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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y42
管理番号 1310814 
審判番号 取消2015-300231 
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-03-31 
確定日 2016-01-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第4977312号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4977312号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4977312号商標(以下「本件商標」という。)は,「MIELKA」の欧文字を標準文字で表してなり,平成18年2月9日に登録出願,第42類「気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,電子計算機の設計に関する情報の提供,電子計算機の設計及び設計に関する助言,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守に関する情報の提供,電子計算機を用いて行う情報処理,電子計算機システムに関するコンサルティング,電子計算機システムの遠隔監視,電子計算機の環境設定・インストール・機能の拡張・変更・追加その他の最適化及びそれらに関する情報の提供,電子計算機用プログラムの設計・作成・環境設定・インストール・機能の拡張・変更・追加・保守その他の最適化及びそれらに関する情報の提供,通信ネットワークシステムの設計・企画,通信ネットワークシステムに関するコンサルティング,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守に関する助言,電子商取引における利用者の認証,電子計算機用データの暗号化,電子計算機を用いて行う電子透かしの埋め込み・除去のための電子データの変換処理,電子計算機用プログラムの故障診断及びウイルス検査,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,電子計算機及び電子計算機用プログラムに関する試験又は研究,電気通信機械器具及びその周辺機器に関する試験又は研究,半導体に関する試験又は研究,半導体製造装置及び半導体測定機器に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,半導体回路配置利用権の利用に関する契約の代理又は媒介,特許情報の提供,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機及び電子計算機用プログラムに関するマニュアルの作成,電子計算機用プログラムの変換及び電子計算機データの変換,電子計算機用プログラムの複製,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機の記憶領域の貸与」を指定役務として,同18年8月11日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成27年4月22日である。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書及び審判弁駁書において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 請求の理由
被請求人の調査によれば,本件商標は,その指定役務について継続して3年以上日本国内において使用されておらず,また,本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。
なお,本件商標には,他人に専用使用権を設定,若しくは通常使用権を許諾した形跡はなく,また登録されていない通常使用権者が本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)に,日本国内で指定役務について本件商標を使用しているとの事実も見いだせない。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証のカタログ及び乙第2号証の紹介資料には,本件商標と同一ないしは社会通念上同一と認められる商標が表示されている。
しかし,これらの資料には,「2006」の年号が記載されている。
本件商標が,ここに記載されている2006年において,本件商標の指定役務に使用されていたとしても,IT業界における目覚しい技術の進歩を考慮した場合,提出される資料に記載された年号が「2006」であることは,本件商標を使用した役務の内容やそれに使用する資料がそれ以後アップデートされておらず,取引量が減り,現在では他の役務に取って代わられていることが容易に推測できる。
(2)乙第4号証については,本件商標は,「GLOVIA業種」という項目の中の9項目のうちの一つとして記載されており,受注や売上が記入される欄は全て隠されているため,実際に取引があったかは確認できず,「MIELKA」の該当欄が「0」の可能性もある状態である。
さらに,このような単純な表は,誰でも容易に作成できる資料であり,これを裏付ける取引書類等がなければ,実際の取引の存在を立証したことにはならない。
(3)乙第3号証については,簡単な表に本件商標が表示されているものの,一部は隠されており,この表の記載事項が具体的に何を意味しているのかが不明である。
例えば,左の列には上の行に「卸 実績処理」と記載され,その下には2014年から2015年にかけての処理月と思われる年月が記載されている。
その右の列の一番上の行には,「卸 主発行年月日」と推定される文字が記載され,その下には2007年の日付が記載されている。
さらに,右の列の一番上の行には,「卸 受注年月日」と推定される文字が記載され,その下には2007年の日付が記載されている。
これらの情報からすると,仮に2007年に受注等の実際の取引があったとしても,それらの事後的な社内処理が2014年から2015年にかけて行われ,2014年から2015年に実際の取引があったかは不明である。
さらに,仮に2007年に実際の取引があったとしても,それを示す数字部分は全て隠されているため,取引の有無は確認できず,2007年の取引の存在の立証ですら,証拠が不十分で確認できない。
そうすると,要証期間に,本件商標がその指定役務に使用されていたことは確認できない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を答弁書において要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)商標法第2条第3項第8号の使用
ア 本件商標権者による本件商標の使用
乙第1号証のカタログ及び同第2号証の紹介資料には,本件商標と同一ないしは社会通念上同一と認められる商標が表示されている。
そして,これらの証拠方法から被請求人である本件商標権者によって本件商標が使用されていることは明らかである。
イ 指定役務についての使用
乙第1号証のカタログ及び同第2号証の紹介資料から明らかなように,被請求人である本件商標権者は,会計処理用の電子計算機用プログラムに本件商標を使用してきた。
しかるに,当初は電子計算機用プログラムを販売(ライセンス)していた。今日,クラウドコンピューティングが盛んになり,クラウドを通じて電子計算機用プログラムの提供が広く行われるようになったことから,請求人も,クラウドを通じてこの電子計算機用プログラムを提供するようになった。
また,電子計算機用プログラムを販売(ライセンス)した場合にも,これを運用するための電子計算機のプログラムの設計・作成,電子計算機の環境設定・インストール・機能の拡張・変更・追加その他の最適化,電子計算機用プログラムの設計・作成・環境設定・インストール・機能の拡張・変更・追加が不可欠である。本件商標も電子計算機用プログラムを販売(ライセンス)のみならず,電子計算機のプログラムの設計・作成,電子計算機の環境設定・インストール・機能の拡張・変更・追加その他の最適化,電子計算機用プログラムの設計・作成・環境設定・インストール・機能の拡張・変更・追加にも使用されていた(乙2:紹介資料16頁)。
以上のとおり,本件商標がその指定役務に使用されていたことは明らかである。
ウ 要証期間の使用
乙第1号証のカタログ及び乙第2号証の紹介資料が提出されたことは,とりもなおさず,現時点でこれら資料が頒布されていることを意味する。
さらに,乙第4号証の2014年4月2日付の2014年3月度アプリケーションの受注/売上状況(中分類別)の表に,本件商標が記載されていることからして,本件商標が使用された電子計算機用プログラムが提供されていたことが明らかである。
また,このことから,乙第1号証のカタログ及び同第2号証の紹介資料が要証期間に頒布されていたことは疑問の余地はない。
エ 以上述べたように,本件商標権者によって,本件商標が使用された「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成,電子計算機の環境設定・インストール・機能の拡張・変更・追加その他の最適化,電子計算機用プログラムの設計・作成・環境設定・インストール・機能の拡張・変更・追加」に関する広告資料が要証期間に頒布されていたことは明らかである。
(2)まとめ
以上のとおり,本件商標は,本件審判の取消請求に係る指定役務について本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標権者によって使用されていたことが,客観的に証明されたものである。
2 その他
被請求人は、平成27年10月16日付け上申書において、「被請求人は、本件における口頭審理には、事情により出席いたしません。したがいまして、口頭審理陳述要領書も提出いたしません。」旨述べており、また、それに先立って、請求人が提出した同年9月14日付けの弁駁書副本を送付しているにもかかわらず,その後,何らの意見及び反論並びに書面等の提出もない。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(1)乙第1号証は,富士通株式会社の「カタログ」であるところ,その1葉目の表紙には,「経営者の意思決定を支援する可視化ソリューション」及び「MIELKA(その下には小さく「ミエルカ」と記載されている)製造業」の文字が表示されている。
そして,裏表紙には,「MIELKAの特長」として,「先進的会計理論(ロット別活動基準原価計算)と最新の情報技術により,経営の意思決定に有効な情報をリアルタイムに提供します。」の記載,及び,「原価の計算がスピーディー」,「あらゆる原価計算パターンの実現」,「短期導入・万全のサポート」等についての記載のほか,「動作環境」として「PCサーバ」,「データベース」の記載,並びに「サービス&サポート」として「プログラムサポートサービス-レベルアップ版提供,情報提供,QA対応」,「スタートアップサービス-動作環境設定支援,パッケージインストール,導入・運用・操作教育」,「インターフェース構築サポートサービス-生産システム,会計システム,予算システムなど,関連システム間のインターフェース構築支援」等についての記載があり,右下部分には「富士通株式会社」及び「CA0471-2006年6月AP」の記載がある。
また,その2葉目の左頁には,「企業の『見える化』を推進し,RTM経営の実現を支援します。」の表示の下,「<経営課題>」として「1.他社との競争に勝つための,『QCD』の向上,自律的組織,キャッシュフロー経営」,「2.株主等利害関係への責任に必要な,『企業統治(日本版SOX法),企業価値の増大要請,業績説明責任』」等の記載があり,右頁には,「業務遂行のためのシステムから,経営意思決定のための情報システムへ」の記載と,そのシステムフロー図の中に,「MIELKA」の表示の下,「データ収集」,「原価計算エンジン」,「アウトプット」等の記載がある。
乙第2号証は,紹介資料とされるものであり,その表紙には,「経営者の意思決定を支援する可視化ソリューションMIELKA」及び「『経営の見える化』,『現場の見える化』の実現にむけて」の表示,及び「富士通株式会社」の記載がある。
そして,2頁以降には,「経営環境の変化」,「頻発する業務課題」,「富士通が提供する経営可視化ソリューション/MIELKA」,「MIELKAの特長」等の項目及びその内容についての説明がある。
(2)乙第3号証は,「売上明細」とされる書面であり,「卸 実績処理」の欄には「201404」等,「卸 受注年月」の欄には,「20070615」,「BG名」の欄には,「民需ビジネス推進室」,「販売方式名」の欄には,「年額」,「型名」の欄には,「A2960BHRM1」,「品名」の欄には,「MIELKA 原価計算エンジン プログラムサポート」及び「MIELKA 製造業/加工組立テンプレート プログラムサポート」などの記載がある。
乙第4号証は,2014年4月2日付けの「システム事業管理部」による「2014年3月度アプリケーションの受注/売上状況(中分類別)」をタイトルとする書面であるところ,「中分類名」の欄に「MIELKA」等の表示があるが,「受注」及び「売上」に関する内容は,黒く塗られている。
2 上記1によれば,以下のとおり判断できる。
本件商標は,「MIELKA」の欧文字からなり,本件商標権者に係る乙第1号証のカタログ(2006年6月現在のもの)及び乙第2号証の紹介資料に表示された「MIELKA」の欧文字は,本件商標と社会通念上同一のものと認められる。
そして,「カタログ」の裏表紙に記載されている,「MIELKAの特長」として,「先進的会計理論(ロット別活動基準原価計算)と最新の情報技術により,経営の意思決定に有効な情報をリアルタイムに提供します。」の記載,及び,「原価の計算がスピーディー」,「あらゆる原価計算パターンの実現」,「短期導入・万全のサポート」等についての記載のほか,「動作環境」として「PCサーバ」,「データベース」の記載,並びに「サービス&サポート」として「プログラムサポートサービス-レベルアップ版提供,情報提供,QA対応」,「スタートアップサービス-動作環境設定支援,パッケージインストール,導入・運用・操作教育」,「インターフェース構築サポートサービス-生産システム,会計システム,予算システムなど,関連システム間のインターフェース構築支援」等についての記載などからすれば,このカタログによって紹介されているのは,「会計処理用の電子計算機用プログラムの提供」の役務及びそれに関連した役務が提供されることを内容とするものであって,上記役務に関する広告と認められるものである。
また,当該「会計処理用の電子計算機用プログラムの提供」の役務及びそれに関連した役務については,本件商標の指定役務中「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成,電子計算機の環境設定・インストール・機能の拡張・変更・追加その他の最適化,電子計算機用プログラムの設計・作成・環境設定・インストール・機能の拡張・変更・追加」の役務についてのものと認められる。
しかしながら,乙第1号証のカタログ(2006年6月現在のもの)及び乙第2号証の紹介資料が,要証期間に頒布又は使用されたことを証明する証拠は提出されていない。
また,乙第3号証の「売上詳細」の「商品」欄に,「MIELKA 原価計算エンジン プログラムサポート」及び「MIELKA 製造業/加工組立テンプレート プログラムサポート」の記載があり,乙第4号証は,要証期間である「2014年3月度アプリケーションの受注/売上状況(中分類別)」をタイトルとする書面であり,その「中分類名」の欄に「MIELKA」の表示はあるが,これらは,被請求人の作成にかかる社内データであって,その客観性が認められないうえ,そのデータの意味するところは不明であって,本件指定役務に関する取引書類ということができず,かつ,「受注」及び「売上」の部分は,黒く塗られており,その受注及び売上の内容等も不明である。
よって,被請求人の提出に係る証拠によっては,本件指定役務について,要証期間における本件商標の使用を裏付ける具体的な取引を立証したものと認めることができない。
その他,本件商標がその指定役務について使用されていることを示す証拠はない。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人の提出に係る証拠からは,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,その指定役務のいずれかについて,本件商標を使用していることを証明したものということができない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-11-24 
結審通知日 2015-11-27 
審決日 2015-12-09 
出願番号 商願2006-10645(T2006-10645) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 清川 恵子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 井出 英一郎
田中 亨子
登録日 2006-08-11 
登録番号 商標登録第4977312号(T4977312) 
商標の称呼 ミエルカ、ミールカ 
代理人 眞島 竜一郎 
代理人 高柴 忠夫 
代理人 志賀 正武 
代理人 青木 篤 

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