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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1310896 
異議申立番号 異議2015-900214 
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-06-23 
確定日 2016-02-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5754287号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5754287号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5754287号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成26年5月13日に登録出願,同27年2月19日に登録査定,第33類「カオリャンチュー,発泡性果実酒,果実入りアルコール飲料,いちご酒,ラム,リキュール,マッコリ,梅酒,山ぶどう酒,ペパーミントリキュール,なし酒,キルシュ,はちみつ酒,韓国式清酒,ベルモット,へび酒,ニラ(さとうきびを主原料とするアルコール飲料),焼酎,松葉酒,米を原料とする酒,アラック酒,アペリティフ(ビールを除く。),果実のエキス(アルコール分を含むもの),アルコール飲料(ビールを除く。),アルコールエキス(ビール用のものを除く。),アブサン,薬味などを使用したリキュール,薬味酒,五加皮酒,ワインクーラー(ワインをベースにしたカクテル),ミルク入りアルコールカクテル,ウィスキー,ゆず酒,朝鮮人参酒,白酒,ラオチュー,蒸留酒,ジン,清酒,カクテル,コーヒーリキュール,キュラソー,どぶろく,ぶどう酒,合成清酒」を指定商品として,同年3月27日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標について,商標法第4条第1項第16号に該当するものであるから,商標法第43条の2第1項第1号により,その指定商品中の第33類「ウィスキー(英国スコットランド産のウィスキーを除く)」についての登録は,取り消されるべきものである旨申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人について
申立人は,1940年に英国で設立されたスコッチ・ウィスキー産業を代表する非営利団体であり,世界的なスコッチ・ウィスキーの品位及び品質の保持や,模倣品の対策等を目的として,スコットランド国内外を問わず積極的な監視活動を行なっている(甲2)。
そして,出願・登録されている商標について,スコッチ・ウィスキーの品位・品質に誤解を生じさせるおそれが強いと判断するものが発見された場合には,指定商品や使用対象商品を適切に制限するよう出願人や権利者に交渉を申し入れる,さらには異議申立て等を行なって登録の取消を求めるといった活動を鋭意遂行している。
2 商標法第4条第1項第16号が適用されるべき点について
(1)本件商標について
ア 本件商標は,図形部分と文字部分とが視覚上分離して把握される態様であり,それらについて格別に強い結びつきを想起させる他の事情は伺えず,図形部分と文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない。
そうすると,本件商標は,「MACKISS」の文字のみをもって取り引きに資される場合も決して少なくないといえる。
イ 本件商標のうち,文字部分に含まれる「MAC」の文字について見るに,ジョージ・F・ブラック著「The Surnames of Scotland スコットランドの姓名,その起源,意味,歴史」(スコットランド人名事典)の「MAC」の項目(447項)によれば,「MAC」とはゲール語起源のスコットランドの姓に見られる接頭語であり,「息子」を意味し,しばしば「Me」又は「M’」と略される(甲3)。「MAC」で始まる姓としては,マクドナルド(McDonald),マッカーサー(MacArthur)等が我が国でも良く知られており,上記にしたがえば,それぞれ「ドナルドの息子」,「アーサーの息子」程の意味になる。この「MAC」がスコットランド系の姓に特有の接頭語であることについては,日本で発行されている辞書にも記載されている(甲4)。
ウ 甲第5号証の「クランとタータン」の項目(58項)によれば,スコットランドには,18世紀中ごろまでクラン(Clan)と呼ばれる氏族共同体が存在した。これは,同一の祖先から出て,同一の血統に属し,一定地域内に居住し,同一の姓を名乗り,共通の利害関係を有する共同体であった。これを象徴するのが,種々の色と幅の線の交差が織りなす格子模様「タータン」と,「名字」なのである。
そして,この名字の語頭につく「MAC」こそが,故郷を離れ異国の地にあってもスコットランドに起源を持つ氏族の一つに所属していることを示す証であり,彼ら氏族にとって重要な意味を持つ語とされている。
甲第5号証の「名字のはなしSurnames」の項目(62頁及び63頁)によれば,上記クランは,構成員数の規模によってランク分けされ,構成員が多く最も強大とされるランク1のクランに「MAC」とつく名字は多く,そのような名字であれば,先祖の誰かがスコットランド出身と考えて略間違いない旨の記載がある。このことからも,「MAC」を語頭に有する名字がスコットランドを象徴する姓であり,スコットランドときわめて結びつきの強い語であることがわかる。
(2)スコッチ・ウィスキーとその取引の実情
ア スコッチ・ウィスキーは,我が国でも世界5大ウィスキーの一つと数えられており,長年その人気が支持されてきたものである。
「スコッチ・ウィスキー」の定義は,英国の2009年スコッチ・ウィスキー規則によって細かく定められているが,該規則の第3条(1)において,「スコッチ・ウィスキー」と称するには,「スコットランドにおいて製造されたウィスキーであること」が必要とされている(甲6)。
イ 現在,スコッチ・ウィスキーには多くの銘柄が存在しているが,前述のように「スコッチ・ウィスキー」とは,必ず「スコットランドにおいて製造されたウィスキー」を意味することから,間違いなくスコットランド産であることや,スコットランド産であることを強く訴求する目的で,該商品名には,スコットランドに所縁の深い文字(すなわち,スコットランドを象徴する名字等)や図形が多数採用されている。
ウ 甲第7号証は,「MAC」を語頭に有する商品名を冠したスコッチ・ウィスキーの商品ラベルの写しを各種集めたものであるが,ここに挙げられるだけでも,「MACAWBER」,「MacAndrew’s」,「Mackay’s」,「MACKENZIE」,「MACGREGOR’S」,「THEMACKENZIE」,「MACFARLANE」,「MACNAIR’S」,「MACKINLAY’S」,「MACKINNON」等,多数存在していることが一目瞭然である。
「MAC」を語頭に有する名字がスコットランドに所縁の深い文字であるからこそ,スコットランドにおいてのみ製造されたウィスキーであることを求められるスコッチ・ウィスキーの商品名として採用されている背景事情が大いに理解できる証左である。
エ 加えて,「MAC」を語頭に有する上記商品名は,略間違いなく「SCOTCH WHISKY」,「PRODUCT OF SCOTLAND」あるいは「BOTTLED IN SCOTLAND」等の文字と併せてラベルに表示されている。
なお,特に我が国でも親しまれている代表的なスコッチ・ウィスキーとしては,「The MACALLAN(ザ・マッカラン)」が挙げられる。
該銘柄(商標)は,我が国は勿論,世界的にも著名なブランドとなっている。
オ 甲第8号証の「世界の酒類辞典」によれば,103頁及び104頁に上記「The MACALLAN」の特集が組まれており,105頁には11種類に及ぶ「The MACALLAN」のシリーズ製品が掲載されている。
カ 甲第9号証は,我が国の最大手インターネットショッピングモール「楽天市場」において,「洋酒」及び「スコッチ」にジャンルを絞って「ザ・マッカラン」と検索した結果の写し(抜粋)である。
これによれば,「ザ・マッカラン」だけで全792件もの商品がヒットしている。「The MACALLAN(ザ・マッカラン)」はスコッチ・ウィスキーの商品名として,我が国の需要者・取引者に相当程度浸透していることが伺える。
キ 甲第10号証は,我が国において権威ある名酒事典である。
これによれば,「The MACALLAN」は勿論,「MacArthur’s」,「The Original MACKINLAY」や「WHYTE &MACKAY」など,「MAC」を語頭に有する商品名のスコッチ・ウィスキーが,商社等によって我が国に輸入されている。
(3)商品の品質の誤認を生じるおそれ
以上のように,スコッチ・ウィスキーは,英国スコッチ・ウィスキー規則によって産地,品質,原材料等が厳然と定義されているのであり,スコットランド産以外のスコッチ・ウィスキーは存在しないこと,「MAC」を語頭に有する名字はスコットランドにおいて由緒正しい歴史があり,該語はスコットランドに所縁の深いものであること,スコッチ・ウィスキーの商品名にはスコットランドに所縁のあるものや,スコットランドを象徴するものが圧倒的に多数採択されているという事実があること等を総じて鑑みれば,「MAC」を語頭に有する商品名が使用された商品(特に,ウィスキー)を目にした需要者や取引者は,該商品が恰も「スコットランドを産地とするウィスキー」あるいは「スコッチ・ウィスキー」であるかの如く産地,品質,原材料等について誤認混同するおそれがきわめて強いと断言せざるを得ない。
本件商標は,第33類に属する商品である「ウィスキー」を指定しているところ,本件商標権者がこれを「スコットランド産のウィスキー以外のウィスキー」に使用するときは,該商品の需要者や取引者に「スコットランドを産地とするウィスキー」あるいは「スコッチ・ウィスキー」であるかの如く商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,その指定商品中の第33類「ウィスキー(英国スコットランド産のウィスキーを除く)」について,商標法第4条第1項第16号に該当するものである。

第3 当審の判断
1 申立人が提出した証拠等によれば,以下のとおりである。
「MAC」の文字は,ゲール語起源のスコットランドの姓に見られる接頭語で,「息子」を意味するものであり(甲3ないし甲5),「スコッチ・ウィスキー」の定義は,「The Scotch Whisky Regulations2009」(和文抄訳)によれば,スコットランドで生産されたウィスキーを意味する(甲6)。
そして,「スコッチ・ウィスキー」のラベルには,「MAC」,「Mac」,「Mc」の文字を商品名に冠したものが多数あり,スコッチ・ウィスキーの「The MACALLAN(ザ・マッカラン)」は,日本の「世界の酒類事典」に掲載され,インターネットにおいて販売されており,「MAC」,「Mac」の文字を商品名に冠したスコッチ・ウィスキーが「世界の名酒事典」に複数,掲載されている(甲7ないし甲10)。
しかしながら,これらの証拠からは,「MAC」,「Mac」及び「Mc」の文字が,本件商標の登録査定時において,商品「ウィスキー」の産地(英国スコットランド産)を表すものとして使用されている事実を見いだすことができず,該商品の取引者,需要者が,商品「ウィスキー」の品質を表すものとして認識するものとすべき事情も見当らない。
また,当審において職権により調査するも,該文字が,「英国スコットランド産のウィスキー」を表すものとして我が国の取引者,需要者に認識されているとすべき実情は見いだせない。
そうとすれば,「MAC」,「Mac」及び「Mc」の文字は,商品「ウィスキー」の産地及び品質を表示するものということができない。
2 商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は,別掲のとおり,複数の色彩を用いて円錐のバネ状の図形を表し,その下段に,「MACKISS」の欧文字を表した構成態様からなるものであるところ,その構成中の「MACKISS」の文字部分からは,「マックキス」の称呼を生じ,該文字は,特定の語義を有しない造語といえるものであるから,特定の観念を生じないものである。
申立人は,本件商標の構成中の「MAC」の文字部分について,「MAC」を語頭に有する商品名が使用された商品(特に,ウィスキー)を目にした需要者や取引者は,該商品が恰も「スコットランドを産地とするウィスキー」あるいは「スコッチ・ウィスキー」であるかの如く産地,品質,原材料等について誤認混同するおそれがきわめて強い旨主張する。
しかしながら,前記1に記載のとおり,申立人が提出した証拠等からは,「MAC」の文字が,商品「ウィスキー」の産地(英国スコットランド産)及び品質を表すものということはできないものであるから,本件商標の「MACKISS」の欧文字は,その構成文字全体をもって把握され,認識されるものというべきである。
そうとすれば,本件商標は,これを登録異議の申立てに係る第33類「ウィスキー(英国スコットランド産のウィスキーを除く)」について使用をしても,「英国スコットランド産のウィスキー」であるかのように,商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標の指定商品中,登録異議の申立てに係る第33類「ウィスキー(英国スコットランド産のウィスキーを除く)」についての登録は,商標法第4条第1項第16号に違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲 (本件商標,色彩の詳細は原本参照。)





異議決定日 2016-01-29 
出願番号 商願2014-37810(T2014-37810) 
審決分類 T 1 652・ 272- Y (W33)
最終処分 維持 
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 平澤 芳行
田中 亨子
登録日 2015-03-27 
登録番号 商標登録第5754287号(T5754287) 
権利者 株式会社ザマッキスカンパニー
商標の称呼 マッキス、マッキッス、マックキス、マックキッス 
代理人 永露 祥生 
代理人 伊東 美穂 
代理人 長谷川 綱樹 
代理人 アイ・ピー・ディー国際特許業務法人 
代理人 初瀬 俊哉 
代理人 小谷 武 
代理人 木村 吉宏 
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