• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W091641
審判 全部申立て  登録を維持 W091641
管理番号 1308506 
異議申立番号 異議2015-900151 
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-05-14 
確定日 2015-11-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5740640号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5740640号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5740640号商標(以下「本件商標」という。)は,「らくらくシリーズ」の文字を標準文字で表してなり,平成26年7月28日に登録出願,同27年1月14日に登録査定,第9類「電子計算機用プログラム,録音済み磁気式又は光学式記憶媒体,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音声ファイル,録画済み磁気式又は光学式記憶媒体,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,電子出版物」,第16類「印刷物」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を指定商品及び指定役務として,同年2月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標について,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)電子計算機用プログラム
電子計算機用プログラムは,人が自分の頭と手を使って行なってきた作業をコンピュータに行わせることによって,その作業をらくらく行えるようにするためものである。そのため,往々にして電子計算機用プログラムの機能の表示として「らくらく○○」が用いられてきた。
一方,電子計算機用プログラムには特定の用途があり,一つの電子計算機用プログラムで様々な用途をこなせるのではなく,例えば,会社の事務作業である従業員の通勤定期購入の効率化を計る(らくらく行える)電子計算機用プログラム,従業員の出張旅費の処理の効率化を計る(らくらく行える)電子計算機用プログラム・・・のように個々の電子計算機用プログラムによって用途が異なり,これら複数の電子計算機用プログラムが一つのシリーズ商品として販売されている(甲3)。
また,ワードプロセッサや表計算ソフトなどを複数のアプリケーションがパッケージとして同梱されたいわゆるパッケージソフトがある。
上記のシリーズ商品としての電子計算機用プログラムやパッケージソフトは,その販売(ライセンス)にあたり「楽々○○を行なわせる電子計算機用プログラム群」として「らくらくシリーズ」表示とされて現実の取引において使用されている。
この電子計算機用プログラム群の総称としての「らくらくシリーズ」は遅くとも1997年(平成9年)には用いられていた(甲2)。さらに,現在でも人の作業を容易ならしめる電子計算機用プログラム群の総称として「らくらくシリーズ」が用いられている(甲3)。
したがって,本件商標は,人の作業を容易ならしめる電子計算機用プログラム群(シリーズ商品)に使用された場合には,これら商品の品質・機能を表示するものとなり,自他商品識別標識として機能し得ない。また,上記の電子計算機用プログラム以外のものに使用された場合には,商品の品質を誤認させるものである。
電子計算機用プログラムの関係で「らくらく○○」の商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして拒絶された審査例が多数存在する(甲4)。 一方,「シリーズ」が自他商品識別力を欠くものとされていることは多言を要しない。そして,共に自他商品識別力を欠く「らくらく」と「シリーズ」からなる本件商標は,その組み合わせによっても個々の語が意味する以上の特別な意味合いは感得できない。
(2)電子出版物及び印刷物
電子出版物を含めた書籍の分野でも学習や試験向けのものを中心に,「らくらく○○できる」ことを意味する商品群を「らくらく○○シリーズ」が用いられている事実がある(甲5)。
書籍,取り分け,参考書の類は科目ごとに書籍が作製されるので,シリーズ商品として販売されるものが一般である。
したがって,本件商標がこれら書籍に使用された場合には,これら商品の品質・内容等を表示するものとなり,自他商品識別標識として機能し得ない。
また,上記の電子出版物及び印刷物以外のものに使用された場合には,商品の品質を誤認させるものとなる。
(3)他の商品及び役務に関しての品質又は質の誤認
本件商標は,上記の商品及び役務以外の商品及び役務が使用された場合には,商品の品質の誤認又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。
(4)むすび
前記のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断
本件商標は,「らくらくシリーズ」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中,「らくらく」の文字が,「ゆったりしていて安楽なこと。たやすいさま。」等の意味を有する「楽楽」の読みを平仮名で,また,「シリーズ」の文字が,「(連続・系列の意)連続性を持つ一連のもの。逐次出版される叢書,主人公や主題の共通な2編以上の映画やテレビドラマ,ある期間連続的に行う野球の試合など。」の意味を有する「series」(いずれも広辞苑第六版)の表音を片仮名で表したものであり,これらの文字を組み合わせた本件商標から,「たやすい一連のもの」程の意味合いを想起させるとしても,これが本件商標の指定商品の品質及び指定役務の質を具体的に表示したものとして,直ちに理解されるものとはいい難い。
なお,申立人が提出した証拠によれば,簡易導入のパッケージ・ソフト,パソコンの入門向けツール,塗装ロボットの対話型パッケージプログラムソフトについて「らくらくシリーズ」の文字が使用されているところ,「簡易導入パッケージ・システム」,「インターネットへの接続操作を容易にする」,「ティーチングを簡素化した」(甲2)の記載から,操作や作業を容易にする商品であることを暗示させる場合があるとしても,「らくらくシリーズ」の文字が直ちに「電子計算機用プログラム」の商品の品質を具体的に表示したものとして理解されるとは認めることができない。
そして,「くもんのらくらく算数シリーズ」,「穴埋め式らくらくワークブックシリーズ」等(甲5)の使用があるが,これらは,「算数」や「穴埋め式・・・ワークブック」の表示があり,本件商標とは,その構成態様が相違するものであるから,これらの証拠により,本件商標がその指定商品の品質及び指定役務の質等を具体的に表すものであるということはできない。
また,当審において職権をもって調査するも,本件商標の登録査定時において,「らくらくシリーズ」の文字が,本件商標の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において,商品の品質及び役務の質等を表すものとして普通に用いられている事実を発見することができない。
そうとすれば,本件商標は,これをその指定商品及び指定役務について使用しても,自他商品及び役務の識別標識としての機能を十分に果し得るものであり,かつ,商品の品質及び役務の質について誤認を生ずるおそれもないものである。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものでないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-11-18 
出願番号 商願2014-62987(T2014-62987) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (W091641)
T 1 651・ 13- Y (W091641)
最終処分 維持  
前審関与審査官 稲村 秀子吉沢 恵美子 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 田村 正明
田中 亨子
登録日 2015-02-13 
登録番号 商標登録第5740640号(T5740640) 
権利者 有限会社佐藤孝の宅建学院
商標の称呼 ラクラクシリーズ、ラクラク 
代理人 松井 茂 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ