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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W30 |
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管理番号 | 1309822 |
異議申立番号 | 異議2015-900242 |
総通号数 | 194 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-02-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-07-17 |
確定日 | 2015-12-28 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5756780号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5756780号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5756780号商標(以下「本件商標」という。)は、「青の」の文字を標準文字で現してなり、平成26年11月6日に登録出願、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと」を指定商品として、同27年4月10日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由の要旨について 商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標について、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであると申し立て、その証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第3条第1項第3号の該当性について 食品関係業界において、「色彩」を示す語は商品の品質表示として普通に使用・認識されているものである。(甲4ないし7)。そして、「の」は連体修飾語としての役目を果たすにすぎないので(甲8及び9)、「色彩」を示す語「青」に「の」を付加した本件商標をその指定商品に使用した場合、その使用商品(例えば、「ピザ」:後述)との結びつきにおいて、その商品の色彩表示、品質表示としての機能しか果たし得ない。 よって、本件商標は商品の品質、原材料等を普通の態様で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)本件商標が色彩表示・品質表示である点について 「青」は「晴れた秋空や藍染めのような色」という色彩を表す語であることはいうまでもないところである。そして、このような色彩は、等級や種類等を識別する標識として一般的に使用されている(甲2ないし9)。 食品についても、色彩は品質を示す語としてよく使用されている。例えば、淡い色の「白ブドウ品種」からつくられるワインを「白ワイン」、「黒ブドウ品種」からつくられる濃い色のワインを「赤ワイン」と呼んでいるのは最も有名な例の一つであろう。最近では、ラーメンのあっさり系のスープを白スープ、こってり系のスープを黒スープと呼んだりする。審査でも、このような点が考慮され、識別力なしとして拒絶されている(甲4)。 食品の原材料の多くが肉、魚、野菜、果物等の自然のものであり、自然のものの持つ色彩はその性質と密接に関係することから、食品と色彩は密接な関係があるからである。そのような関係に鑑み、食品の原材料を色分けして、表示するという考え方は古くからあり、そして、現在でも行われている。 現在有名なものとして、三色食品群と5色バランス健康法がある。三色食品群は、栄養素の特徴により、食品を「赤色群(血液や肉を作るもの)」、「黄色群(力や体温になるもの)」、「緑色群(体の調子を整えるもの)」に分類するものである(甲5)。5色バランス健康法とは、東洋医学の陰陽五行を現代風にアレンジし、食材を5色に分類したものである(甲6)。陰陽五行では、「五味・五色」という(甲7)が、ここでの五色とは、白、黒(紫)、黄、赤、青(緑)をいう(甲7)。すなわち、現代での緑は青という。野菜のうち、ホウレンソウやコマツナ、ネギ、シュンギクなど、特に葉の緑色が濃いものを青物と称するのはここからきている。 このように、食品との関係で、「青」といったら、緑色の食品群の意であり、具体的には、ホウレンソウやコマツナ、ネギ、シュンギクなど、特に緑色が濃い野菜を直感させるものである。このように、「青」は食品との関係では色彩表示であり、また、それが品質表示でもあるのである。 そして、本件商標の「の」は助詞であり、前の語句の内容を後の体現に付け加え、その体言の内容を限定する(岩波書店「広辞苑」第六版)(甲8)。 したがって、例えば、本件商標「青の」を商品「ピザ」に使用した場合には、その需要者は「青の」の後に「ピザ」を加えて認識するものであるから、「青の」からは、緑色の食品群、ホウレンソウやコマツナ、ネギ、シュンギクなどを材料にした「ピザ」の意を直感することになる。 このように、本件商標の「青の」は食品との関係ではその品質を表示するものであるといえる。すなわち、「青の」は本件商標の指定商品に使用された場合、その商品の色彩表示、品質表示としての機能しか果たし得ないのである(参考審決例 甲9)。 実際の取引においても、イカ墨を練り込んだパスタを黒いパスタと呼んだり(甲10)、赤い食材を使用したハンバーガーを「AKAバーガー」、黒い食材を使用したハンバーガーを「KUROバーガー」と称して販売している(甲11)。また、緑色の食品群のひとつであるしそをたっぷり使ったパスタソースが「緑のパスタソース」の表示で販売されている(甲12)。 上述の取引の実情を看た場合、本件商標も実際、指定商品との関係で、その商品の色彩表示、品質表示としての機能しか果たし得ないと考えられる。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は取り消されるべきである。 3 当審の判断 本件商標は、「青の」の文字を標準文字で表したものであり、わずか2文字を同書、同大、同間隔で横書きしてなる構成からなるものであり、その構成全体から生じる「アオノ」の称呼も3音構成という簡潔なものであるから、需要者をして、全体をもって一体不可分に認識されるものといえる。 そして、本件商標は、その構成中の「青」の漢字のみでは、色彩を意味する語であるとしても、その後ろに「の」の平仮名を伴うものであるところ、一般に「の」の文字は前の語句の内容を後の体現に付け加え、その体現の内容を限定する(広辞苑第6版「の(助詞)」参照)働きをするものであるが、本件商標においては、「の」の平仮名の後に、何らかの体言を表す語(例えば、名詞)を置かないままとなっており、何が青色であるのか不明であり、色彩を表示する働きをしているとまではいえないものである。 また、職権をもって調査してみても、かかる態様の文字のみをもって、商品の色彩を表示することが普通に行われている実情までを見い出すこともできなかった。 申立人は、上記2のとおり、食品において色彩は品質を表す語として使用されているとして、淡い色の「白ブドウ品種」からつくられるワインを「白ワイン」、「黒ブドウ品種」からつくられる濃い色のワインを「赤ワイン」と呼んでいる実情や、あっさり系のスープを白スープ、こってり系のスープを黒スープと呼んだりする実情をあげ、また、野菜のうち、ホウレンソウやコマツナ、ネギ、シュンギクなど、特に葉の緑色が濃いものを青物と称するとし、例えば、本件商標を、その指定商品中の商品「ピザ」に使用した場合、その需要者は、緑色の食品群、ホウレンソウやコマツナ、ネギ、シュンギクなどを材料にした「ピザ」の意を直感すると主張する。 しかし、本件商標は、「青の」の文字からなるものであり、申立人の主張における「ワイン」や「スープ」などに相当する物を表す文字は含まれていない。また、「青」の文字のみをもって、ホウレンソウやコマツナ、ネギ、シュンギクなどの緑色が濃い野菜を指称する意味合いを認識し得るとすべき事情を見い出すこともできない。さらに、申立人が主張する事例は、「?の」と表示されている事例ではない。加えて、申立人は、甲第4号証として、商標法第3条第1項第3号によって拒絶された審査事例を提示しているが、該事例も、「?の」という商標の事例ではないから、本件商標とは事案を異にするものといわざるを得ないものである。 そうすると、申立人のかかる主張は、いずれも採用できないものである。 してみれば、本件商標は、その指定商品に使用したときは、その指定商品の品質、色彩を普通に用いられる方法をもって表示しているとまではいうことができないものである。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しないものである。 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2015-12-17 |
出願番号 | 商願2014-93414(T2014-93414) |
審決分類 |
T
1
651・
13-
Y
(W30)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 守屋 友宏 |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 林 栄二 |
登録日 | 2015-04-10 |
登録番号 | 商標登録第5756780号(T5756780) |
権利者 | 東洋水産株式会社 |
商標の称呼 | アオノ、セーノ |