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審決分類 審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 登録しない W29
管理番号 1307452 
審判番号 不服2014-24233 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-28 
確定日 2015-10-21 
事件の表示 商願2013-98420拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ISO-CHILL」の文字を標準文字で表してなり、第29類「乳清を使用してなる食用たんぱく,食用たんぱく,乳清,乳製品」を指定商品として、平成25年12月16日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、国際的な規格・単位・用語などの標準化を推進する国際機関である『国際標準化機構(International Organization for Standardization)』の著名な略称『ISO』の文字を含むから、公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する著名な標章と同一又は類似のものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第6号について
商標法第4条第1項第6号によれば、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの・・・を表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標」は、商標登録を受けることはできないとされている。
そして、商標法第4条第1項第6号の趣旨は、同号に掲げる団体の公共性に鑑み、その権威、信用を尊重するとともに、出所の混同を防いで需要者の利益を保護するものであると解される(知財高裁 平成20年(行ケ)第10351号判決、平成24年(行ケ)第10125号判決参照)。
(2)本願商標の商標法第4条第1項第6号該当性について
ア 「ISO」の文字について
「国際標準化機構(英語表記:International Organization for Standardization)」は、別掲1のとおり、「国家間の製品やサービスの交換を助けるために、標準化活動の発展を促進すること」及び「知的、科学的、技術的、そして経済的活動における国家間協力を発展させること」を目的に、1947年に発足した国際的な団体であって、2012年12月には164ヶ国が参加し、我が国では、経済産業省に設置された審議会である日本工業標準調査会(JISC)が加入しているものである。
そして、別掲2のとおり、「ISO」の文字は、「アイエスオー」又は「イソ」と称呼され、「国際標準化機構」を表す略称として、様々な辞書、ウェブサイト等に掲載されていることからすれば、「ISO」の文字は、我が国のみならず、世界各国において広く知られている標章である。
以上のことから、「国際標準化機構」は、公益に関する団体であって営利を目的としないものといえ、その略称である「ISO」の文字は、「国際標準化機構」を表示するものとして、我が国のみならず、世界各国において広く知られている著名な標章というべきものである。
イ 本願商標と標章「ISO」の類否判断について
本願商標は、上記1のとおり、「ISO」及び「CHILL」の各文字を「-」(ハイフン)を用いて結合した「ISO-CHILL」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、本願商標については、それを構成する「ISO」の文字及び「CHILL」の文字が辞書に掲載されているとしても、本願商標全体が一連一体の語句として特定の意味合いをもって、一般に親しまれているということはできないものである。
そうすると、本願商標は、ハイフンにより「ISO」の文字部分が分離して看取され得るといえるものであって、該文字部分に相応して、「アイエスオー」又は「イソ」の称呼をも生じるものであり、また、該文字部分から「国際標準化機構」の観念を生じるものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、「国際標準化機構」を表示する著名な標章「ISO」と、全体の外観において相違するものの、「ISO」の文字部分において外観が類似し、称呼及び観念を同一にする、類似の商標である。
ウ 小括
上記ア及びイのとおり、本願商標は、公益に関する団体であって営利を目的としないものである「国際標準化機構」を表示する標章であって、著名な標章「ISO」と類似の商標であるから、商標法第4条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、商標の構成中に「ISO」の文字を含んでいる登録例及び「CHILL」の文字からなる登録例を挙げているが、登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かは、当該商標の構成態様と、指定商品及び指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
(1)日本工業標準調査会のウェブサイトにおいて、「1.ISOの概要」の見出しの下、「(1)沿革」の項目において「1947年に18ヶ国により発足。」、「(2)目的」の項目において「国家間の製品やサービスの交換を助けるために、標準化活動の発展を促進すること」、「知的、科学的、技術的、そして経済的活動における国家間協力を発展させること」、「(3)会員その他(2012年12月末現在)」の項目において「会員数 164ヶ国(会員団体111、通信会員49、購読会員4)」等と記載されている。(http://www.jisc.go.jp/international/iso-guide.html)
(2)経済産業省のウェブサイトにおいて、「標準化・認証」の見出しの下、「日本工業標準調査会(JISC)は、経済産業省に設置された審議会で、工業標準化全般に関する調査・審議を行っています。(中略)国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)に対する我が国唯一の会員として、国際規格開発に参加しています。」と記載されている。(http://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/kijyun/index.html)

別掲2
(1)「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)
「アイ・エス・オー【ISO】(International Organization for Standardization)」の項目に、「国際標準化機構。イソ。」と記載されている。
(2)「大辞林 第三版」(株式会社三省堂発行)
「アイ エス オー《ISO》〔International Organization for Standardization〕」の項目及び「イソ《ISO》〔International Organization for Standardization〕」の項目に、「国際標準化機構」と記載されている。
(3)「大辞泉 増補・新装版」(株式会社小学館発行)
「イソ《ISO》〔International Organization for Standardization〕」の項目に、「国際標準化機構」と記載されている。
(4)「新明解国語辞典 第七版」(株式会社三省堂発行)
「アイ エス オー【ISO】」の項目に、「国際標準化機構」と記載されている。
(5)「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」(株式会社三省堂発行)
「ISO(イソ)」の項目に、「国際標準化機構」と記載されている。
(6)「第2版 略語大辞典」(丸善株式会社発行)
「ISO」の項目に、「国際標準化機構」と記載されている。
(7)「ベーシック ジーニアス英和辞典」(株式会社大修館書店発行)
「ISO」の項目に、「(略) International Organization for Standardization 国際標準化機構」と記載されている。
(8)日本工業標準調査会のウェブサイトにおいて、経済産業省産業技術環境局基準認証ユニットが作成した「標準化実務入門(試作版)」が掲載されており、「第5章 国際標準化機関及び国際標準の制定」において、「1.ISOとは」の見出しの下、「ISO の正式名称は、International Organization for Standardization であり、日本語では『国際標準化機構』と訳している。」、「WTO/TBT協定発効後、協定締結国においては国際標準を用いることが義務づけられたため、ISOが制定している国際標準が対象になることが世界の共通認識となっている。」と記載されている。(http://www.jisc.go.jp/policy/hyoujunka_text)
(9)独立行政法人日本貿易振興機構のウェブサイトにおいて、「ISO規格の概要について」の見出しの下、「ISOとは、国際的に通用させる規格やガイド類を制定するための国際機関『国際標準化機構』(International Organization for Standardization)です。このISOで制定された国際規格が『ISO規格』です。」と記載されている。(https://www.jetro.go.jp/world/qa/t_basic/04S-040002)

審理終結日 2015-05-07 
結審通知日 2015-05-12 
審決日 2015-06-05 
出願番号 商願2013-98420(T2013-98420) 
審決分類 T 1 8・ 21- Z (W29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 雅也 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 大橋 洋子
中束 としえ
商標の称呼 イソチル、アイソチル、イソ、アイソ、アイエスオオ、チル 
代理人 牛木 護 

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