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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y03
管理番号 1311930 
審判番号 取消2014-301000 
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-12-12 
確定日 2016-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第1037437号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1037437号商標(以下「本件商標」という。)は、「クリツク」の片仮名及び「CLICK」の欧文字を二段に横書きしてなり、昭和46年10月14日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同48年10月11日に設定登録、その後、平成15年12月10日に、指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判請求の登録は、同27年1月6日にされている。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中の第3類「化粧品,せっけん類」については、その登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
そして、請求人は、その請求の理由として、「被請求人は、本件商標を、その指定商品中『化粧品,せっけん類』については継続して3年以上日本国内において使用していない。また、本件商標について専用使用権者は存在せず、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中、上記商品について使用されていないものである。」と述べている。
なお、請求人は、下記3の被請求人による答弁に対しては、弁駁していない。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として,乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
(1)答弁書における主張
ア 本件商標の商標権者は、米国に住所を有する会社であり、日本国内においては、その子会社であるエコラボ合同会社(本社:東京都新宿区高田馬場1丁目)(以下「エコラボ社」という場合がある。)が、通常使用権者として、商標権者の業務に係る商品及び役務を継続的に提供している。
イ 本件商標は、エコラボ社によって、30年以上に亘り日本国内で使用されており、以下のとおり、その証拠を乙第1号証ないし乙第10号証として提出する。
(ア)乙第1号証及び乙第2号証は、エコラボ社が、カタログ製作会社に発注して作成したカタログの版下データである。乙第1号証及び乙第2号証には「業務用 キッチン用中性洗剤」、「クリック II」、「Click II」の記載があり、商品の写真が表示されている。この版下データは、カタログ製作会社「株式会社ジャパンアート」(住所:東京都墨田区亀沢)からエコラボ社に納品されたものであり、その納品日は、2012年5月29日である。
(イ)乙第3号証は、本件商標を付した「中性洗剤」の容器の現物の写真及びそのラベルの展開図である。容器のラベル中央には「クリック」、ラベル左下には「Click」、ラベル右下には商品「業務用中性洗剤」の文字がそれぞれ表示されている。また、製造販売元として「エコラボ合同会社」の文字が記載されている。
(ウ)乙第4号証は、包装用箱の現物の写真及び包装用箱の展開図である。当該包装用箱には「クリック」、「Click」、「業務用中性洗剤」の文字がそれぞれ表示されている。また、製造販売元として「エコラボ合同会社」の文字が記載されている。エコラボ社は、容器のラベルに商標「クリック」及び「Click」を付した「中性洗剤」を、この包装用箱に入れて相手先へ納品している。
(エ)乙第5号証は、通常使用権者が客先へ配布した「クリックII 仕様変更(コック同梱)のお知らせ」の書面である。当該書面には「食器・調理器具用中性洗剤」及び「クリックII」と記載されている。日付は2012年10月である。なお、差出人の「エコラボ株式会社」は、「エコラボ合同会社」に社名変更される前の旧名称である。
(オ)乙第6号証は、通常使用権者が客先へ配布した「クリックIIの製品変更について」の書面である。当該書面には「業務用 台所用合成洗剤」、「クリックII 18KG」、「クリックE 18KG」と記載されている。日付は2014年5月である。
(カ)乙第7号証は、通常使用権者が客先へ配布した「クリック/Click」に係る製品の安全データシートである。「製品名」の項目に「クリック E」及び「Click E」と記載されており、「推奨使用法と制限」の項目に「台所用合成洗剤」と記載されている。さらに、「会社名」の項目には「エコラボ合同会社」と記載されている。安全データシートの作成及び発行日は2014年1月14日である。
(キ)乙第8号証は、商標「クリック」に係る洗剤についての納品伝票の写しである。品名の欄には「クリック E 18KG」と記載されている。荷主名はエコラボ社である。納品伝票の日付は2014年11月28日である。
(ク)乙第9号証は、商標「クリック」に係る洗剤についての納品伝票の写しである。品名の欄には「クリック E 4L-4」と記載されている。荷送人はエコラボ社野田工場である。納品伝票の日付は2014年11月28日である。
(ケ)乙第10号証は、商標「クリック」に係る洗剤についての納品伝票の写しである。品名の欄には「クリック 2(18KG)」と記載されている。荷送人はエコラボ社である。納品伝票の日付は2013年10月3日である。
ウ 乙第1号証ないし第10号証に表示されている「クリック」及び「Click」の文字は、その体裁から見て、本件商標と社会通念上同一の商標である。また、「業務用中性洗剤」又は「台所用合成洗剤」は、本件商標に係る指定商品中「せっけん類」に属する商品である。なお、使用商標中「E」又は「II」の部分は、商品の記号又は符号を表示するものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものではない。
エ 乙第1号証ないし乙第10号証によれば、本件の審判請求の登録日前3年以内(以下「要証期間内」という。)に、日本国内において、通常使用権者であるエコラボ社が、取消請求に係る指定商品中「せっけん類」について本件商標を使用していたことは明らかである。
(2)平成27年8月26日付け回答書における主張
ア 被請求人は、その子会社であるエコラボ社に本件商標の通常使用権を許諾している。通常使用権の許諾契約書に代えて、使用許諾宣誓書を乙第11号証として提出する。
イ 乙第8号証ないし乙第10号証の伝票の写しにある「センコー株式会社」及び「ワイケーホールディングス」は運送会社(乙12及び乙13)であり、同伝票にあるエコラボ社の取引先である「ホテル日航金沢」、「天野実業株式会社」及び「水野産業株式会社」に中性洗剤(商品名「クリック」又は「クリックII」)が納品されたことを証明する証明書を乙第14号証ないし乙第16号証として提出する。

4 当審の判断
(1)被請求人が提出した乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、「クリックII/Click II」のカタログ版下のデータの写しであるところ、同書面には、「業務用 キッチン用中性洗剤」、「クリックII」及び「Click II」の文字の表示があり、さらに、包装箱の写真が掲載され、その包装箱には、緑色の地色の中に白抜きで「クリックII」及び「Click II」の文字からなる商標(以下「使用商標1」という。)が表示されている。
イ 乙第4号証は、包装箱の写真及び包装箱の展開図の写しであるところ、同書面には、緑色の地色の中に白抜きで「クリック(R)E」及び「Click(R)E」の文字(審決注:「(R)」の文字は、その前の文字の右上方に小さくRが丸に囲まれて表示されている。以下同じ。)からなる商標(以下「使用商標2」という。)が表示されている包装箱の写真が掲載されている。
ウ 乙第6号証は、「クリックIIの製品変更について」と題するエコラボ社が顧客に宛てた書面の写しであるところ、同書面には、「この度、これまでご愛顧頂いておりました 業務用 台所用合成洗剤『クリックII 18KG』につきまして、品質の向上を目的に新製品『クリックE 18KG』へ変更させて頂くことになりましたので、ご案内申し上げます。」の記載、その下に、「現行品」の欄に、「品番」として「023081」の数字、「品名」として「クリックII 18KG」の文字、「写真」として、中央上部に使用商標1が表示されている包装箱(以下「包装箱1」という。)の写真が、「新製品」の欄に、「品番」として「7101613」の数字、「品名」として「クリックE 18KG」の文字、「写真」として、中央上部に使用商標2が表示されている包装箱(以下「包装箱2」という。)の写真が掲載されている。
なお、包装箱1は上記アの包装箱と、また、包装箱2は上記イの包装箱と同一と認められるものである。
エ 乙第8号証は、「お問い合せ伝票番号」を「82-0553-4643」とする受領書の写しであるところ、取引年月日として「14.11.28」の記載、荷主名として「エコラボ合同会社」の記載、取引先として「石川県金沢市本町2-15-1 ホテル日航金沢 調達課」の記載があり、「品名・規格」の欄に「クリックE(18KG)」の文字及び「7101613」の数字が記載されている。
そして、「品名・規格」として記載されている「7101613」の数字は、乙第6号証において包装箱2の商品の品番として記載されていた番号と同一である。
オ 乙第10号証は、「お問い合せ伝票番号」を「770-725-2604」とする受領書の写しであるところ、取引年月日として「13.10.3」の記載、荷主名として「エコラボ合同会社」の記載、取引先として「岡山県浅口郡里庄町里見4215番地 天野実業(株)」の記載があり、「品名・規格」の欄に「クリック2(18KG)」の文字及び「023081」の数字が記載されている。
そして、「品名・規格」として記載されている「023081」の数字は、乙第6号証において包装箱1の商品の品番として記載されていた番号と同一である。
カ 乙第14号証は、ホテル日航金沢(石川県金沢市本町2-15-1)調達課のマネージャーによる取引証明書であるところ、同書面には、「2014年11月28日付の配送(伝票番号:82-0553-4643)(配送会社:センコー株式会社)にて、エコラボ合同会社より、中性洗剤(商品名「クリック」)」を受領いたしましたことをここに証明いたします。」の記載がある。
そして、上記日付及び伝票番号は、乙第8号証の取引年月日及び伝票番号と同一である。
キ 乙第15号証は、天野実業株式会社のチームリーダーによる取引証明書であるところ、同書面には、「2013年10月3日付の配送(伝票番号:770-725-2604)(配送会社:センコー株式会社)にて、エコラボ合同会社より、中性洗剤(商品名「クリックII」)」を受領いたしましたことをここに証明いたします。」の記載がある。
そして、上記日付及び伝票番号は、乙第10号証の取引年月日及び伝票番号と同一である。
ク 乙第11号証は、商標権者の上席商標弁護士による本件商標の使用許諾宣誓書であるところ、同書面(訳文)には、「1.エコラブ インコーポレーテッド(「ライセンサー」という)は、商標登録第1037437号・・・の独占的所有者であります。」、「2.日本国東京都新宿区高田馬場・・・に主住所を有するエコラボ合同会社(「ライセンシー」という)は、エコラブ インコーポレーテッドの子会社であります。」、「3.ライセンサーは、ライセンシーに対し、登録された商品に関して日本国内において許諾商標を使用する通常使用権を与えました。」及び「4.ライセンシーは、2003年10月より有効となったライセンサーとライセンシーとの使用許諾契約に基づき、許諾商標の使用をしております。」と記載されている。
(2)上記(1)により認定した事実によれば、以下のことが認められる。
ア 上記(1)クによれば、本件商標の商標権者は、エコラボ社に対し、2003年(平成15年)10月から、本件商標について通常使用権を許諾していたことが認められる。
イ 上記(1)ア、ウ、オ及びキによれば、エコラボ社の業務用中性洗剤(合成洗剤)の包装箱1には、使用商標1が表示されており、同包装箱に入った業務用中性洗剤(合成洗剤)が2013年(平成25年)10月3日にエコラボ社から天野実業株式会社に譲渡又は引渡しされたことが認められる。
ウ 上記(1)イ、ウ、エ及びカによれば、エコラボ社の業務用中性洗剤(合成洗剤)の包装箱2には、使用商標2が表示されており、同包装箱に入った業務用中性洗剤(合成洗剤)が2014年(平成26年)11月28日にエコラボ社からホテル日航金沢に譲渡又は引渡しされたことが認められる。
(3)判断
ア 使用商標1は、「クリックII」及び「Click II」の文字からなるところ、いずれも、片仮名とローマ数字又は欧文字とローマ数字と異なった種類の文字で構成されているところ、その構成中のローマ数字の部分は、商品の企画、品番等を表すものであるから、使用商標1において自他商品の識別標識として認識されるのは、「クリック」の片仮名及び「Click」の欧文字の部分といえる。
また、使用商標2は、「クリック(R)E」及び「Click(R)E」の文字からなるところ、「クリック」の片仮名には「(R)」の記号が付され、また、「Click」の欧文字には「(R)」の記号が付され、しかも、それらに続く「E」の欧文字との間には間隔が空いてなる構成からなるところ、その構成中の「E」の欧文字の部分は、商品の企画、品番等を表すものであるから、使用商標2において自他商品の識別標識として認識されるのは、「クリック」の片仮名及び「Click」の欧文字の部分といえる。
そうすると、これらの片仮名及び欧文字と、「クリツク」の片仮名及び「CLICK」の欧文字を2段に横書きしてなる本件商標とは、片仮名及び欧文字のそれぞれの綴りが同一であり、「クリック」の称呼及び「カチッという音」の観念も同一といえるから、使用商標1及び2と本件商標とは、社会通念上、同一の商標といえる。
イ 包装箱に入った業務用のキッチン用中性洗剤がエコラボ社から天野実業株式会社に譲渡又は引渡しされた2013年(平成25年)10月3日、同じく、エコラボ社からホテル日航金沢に譲渡又は引渡しされた2014年(平成26年)11月28日は、いずれも、要証期間内である。
ウ 使用商標に係る「業務用中性洗剤(合成洗剤)」は、本件審判の請求に係る指定商品中の「せっけん類」の範ちゅうの商品である。
エ してみれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間内に、日本国内において、本件請求に係る指定商品中の「せっけん類」の範ちゅうの「業務用中性洗剤(合成洗剤)」について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたということができる。
(4)むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-09-14 
結審通知日 2015-09-16 
審決日 2015-10-01 
出願番号 商願昭46-111931 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y03)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 中束 としえ
林 栄二
登録日 1973-10-11 
登録番号 商標登録第1037437号(T1037437) 
商標の称呼 クリック 
代理人 奥山 尚一 
代理人 松島 鉄男 
代理人 小川 護晃 
代理人 河村 英文 
代理人 横畑 雅子 
代理人 高橋 菜穂恵 
代理人 有原 幸一 

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