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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1307539 
異議申立番号 異議2015-900092 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-03-20 
確定日 2015-10-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5726416号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5726416号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5726416号商標(以下「本件商標」という。)は、「クリスタルサボンの香り」の文字を標準文字で表してなり、平成26年7月17日に登録出願、第3類「せっけん,ボディソープ,シャンプー,せっけんの香りを有する化粧品」を指定商品として、同年11月5日に登録査定、同年12月12日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する登録商標及び標章は、以下の1及び2の2件であり、2を除き現に有効に存続しているものである。(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)

1 国際登録第932369号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、2007年(平成19年)7月11日に国際商標登録出願、第3類「Soap, including hand, face and body soap; bath foam, bath milk, bath oil, mineral bath salt, mineral bath powder, bath sea salt, bath flavours, body gel, shower gel oil, bath gel so called "polisher" (with scrub beads), massage oil, body oil sprays, body lotions, body scrubs, foot lotions, hand lotions, face wax, facial cleansers, facial refreshers, moisturizers, facial creams, facial scrubs, all cosmetic.」を指定商品として、平成24年2月10日に設定登録されたものである。

2 申立人の業務に係る商品「ボディスクラブ・せっけん・ボディクリーム・アロマオイル・バスソルト・芳香剤等のボディケア商品」に使用されている「SABON」の欧文字からなる標章(以下「引用商標2」という。)。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれかに該当する商標であり、同法第15条の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として第1号証ないし第183号証(枝番を含む。以下、便宜上、符号「甲」を付して記載する。)を提出した。

1 引用商標1及び2との関係
(1)申立人のブランドの周知性
引用商標1及び2は、本件商標の出願日及び登録査定日において、国内及び外国で、申立人の業務に係るものとして需要者の間で広く認識されていた。
当該主張を裏付ける資料及び説明については、異議2014-900314にて、概ね主張したとおりである。
このため、当該異議申立にて提出した手続補正書の写し(甲1の3)及び当該手続補正書に添付した証拠甲第2号証ないし甲第176号証を提出する。なお、雑誌の記事の写し(甲177?甲181)を併せて提出する。
ア 別件異議2014-900314における申立人の主張
引用商標1及び2との関係
(ア)申立人のブランドの国内における周知性
申立人は、日本国内及び12ヶ国以上の外国において引用商標1及び2を使用した化粧品製造販売業を展開している。その店舗数は、2014年11月19日現在で、国内と外国とを合計して173以上にまで至る。最初の店舗が1997年にイスラエルでオープンして以来、当該引用商標は継続的に使用されてきている。
日本での引用商標1及び2の使用は2008年から開始され、現在では首都圏や主要都市を中心に全国的に展開された店舗で当該引用商標は使用されている。
引用商標1及び2は、店舗の壁や看板及びウェブサイトのほか、商品のパッケージ、手提げ袋、パンフレット等々、様々なものに付されて使用されている。
引用商標1及び2の使用に係る商品の年ごとの国内売上高は、2008年=約1億1千万円(1ドル/118.40円)、2009年=約5億9千万円(1ドル/118.40円)、2010年=約10億6千万円(1ドル/118.40円)、2011年=約16億5千万円(1ドル/118.40円)、2012年=約21億2千万円(1ドル/118.40円)、2013年=約36億5千万円(1ドル/118.40円)であり、上記の数字から、大幅かつ急速に売上高を伸ばしてきていることがうかがえる。
そして、引用商標1及び2は、申立人のブランドとして2008年から継続的に多数の雑誌に何度も掲載され(甲2?甲120)、複数の書籍にも掲載され(甲121?甲124)、さらに、テレビ番組やウェブサイトの記事で紹介又は宣伝されている(甲125?甲134)。
このため、引用商標1及び2は、申立人の業務に係るものとして、需要者の間で広く認識されていたというべきである。
また、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」において、2010年及び2011年のベストコスメ大賞のせっけん・ボディ洗浄料部門において、2年連続2位を獲得している(甲129)。さらに、ボディスクラブ製品に関しては、クチコミランキングの1位、4位、6位及び8位を申立人の引用商標1及び2に係る商品が占めている(甲131)。
したがって、特に商品「ボディスクラブ」については、引用商標1及び2は、申立人の業務に係るものとして、需要者の間で広く認識されていることが明らかである。
(イ)申立人のブランドの外国における周知性
引用商標1及び2が、ボディスクラブ、ボディローション、バスソルト、アロマキャンドル、せっけん等のボディケアプロダクトのブランドとして、米国の雑誌、新聞記事において、継続的に紹介又は宣伝されてきており(甲135?甲155)、オランダの雑誌、新聞記事においても、継続的に紹介又は宣伝されてきている(甲156?甲176)。
米国・オランダの雑誌及び新聞等に加え、日本の雑誌の記事において、引用商標1及び2が海外で人気又は有名であることに言及する記載が散見される(甲6、甲19等)。
したがって、引用商標1及び2が本件商標の出願日及び登録査定日において、外国にて広く認識されていたことが理解できる。
(2)商標の類似について
商標の類否は、外観、称呼、観念等の判断要素に加え、取引実情も含めて総合的に判断するものである。
本件商標からは、自然な称呼として「クリスタルサボンノカオリ」が生じるほか、「サボン」の称呼も生じるというべきである。
その理由を以下に示す。上記(1)のとおり、引用商標1及び2は、本件商標の登録査定日において、国内で申立人の業務に係るものとして需要者の間で広く認識されていたものである。
ここで、商標審査基準十、第4条第1項第11号の6.の(6)では、周知な登録商標に他の文字を結合した商標の扱いについて、「その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上のつながりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。ただし、その他人の登録商標の部分が既成の語の一部となっているもの等を除く。」と定めている。また、当該審査基準では、「ラブロレアル」と「L‘OREAL」が類似する例として挙げられていることから、周知登録商標の称呼と同一の称呼を含む商標も同基準本文に該当すると理解できる。
そうすると、引用商標1及び2を含む本件商標において、「サボン」がそれ以外の文字と外観及び観念上つながりがあるとしても、既成語の一部とはなっていないのであるから、本件商標は引用商標と類似するということができる。
なお、上記審査基準は、第4条第1項第11号の場面であるため「登録商標」という表現になっているものの、登録商標か未登録商標かで類否の判断基準自体が変わるわけではない。
したがって、引用商標2は登録商標ではないが、上記審査基準における類否の考え方に照らせば、本件商標と引用商標1及び2は類似するというべきである。
審査基準の考え方によれば本件商標に係る類否は以上のとおりであるが、さらに裁判所での判断を踏まえると、本件商標「クリスタルサボンの香り」の「サボン」と同一称呼の「SABON」は、申立人の業務に係る商標として周知であるため、取引者及び需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえる。また、「クリスタルサボンの香り」は、全体として特定の観念を生じさせるものではなく、かつ、「クリスタルサボンノカオリ」の称呼は12音と極めて冗長であるから、「サボン」のみを分離観察することが取引上不自然なほど不可分的に結合していない(つまり可分である)。
本件商標には、たとえ外観上のつながりが多少あるとしても、観念上及び称呼上の一体性がないため、不可分的でないといえるに十分である。また、「クリスタル」の語は、「水晶」等を意味する語として一般に馴染みのある語であるため、強く支配的な印象を与えることはなく、「クリスタル」と「サボン」に自然に分離して認識される。また、「の香り」の語は、引用商標1及び2に係る商品の特徴を表す語であるため、自他商品識別力がなく捨象して認識されるといえる。
したがって、本件商標は、「サボン」とも称呼されるというべきであり、引用商標1及び2と称呼が同一である。このため、本件商標は引用商標1及び2と類似する。
(3)商品の類否及び関連性について
本件商標の指定商品「せっけん,ボディソープ,シャンプー,せっけんの香りを有する化粧品」は、申立人の業務に係る商品「ボディスクラブ・せっけん・ボディクリーム・アロマオイル・バスソルト」等のボディケア製品を含んでいる。また、これらの商品は、類似商品・役務審査基準において同じ類似群に属しており(04C01、04A01)、互いに同一又は類似である。このため、これらの商品が密接な関係を有することはいうまでもない。
特に、商品「ボディスクラブ」は、本件商標の指定商品の一部「化粧品、せっけん類」と密接に関連しているということができる。すなわち、「ボディスクラブ」とは、研磨剤を含む美容・洗浄用品であり、肌の汚れや角質を除去することによって肌が清潔でつるつるになるという効能を有している。このため、化粧品及びせっけん類の双方の要素を有する商品である。
したがって、商品「ボディスクラブ」は、「化粧品、せっけん類」に含まれるというべきであり、これらの商品は同一又は類似であるといえる。
(4)出所の混同のおそれについて
上記(1)で述べたように、本件商標の指定商品の分野において引用商標1及び2は、その出願日及び登録査定日に需要者の間に広く認識されていた。
これに加えて、上記(2)の商標の類似性及び(3)の商品の類似性及び関連性を考慮すれば、本件商標に接する需要者が、本件商標は申立人の出所表示であるとして誤認するおそれ(狭義の混同)、若しくは申立人商品のシリーズ商品等のように、申立人の業務と何らかの関係があると認識して出所を混同するおそれがある(広義の混同)。
仮に、引用商標1及び2が商品「ボディスクラブ」の出所表示としてのみ周知・著名であるとしても、上記(4)のとおり、商品「ボディスクラブ」は、商品「化粧品、せっけん類」と密接な関係を有するため、本件商標と引用商標1及び2は、少なくとも、商品「ボディスクラブ」及びボディスクラブ以外の商品「化粧品、せっけん類」の出所について、狭義又は広義の混同を生じさせるおそれがあるといえる。
(5)不正の目的について
上記(1)で述べたように、本件商標の指定商品の分野において引用商標1及び2は、その出願日に既に日本又は外国の需要者の間で広く認識されていた。
また、上記(2)及び(3)で述べたとおり、引用商標1及び2と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品は申立人の商品と同一又は類似若しくは密接に関連する商品である。
さらに、本件商標の出願人の業種は、申立人と同業種であるため、申立人製品及び商標に詳しいはずである。
したがって、本件商標の出願人が、引用商標1及び2の著名性にフリーライドするという不正の目的をもって本件商標の出願をしたことが推認できる。
(6)各条文の該当性
ア 商標法第4条第1項第10号について
上述のとおり、引用商標2は、日本国内の需要者の間に広く認識された商標である。また、本件商標は引用商標2と類似する商標であり、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品と同一又は類似する。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。
イ 商標法第4条第1項第11号について
上述のとおり、本件商標は引用商標1と類似する商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標1に係る商品と同一又は類似する。また、引用商標1は申立人所有の先願先登録商標である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第15号について
仮に、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に該当しないとしても、上述のとおり、本件商標に接する需要者は申立人の業務と何らかの関係があると認識して出所を混同するおそれがある。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
エ 商標法第4条第1項第19号について
仮に、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当しないとしても、上述のとおり、引用商標は、外国又は日本国内の需要者の間に広く認識された商標である。
また、本件商標は引用商標1及び2と類似する商標であり、かつ、本件商標は不正の目的をもって出願されたことが推認できる。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標1及び2の周知性について
(1)申立人の主張及び甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、2008年にイスラエル発のボディコスメブランド「SABON」を、アジア初の店舗として東京表参道にオープンしている(甲3、甲4、甲6、甲7等)。
(イ)我が国で発売されたファッション関連の複数の雑誌等において、引用商標1及び2を表示したボディーケア用化粧品及び店舗が掲載されている(甲2?甲120、甲177?甲181)。
(ウ)申立人の主張によれば、引用商標1及び2の使用に係る商品の年毎の国内売上高は、2008年が約1億1千万円であり、2013年が約36億5千万円であった。
(エ)引用商標1及び2が使用されたボディスクラブについて、「2010年及び2011年@cosmeベストコスメ大賞 石けん・ボディ洗浄料部門で2年連続第2位」となっている(甲129)。
(オ)2003年から2008年に発行された米国の雑誌、新聞記事において、申立人又は申立人のボディーケア用化粧品が紹介又は宣伝されており(甲135?甲149)、また、2005年から2009年に発行されたオランダの雑誌、新聞記事においても、紹介又は宣伝されている(甲156?甲166)。
これらの雑誌、新聞記事において、申立人のボディーケア用化粧品に使用する表示若しくは該商品を紹介する表示又は申立人を紹介する表示として、引用商標1、引用商標2又は「SABON」若しくは「Sabon」の文字が使用されている。
その他の外国で発売された雑誌等については、発行日等は不明である。
(2)以上によれば、本件商標の登録出願前に我が国において、申立人は、引用商標1又は2を表示したボディーケア用化粧品を2008年以降、販売してきたことがうかがわれ、また、引用商標1又は2を表示したボディーケア用化粧品あるいは同商品を取り扱う店舗が雑誌等に掲載されてきたこと、特に、2010年及び2011年頃に申立人の商品「ボディスクラブ」がある程度知られていた状況がうかがえる。
しかしながら、申立人が提出した全証拠をみても、引用商標1又は2を表示したボディーケア用化粧品に関する我が国における取引実績については、客観的・具体的に把握することができないといわざるを得ないし、また、当該ボディーケア用化粧品に係る広告宣伝活動等(上記(1)(イ))についても、2008年8月から2009年6月までは継続的に行われていたものの、それ以降は断続的で、継続的に行われていたことを把握できない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標1及び2が、我が国において、申立人の商品を表示する商標としてある程度知られているとしても、需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができない。
また、我が国以外の外国においても、上記(1)(オ)のとおり、雑誌等に掲載された事実があるが、それらは2003年ないし2009年のものであり、その後の広告宣伝活動等は明らかでないから、上記雑誌等に掲載された事実のみにより直ちに引用商標1及び2が、申立人の商品を表示する商標として需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができない。

2 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「クリスタルサボンの香り」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成各文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく外観上一体に表されているばかりでなく、これより生じる「クリスタルサボンノカオリ」の称呼も冗長とまではいえず、無理なく一連に称呼し得るものである。
さらに、本件商標は、その構成中、前半部の「クリスタル」の文字部分が、「(1)水晶。(2)結晶。(3)クリスタル-ガラスの略。」(広辞苑第六版)を意味する語であり、同じく中間部の「サボン」の文字部分が「サボン【savon】シャボンに同じ。石鹸。」(広辞苑第六版)を意味する語であって、中間部の「サボン」の文字と後半部の「の香り」の文字を組み合わせた「サボンの香り」の文字部分からは、「石鹸の香り」程の意味合いが生じるといえるが、その構成全体としては、特定の意味合いを理解・認識させるものではなく、また、各構成部分も、いずれかが強く印象づけられる構成とはいい難く、各文字部分間に特に軽重の差があるものとはいえない。
以上によれば、本件商標は、不可分一体の構成よりなるものであって、その称呼も冗長とまではいえず、また、特定の観念を有しない造語といえるものであるから、本件商標の構成中にあって、「サボン」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいえない。
そうすると、本件商標は、その構成中の「サボン」の文字部分だけを分離、抽出し、引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されないものというべきである。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「クリスタルサボンのカオリ」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない。
(2)引用商標
ア 引用商標1は、別掲のとおり、二重に表された手書き風横長楕円の内側に「SABON」の欧文字を配したものであるところ、その構成中の「SABON」の文字部分に相応して「サボン」の称呼を生じ、また、「SABON」の文字は辞書等に記載がなく、造語として認識、把握されるとみるのが自然であるから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2は、「SABON」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「サボン」の称呼を生じ、また、「SABON」の文字は辞書等に記載がなく、造語として認識、把握されるとみるのが自然であるから、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 外観
本件商標の外観と引用商標の外観とを比較すると、両者は、構成文字において顕著な差異を有するものであるから、外観上十分区別し得るものであり、相紛れるおそれがないものである。
イ 称呼
本件商標から生じる「クリスタルサボンノカオリ」の称呼と引用商標から生じる「サボン」の称呼を比較すると、その構成音及びその音数に明らかな差異があることから、両者は明確に聴別し得るものであり、相紛れるおそれがないものである。
ウ 観念
本件商標及び引用商標は、特定の観念を生じないものであるから、観念上、両者は相紛れるおそれがないものである。
エ 取引の実情
本件商標が引用商標と、その商品の出所について混同を生じるおそれがあるとみるべき取引の実情は見いだせない。
オ 小括
以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはなく、これらを同一又は類似の商品に使用したとしても、その商品の出所の混同を生じるおそれがあるとは認められない非類似の商標である。

3 商標法第4条第1項第11号について
上記2(3)のとおり、本件商標が引用商標1と類似するものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第10号について
引用商標2は、上記1(2)のとおり、申立人提出の全証拠をみても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができないものである。
そして、上記2(3)のとおり、本件商標が引用商標2と類似するものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

5 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、上記1(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができないものである。しかも、本件商標と引用商標とは、上記2(3)のとおり、相紛れるおそれがない非類似の商標であって、これらを勘案するならば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起するということはできない。
そうすると、本件商標は、その指定商品について使用しても、その商品の出所について混同を生じるおそれがあるということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

6 商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、上記1(2)のとおり、需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができないものであり、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標である。
また、本件商標が、引用商標の名声等にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

7 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
引用商標1(国際登録第932369号商標)



異議決定日 2015-10-16 
出願番号 商願2014-60092(T2014-60092) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W03)
T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
T 1 651・ 25- Y (W03)
T 1 651・ 271- Y (W03)
T 1 651・ 263- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 大森 健司
原田 信彦
登録日 2014-12-12 
登録番号 商標登録第5726416号(T5726416) 
権利者 株式会社コーセー
商標の称呼 クリスタルサボンノカオリ、クリスタルサボンノ、クリスタルサボン、クリスタル 
代理人 阿部 達彦 
代理人 久保 怜子 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 行田 朋弘 

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