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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 033
管理番号 1309739 
審判番号 取消2015-300137 
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-02-26 
確定日 2016-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4423415号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4423415号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4423415号商標(以下「本件商標」という。)は、「夢」の漢字を書してなり、平成8年11月1日に登録出願、第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として、同12年10月6日に設定登録され、その後、同22年8月3日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の平成27年4月27日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対し、以下のとおり弁駁する。なお、以下、特に明示しない限り、括弧書きで示す頁数及び行数は答弁書における頁数及び行数を示す。
(1)被請求人の主張について
被請求人は、答弁書において概ね以下のとおり主張する。
ア 被請求人は、本件商標について、これをアサヒビール株式会社(以下「アサヒビール社」という。)へ使用許諾した。
アサヒビール社は、乙第4号証、乙第5号証及び乙第7号証において、“本件使用標章”を使用した(なお、答弁書においては、同書で用いられている「本件使用標章」の用語が定義されていないが、 7頁7行?9行目によれば、「本件使用標章」とは、「キャンペーン名称の『“ウイスキーの夢”』及びキャンペーン商品『竹鶴ピュアモルト700ml』の内容を宣伝紹介する『「夢」「の結晶を」「味わう」』等である」とのことである〔下線部は請求人代理人。〕。そこで、以下では、上記下線部を以て「本件使用標章」と総称し、前者の「“ウイスキーの夢”」を「本件使用標章1」といい、後者の「夢の結晶を味わう」を「本件使用標章2」という。)。
乙第6号証によれば、乙第4号証、乙第5号証及び乙第7号証における本件使用標章は、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という場合がある。)に使用された。
イ その上で被請求人は、本件使用標章について、大要以下のとおり主張する。
すなわち、乙第8号証(以下「クラブハウス事件判決」という。)を引用して、本件使用標章は商品(ウイスキー)との具体的関係において使用されており、また、乙第9号証(以下「POLA事件判決」という。)、乙第15号証(以下「Bio事件判決」という。)、及び乙第16号証(以下「LAB事件判決」という。)、並びに乙第10号証ないし乙第14号証における第三者の表示(以下「第三者表示」と総称する。)をあげて、本件使用標章のうち「夢」の部分が独立して自他商品の識別機能を有しているから、本件使用標章は本件商標と社会通念上同一と認められる、また、商標的使用がされているなどと主張する。
(2)被請求人の主張に対する弁駁
ア はじめに
まず、乙第6号証をもってしても、乙第5号証の店頭POP等画像自体、及び乙第7号証のネックリンガー自体が実際に要証期間内に使用されたことは立証されていないが、いずれにせよ、仮に被請求人の上記(1)アの主張を前提としたとしても、被請求人の上記(1)イの主張には理由がなく、本件使用標章をもって、「夢」という本件商標について、商標法第50条第1項の「商標の使用」があったとはいえない。
すなわち、本件使用標章は、「“ウイスキーの夢”」及び「夢の結晶を味わう」という一体的な表示であり、本件商標たる「夢」という表示ではなく、本件使用標章と本件商標とは、外観、称呼及び観念がいずれも相違し、これらが社会通念上同一であるなどとは到底いえるものではない。
被請求人は縷々主張するが、上記事実が覆るものではない。
加えて、そもそも本件使用標章の使用は、商標的使用とは到底認め難いものであり、また、商品との具体的な関係性も認められない。以下詳述する。
イ 本件使用標章の使用は商標的使用といえない
被請求人は、上記(1)イのとおり、本件使用標章の中の一部分である「夢」の部分が独立して自他商品の識別機能を有しているなどと主張して、商標的使用であるなどと論じている(7頁20行?24行、8頁23行?25行、12頁8行?19行)。
しかしながら、以下に詳述するとおり、本件使用標章の使用は、商品の出所表示機能、自他商品識別機能を果たす態様のものではなく、商標的使用といえないことは明らかである。
(ア)乙第4号証、乙第5号証等について
a 乙第4号証は、アサヒビール社のウェブサイトであって、アサヒビール社及びニッカウヰスキー株式会社(以下「ニッカ社」という。)連名の「ニュースリリース」であり、そもそもこれ自体、直接具体的に商品を広告するものではないが、これによれば、ニッカ社の創業80周年及びニッカ社の創業者竹鶴政孝氏(以下「竹鶴氏」という。)の生誕120周年を記念したニッカ社の記念施策の中の一つである「『竹鶴政孝の夢をたどるスコットランドの旅』を抽選で5組10名様にプレゼントする消費者キャンペーン」(乙4、1枚目)における「キャンペーン名称」が「『竹鶴“ウイスキーの夢”プレゼント』キャンペーン」であり、「キャンペーン形式 ※商品の購入を条件としないで、当社ホームページや店頭等で告知されるクイズに答えて応募いただくキャンペーンです。」、「クイズ 日本のウイスキーの父、○鶴政孝。○に入る漢字文字をお答えください。(答え:竹)」等という殊更に商品の購入を条件としない形の「オープンキャンペーン」とされている(乙4、2枚目【消費者キャンペーン概要】参照。以下「本件キャンペーン」という。)。なお、乙第4号証には、具体的に判別しづらい態様で、下記(イ)の乙第5号証と概ね同様の小さな表示が掲載されている。
b 乙第5号証等
乙第5号証は、その左上隅に「NIKKA WHISKY/80TH/ANNIVERSARY」(「80TH」の部分が大きく、そのうちの「0」の部分がポットスチルを模したデザイン化されている。)と表示され、右下隅には、「販売者:アサヒビール株式会社」と表示されている本件キャンペーンの告知、広告資料である。そして、その中央上方には上から「クイズに答えて当たる!」と表示され、その下に「日本のウイスキーの父、竹鶴政孝。/“ウイスキーの夢”/プレゼントキャンペーン」(これらは茶色の文字であるが「夢」の部分は橙色の真円状の背景に白抜きの文字とされている。)と表示され、それらの下には、左上に「夢/の原点を/歩く」という橙色の真円内に白抜きの表示が配されるとともに、「竹鶴政孝の/夢をたどる」、「スコットランドの旅」、「抽選で/5組10名様」、「スコットランドヘ渡り本場のウイスキーづくりを学んだ、日本のウイスキーの父・竹鶴政孝。/ウイスキーへの夢を追い求め竹鶴政孝が歩んだ、その足跡をたどる完全オリジナルツアーヘご招待します。」と表示されている。そして、その右側には、大きく竹鶴氏の肖像写真(顔の横に「ニッカウヰスキー創業者/竹鶴政孝」と明記され、胸元には「M.Taketsuru」とのサインが表示されている。)が配され、また上記「スコットランドの旅」等の表示の周辺には、背景画像として、当選商品の旅行先であるスコットランドの首都エジンバラ市街の風景のイメージが配されている。そして、さらに、それらの下には、「クイズに/答えて当たる!」、「クイズ」、「日本のウイスキーの父、○鶴政孝。」、「左の○に入る/漢字一文字をお答えください。」と表示され、その右側には、二重線の四角内に「W/チャンス」、橙色の真円内に白抜きの文字で「夢/の結晶を/味わう」、「竹鶴ピュアモルト700ml/+竹鶴ロックグラス/抽選で1,000名様」との表示とウイスキーとグラスの写真(グラスの横に「容量/約300ml」と記載されている)が表示されている。
なお、乙第7号証における表示は、実際に使用されたことが明らかでなく、また、内容が判別しづらいものの、概ね上記乙第5号証と同様またはその一部であると想定される。
(イ)本件使用標章の位置づけ、構成及びその意味について
以上のとおり、乙第5号証及び乙第7号証が実際に店舗等において使用されたという証拠はなく、また、乙第4号証、乙第5号証及び乙第7号証は、キャンペーンの告知に関するものにすぎないほか、本件使用標章は、それぞれ以下のような構成、意味をもつものである。
a 本件使用標章1である「“ウイスキーの夢”」は、そもそも上述のとおり、キャンペーンの名称としてのキャッチフレーズないしキャッチコピーであって、商品の出所を表示するためのものであったり、商品を識別させるためのものであったりするものではない。
すなわち、「“ウイスキーの夢”」という表示は、ダブルクォーテーションによって殊更に一体性が強調された一連不可分の表示であり、「ウイスキーノユメ」というよどみない一連の称呼を生じ、それ自体として「ウイスキーへの夢」ないし「ウイスキーについての夢」を意味する表示である。そして、乙第4号証及び乙第5号証等の全体からは、本件キャンペーンの当選商品が、「竹鶴政孝の夢をたどるスコットランドの旅」と表示され、同旅行について、「夢/の原点を/歩く」、「ウイスキーへの夢を追い求め竹鶴政孝が歩んだ・・・」等と記載され、Wチャンスの商品について「夢/の結晶を/味わう」と記載され、竹鶴氏の肖像写真が大きく表示されていること等からすれば、ここにいう「“ウイスキーの夢”」とは、「竹鶴氏のウイスキーヘの夢」であると認識され、本件使用標章1は、ニッカ社の記念施策としてのキャンペーン名称として、ニッカ社の創業者竹鶴氏のウイスキーへの憧憬や思い入れを、キャッチフレーズとしたものであることが明らかである。
b 本件使用標章2である「夢の結晶を味わう」は、本件キャンペーンを告知、広告する中において、本件キャンペーンの内容を説明するために使用された、キャッチフレーズ的な記述的文章であって、商品の出所を表示するためのものであったり、商品を識別させるためのものであったりするものではないことは極めて明らかである。
そして、「夢の結晶を味わう」という表示は、橙色の真円中に三段書きにして成るが、全体が他の記載と明確に区別された、まとまりのある表示であって、「ユメノケッショウヲアジワウ」というよどみない一連の称呼を生じる、一体不可分の表示である。そして、本件使用標章2は、それ自体として「夢への苦心、努力の結果を味わう」という意味の文章であるが、乙第5号証全体からは、「竹鶴氏のウイスキーヘの夢の結果を味わう」という意味であると認識され、「“ウイスキーの夢”」という本件キャンペーンの内容として、Wチャンスとして「竹鶴ピュアモルト」等が当たるということをキャッチコピー的に説明したものであると認識される。
c 以上のとおり、そもそも本件使用標章は、キャンペーンそれ自体の広告等における表示であり、当該キャンペーンの主体がアサヒビール社ないしニッカ社であることがはっきりと明記されている。そして、仮に商品(ウイスキー)との関連性があるとしても、その商品は「竹鶴」ないし「竹鶴ピュアモルト」であることがはっきりと明記されている。
本件使用標章1及び2は、いずれも、このような中で用いられたキャッチフレーズであることは、上述したところから明らかであって、商品の出所を示し、それを識別する表示でないことから、商標的使用とは到底いえないものである。
(ウ)被請求人の主張について
a 被請求人は、本件使用標章のうち「夢」の部分が強調されていることや、第三者表示の存在をあげて、「『夢』という文字が竹鶴政孝氏及びそのウイスキー『竹鶴』を象徴する特別なワードとして一般に認知されている」、「そうとすれば『夢』の文字は、ウイスキー『竹鶴』において当該語が元来有する意味を認識させるのみならず、当該商品に接する需要者、取引者に特別な意味合いをもって看取されるものであり、需要者、取引者は『夢』の標章を当該商品の特徴として強い印象を抱き、商品識別の手がかりとする」などと主張する(7?8頁及び12頁も同旨。)。
しかしながら、以下のとおり、その前提とするところに誤りがあるほか、論理の飛躍も甚だしく、到底理解し得るところではない。
b まず、単なる「夢」という一文字が、竹鶴氏及びウイスキー「竹鶴」を示すものとして一般に認識されているなどという事実が存在するはずがない。また、被請求人の主張する「特別な意味合い」とは一体何を指すのかは全く不明であるが、商標として使用されていない表示は「商品識別の手がかり」として機能せず、加えて被請求人が使用しているのは「夢」という語を使った、ありふれたキャッチフレーズ(特に、キャッチフレーズ等を用いる広告において、「夢」という語がごく一般に使用されるものであることは、その一例をあげても甲第3号証ないし甲第16号証のとおりであって、論を俟たない。)等であって、あたかも「『夢』標章」を使用していることを前提としている点でも誤りである。
すなわち、本件使用標章に係る乙第4号証、乙第5号証等において、本件使用標章中の「夢」という表示が強調されているとしても、本件使用標章1は、上記(イ)aのとおり、ダブルクォーテーションで殊更に一体的に表示された「“ウイスキーの夢”」であり、本件使用標章2は、上記(イ)bのとおり、まとまりよく一体的に表示された「夢の結晶を味わう」であって、単なる「夢」ではない。表示全体から読み取れる意味も「竹鶴氏のウイスキーへの夢」、「竹鶴氏のウイスキーへの夢の苦心、努力の結果を味わう」というものである。また、これらに、第三者表示に係る乙第10号証ないし乙第14号証を加えても、「夢」という語によって、竹鶴氏及びウイスキー「竹鶴」を象徴し、これを示すものと一般に認知されているなどとは到底いえない。すなわち、乙第10号証ないし乙第14号証における表示は、いずれも商品(ウイスキー)についての表示でなく、竹鶴氏の物語の表題としての「夢」という表示(乙10)、竹鶴氏を紹介する表題としての「『マッサン』と呼ばれた男、竹鶴政孝の夢」という表示(乙11)、書籍の表題としての「竹鶴とリタの夢」という表示(乙12)、テレビ番組の内容を紹介する中におけるキャッチコピーの一文としての「マッサンの夢はウイスキー、私の夢はマッサンでした」という表示(乙13)、展示会のサブタイトルとしての「マッサンと呼ばれ愛された政孝の琥珀色の夢と青いバラのものがたり」という表示(乙14)である。これらの表示は、いずれも一見して明らかに商品の出所表示機能や識別機能を果たすような商標的使用ではない表示において、「夢」という語が用いられているにすぎないのであって、これらをもって、突如として、本件使用標章中から「夢」という語以外が捨象され、「夢」だけが取り出され、その結果本件使用標章が、商品(ウイスキー)の出所表示機能や出所識別機能を果たすものとなっているなどといえるはずがない。
c そもそも、「夢」という語は、「広辞苑[第六版]」(甲17)に掲載されているだけでも、「睡眠中に持つ幻覚。」、「はかない、頼みがたいもののたとえ。夢幻。」、「空想的な願望。心のまよい。迷夢。」、「将来実現したい願い。理想。」などといった複数の意味合いを有する多義的な語であり、これに他の語や文字を加える場合には、「夢」という語とは別個独自の意味合いが生じ、現に「夢」に他の語や文字が加えられたものは、「広辞苑[第六版]」に掲載されているだけでも多数存在する(甲第17号証に現れているもののほか、「正夢」等語尾に「夢」を含むものや、用例として「昨日の花は今日の夢」、「京の夢大阪の夢」、「見果てぬ夢」、「夢は逆夢」等枚挙に暇がない。)。
そして、現に、「○○の夢」という表示に係る登録商標だけをみても、計264件ほども存在し(甲18)、加えて、「夢」という語がキャッチフレーズに用いられた広告が極めてありふれていること(甲3?甲16)は上述のとおりである。
d さらに、被請求人は、「夢」の文字は、需要者、取引者に対して、ウイスキー「竹鶴」を「宣伝広告する機能」を果たしていると評価することもできることをもって、当該広告宣伝物における「夢」の記載はそれ単独で「自他商品識別機能」を発揮していることの論拠の一つとしている(8頁20行?25行)ようである。しかしながら、仮に「夢」の語が宣伝広告機能を果たしているとしても、広告でのキャッチフレーズに使用された語が宣伝広告機能を果たしているという当たり前のことにすぎず、だからといって、広告でのキャッチフレーズである本件使用標章から「夢」の部分だけを取り出して、本件使用標章が「自他商品識別機能を発揮している」と評価できないことはいうまでもないことであって、論理の飛躍であることは明らかである。
以上のとおり、被請求人の主張には理由がない。
e なお、被請求人は、この点に関して、Bio事件判決及びLAB事件判決を引用するようであるが、本件における本件使用標章は、商品自体に付された表示ではなく、キャンペーンの名称(本件使用標章1)あるいはキャンペーンの告知の際に用いられた文章(本件使用標章2)であって、本件使用標章の位置づけ、構成や意味からして、商標的使用と認められないことは上述のとおりであり、被請求人の引用する上記裁判例の事案とは全く異なることは明らかであって、被請求人の主張は失当である。
ウ 商品(ウイスキー)について具体的関係において使用したといえない
また、被請求人は、クラブハウス事件判決を引用して、「商品との具体的関係において使用されていることは明らかである」などと主張するが、本件使用標章は、上記イ(ア)のような広告物に関する、上記イ(イ)のようなキャッチフレーズたる表示であって、上記クラブハウス事件判決と比べて、当該商品との関係性がないか又は極めて希薄であることは明らかである。
加えて、知財高判平成22年7月28日(平成22年(行ケ)第10083号)〔ECOPAC事件判決〕(甲19)のとおり、指定商品との関係において、何らかの関係がある表示の使用が全て商標法第50条第1項にいう「指定商品・・・についての・・・使用」といえないことは明らかであって、本件使用標章の使用は、「商品との具体的関係において使用されている」(最判昭和43年(昭和42年(行ツ)第32号〔青星事件判決〕)(甲20)とはいえないものである。
エ 社会通念上の同一性がない
本件使用標章は、「“ウイスキーの夢”」(本件使用標章1)または「夢の結晶を味わう」(本件使用標章2)であり、「夢」ではない。
本件使用標章は、上記ア(ウ)等に述べたとおり、いずれも全体として一つの意味を生じさせるキャッチフレーズないし記述的表示であって、これらと単なる「夢」という本件商標との間に社会通念上同一性が認められ得ない。
(ア)この点、被請求人は、まず、POLA事件判決を引用して、本件使用標章は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきであるなどと主張するが、本件とは全く前提が異なっている。
すなわち、本件における登録商標は「夢」という一文字であって、本件使用標章は、登録商標自体に構成を加えたものではなく、「夢」という語を使った別個の表示や文章である。そして、「夢」という語は、多義的な語であって、かつ、これに他の語や文字を加えた場合に「夢」という語とは別個独自の意味合いが生じ、商標登録例や、キャンペーンにおいて一般的に用いられる例が極めて多いことは上記(2)イ(イ)c等に述べたとおりである(甲3?甲18)。したがって、本件使用標章である「“ウイスキーの夢”」、「夢の結晶を味わう」という表示は、単なる「夢」という一文字とは全く別個独立の表示であることはいうまでもないのであって、被請求人の主張に理由がなく、本件商標と本件使用標章が社会通念上同一であると認められ得ないことが明らかである。
(イ)また、被請求人は、本件使用標章のうち「夢」の部分が強調されていることや、第三者表示の存在、あるいは、Bio事件判決及びLAB事件判決をあげて、本件使用標章のうちの「夢」の部分が独立して出所識別力、自他商品識別力がある等として、本件使用標章と本件商標とが社会通念上同一と認められるべきであるなどと主張する。
しかしながら、本件使用標章のうちの「夢」の部分が独立して出所識別力、自他商品識別力があるという主張に何ら理由がないことは、上記イ(ウ)に述べたとおりである。
また、被請求人は、本件使用標章において「夢」の部分が強調されているなどと主張するが、通常行われている程度の装飾の範疇を出るものではなく(甲3?甲8等参照。)、「ウイスキーの」の部分(本件使用標章1)や「の結晶を味わう」の部分(本件使用標章2)を無視ないし捨象して「夢」のみを認識すると考えるのは不合理極まりないことは明らかである。
むしろ、本件使用標章とは異なり、商標的使用が認定された使用標章についてであって前提が異なるものの、社会通念上の同一性に関する裁判例としては例えば、(a)東京高判平成12年11月15日(平成11年(行ケ)第196号)〔U.S.POLO事件判決〕(甲21)、(b)東京高判平成13年6月27日(平成12年(行ケ)第422号)〔Magic事件判決〕(甲22)、(c)知財高判平成19年10月30日(平成19年(行ケ)第10150号)〔オリックス事件判決〕(甲23)があげられる。
以上の裁判例に照らしても、「“ウイスキーの夢”」という本件使用標章1は、(そもそも商標的使用がなされていないものであるが、)「夢」の部分が他の部分と異なって背景が付されて白抜きにされていたとしても、「夢」という登録商標が、「ウイスキー」と格助詞の「の」によって一個の独立した観念(「ウイスキーへの夢」ないし「ウイスキーについての夢」)を有する表示となっていること(格助詞の「の」は、一般に、前方の語(名詞)が後方の語(名詞)を修飾する連体修飾語を構成し、言語構成的に一体的に結合した表示を構成する。)、なおかつ、それらがダブルクォーテーションで囲まれていること、全ての文字が同じ大きさで同じ書体で表示されていること、「ウイスキーノユメ」とよどみなく一連に称呼されることからすれば、本件使用標章1から「夢」のみを分離して観察することはできず、本件使用標章1は、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。
また、「夢の結晶を味わう」という本件使用標章2は、(そもそも使用態様のみならずその構成自体からキャッチフレーズであるが、)仮に「夢」の部分が大きく一番上段にされ、二段目に「結晶を」、三段目に「味わう」として構成されているとしても、それらは、他の表示とは区別された、真円の中に収まるようにして、同一の書体で記載されて成るものであること、「夢」、及び「結晶」、「味わう」という語が「の」及び「を」という助詞で結ばれることによって、一個の独立した観念(夢への苦心、努力の結果を味わう)を有する表示となっていること、「ウイスキーノケッショウヲアジワウ」(審決注:「ユメノケッショウヲアジワウ」の誤記と認められる。)とよどみなく一連に称呼し得る(むしろこれ以外の称呼は不自然極まりない)ことからすれば、本件使用標章2から「夢」のみを分離して観察することはできず、本件使用標章2は、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件使用標章は、その使用について立証が十分とはいえないが、いずれにせよ商標として使用されていない。また、本件使用標章は、指定商品と具体的関係において使用したとはいえない。そして、本件使用標章は、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない。
したがって、いかなる意味においても、本件使用標章を以て商標法第50条第1項の「商標の使用」があったとはいえない。

3 平成27年10月2日付け上申書
請求人は、上申書において「審判事件弁駁書において、主張立証を尽くしていると考えるので、書面審理を希望する」旨述べた。

第3 被請求人の主張
1 平成27年4月27日付け審判事件答弁書
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を以下のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
(1)本件商標は、以下に述べるとおり、要証期間内に、被請求人の通常使用権者であるアサヒビール社によって、その指定商品である「洋酒」について使用された事実がある。
よって、本件審判の請求が成り立たないことは明らかであるから、答弁の趣旨のとおりの審決を求める。
(2)本件商標の通常使用権者であるアサヒビール社について
被請求人は、本件商標を自社の100%出資の連結子会社であるアサヒビール社に使用許諾し、アサヒビール社は本件商標の通常使用権者である。
アサヒグループのFACTBOOK2015及びアサヒビール社のホームページによれば、アサヒビール社が被請求人の100%出資の連結子会社であり、アサヒグループの中核事業である酒類事業を担っていることがわかる(乙1、乙2)。
被請求人が持株会社としてグループ全体の経営戦略の策定や推進、経営管理などを担っていることを併せ考慮すれば、取消2005-30421号審決等で示されているとおり、アサヒビール社は、本件商標の使用をすることについて被請求人(商標権者)より許諾を受けた通常使用権者として推認して差し支えないものである(乙3)。
(3)本件商標の「洋酒」についての使用事実
ア 使用証拠について
(ア)アサヒビール社は、ニッカ社が製造するウイスキー「竹鶴」の販売事業者であり、ウイスキー「竹鶴」の販売促進のために「“ウイスキーの夢”プレゼントキャンペーン」を実施している(乙4、乙5)。
上記キャンペーンは、応募期間が平成26年(2014年)4月30日から6月30日までとなり、キャンペーンの当選者が平成26年(2014年)8月11日付のブログ記事で当選した事実を記載していることからも要証期間内に実施されたものであることは明らかである(乙6)。
乙第5号証のニュースリリースに記載されているとおり、キャンペーンの告知はホームページや店頭等で告知されたものであるが、店頭においては乙第7号証のネックリンガーをウイスキー「竹鶴」に添付して販売していた事実もあるので(乙7)、そのネックリンガーに付された標章が商品「ウイスキー」との具体的関係において使用されていることに疑う余地はない(乙7)。
また、商標法第2条第3項第8号の使用においては、指定商品に直接商標が付されていることは必要ではないところ、当該商品に「竹鶴」商標が既に付されているからといって、個々の商品に2つ以上の商標が付されることもあり得るので、商品の販売促進を目的として添付されたネックリンガー等に標章を付すことも当然に商標の使用に当たるとみるべきである。
(イ)上記で述べたことは、以下の判決が示すところからも裏付けることができる。
平成21年(行ケ)第10354号 審決取消請求事件(判決言渡日 平成22年4月14日)(乙8)
上記判決において説示されている内容に鑑みれば、本件キャンペーンを告知するために用いられているホームページ、店頭POP広告、店頭ポスター及びネックリンガーは、顧客にウイスキー「竹鶴」を認知させる宣伝媒体の役割を果たしているものということができる。
したがって、ホームページ、店頭POP広告、店頭ポスター及びネックリンガー等に用いられている本件使用標章は、アサヒビール社が販売する商品に関する広告等に付されているということができ、商品との具体的関係において使用されていることは明らかである。
なお、商品そのものには「竹鶴」の商標が表示されているとしても、当該商品を宣伝する目的で掲示されているホームページ、店頭POP広告、店頭ポスター及びネックリンガーに標章を付すことも商標の使用に該当し得ることは上記判決で説示されていることからも首肯できる。
イ 本件使用標章と本件商標との社会通念上同一性について
(ア)東京高裁平成2年(行ケ)第48号判決(乙9)の説示並びに乙第4号証、乙第5号証及び乙第7号証をみれば、本件で使用されている標章は、キャンペーン名称の「“ウイスキーの夢”」及びキャンペーン商品「竹鶴ピュアモルト700ml」の内容を宣伝紹介する「『夢』『の結晶を』『味わう』」等であると考えられる。
ここで、キャンペーン名称の「“ウイスキーの夢”」部分であるが、「ウイスキー」の文字が指定商品「洋酒」との関係において自他商品識別力を有しないと考えられる上、「ウイスキーの」部分と「夢」部分では文字の色彩も異なり、とくに「夢」の文字部分については見る者の注意を惹くよう背景デザイン等によって殊更に強調された態様となっている。
また、キャンペーン商品である「竹鶴ピュアモルト700ml」を宣伝紹介する文言においては、「夢」「の結晶を」「味わう」を3段に分けて書してなり、とくに「夢」の文字が他に比べて大きく表されており、3段の分け方も「夢」を強調するかたちとなっていることを併せ考慮すれば、構成中の「夢」の部分が需要者、取引者に顕著な印象を与えるものといえる。
そうとすれば、本件使用標章に接する需要者、取引者は「夢」の文字部分に着目し、これを他の商品と識別する標識として捉えて商品の取引に当たると考えるのが相当であり、本件使用標章はその構成中の「夢」の部分が独立して自他商品の識別機能を有していると認められるから、本件使用標章は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。
さらに、「夢」の文字については、ニッカ社の創業者、そして、日本のウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝氏及びそのウイスキー「竹鶴」との関係において、当該語が通常有する意味を超え、特別な意味合いを発揮するものとして世間一般に認識、把握されているという事実もある。
それは、ニッカ社がホームページ上で公開している「竹鶴政孝物語」に「夢」の文字が大きく表されていることに止まらず(乙10)、産経新聞のホームページにおいて「『マッサン』と呼ばれた男、竹鶴政孝の夢」というタイトルで特集が組まれている事実(乙11)、「竹鶴とリタの夢」というタイトルの書籍が発行されている事実(乙12)、NHK連続テレビ小説「マッサン」の公式ホームページにおいて“マッサン(竹鶴政孝氏の呼び名)の夢はウイスキー、わたしの夢はマッサンでした”というフレーズが大きく取り上げられている事実(乙13)、また、外務省外交史料館特別展示「マッサン展」において、サブタイトルに“マッサンと呼ばれ愛された政孝の琥珀色の夢と青いバラのものがたり”が用いられている事実(乙14)などによって、「夢」という文字が竹鶴政孝氏及びそのウイスキー「竹鶴」を象徴する特別なワードとして一般に認知されていることを証することができる。
そうとすれば、「夢」の文字は、ウイスキー「竹鶴」において当該語が元来有する意味を認識させるのみならず、当該商品に接する需要者、取引者に特別な意味合いをもって看取されるものであり、需要者、取引者は「夢」の標章を当該商品の特徴として強い印象を抱き、商品識別の手がかりとすることも考えられる。
また、「夢」の文字は、それが使用されている具体的な実情に鑑みれば、需要者、取引者に対して、ウイスキー「竹鶴」を広告宣伝する機能を果たしていると評価することもできるから、本件キャンペーンの広告宣伝物における「夢」の記載はそれ単独で自他商品識別機能を発揮しているとみて差支えなく、商品の広告において商標的な使用がされていると認定されて然るべきである。
(イ)かかる被請求人の主張は、以下の判決例で示される内容からも首肯することができる。
(a)平成21年(行ケ)第10385号 審決取消請求事件(判決言渡日 平成22年6月28日)(乙15)
(b)平成18年(行ケ)第10225号 審決取消請求事件(判決言渡日 平成18年9月21日)(乙16)
上記判決の内容を本件使用標章に照らし合わせて検討すれば、本件使用標章において、構成中の「夢」の部分が強調して表記されており、「ウイスキーの夢」及び「夢の結晶を味わう」のそれぞれが外観上不可分一体のものとして把握、認識されると判断されるのは極めて不自然である。
いずれも「夢」の文字部分が他の部分より相対的に際立った態様が用いられているため、「夢」の文字部分は見る者の注意を特に惹くものであり、その構成及び外観に照らせば、需要者、取引者は、強い印象を受ける「夢」の文字部分に着目し、これを他の商品と識別する標識として捉えて商品の取引に当たると考えるのが自然である。
また、「夢」の文字は、竹鶴政孝氏及びそのウイスキー「竹鶴」を象徴する特別なワードとして一般に認識されているものであるから、係る実情を踏まえれば、需要者、取引者が「夢」の文字部分をウイスキー「竹鶴」の出所を表示する標識として捉えることも十分にあり得る。
そうとすれば、本件使用標章は、その構成中の「夢」の部分が、独立して自他商品の識別機能を有していると認められるから、本件使用標章は本件商標と社会通念上同一と認められるべきである。
ウ 小括
以上より、本件商標の通常使用権者であるアサヒビール社が、被請求人の許諾に基づき、本件商標と社会通念上同一の商標を、同社が販売する「ウイスキー」について使用していることは明らかである。
(4)結論
以上のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標と社会通念上同一の商標が、通常使用権者によって、その指定商品「洋酒」について使用されたことは明らかであるから、本件商標の登録は商標法第50条第1項により、取消すことはできない。
よって、被請求人は答弁の趣旨どおりの審決を求める次第である。

2 平成27年9月17日付け上申書
被請求人は、上申書において「審判事件答弁書において、主張立証を尽くしていると考えるので、書面審理を希望する」旨述べた。

第4 当審の判断
1 被請求人は、商標権者の通常使用権者であるアサヒビール社が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の取消請求にかかる指定商品中「洋酒」に属する商品「ウイスキー」について、要証期間内に日本国内において使用していると答弁し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証を提出しているので、以下、検討する。
(1)本件商標の使用者について
被請求人は純粋持株会社であり(乙1)、アサヒビール社は、被請求人の100%出資の会社である(乙2)と認められる。
そうすると、本件商標の使用について被請求人からアサヒビール社に対し、黙示の許諾があり、アサヒビール社は本件商標の通常使用権者であると推認して差し支えない。
(2)使用標章について
ア 被請求人は、本件商標に関する使用標章を完全に特定しているとはいえないが、答弁書において「乙第4号証、乙第5号証及び乙第7号証をみれば、本件で使用されている標章は、キャンペーン名称の『“ウイスキーの夢”』及びキャンペーン商品『竹鶴ピュアモルト700ml』の内容を宣伝紹介する『「夢」「の結晶を」「味わう」』等であると考えられる。」と述べている(答弁書7頁6行?9行)ので、当審では、被請求人が主張する使用標章を「“ウイスキーの夢”」(「本件使用標章1」、乙4、乙5、乙7)及び三段に表示された「『夢』『の結晶を』『味わう』」(「本件使用標章2」、乙5)であると認定して、以下、取り扱うこととする。なお、「本件使用標章1」と「本件使用標章2」をまとめていうときは、単に「本件使用標章」という場合がある。
イ 本件使用標章は、商品「ウイスキー」についての商標としての使用であるか否かについて
(ア)本件使用標章1について
本件使用標章1は、乙第4号証によれば、ニッカ社創業80周年とニッカ社の創業者竹鶴氏の生誕120周年を記念して、アサヒビール社が販売する「ウイスキー」の「竹鶴」ブランドにおいて行う記念施策の一つの消費者キャンペーン名称「竹鶴“ウイスキーの夢”プレゼント」の一部と認められるものであり、また、乙第5号証にも大書した「“ウイスキーの夢”/プレゼントキャンペーン」の表示があることから、本件使用標章1は、キャンペーン名称の一部と認められるものである。
そうすると、キャンペーン名称の一部にすぎない本件使用標章1の表示をもって、商品「ウイスキー」の商標であると需要者が認識するとはいえないから、本件使用標章1は、商標としての使用とはいえない。
(イ)本件使用標章2について
本件使用標章2は、乙第5号証によれば、「Wチャンス」の賞品内容「竹鶴ピュアモルト700ml/+竹鶴ロックグラス/抽選で1,000名様」のタイトルのように一体的に表示されているものと認められるものである。
そうすると、賞品内容のタイトルのように一体的に表示された本件使用標章2の表示をもって、商品「ウイスキー」の商標であると需要者が認識するとはいえないから、本件使用標章2は、商標としての使用とはいえない。
ウ 仮に、本件使用標章が商品「ウイスキー」についての商標としての使用であるとしても、以下のとおり、本件使用標章は、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえないものである。
(ア)本件使用標章1について
本件使用標章1は、「“ウイスキーの夢”」の表示からなるところ(乙4、乙5、乙7)、同書、同大、等間隔で表示される(乙4)ほか、構成中の「夢」の文字をやや大きく白抜きで表示するものがある(乙5、乙7)としても、一体にまとまりよく表示された本件使用標章1から、殊更「夢」の文字部分のみが分離抽出して認識され、自他商品識別標識として機能を発揮するものとはいえない。
そうすると、本件使用標章1は、本件商標と別異の商標というべきであるから、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない。
(イ)本件使用標章2について
本件使用標章2は、橙色の円図形内に、大書した「夢」の文字と「の結晶を」及び「味わう」の文字を三段に白抜きで表示してなる(乙5)ところ、一体にまとまりよく表示された本件使用標章2からは「夢の結晶を味わう」との一連の文句が容易に認識されるから、殊更「夢」の文字部分のみが分離抽出して認識され、自他商品識別標識として機能を発揮するものとはいえない。
そうすると、本件使用標章2は、本件商標と別異の商標というべきであるから、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない。
(ウ)その他いずれの証拠においても、商品「ウイスキー」について、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標の使用も見当たらない。
(3)小括
上記(2)のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標の通常使用権者であるアサヒビール社により、本件審判の取消請求にかかる指定商品中「洋酒」に属する商品「ウイスキー」について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)が使用されている事実を認めることはできない。

2 その他、本件商標が要証期間内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、請求に係る指定商品について使用されたことを証明する証拠の提出はない。

3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したということはできず、また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2015-10-27 
結審通知日 2015-10-30 
審決日 2015-11-25 
出願番号 商願平8-123851 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (033)
最終処分 成立 
前審関与審査官 内山 進 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 原田 信彦
大森 健司
登録日 2000-10-06 
登録番号 商標登録第4423415号(T4423415) 
商標の称呼 ユメ 
代理人 田中 克郎 
代理人 特許業務法人はなぶさ特許商標事務所 
代理人 中村 勝彦 
復代理人 阪田 至彦 
代理人 佐藤 俊司 
復代理人 佐藤 力哉 
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