。内服薬には、好ましくない全身性の副作用がみられることがあるため、内服薬による治療を始める前に、レーザー治療や切開手術が行われることもあります。
(エ)参天製薬株式会社のウェブサイトにおいて、「緑内障」の項中の「緑内障の治療方法」の表題の下、「一度障害を受けた視神経は元には戻らないため、緑内障を完治させることはできません。したがって、緑内障の治療は、視神経がダメージを受けてこれ以上視野が狭くならないように、眼圧を下げることが基本となります。/点眼薬による治療/眼圧を下げる効果のある目薬を点眼します。具体的には、房水の産生を抑える効果がある薬や、房水の流出を促す効果がある薬を点眼して、眼圧を低下させます。もともと眼圧が高くない人でも、眼圧を下げることによって、病気の進行を抑えることができます。」との記載がある。(http://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/glaucoma/)
(オ)出願人(請求人)のウェブサイトにおいて、「レスキュラ点眼液0.12%について」の表題の下、以下の記載がある。(http://rescula.jp/information/)
「レスキュラR点眼液0.12%の概要
イオンチャネル開口薬 緑内障・高眼圧症治療剤
レスキュラR点眼液0.12%
レスキュラR点眼液0.12%は、世界初のプロストン*を使ったイオンチャネル開口薬 緑内障・高眼圧症治療剤です。
レスキュラR点眼液0.12%にはプロストン系イオンチャネル開口薬としての薬理作用があり、眼圧下降作用だけでなく、視神経保護作用(in vitro)や正常眼圧緑内障において眼血流改善作用があることが報告されています。
プロストン
「プロストン」は、アールテック・ウエノの創業者、上野隆司博士が1980年代初めに発明した機能性脂肪酸の一群で、医薬品として局所的に有効な生理作用を有しながら、プロスタグランジンが本来もつ多彩な全身副作用をほぼ分離した化合物です。1994年に販売承認を得たレスキュラR点眼液0.12%(イソプロピル ウノプロストン)は、緑内障・高眼圧症の治療剤として世界初の「プロストン」医薬品で、イオンチャネル(K+イオン)開口作用を持ちます。」

4 薬効分類して「イオンチャネル開口薬」の表示が使用されていること
株式会社ミナカラのウェブサイトにおいて、「ミナカラ薬辞典・薬検索」中の「薬効分類『イオンチャネル開口薬,緑内障・高眼圧症治療剤』の医薬品一覧」の表題の下、「薬品名」、「薬価」、「先発・ジェネリック」及び「製造会社」の順に6件表した表中、「薬品名」欄には、「レスキュラ点眼液0.12%」、「イソプロピルウノプロストン点眼液0.12%『ニッテン』」、「イソプロピルウノプロストン点眼液0.12%『タイヨー』」、「イソプロピルウノプロストン点眼液0.12%『サワイ』」、「イソプロピルウノプロストン点眼液0.12%『TS』」及び「イソプロピルウノプロストン点眼液0.12%『日点』」と記載されている。(https://minacolor.com/drug/efficacy/%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB%E9%96%8B%E5%8F%A3%E8%96%AC%EF%BC%8C%E7%B7%91%E5%86%85%E9%9A%9C%E3%83%BB%E9%AB%98%E7%9C%BC%E5%9C%A7%E7%97%87%E6%B2%BB%E7%99%82%E5%89%A4)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
審理終結日 2015-08-31 
結審通知日 2015-09-01 
審決日 2016-01-13 
出願番号 商願2012-95043(T2012-95043) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 裕子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
堀内 仁子
商標の称呼 イオンチャネルカイコーヤク、イオンチャネル 
代理人 鮫島 睦 
代理人 勝見 元博 
代理人 寺田 花子 
代理人 田中 光雄 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ