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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201421432 審決 商標
不服20158802 審決 商標
不服201517895 審決 商標
不服20154462 審決 商標
不服201426278 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W29
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W29
管理番号 1309719 
審判番号 不服2015-12657 
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-03 
確定日 2016-01-14 
事件の表示 商願2014-51239拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「完熟トマトのハヤシライスソース」の文字を標準文字により表してなり、第29類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成26年6月19日に登録出願、その後、指定商品については、同年8月8日受付の手続補正書により「トマト風味のハヤシライスのもと,トマトを使用してなるハヤシライスのもと,トマト風味のレトルトパウチ入り調理済みハヤシライスソース,トマトを使用してなるレトルトパウチ入り調理済みハヤシライスソース」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その構成中の『完熟トマト』の文字は、『完全に熟したトマト』程の意味合いを容易に認識させるものであり、また、『ハヤシライスソース』の文字は、『薄切りの牛肉・玉葱を炒め、トマトケチャップやドミグラスソースなどを入れて煮込み、飯の上にかけた洋風料理』である『ハヤシライス』に用いる『ソース』を表す商品名『ハヤシライスソース』を無理なく認識させるものである。そうすると、本願商標は、構成全体より、『完熟トマトを使用したハヤシライスソース』の意味合いを認識させるにとどまり、これをその指定商品に使用しても、単に商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3項第1項第3号該当性について
本願商標は、「完熟トマトのハヤシライスソース」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成中の「完熟トマト」の文字部分は、「完熟」の語が「果実または種子が十分熟し、内容も充実した状態になること。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行)を意味するものであるから、「十分に熟したトマト」の意味合いを容易に認識させるものであり、また、「ハヤシライスソース」の文字部分は、「ハヤシライス」の語が「薄切りの牛肉・玉葱を炒め、トマト-ケチャップやドミグラス-ソースなどを入れて煮込み、飯の上にかけた洋風料理。」を意味し、「ソース」の語が「西洋料理の調味に用いる液体。」等を意味するもの(いずれも「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行)であるから、「ハヤシライス用のソース」であることを容易に認識させるものである。
してみると、本願商標は、全体として「十分に熟したトマトを使用したハヤシライス用のソース」ほどの意味合いを容易に認識させるものというのが相当である。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成全体から上記意味合いを把握、理解し、商品の品質を表示するものと認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものであるから、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠方法として、原審において第1号証ないし第15号証(以下、審決において「原審1ないし15」として扱う。)及び当審において甲第1号証ないし甲第18号証を提出しているので、以下検討する。
(1)商標の使用
請求人(以下、請求人の子会社を含めていう場合がある。)は、やや特徴を持たせた書体の「完熟トマトの」の文字と普通の書体の「ハヤシライスソース」の文字とを赤字(「ハラシライスソース」の文字が黒字のものを一部に含む。)で2段に横書きしてなる標章(以下「使用標章1」という。)を、商品の包装の中央に大書して使用している(原審1ないし4)。
また、使用標章1の商品の包装への使用は、1996年から「ハヤシライスのもと」である「ルウ」に使用し、1997年からはこれに加えて「調理済みのハヤシライスソース」に使用していることが認められる(原審2及び5)。
さらに、請求人は商品カタログ(原審3)や別掲のインターネットショッピングサイトにおいて、普通の書体で一連に「完熟トマトのハヤシライスソース」と横書きしてなる表示(以下「使用標章2」という。)を使用していることが認められる。
なお、使用標章1の商品の包装には、請求人を表す「h」の欧文字のロゴ図形及び「house」の欧文字を筆記体風に表した文字(以下「欧文字ロゴ」という。)が表されている(原審2ないし4)。
そして、この使用標章1を付した商品(以下「使用商品」という。)は、1996年8月8日から全国販売を開始している(原審5)。
(2)使用商品の売り上げ等
株式会社インテージによる「(株)インテージSRI月次データ ルウハヤシ市場 2002年4月?2014年3月 各年4月?翌年3月計」の資料によれば、「ルウハヤシ市場」における使用商品の実績は、2002年度以降、使用商品の推計販売規模が、年間20億円を超えており、2013年度では、全商品の推計販売規模が約57億円であるのに対し、使用商品の推計販売規模が約22億円であり、約40%近い販売シェアであるといえる(原審6)。
なお、「ルウハヤシ市場」については、資料中の「主要ブランド」における請求人に係る各商品を見ると、「ハヤシライス用のルウ」及び「ハッシュドビーフ用のルウ」を含めたものであると推認できる。
また、日本食糧新聞が提供するPOSデータでは、2013年4月ないし2015年5月の月次データにおいて、使用商品は、「インスタントカレー」の分野において、取扱店舗当たりの金額が毎回ほぼ4位ないし6位に入っており、金額シェアにおいても、常に4%から5%のシェアとなっている(なお、1位の商品のシェアでも10%前後である。)。そして、該分野における上位10位以内の商品は、使用商品以外いずれもカレーの商品であり、使用商品と同じ種類の商品は認められない(原審7及び甲2)。
(3)使用商品の宣伝広告
請求人は、使用商品に関する広告について、テレビCMを積極的に行っており、1998年4月以降のテレビCMにおいて、CMの最後に使用商品がテレビ画面に映し出され、使用標章1を視聴者が確認できる内容となっていることが認められる(原審11)。
そして、このテレビCMについては、広告会社4社の集計による放送回数の証明書によれば、全国のテレビ局における放送回数の総計(テレビCMの内容が証明されている1998年4月以降で集計)は、41万5000回弱となっている(原審12)。
(4)使用商品の認知度
2008年12月付の株式会社日本能率協会総合研究所公表の「ハヤシライスの作り方・食べ方」に関する調査結果において、首都圏、京阪神の20歳から59歳の既婚女性を対象(サンプル数676票)に行った「知っているハヤシライスのルー」を尋ねた調査では、「完熟トマトのハヤシライスソース(ハウス食品)」を知っている人が82.5%に達しており(原審13)、さらには、東京商工会議所から、商標「完熟トマトのハヤシライスソース」を請求人が1996年8月から継続して使用したことで、取引者及び需要者の間で広く認識されていることの証明書が提出されている(原審15)。
(5)本願商標と使用標章との同一性について
本願商標は、標準文字により表してなるところ、上記のとおり、使用標章1が使用商品の包装上に使用されているものであるが、一方で、商品パンフレットやインターネットにおけるショッピングサイトにおいて、普通の書体である使用標章2が使用されていることが認められる。
そして、使用標章2の態様は、標準文字の態様と書体を異にするにすぎないものであるから、外観において同視できる程度に商標としての同一性を損なわないものといえるものである。
また、使用標章1についても、「完熟トマトの」の文字部分がやや特徴的な書体で表されているが、使用商品に接する取引者、需要者は、「完熟トマトのハヤシライスソース」の文字よりなるものとして直ちに把握し得るといえるものであり、「完熟トマトの」の文字部分の特徴を取引に資するというよりはむしろ、「完熟トマトのハヤシライスソース」の文字全体を記憶にとどめ、取引に資するとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は、使用標章1とも、同じ識別標識として取引において機能しているものといえる。
してみれば、本願商標は、使用標章2との関係では同一のものといえるものであり、使用標章1との関係では同じ識別標識として機能しているものといえることから、請求人がその指定商品に使用してきたものと同一とみても差し支えないものといえるものである。
(6)小活
以上のとおり、請求人は、1996年8月から使用標章1を商品「ハヤシライスのルウ」に使用し、該商品の全国販売を開始している。使用商品は、2002年以降の長年にわたり毎年20億円を超える販売額を有し、その市場において圧倒的なシェアを有しているものである。さらには、使用商品のテレビCMを継続して行い、大々的な宣伝広告がなされてきたといえるものである。
そして、このような販売実績及び宣伝広告実績に基づき、20歳から59歳の既婚女性を対象とした調査において、82.5%が「完熟トマトのハヤシライスソース(ハウス食品)」を認知しているとの調査結果が出ているものがあることから、需要者の間における使用商品の認知度は高いものといえるものであり、さらには、東京商工会議所からも、本願商標が請求人の商標として需要者に周知である証明書が提出されている。
また、本願商標は、上記(5)のとおり、請求人の使用標章2と同一といえるものであり、使用標章1についても、識別標識としては請求人が使用してきたものと同一とみて差し支えないものである。
そうすると、本願商標は、使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものというのが相当である。
3 まとめ
以上のとおりであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(「完熟トマトのハヤシライスソース」が普通の書体で使用されているショッピングサイトの例)
(1)「YAHOO!JAPAN ショッピング」のウェブサイトにおいて、「爽快ドラッグ」のショッピングサイト内で、使用商品の包装の画像とともに、「完熟トマトのハヤシライスソース(184g)」の文字が普通の書体で掲載されている。
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/soukai/4902402844229.html)
(2)「SEIYUドットコム」のウェブサイトにおいて、「毎日の品もワクワクも SEIYU倉庫館」の見出しの下、使用商品の包装の画像とともに、「完熟トマトのハヤシライスソース」の文字が普通の書体で掲載されている。
(https://www.the-seiyu.com/front/commodity/00000000/994902402844229/?utm_source=google&utm_medium=shopping&aff_id=syfegg0002&utm_campaign=994902402844229&gclid=CM29lc_DmckCFRcIvAodtkgJvA)


審決日 2015-12-15 
出願番号 商願2014-51239(T2014-51239) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (W29)
T 1 8・ 17- WY (W29)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 雅也 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 原田 信彦
高橋 幸志
商標の称呼 カンジュクトマトノハヤシライスソース、カンジュクトマトノ、カンジュクトマト 

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