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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W41
審判 一部申立て  登録を維持 W41
審判 一部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1309811 
異議申立番号 異議2015-900157 
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-05-18 
確定日 2016-01-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5740295号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5740295号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5740295号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成26年10月17日に登録出願,第25類「ジャケット,ワイシャツ類及びシャツ,スウェットシャツ,ベスト,ショートパンツ,セーター類,靴下,プルオーバー型セーター及びプルオーバー型シャツ,手袋,外衣及び肌着(運動用のものを除く。),運動用の上着及び肌着,スポーツパンツ,下着,寝巻き類,ドレス,スーツ,スカート,スカーフ,ショール,ネクタイ,ストッキング,帽子,その他の被服,ベルト,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,リストバンド,ヘッドバンド,靴及び運動靴,その他の履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第41類「ゴルフトーナメントに関する興行の企画・運営又は開催,ゴルフに関する教育のためのワークショップ・クリニック・セミナー及び学校の企画・運営又は開催,ゴルフの分野における優秀さを示すための賞による表彰及び奨励,ゴルフに関するイベントの企画・運営又は開催」を指定商品及び指定役務として,同27年1月29日に登録査定され,同年2月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,その指定商品及び指定役務中,第41類「全指定役務」について,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第60号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する登録第5163997号商標(以下「引用商標」という。)は,「CROWN」の文字を標準文字で表してなり,平成19年6月1日に登録出願,第39類「主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く)の代理・媒介又は取次ぎ,旅行の予約,旅行者のための座席の予約,自動車の貸与,観光業務」,第41類「カジノゲーム場の提供,電子計算機端末による通信を用いて行うカジノゲームの提供,その他ネットワークを介したゲームの提供,ゲームセンターの提供,その他の娯楽施設の提供,ナイトクラブの提供,カジノゲーム施設の提供,会議・セミナー・シンポジウム・研修会の企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏(ライブパフォーマンスを含む)の興行の企画又は運営,スポーツ施設の提供,スポーツに関する興行の企画・運営又は開催,美術の展示,庭園の供覧,植物の供覧,動物の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),その他の娯楽の提供」及び第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,宿泊施設の予約の取り次ぎ,宿泊施設に関する情報の提供,カクテルラウンジ・バー・カフェ・スナックバーにおける飲食物の提供,セルフサービス式レストラン若しくはその他のレストランにおける飲食物の提供,ケータリングによる飲食物の提供,その他の飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与」を指定役務として,同20年9月5日に設定登録されたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである。
(2)具体的な理由
本件商標は,その態様においては,欧文字「CROWN」の部分が取引者,需要者の注意を惹き,当該部分が独立して自他役務の出所識別標識として把握,認識されるから,引用商標と同一又は類似の商標であって,その指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
ア 本件商標と引用商標の外観上の対比
本件商標の外観についてみてみると,本件商標は,欧文字「CROWN」を太字で横書きに表し,その上部に該文字と同幅で,略1/2の大きさで「INTERNATIONAL」の文字を,下部に8つの黒塗りした星の図形を配置し,さらに,各構成要素の右上に,それらに覆い被さるように,白抜きでゴルファーの上半身と思しき図が描かれた黒塗りの王冠の図形を配置してなるものである。
前記各構成文字及び図形が,全体として,何らかの特定の意味合いを看取させる等,常に一体不可分のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められない。
本件商標においては,「INTERNATIONAL」の語に比して大きく表示されている「CROWN」の文字,及び,本件商標の右上部に顕著に表されている「王冠(CROWN)の図形」が最も看者の注意を惹くと考えるのが相当であり,本件商標の外観上,「CROWN」及び「王冠(CROWN)の図形」が独立して,出所識別標識として機能するといえる。
他方,引用商標は,欧文字「CROWN」を標準文字で表してなるものである。
そうすると,本件商標と引用商標とは,欧文字「CROWN」を共通にし,外観上相紛れるおそれのある類似の商標と考えるのが相当である。
イ 本件商標と引用商標の称呼上の対比
両商標から生ずる称呼を比較すると,本件商標は,上下二段に併記された「INTERNATIONAL」及び「CROWN」の語を構成に有しており,当該部分からは,「インターナショナルクラウン」との称呼が生ずる。しかしながら,該称呼は12音構成からなるものであり,やや冗長であり,必ずしも一気一連に称呼できるということはできない。
そして,上記構成文字のうち,「INTERNATIONAL(インターナショナル)」は,「国際間の」等を意味する語であり(広辞苑第六版),我が国において,企業が国際的に業務を行っていることを示唆する語としてよく使用され,また,本件商標の指定役務の分野においても,例えば,「アコムインターナショナル」「カリフォルニア インターナショナル ゴルフ アカデミー」などのように,ゴルフトーナメントの名称やゴルフ学校の名称として普通に使用されている(甲4?甲9)ことから,自他商品・役務の識別力が弱い語といえる。
そのうえ,「CROWN」の文字は,本件商標中,大きく太字で最も顕著に表されているから,本件商標は,該文字から「クラウン」の称呼も生ずると考えるのが相当である。
このことは,過去の審決(甲10?甲12)からも裏付けられる。
他方,引用商標からは,「クラウン」との称呼が生ずる。
そうすると,本件商標と引用商標は,称呼「クラウン」を共通にし,称呼上相紛れるおそれのある類似の商標と考えるのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の観念上の対比
本件商標を構成する「INTERNATIONAL/CROWN」の文字部分からは,「国際的な王冠」程度の意味合いも生じ得るが,上述のとおり,「INTERNATIONAL」は,自他役務識別機能を発揮し得ないか,発揮し得たとしても,それは極めて弱いものである。
してみれば,「CROWN」の文字部分から,単に「王冠」の観念も生ずると考えられる。
また,本件商標においては,「白抜きでゴルファーの上半身と思しき図が描かれた黒塗りの王冠の図形」も需要者等の注意を惹く部分として顕著に表されている。該図形要素のうち,「ゴルファーと思しき白抜きの図形」部分は,本件登録異議の申立てに係る指定役務である第41類「全指定役務」(以下「本件申立役務」という。)の内容を記述的に表すにすぎない。そして,「黒塗りの王冠の図形」からは,一見して容易に「王冠」が想起されるから,当該部分からも「王冠」との観念が生ずる。
他方,引用商標からは,「王冠」の観念が生ずる。
そうすると,本件商標と引用商標は,観念「王冠」を共通にし,観念上も相紛れるおそれのある類似の商標と考えるのが相当である。
エ 本件申立役務と引用商標の指定役務の対比
本件申立役務は,いずれも引用商標の指定役務である「スポーツに関する興行の企画・運営又は開催」「会議・セミナー・シンポジウム・研修会の企画・運営又は開催」などと役務の提供の手段・目的・場所,需要者の範囲,業種等を共通にし,互いに類似の役務である。
オ 申立人が使用する商標「CROWN」
(ア)申立人は,1988年に設立された,オーストラリアのシドニーに所在する「クラウン・エンターテインメント・コンプレックス」を運営するオーストラリアの法人である。同コンプレックスは南半球最大の規模のカジノ施設,並びに複数のホテル,イベント・会議施設,小売店,娯楽施設(レストラン,ナイトクラブ,映画館他)からなり,毎年1,600万人(毎週30万人以上)が来訪する,オーストラリア・ビクトリア州で最も観光客を集めるスポットである(甲13)。
申立人の関連会社は,現在,オーストラリアのパースで「クラウン・パース・エンターテインメントコンプレックス(the Crown Perth Entertainment Complex)」を運営し,他の関連会社はマカオにおいて統合リゾート施設「シティ・オブ・ドリームズ(City of Dreams)」「アルティラ・マカオ(Altira Macau)」を所有・運営し,両社とも申立人の許諾の下,商標「CROWN」を使用している(甲13)。
また,申立人は,他に英国,米国において,最高級のカジノ施設などを運営している。
なお,申立人及び関連会社は,現在,オーストラリアのシドニーに6つ星ホテルリゾート「Crown Sydney」を建設中であり,フィリピンのマニラにカジノ,ホテル等からなるコンプレックスの建設プロジェクトを進行中である(甲13)。
現在,「CROWN(クラウン)」ブランドを冠したホテルは,オーストラリア,マカオ,フィリピンに存在し,南半球最大のホテル・娯楽施設等からなる複合施設であるクラウン・エンターテインメント・コンプレックスを筆頭に,6つ星ホテルである3つのクラウン・タワー(CROWN TOWERS),5つ星ホテルであるクラウン・メトロポール(CROWN METROPOL)及び4.5星ホテルであるクラウン・プロムナード(CROWN PROMENADE)がオーストラリアに所在する(甲13)。
(イ)申立人は,自己の事業の宣伝広告のために多額の費用を費やしており,2009年以降は,毎年1,000万豪ドル(約9.2億円)を投じている(甲13)。
その結果,申立人は,オーストラリア及びマカオを中心に,アメリカ合衆国,ヨーロッパでカジノや宿泊施設等が備わったコンプレックスやカジノ施設を運営しており,これらの事業を表す商標として「CROWN」の語は世界的に知られている。
また,申立人が運営するゲーミング(カジノ)施設,ホテル,レストラン・スパ施設等は,様々なランキングにリストアップされ,「CROWN」を冠した申立人の施設は,オーストラリアで最も賞が授与された観光地(スポット)としての地位を確立している(甲13,甲14)。
このような弛まぬ企業努力の結果,申立人は,1994年度(6月決算)の4.1億豪ドル(約378億円)以降,2013年度の20.7億豪ドル(約1,897億円)まで,オーストラリアにおいて計250億豪ドル(約2.3兆円)以上の収益を上げている(甲13)。
(ウ)申立人は,商標「CROWN」及びこれに化体した世界的な信用を保護するため,世界各国で商標登録を得ている(甲15?甲52)。
申立人は,日本において,未だ,ホテルその他の事業を行っていない。しかしながら,申立人がオーストラリアやマカオをはじめとし世界各国で提供しているホテル,カジノその他の娯楽事業,及びその事業に用いられる商標「CROWN」は,我が国の海外旅行愛好家や,カジノ等の娯楽サービスのファンを中心に,日本人の間でも相当程度広く知られている。
例えば,2006年1月に,毎回3万部が発行される季刊誌「CASINO Japan」に申立人が運営する施設が大々的に紹介された(甲53)。
また,2002年12月に日経新聞に,2013年7月にロイターに,2014年12月に朝日新聞DIGITALに,及び2014年11月に東京経済ONLINEに,それぞれ申立人に係る記事が掲載され,これらの記事では申立人を単に「クラウン」と称しており(甲54?甲57),我が国における娯楽事業やホテル事業において,「クラウン(CROWN)」の語が申立人を指す名称(略称)として,相当程度広く知られていることの証左ということできる。
さらに,テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」では,2014年7月にカジノ特集として,南半球最大のカジノと言われる「クラウン・メルボルン」の紹介と申立人の親会社のCEOのインタビューなどが放送され,当時,日本でも,申立人の動向に注目が集まっていたことを理解することができる。
上述のとおり,申立人は未だ我が国において事業を行ってはいないが,カジノ解禁の機運の高まりの中,頻繁に申立人(ないしその名称(略称))が新聞,雑誌の記事で取り上げられており,申立人が娯楽分野をはじめとする需要者の間で相当程度認知されていることは以上のとおりである。
(エ)加えて,オーストラリアはツーリズムも盛んであり,日本の観光客にとっても人気の国の一つである。日本の海外旅行愛好家は,インターネットの第三者によるホテル予約システムを通じて容易に予約することができ,同システムを通じて数多くの日本人観光客が,申立人が運営するホテルを利用している。
2012-2013年度のオーストラリアへの外国人観光客のうち,日本人の観光客数は約31万人で,ニュージーランド,中国等に次いで第6位であり,2002-2003年度の日本人旅行者数約61万人(当時第2位)の約半分の数字である。
日本人旅行者数の減少には諸事情があると考えられるが,全体の旅行者数が減少する一方で,日本からの申立人のオーストラリアにおける施設の利用者(滞在者)は,2008年の1,522組から,2009年1,053組,2,010年1,630組,2011年2,047組,2012年2,042組,2013年2,457組,2014年2,555組と近年増加傾向にある。
これは,ひとえに申立人の企業努力の賜物である。例えば,申立人の運営する宿泊施設は,第三者によるホテル予約システムを通じて予約をすることが可能であるが,申立人は,日本語で予約・問合せをすることが可能な日本人旅行者向けの専用電話を設置している(甲59)。これにより,日本人旅行客は,空港に到着後,滞在中から帰国時まで,申立人によるきめ細やかなサービスを受けることができる。
また,申立人が運営する施設は,カジノとリゾートの情報サイトである「リゾカジ」で娯楽サービスの日本人ファン向けに紹介されているが,日本人ハイエンド顧客向けにプレミアムサービスも用意されている(甲60)。
かかる弛まぬ企業努力の結果,申立人は,日本において事業を行っていなくとも,日本人顧客(海外旅行の愛好家やカジノファン等)をはじめとする需要者間で相当程度認知され,そのブランドである「CROWN(クラウン)」は,高い名声,評価,信用を獲得するに至っている。
カ 本件商標と引用商標の類否判断手法
商標の類否について,最高裁判決(平成19年(行ヒ)第223号)等の判示内容に基づいて検討することとする。
上記アないしウで検討したとおり,本件商標と引用商標は,「クラウン;王冠」の称呼・観念において類似する商標であり,また,本件商標中「CROWN」の文字部分が独立して出所識別標識として機能するといえるから,外観上も類似の商標である。
申立人の商標「CROWN」は,世界各国において高い名声,評価,信用を獲得しており,日本の需要者の間でも相当程度認知されていることは,上記オで述べたとおりである。
してみれば,本件商標中,申立人の商標と同一である「CROWN」の部分は,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く,支配的な印象を与えるものと認められる。これに加え,当該文字部分は,他の構成文字に比して顕著に大きく表示されているから,より一層強く支配的な印象を与えるといっても過言ではない。
他方で,本件商標を構成する「INTERNATIONAL」の文字は,自他商品役務の識別力が弱い語であり,出所識別標識としての称呼,観念が生じないと考えるのが相当である。
してみれば,本件商標は,外観,称呼,観念のいずれにおいても,引用商標と相紛れるおそれのある類似の商標であることは明らかであり,その他に,両商標間で出所の混同が生ずるおそれがないとすべき特段の取引実情も認められない。

3 当審の判断
(1)引用商標及びその周知性について
ア 引用商標は,上記2(1)のとおり,「CROWN」の文字からなるところ,該文字は,「王冠」等の意味を有するものであるから,これよりは,「クラウン」の称呼及び「王冠」の観念を生じるものである。
イ そして,申立人提出の証拠及び同人の主張によれば,申立人及びその関連会社がオーストラリアを中心に,マカオ,フィリピン等において,ホテルやカジノの施設に「CROWN」の商標を使用していることが窺えるものであり(甲13),また,申立人がオーストラリア,マカオ,フィリピン等の国において「CROWN」又は該文字を含む38件の登録商標を保有していること,及び申立人の施設等が多数の賞を受賞していることが認められるから(甲14?甲52),引用商標と構成文字を同じくする商標「CROWN」(以下「使用商標」という。)は,申立人の業務に係る役務を表示するものとしてオーストラリアなどの国における需要者の間に一定程度認識されているものと推認できる。
しかしながら,申立人は,我が国において事業を行っていないこと,我が国において申立人に係る記事が新聞等に掲載されたのは2002年ないし2014年の間で合計6回のみであること(甲53?甲58),及び申立人が主張する我が国から申立人のオーストラリアの施設の利用者(滞在者)の数が事実だとしても,その数は2008年以降で最も多い年である2014年で2,555組と決して多いとはいえないものであって,その数を裏付ける証拠がないことからすれば,申立人商標及びそれと構成文字を同じくする引用商標「CROWN」は,いずれも申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)本件商標について
ア 本件商標は,別掲のとおり,「白抜きでゴルファーの上半身と思しき図が描かれた黒塗りの王冠」の図形(以下「王冠図形」という。),「INTERNATIONAL」,「CROWN」の文字及び「8つの黒塗りの星」の図形(以下「星図形」という。)からなるところ,その構成は,一見して「INTERNATIONAL」,「CROWN」の文字と星図形の構成要素に覆い被さるように王冠図形が描かれ,まとまりよく一体的に表されたものと看取されるものである。
また,本件商標は,その構成中の「INTERNATIONAL」「CROWN」の文字から「インターナショナルクラウン」の称呼を生じるものであり,その称呼はさほど冗長でなく一気一連に称呼し得るものといえる。
イ 申立人は,本件商標はその構成中「CROWN」の文字部分及び王冠図形部分が需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える旨主張し甲各号証を提出している。
しかしながら,該証拠によれば,「INTERNATIONAL」の語が自他商品・役務の識別力が弱いものであることは認められるものの,引用商標は,上記(1)のとおり,我が国の需要者の間で広く認識されているものと認められないものである。
そして,「INTERNATIONAL(インターナショナル)」の語は,本件申立役務の分野において他の語と結合しゴルフトーナメントの名称やゴルフ学校の名称中に普通に使用されていること(甲4?甲9),また,「CROWN」の語は,親しまれた既成語であること,「CROWN」の文字と王冠図形はいずれも「王冠」に関連するものであること,及び審決例(甲10?甲12)は,事案を異にするものであることを併せみれば,本件商標は,その構成中「CROWN」の文字及び王冠図形が独立して自他役務識別標識としての機能を果たすというより,むしろ,その構成全体として「INTERNATIONAL CROWN」という一つのゴルフトーナメント,又はゴルフ学校の標章を表したものと認識されることが少なくないものと判断するのが相当である。
よって,申立人の上記主張は採用できない。
ウ さらに,本件商標の構成中「CROWN」の文字が取引者,需要者に対し,商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると,本件商標は,その構成全体が一体不可分のものとして捉えられるものであって,その構成中の「INTERNATIONAL CROWN」の文字に相応して、「インターナショナルクラウン」の称呼のみを生じるものといわなければならない。また,観念については,ゴルフトーナメント又はゴルフ学校の標章と認識されるとしても,特定された観念が想起されるとまではいえないから,本件商標は,特定の観念を生じないものといわなければならない。
(3)本件商標と引用商標の類否
そこで,本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,両者は,図形の有無などその構成において相違するものであり,また,本件商標の構成中「INTERNATIONAL/CROWN」の文字部分と引用商標の比較においても,「INTERNATIONAL」の文字の有無に明らかな差異を有し,外観上,十分に区別できるものである。
称呼においては,本件商標から生じる「インターナショナルクラウン」の称呼と引用商標から生じる「クラウン」の称呼とは,「インターナショナル」の音の差異を有するものであるから,両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは,両商標は,称呼上,明らかに聴別できるものである。
さらに,観念においては,本件商標は特定の観念を生じないものであるから,本願商標と引用商標とは,観念上,相紛れるおそれがあるということはできないものである。
そうすれば,本件商標と引用商標とは,外観において十分に区別できるものであり,また,称呼及び観念においても相紛れるおそれがないものであるから,両者の外観,称呼及び観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
また,その他,本件商標と引用商標とが類似するとすべき理由は見出せない。
してみれば,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標は,その指定役務中,その申立てに係る指定役務について,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)



異議決定日 2015-12-24 
出願番号 商願2014-87676(T2014-87676) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (W41)
T 1 652・ 261- Y (W41)
T 1 652・ 262- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 椎名 実 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 井出 英一郎
榎本 政実
登録日 2015-02-13 
登録番号 商標登録第5740295号(T5740295) 
権利者 レディス プロフェッショナル ゴルフ アソシエイション
商標の称呼 インターナショナルクラウン、クラウン 
代理人 特許業務法人きさ特許商標事務所 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 北口 貴大 
代理人 城山 康文 

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