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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
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管理番号 1310893 
異議申立番号 異議2014-900330 
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-12-03 
確定日 2016-02-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5699087号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5699087号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5699087号商標(以下「本件商標」という。)は、「NaYaN」の欧文字を標準文字で表してなり、平成26年4月10日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボン吊り,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年8月4日に登録査定、同年9月5日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録第5307110号商標(以下「引用商標」という。)は、「NAYA」の文字を欧文字で書してなり、2009年9月3日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成21年10月7日に登録出願、第18類「かばん金具,がま口口金,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革,がま口(貴金属製のものを除く。),財布(貴金属製のものを除く。),ハンドバッグ,スポーツバッグ,キャリーバッグ,ダッフルバッグ,バックパック,書類入れかばん,シューズバッグ,トラベルバッグ,トートバッグ,その他のかばん類,その他の袋物」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,帽子」を指定商品として、同22年3月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「NaYaN」の文字を標準文字で表してなる商標であるから、「ナヤン」の称呼が生じ、また、「NaYaN」の文字は造語であるから、特定の観念は生じない。
一方、引用商標は、「NAYA」の文字からなる商標であり、「ナヤ」の称呼が生じ、また、「NAYA」の文字は造語であるから、特定の観念は生じない。
そこで、両者の称呼を検討するに、両者は、称呼において識別上重要な要素を占める語頭音を含む「ナヤ」の2音を共通にし、語尾の「ン」の有無の点が異なるのみである。
そして、「ン」の音(撥音)は、「子音だけで母音を含まないため、上につく音節といっしょにして一音節と数える」(日本文法用語辞典・初版)ものであり、鼻音である(広辞苑第5版)から、その発音に際しては強調されることがなく、極めて聴取しにくい音といわざるを得ない(知財高裁平成17年(行ケ)第10565号)。
したがって、本件商標から生じる称呼と引用商標から生じる称呼は、取引者、需要者が聞き誤るおそれのある極めて類似するものというべきである。
また、本件商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似のものである。
以上より、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定商品も引用商標に係る指定商品と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第10号について
(1)引用商標の周知性について
申立人は、1875年米国に設立された紳士靴・婦人靴・その他各種の履物の製造販売を行うメーカーであり、1961年より株式会社リーガルコーポレーションとの技術導入契約を締結し、日本において履物の製造販売活動を展開している(甲3)。
本件商標の登録出願日前に、引用商標を付した履物が紹介された記事と、申立人のインターネット公式ウェブサイトにおいて、引用商標を付した履物を紹介し、販売している事実がある(甲4ないし甲6)。
インターネットのウェブサイトにおいて、複数の業者が引用商標を付した履物を販売している事実があるから(甲7ないし甲9)、引用商標に係る商品は、日本国内において人気があり、売れる商品であって、少なくとも「履物」に係る取引者・需要者の間において、引用商標を知らない者はいない程、引用商標は周知である。
申立人は、米国、韓国、オーストラリア、ベネルックス、ブラジル、アラブ首長国連邦、モロッコ、マカオ、中国の各国又は地域において商標「NAYA」を「履物」その他について登録(出願)している事実がある(甲10ないし甲20)。申立人は、引用商標を正当かつ適正に使用するために、世界各国において商標登録を行い、商標を厳重に管理している。
引用商標を付した履物の売上高は、2011年は18,286ドル、2013年は94,323ドル、2014年は現在の集計で11,598ドルとなっている(甲21)。
引用商標を付した履物の出荷先リスト一覧の一部において、2010年1月20日から2012年4月11日までの出荷について記載されている(甲22)。
(2)本件商標と引用商標の称呼及び商品の類似について
本件商標から生じる「ナヤン」の称呼は、実質「ナヤ」の2音節ということができるから、「ナヤ」の2音節の称呼が生じる引用商標とは、称呼において類似する。また、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る商品とは、少なくとも「履物」において同一又は類似する。
(3)結論
上述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願日前より、申立人の業務に係る商品「履物」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。そして、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、「履物」又はそれに類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

3 商標法第4条第1項第15号について
(1)商標の類似性について
上述のとおり、本件商標と引用商標は、その類似の程度が高いものである。
(2)引用商標の周知性について
引用商標は、甲第3号証ないし甲第22号証で証明したとおり、本件商標の登録出願日前より、申立人の業務に係る商品「履物」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。
(3)混同を生ずるおそれについて
本件商標に係る指定商品は「被服,ガーター,靴下止め,ズボン吊り,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」であり、申立人の引用商標は、前記2のとおり、婦人用の「履物」について使用されている。
そして、ブランド価値が高まり、企業が一つのブランドで多種多様な商品を開発・販売する現在においては、被服やベルト等を販売する多くの業者が、履物も取り扱っていることは周知の事実である。
また、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る商品は、同一又は互いに極めて関連性の深い商品といえ、商品等の取引者及び需要者が共通性を有することも明らかである。
そうすると、取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に本件商標の登録出願時及び登録査定時における混同を生じるおそれを判断するならば、本件商標をその指定商品について使用したときは、引用商標が強く連想され、申立人又は申立人と関係のある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当する。

第4 当審の判断
申立人は、本件商標が商標第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当すると主張しているので、以下、検討する。

1 引用商標の周知性について
(1)申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 申立人は米国の履物の製造販売を行うメーカーであり、申立人と技術導入契約をした株式会社リーガルコーポレーション(以下「リーガル社」という。)のウェブサイトにおいて、2013年(平成25年)に「Naya by naturalizer」(以下「使用商標1」という。)が履物の宣伝広告に使用された(甲3、甲6)。
イ 「Naya」(以下「使用商標2」という。)に関する履物の紹介記事(英語)があるほか、我が国において申立人以外の者によって使用商標2を使用した履物が輸入品として販売されている(甲5、甲7ないし甲9)。また、使用商標2を使用した履物の売上高は、2011年、2013年及び2014年の約3年間の集計で124,207ドルあるとの記載があり、その出荷先リストには、「Naya」の文字とCountry(国名)等の記載がある(甲21ないし甲22)。
ウ 米国等海外において、申立人によって「NAYA」等の商標が出願、登録されている(甲10ないし甲20)。
(2)しかしながら、引用商標と同じ綴りを含む使用商標1については、履物の宣伝広告がリーガル社によって1度行われたことがうかがえるにすぎず、また、引用商標と同じ綴りの使用商標2については、履物の売上高が約3年間で約1,500万円(1ドル=120円とする。)あったことがうかがえるものの、一般的な履物の市場における取引全体に対する引用商標を使用した申立人商品の売上は決して高いものということもできない上、そもそも出荷リストによればCountry(国名)の欄に「CN」と記載され、我が国にどの程度出荷されていたかを把握することができない。
さらに、本件商標の登録出願日前までの、我が国における引用商標を使用した申立人商品のシェア、宣伝広告の態様、期間等を具体的に把握し得る証拠の提出はない。
そうすると、引用商標が、申立人の商品「履物」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

2 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標について
本件商標は、「NaYaN」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、辞書等に掲載されていないものであり、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものであるから、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って、「ナヤン」の称呼を生じ、また、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「NAYA」の欧文字を書してなるところ、その構成文字は、辞書等に掲載されていないものであり、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものであるから、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って、「ナヤ」の称呼を生じ、また、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標を比較すると、両商標は、外観において、それぞれ比較的短い5文字と4文字の構成にあって、2文字目及び4文字目の「a」と「A」並びに5文字目の「N」の有無において、区別し得る差異を有するから、相紛れるおそれはないものである。
また、称呼においては、本件商標から生じる「ナヤン」の称呼と引用商標から生じる「ナヤ」の称呼を比較すると、語尾において「ン」の音の有無という差異を有し、前者は3音、後者は2音という短い音構成において、「ン」の音の有無の相違が両称呼全体に与える影響は大きく、それぞれを一連に称呼するときは、語調、語感が相違し、明瞭に聴別し得るというべきである。
さらに、観念においては、本件商標及び引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、相紛れるおそれはない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

3 商標法第4条第1項第10号該当性について
上記1及び2のとおり、引用商標は、申立人の商品「履物」を表示するものとして我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているとはいえず、かつ、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。

4 商標法第4条第1項第11号該当性について
上記2のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

5 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1及び2のとおり、引用商標は、申立人の商品「履物」を表示するものとして我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているとはいえず、かつ、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想、想起することはなく、該商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

6 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-01-27 
出願番号 商願2014-27954(T2014-27954) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W25)
T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 255- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 南 めぐみ 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 平澤 芳行
大橋 洋子
登録日 2014-09-05 
登録番号 商標登録第5699087号(T5699087) 
権利者 中村 文子
商標の称呼 ナヤン、ナヤエヌ 
代理人 横畑 雅子 

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