• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201426278 審決 商標
不服201421432 審決 商標
不服201416636 審決 商標
不服201517895 審決 商標
不服20148481 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W19
管理番号 1309696 
審判番号 不服2015-11130 
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-12 
確定日 2015-12-24 
事件の表示 商願2014-101885拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「現代墓石」の文字を標準文字で表してなり、第19類「墓石」を指定商品として、平成26年12月3日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、「本願商標は、『現代墓石』の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、インターネット情報によれば、現代のお墓事情に即して、必要な要素をコンパクトにまとめ掃除がし易い設計の墓石や、家族の想いをこめたオリジナリティなデザインが施された墓石等を表す文字として、本願の指定商品である『墓石』を取扱う業界において一般に広く使用されている実情にあることから、本願商標からは、『現代のお墓事情に即してデザインされた墓石』程の意味合いを認識するにすぎない。そうしてみると、本願商標をその指定商品に使用しても、単に商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権による証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成27年7月27日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、平成27年9月4日付けで意見書を提出し、要旨以下のように主張した。
証拠調べ通知書で挙げられた各事実からは、「現代墓石」の文字が同じ意味合いで、墓石の特定の品質、形状を直接的かつ具体的に表す語として理解され、使用されているとは認められず、むしろこれらの事実において「現代墓石」の文字が統一された意味合いで示されていないことは、「現代墓石」が商品の特定の品質、形状を直接的かつ具体的に表すとまでは取引者、需要者に理解されていないといった事情を反映していると解するのが妥当であることから、本願商標は、その指定商品の品質、形状を直接的かつ具体的に表すとはいえないものであり、これらのみでは、商標法第3条第1項第3号の根拠とはならない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「現代墓石」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「現代」の語と「墓石」の文字からなるものと容易に看取されるものであり、その構成中の「墓石」の文字は、本願の指定商品の普通名称を表すものであることから、本願商標からは、「現代の墓石」という意味合いを直ちに理解するものである。
そして、近年は、別掲1に示したとおり、昔ながらの和型三段墓のようなお墓を建てる人が少なくなり、現代的な感覚を取り入れた形や刻字の墓石に変化している事情がうかがえる。
そして、上記の事情の下、「現代墓石」及び「現代墓」の文字は、本願の指定商品を取り扱う業界において、従来の形式や固定観念にとらわれない、自由で個性的なお墓の総称として使用されており、具体的には、建立者の自由な発想で墓石の色、形、字体等のデザイン、墓石に刻印する文字等を選択、採用した墓石を表す言葉として使用されていることが、例えば、別掲2及び3で示したインターネット上のウェブサイトの情報や新聞記事によって認めることができる。
そうすると、「現代墓石」の文字からなる本願商標は、その指定商品「墓石」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「従来の形式にとらわれず、デザイン等を選択できる現代的な感覚を取り入れた墓石」であることを理解、認識するにすぎず、単に商品の品質を表示するものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、商品の品質・形状を直接的かつ具体的に示すものではなく、「今風の墓石」といった程度の抽象的な意味合いを暗示させるにとどまる造語であって、また、証拠調べ通知に示された用例からは、「現代墓石」の文字が統一された意味合いで使用されていないものであるから、本願商標が商品の品質を直接的に示した根拠とはならない旨主張する。
しかしながら、本願商標「現代墓石」の文字は、別掲2及び3において通知した各社のウェブサイト等においては、個別の表現がなされているが、それらを総合すると、上記(1)のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界において、「従来の形式にとらわれず、デザイン等を選択できる現代的な感覚を取り入れた墓石」という意味合いで使用されているものと認めることができるものであり、本願商標は、その指定商品の品質を表したものと認識されるというべきである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(平成27年7月27日付け証拠調べ通知書をもって開示した事実)
1 近年の墓石に関する事情の変化について説明したインターネット記事及び新聞記事
(1)墓石の企画・制作等を行う「kf design」が運営する「casa memoria」のウェブサイト中の「ABOUT」の項目中に、「MESSAGE」として、「現在では、もともと仏塔としての意味を持っていたお墓への認識が変わりつつあり、昔ながらの和型三段墓のようなお墓を建てる人が少なくなってきています。人それぞれ個性があるように、お墓にも個性を求める人が増えてきたからでしょう。近年の霊園や墓地を巡ると本当にたくさんの個性豊かなお墓が並んでいます。」との記載(http://www.casa-memoria.com/about-1/)及び「LINE UP」の項目中に、「TSUBOMI・ICHI」との名称の墓石の説明として、「伝統的な日本の美意識と現代的な感覚が見事に調和した墓石。モダンでありながらどこか懐かしい雰囲気が感じられる事でしょう。」との記載がある。
(http://www.casa-memoria.com/line-up/tsubomiichi-%E3%83%84%E3%83%9C%E3%83%9F%E3%82%A4%E3%83%81/)。
(2)2012年2月2日付け「毎日新聞 地方版」(25頁)に、「しらかば帳:現代墓石事情/長野」の見出しの下、「墓石の形も変わった。一般的な『和型』は少数で、ほとんどが石碑の形をした横長の『洋型』だった。大きく『○○家』と刻んだ墓石も少ない。『心』や『絆』など一文字だけのもの。英文や梵字(ぼんじ)のもの。故人が生前に詠んだのだろうか、和歌を刻んだ墓石もあった。そうした中に、現在の流行歌の歌詞を刻んだ墓石があった。」との記載がある。

2 本願の指定商品を取り扱う分野における「現代墓石」の文字を用いた用例(下線は、当合議体が付加。以下同じ)
(1)「有限会社 福村産業」のウェブサイト中の「お墓とは」の項目中に、「種類」として、「洋型墓石」、「和型墓石」の他に、「ニューデザイン・現代墓石 形式や固定観念に捕らわれない、自由で個性的なお墓のことを総称して現代墓石(デザイン墓石)と呼びます。洋型墓石や和型墓石を融合させたような落ち着いたお墓から、故人の仕事や趣味などを表現した斬新なお墓まで様々なものがあります。」との記載がある。
(http://fukumura-sangyou.com/contents/exp.html)
(2)「株式会社ぶつだんのもり」のウェブサイト中の「■購入にあたって」の項目中に、「お墓の種類」として、「■和洋墓」、「■墓石(芝台・免震カロート)」、「■玉垣・廻石」、「■墓石(三宝台タイプ)」、「■五輪塔・供養塔」の他に、「■現代墓石 宗教、宗派にとらわれない現代風にデザインされた横長のお墓です。墓石の形、文字・書体など、すべてのデザインをオリジナルで作ることが可能です。」との記載がある。
(http://www.e-hakaishi.com/asp/nwsitem.asp?nw_id=133)
(3)「石の友わ 石巻市の石材店」のウェブサイト中のトップページに、「色彩豊かな石種から、日本の銘石、落ち着きのある黒まで『石の友わ』は、数多く取り扱っております。現代墓石には、色、形に決まりはありません。 故人の好きな物、花、趣味など、墓石に彫刻したり、形にしたりできます。お客様だけの組み合わせで素敵なお墓を建ててみませんか?」との記載があり、その記載の下に「デザイン墓石一覧」として、伝統的な縦長の和型墓石とは異なったデザインが施された墓石の写真が掲載されている。
(http://www.yuuwa14.com/)
(4)「霊園の管理・維持方法」のウェブサイト中の「お墓のデザイン」の項目に、「自分と自分の子供たちが眠る『お墓』は、新しく建てるならオリジナリティに溢れたデザインにしたいですね。最近では『デザイン墓石』と呼ばれる新しいタイプの墓石が非常に人気を集めています。デザイン墓石は別名『現代墓石』とも呼ばれ、好きなモチーフや構造を細かく注文するタイプの墓石です。カタログに載っているベーシックな墓石をそのまま注文するのではなく、石の種類から向きから、細かいところにまで自分の意見を取り入れて貰えるので、お墓を建てた!という感動もひとしおです。
通常、デザイン墓石はいくつかのパターンの中から選んでアレンジする方法が多いのですが、中にはゼロからデザインして作るタイプの墓石もあります。特に故人が好きだったモチーフを象ったり、強化ガラスやステンドグラスなど墓石とは違う素材を使うような場合、業者と早い段階から綿密な打ち合わせを行う必要があります。
また最近のデザイン墓石には『ユニバーサルデザイン』といって、誰もが気軽に使えるよう設計に配慮されたものが多く登場しています。通路との段差をなくしたバリアフリー仕様や、掃除や参拝の途中でちょっと一息というときの『腰かけ』がついている墓石が特に人気。また、腰かけ部分に手桶などをしまっておける収納スペースをそなえたデザイン墓石もあります。見た目のデザインだけを考えるのも良いですが、ユニバーサルデザインのように使いやすさを第一に考えた墓石も魅力的です。」との記載がある。
(http://www.poserpros.com/design.html)
(5)「有限会社近藤石材商店」のウェブサイト中の「製品紹介」の項目中に、「時代の移り変わりとともに『お墓』に対する考え方も多様化してまいりました。また、お客様のニーズも多種にわたっています。そんな、皆さまの声から生まれた近藤石材商店のオリジナル墓石を紹介します。」として、「現代墓石納骨堂型 瑞雲」及び「現代墓石納骨堂型 暁光」との記載とともに伝統的な縦長の和型墓石とは異なった形の墓石の写真が掲載されている。
(http://www.kondosekizai.com/item/)
(6)「株式会社とっとり中谷」のウェブサイト中の「販売商品」の項目中に、「オーダーメイドの墓石を造ります・・・ 伝統和型、和洋融合型、現代デザイン型、ガーデニング型、耐震型・・・お任せください。」との記載の下、「墓石の種類」として、「白系御影現代墓石」及び「青細目系現代墓石」との記載とともに伝統的な縦長の和型墓石とは異なった形の墓石の写真が掲載されている。
(http://www.ohakazukuri.com/contents2.html)
(7)「(株)晃栄石材」のウェブサイト中の「WHAT’S NEW」の「11.20」に「丸子山墓苑『現代墓石』新登場!」との記載(http://koei-sekizai.co.jp/)及びその記事中に、「現代墓石」の記載とともに伝統的な縦長の和型墓石とは異なった形の墓石の写真が掲載されている(http://koei-sekizai.co.jp/marukoyamagendai.pdf)。
(8)「株式会社鎌倉新書」が運営する「いいお墓」のウェブサイト中の「お墓をさがす」の項目中に、「憩い宝樹霊苑岡山東」として、「一般墓所の他、永代供養付の現代墓石『憩い』専用区画もある。
■永代供養付現代墓石『憩い』 『憩い』専用区画(特区)1.0m2(*合議体注「平米」の意。) 現代墓石と墓地のセット 600,000円」との記載がある。
(http://www.e-ohaka.com/detail/id1419241954-937059.html)

3 本願の指定商品を取り扱う分野における「現代墓」の文字を用いた用例
(1)2001年5月15日付け「毎日新聞 地方版」(21頁)に、「徳島市・藍場浜公園でストーンフェア ニューデザインの現代墓を展示 /徳島」の見出しの下、「円筒形や丸形のニューデザインの現代墓を展示したストーンフェアが徳島市の藍場浜公園で開かれ、人目を引いている。同市内の仏壇販売会社が伝統的な墓石や灯篭、置き石などとともに20日まで展示販売している。
現代墓はインド産原石を使用、約1メートルの高さのものなど全体に小ぶり。赤、黒、灰色とカラフルで、価格は45?275万円。自分の人生に合わせて『夢』『努力』など好きな文句を刻め、入場者も『明るくて面白いね』。」との記載がある。
(2)「ぶつだんのもり」のウェブサイト中の「お墓」の「お墓に関する製品」の項目中に、「現代墓」として、「宗教、宗派にとらわれない現代風にデザインされた横長のお墓です。墓石の形、文字・書体など、すべてのデザインをオリジナルで作ることが可能です。」との記載とともに伝統的な縦長の和型墓石とは異なったデザインが施された墓石の写真が掲載されている。
(http://www.b-mori.co.jp/ohaka-type/gendai/)
(3)「徳田石材」のウェブサイト中の「知っておきたいお墓の知識」の項目中に、「お墓のカタチに決まりはあるの」として、「お墓は来世の自分の家でもあります。立てる人の感性や価値観に合った、その人らしいデザインの墓石も構いません。例えば現代墓のような墓石は、単なる造形面だけではなく使いやすさ、安全性、耐久性を新しい形・デザインの中に追求したものとなっています。」との記載がある。
(http://diho.com/88/knowelge.htm)
(4)「松島産業株式会社」のウェブサイト中の「メモリーランドのお墓」の「墓石ショールーム」の項目中に、「→目的から墓石を探してみる」「○スタンダードな形から選びたい」との見出しの下、「瑞穂+輦車型」の墓石の説明に、「和型でも洋型でもない現代墓です。洋型の雰囲気を残しながら和型の高さを取り入れました。」との記載とともに伝統的な縦長の和型墓石とは異なったデザインが施された墓石の写真が掲載されている。
(http://matsushimasangyo.co.jp/showroom/01std/01_11.html)
(5)「一般財団法人南葉山霊園」のウェブサイト中の「販売墓所」の項目の「第7園区」及び「第8園区」に、「伝統的な和型から現代墓までお選びいただけます。」との記載がある。
(http://www.minami-hayama-reien.or.jp/cemetery/)
(6)「村上大理石株式会社」のウェブサイト中の「墓地のご案内」の項目の「深谷霊園(福井県深谷町)」の説明として、「大規模、中規模のお墓を中心に、洋墓、現代墓が多いのがこの霊園の特徴で、施主の色々な思いを表現できる霊園です。」との記載がある。
(http://www.murakami-dairiseki.co.jp/reien.html)

審理終結日 2015-10-22 
結審通知日 2015-10-27 
審決日 2015-11-10 
出願番号 商願2014-101885(T2014-101885) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W19)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩崎 安子 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 堀内 仁子
藤田 和美
商標の称呼 ゲンダイボセキ、ゲンダイハカイシ、ゲンダイ 
代理人 大西 一正 
代理人 梁瀬 右司 
代理人 振角 正一 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ