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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W35
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W35
審判 査定不服 商3条柱書 業務尾記載 登録しない W35
審判 査定不服 外観類似 登録しない W35
管理番号 1308487 
審判番号 不服2015-9526 
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-22 
確定日 2015-12-04 
事件の表示 商願2014-59685拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成からなり,第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成26年7月16日に登録出願されたものであるが,その指定役務については,原審における同年12月26日付け手続補正書により,第35類「印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,録画済みビデオディスク及び録画済みビデオテープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要点
(1)商標法第3条第1項柱書について
原査定において,第35類の指定役務中,「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については,いまだ出願人が現に業務を行っているか又は近い将来に行う予定があるかについて合理的疑義があるため,本願商標は商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第5232556号商標(以下「引用商標」という。)は,「Bookport」の文字を標準文字で表してなるところ,平成19年6月29日に登録出願され,第35類「紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同21年5月22日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項柱書について
当審において,請求人が提出した平成27年5月22日付けの審判請求書における証明書類によれば,本願の指定役務に係る小売等役務の業務を請求人が行っていることが認められ,請求人が本願商標をその指定役務に使用していること又は近い将来使用することについて,明確なものとなったため,本願商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備していないとの拒絶の理由は解消した。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本願商標の構成は,前記1のとおり,黒色の四角形の中に,上段にいかりとおぼしき図形とその上端を挟むように配置された「2」及び「3」の数字と,その下段に白抜きで「BOOK PORT」の欧文字を横書きしてなるところ,図形部分と文字部分とは,上段と下段に分けて表してなるものであるから,視覚上容易に分離して看取されるものであり,また,これらを常に一体不可分のものとしてのみ看取されなければならない特段の事情は認められない。
そして,該文字部分についてみると,その構成中の「BOOK」の文字は,「本,書籍」等の意味を有する語であり,「PORT」の文字は,「港,港町」等の意味を有する語であるところ,その構成文字に相応して,本願商標からは「ブックポート」の称呼を生じるものである。
また,本願商標を構成する「BOOK PORT」の文字は,上記のとおりの意味を有する語から構成されているとしても,該文字全体からは,特定の意味合いを直ちに想起するということはできない造語といえるものであるから,本願商標は,特定の観念を生じないというのが相当である。
他方,引用商標は,前記2のとおり,「Bookport」の文字からなるところ,これは,「book」の文字と「port」の文字が結合された,一種の造語として看取されるものであるから,その構成文字に相応して,「ブックポート」の称呼を生じ,また,特定の観念は生じないものである。
そこで,本願商標と引用商標とを比較するに,外観においては,本願商標の文字部分は「BOOK PORT」であり,引用商標は「Bookport」であって,2字の間のスーペスの有無や,すべて大文字で表されている違いはあるものの,両商標は,同一のつづりからなる語であるから,外観上,近似した印象を与えるものである。
また,称呼においては,本願商標から生じる「ブックポート」の称呼と引用商標から生じる「ブックポート」の称呼は,称呼が同一であり,さらに,観念においては,両商標とも造語であるから比較することができないものである。
そうすると,本願商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観において両商標は,文字部分について近似した印象を与え,「ブックポート」の称呼を共通にするものであるから,外観と称呼において相紛らわしい類似の商標といわざるを得ない。
そして,本願の指定役務中,「印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,録画済みビデオディスク及び録画済みビデオテープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と引用商標の指定役務中,「紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,同一又は類似の役務である。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)請求人の主張(要旨)
ア 請求人は,本願の指定役務中,「印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と引用商標の指定役務中,「紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,一部の巨大店舗においては,書籍や文房具類を同じ店舗内で取り扱うことがあるとしても,本商標制度が適用される通常の店舗においては,役務提供者が同一の事業者ではないことが一般的であること,その用途が全く異なること,需要者が「書籍」は書店で購入し「文房具」は文房具店で購入するように両者を明確に区別して購入先を選択することが一般的であること等から,これらに同一又は類似する商標を使用した場合であっても,両者は互いに非類似の役務であることは明らかである旨主張する。
しかしながら,商標法第4条第1項第11号における役務の類否を判断するに際しては,例えば,提供の手段,目的又は場所が一致するかどうか,提供に関連する物品が一致するかどうか,需要者の範囲が一致するかどうか,業種が同じかどうか,当該役務に関連する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか,同一の事業者が提供するものであるかどうか等を総合的に考慮して具体的に判断すべきものである。
そして,本願の指定役務は,前記1のとおりであり,その指定役務中,「印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」があり,その印刷物の範ちゅうには,「絵はがき,楽譜,歌集,カタログ,カレンダー,雑誌,時刻表,書籍,新聞,地図,日記帳,ニュースレター,パンフレット」などの商品が含まれるものである(特許庁商標課編 類似商品・役務審査基準 参照)。
他方,引用商標の指定役務は,前記2のとおりであり,その指定役務中,「紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」があり,その紙類及び文房具類の範ちゅうには,「洋紙,和紙,書道用紙,筆記用具,消しゴム,印章,定規,墨汁,すずり,文鎮」などの商品が含まれるものである(特許庁商標課編 類似商品・役務審査基準 参照)。
(ア)そして,上記の商品については,原審において参考情報として示したように,「書店が文房具の小売等役務も合わせて行うことがしばしばあり,また,近時においてはその傾向が強まっているともいえる。」と記載しているところである。
加えて,以下のインターネット情報や新聞情報に示すように,郊外のショッピングセンターのみではなく,町の小売店においても,文房具と書籍,とりわけ雑誌などについては,同じ店舗で販売している実情や小売業についての記事が掲載されている。
a 「前田文具店」のウェブサイトにおいて,「取扱商品」の見出しの下,「文具・事務用品 書道用品 雑誌 プラモデル 印鑑・ゴム印 名刺・各種軽印刷」及び「営業時間:9:30?19:30 住所:埼玉県白岡市小久喜1083-2」の記載がある。
(http://maebun.cocolog-nifty.com/blog/info.html)
b 「目黒区商店街連合会 めぐろドットコム」のウェブサイトにおいて,「田中文具店 BSタナカ」の見出しの下,「鉛筆名前入れ実施中 卒園記念などにご利用下さい。(見積もりいたします)代官山・中目黒・祐天寺雑誌配達いたします。六三売り出し実施店です。
・雑誌の配達いたします。近隣のお客様,当日発売の雑誌は10時までに配達いたします。」の記載がある。
(http://www.meguroku.com/shop/shop.php?group=6&shop=1)
c 「太良町商工会」のウェブサイトにおいて,「山下文具店【Tel:0954-67-0027】(山下文具店)地元をこよなく愛する文具店です。」の見出しの下,「POINT」の項に「文具 スチール家具 雑誌 書籍 教科書 ゴム印 印鑑 実印 OA用品 耐火金庫 各種インクカートリッジ 高級筆記具 シャープペン 学校指定上履き コクヨ 稲葉製作所 三菱鉛筆 パイロット」の記載及び「多良小学校・中学校のすぐ目の前で文房具を販売してます。多数のメーカーを取り扱っております。店頭にない商品も取り寄せ致しますので,お気軽にご相談ください。」の記載がある。
(http://www.shokokai.or.jp/41/4144110013/index.htm)
d 「三豊市中小企業振興協議会」のウェブサイトにおいて,「三豊市企業ガイド」の見出しの下,「前川文具店」の項に,お店の外観,店内の写真と共に「事業内容 文具・雑誌 小売」,「事業所住所 香川県三豊市仁尾町仁尾丁372-2」及び「代表者 前川 宏人」の記載がある。
(http://mitoyo-kigyo.org/article.php/20110124165008677)
e 「BOOK STATIONERY 矢島書店」のウェブサイトにおいて,「矢島書店は,一般書籍,教科書,文具・事務用品などを取り揃えています。」の記載及び店舗の写真と共に,「会社・店舗紹介」の見出しの下,「取扱品目」の項において,「■総合事務用品■印章・ゴム印■DPE■切手・印紙■各種印刷■法令様式■一般書籍・雑誌 ■地図・住宅地図■教科書■学用品■たばこ■図書カード」及び「営業時間 月?金(8:30?18:30)定休日 土・日・祝日」の記載がある。
(http://www.bs-yajima.jp/store.html)
f 「本と文具のタカヤマ」のウェブサイトにおいて,「ご案内」の見出しの下,「取扱い品:文具・書籍・雑誌」,「営業時間:月?金曜日午前9時?午後7時,土曜日午前11時?午後4時 定休日:日曜日,祝日」及び「学校で使うものは何でもお問い合わせください。舞浜小,南小,堀江中の体操服も扱っております。学校,会社へは配達も行っておりますので,お問い合わせください。」の記載及び「会社概要」の見出しの下,「会社名(有)高山書店」の記載がある。
(http://takayama.hp.gogo.jp/pc/)
g 「恵庭商工会議所」のウェブサイトにおいて,「たけやま書店」の見出しの下,「業種 小売業(書籍,文具小売)」,「営業内容 書籍,雑誌,文具,事務用品,事務機器」,「設立年月日 昭和42年」及び「従業員数 4名」の記載がある。
(http://www.eniwa-cci.or.jp/members/2014/12/post-105.html)
h 2006年3月2日 東京読売新聞 朝刊33ページ 「[数字でみる『とちぎ』]書籍 小売店舗数,3年前より13%減=栃木」の見出しの下, 「・・・販売不振などの影響で,県内の書籍・文房具小売業の店舗数は04年6月1日現在,686店舗で,3年前より13%(141店舗)減った。」の記載がある。
i 2005年10月12日 大阪読売新聞 朝刊 32ページ 「県内の卸・小売業商業統計 従業員数の落ち込み最大 前回比6.2%減=鳥取」の見出しの下,「県は,国が昨年6月に行った商業統計調査の県内分の結果をまとめた。・・・従業者数はパートやアルバイトを含め長期間雇われている社員らの人数。繊維品卸売業(前回比マイナス43・5%)や書籍・文房具小売業(同21・8%)などで大きく減少しており,地域別でも米子市の935人減をはじめ全市で減っていた。」の記載がある。
(イ)さらに,経済産業省が行っている商業統計調査では,卸売業と小売業別に統計をとっており,小売業の中には,「書籍・文房具小売業」として統計をとっているところである。
(http://www.meti.go.jp/press/2015/06/20150630004/20150630004c.pdf)
(ウ)以上のことから,上記の項目について検討する。
a 「提供の手段,目的又は場所」について
上記(ア)aからgのとおり,同一店舗で筆記用具,印鑑,書道用品,書籍及び雑誌が販売されており,提供の手段,目的又は場所は一致している。
b 「需要者の範囲」について
上記(ア)aからgのとおり,同一店舗で筆記用具,印鑑,書道用品,書籍及び雑誌が販売されていることから,これらの商品を購入しようと訪れる者は,製造者でもなく流通業者でもない小学生・中学生等の一般の需要者であるから,需要者の範囲は一致している。
c 「業種」について
上記(ア)h,i及び(イ)のとおり,商業統計調査等では,書籍・文房具の小売業は同じ業種に分類されていることから,業種は同じである。
d 「同一の事業者」について
上記(ア)aからgのとおり,同一店舗で筆記用具,印鑑,書道用品,書籍及び雑誌が販売されている事情もうかがえることから,同一の事業者が提供しているものである。
(エ)以上のとおり,本願の指定役務中,「印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と,引用商標の指定役務中,「紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,共にその提供の手段,目的又は場所,需要者の範囲が一致し,業種が同じで,同一の事業者が提供するものであるから共通にすることが多い類似の役務であるというのが相当である。
そうすれば,本願の指定役務中,「印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と,引用商標の指定役務中,「紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,互いに類似するものであるといわざるを得ない。
よって,上記した請求人の主張は,採用することができない。
イ 請求人は,本願の指定役務中,「録画済みビデオディスク及び録画済みビデオテープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と引用商標の指定役務中,「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,上記アの審査の誤解と同様であり,両者は互いに非類似の役務であることは明らかである旨主張する。
しかしながら,本願の指定役務中,「録画済みビデオディスク及び録画済みビデオテープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,「録画済みビデオディスク」及び「録画済みビデオテープ」を販売するものであって,その商品は,音楽や画像をDVDやテープに記録したものであり,娯楽に供するものである。
他方,引用商標の指定役務中,「レコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,「レコード」を販売するものであり,やはり娯楽に供するものである。
そうすると,小売又は卸売の業務において取扱われる「録画済みビデオディスク」及び「録画済みビデオテープ」の商品と「レコード」の商品は,共に娯楽に供するものであるから需要者も同じであり,通常,レコード店やCD,DVD店及び書店等で販売されているものである。
そうすれば,本願の指定役務中,「録画済みビデオディスク及び録画済みビデオテープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と,引用商標の指定役務中,「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,互いに類似するものであると考えるのが自然である。
よって,上記した請求人の主張も,採用することができない。
(4)まとめ
以上によれば,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当であって,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標


審理終結日 2015-09-25 
結審通知日 2015-09-29 
審決日 2015-10-20 
出願番号 商願2014-59685(T2014-59685) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W35)
T 1 8・ 18- Z (W35)
T 1 8・ 261- Z (W35)
T 1 8・ 263- Z (W35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 庄司 美和白鳥 幹周 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 清棲 保美
榎本 政実
商標の称呼 ニヒャクサンブックポート、ニゼロサンブックポート、ブックポート、ポート 
代理人 前田 和男 
代理人 下山 冨士男 

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