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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W354142
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W354142
審判 査定不服 外観類似 登録しない W354142
管理番号 1307410 
審判番号 不服2013-17134 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-05 
確定日 2015-10-16 
事件の表示 商願2012- 39832拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「SMILE」の欧文字を標準文字で表してなり,第35類「データ入力・データ作成に関する事務処理の代行,コンピュータデータベースへの情報編集,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」及び第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,通信ネットワークシステムの設計・構築又は保守及びこれらに関するコンサルティング,コンピュータシステムにおけるデータのバックアップ処理,電子計算機システムへのプログラムの導入及び保守に関する助言,電子計算機上での電子計算機用プログラムの動作に関する助言,電子計算機上での電子計算機用プログラムの障害の回復に関する助言,コンピュータプログラムのインストール・環境設定・バージョンアップ・複製及びこれらに関するコンサルティング・情報の提供,コンピュータデータの回復,サーバの記憶領域の貸与,サーバの貸与」を指定役務として,平成24年5月18日に登録出願されたものである。

2 引用商標
(1)登録第4028339号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成4年9月28日に登録出願,第42類「電子部品・電子デバイス・電子回路・電子応用部品・電子計算機の試験・検査・研究又はそれらのコンサルティング,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電気に関する試験又は研究,火災報知器・防犯装置・防災装置等の各種検知装置に関する試験・検査・研究又はそれらのコンサルティング,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」を指定役務として,同9年7月18日に設定登録され,その後,同19年4月17日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。
(2)登録第5084825号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成18年4月20日に登録出願,第14類,第16類,第35類,第36類,第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載されたとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同19年10月19日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標1との類否について
ア 本願商標
本願商標は,「SMILE」の欧文字からなるところ,これは,「微笑,ほほえみ」の意味を有する英語と認められるものであるから,これよりは,その構成文字に相応して,「スマイル」の称呼を生じるものであり,また,「微笑,ほほえみ」の観念を生じるものである。
イ 引用商標
引用商標1は,細い線で描かれた丸い円形の中に,その上部には,円図形の上部に目と思しき黒塗り縦楕円を2つ並べ,その下に口と思しき両端上がりの弧線を描いてなるデフォルメされた顔的な図形を配し,その中程には,「SMILE」の文字が大きく表されており,その下部には,小さな文字で,「Service is a Mirror to Identify a Level of Excellence.」の文字が3段に表されているものである。
そして,本願商標の構成においては,視覚上,顔的な図形部分は,自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものとして看取されるものの,その図形部分は,一般的に,ニコニコマークやスマイルマークといわれるような構図であって,顔のマークとしてさほど特徴的な図形とはいえないものであって,これよりは,特定の称呼及び観念を生じないものと認められるものである。また,下部の「Service is a Mirror to Identify a Level of Excellence.」の文字部分は,3段に表された文字数の多さや文字の小ささとあいまって,これに接する需要者をして,記述的な表示として看取,理解される場合も少なくないというのが相当であって,自他役務の識別標識として,看者にさほど強い印象を与えることはないものといえるから,3段に表された該文字部分からは,特定の称呼及び観念は生じないものというべきである。
そうすると,本願商標の中程の黒色の太字をもって大きく顕著に表された「SMILE」の文字部分は,その構成中にあって,特に看者の注意を強く惹くものであり,また,該文字部分からは,本願商標の唯一の称呼として,「スマイル」の称呼を生じるものと認められるものであるから,自他役務の識別標識として,看者に強く支配的な印象を与えるものといえる。
そして,本願商標は,顔的な図形部分と「SMILE」の文字部分及び3段に表された文字部分は,それぞれが独自に構成されているものとして捉えられ,また,これらが常に一体不可分のものとしてのみ認識されるとみるべき特段の事情も見当たらないことからすると,これらの部分を個別に分離して観察され得るものというのが相当である。
してみると,本願商標は,その構成中の「SMILE」の文字部分が,図形部分及び他の文字部分に比して,より強く支配的な印象を与えるものであって,かつ,この大きく顕著に表された「SMILE」の文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当である。
してみれば,本願商標は,その構成中の「SMILE」の文字部分に相応して,「スマイル」の称呼を生じるものであり,また,「微笑,ほほえみ」の観念を生じるものである。
ウ 本願商標と引用商標1との類否
本願商標と引用商標1とは,それぞれ上記ア及びイのとおりの構成態様からなるものであるところ,外観においては,両商標の構成全体をもって比較するときは,区別し得る差異が存するものの,両商標は,「SMILE」の文字において,外観上酷似した印象を与えるものである。
また,称呼においては,本願商標と引用商標1とは,いずれも「SMILE」の文字部分に相応して,「スマイル」の同一の称呼を生じるものである。
さらに,観念においては,本願商標と引用商標1とは,いずれも「SMILE」の文字部分から,「微笑,ほほえみ」の同一の観念を生じるものである。
してみれば,本願商標と引用商標1とは,称呼及び観念において共通するものであり,かつ,外観においても酷似した印象を与えるものであるから,これらを総合勘案すれば,互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
また,本願の指定役務中の第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,通信ネットワークシステムの設計・構築又は保守及びこれらに関するコンサルティング,コンピュータシステムにおけるデータのバックアップ処理,電子計算機システムへのプログラムの導入及び保守に関する助言,電子計算機上での電子計算機用プログラムの動作に関する助言,電子計算機上での電子計算機用プログラムの障害の回復に関する助言,コンピュータプログラムのインストール・環境設定・バージョンアップ・複製及びこれらに関するコンサルティング・情報の提供,コンピュータデータの回復,サーバの記憶領域の貸与,サーバの貸与」は,引用商標1の指定役務中の第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」と同一又は類似のものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「結合商標類否判断については,たとえば最判平成20年9月8日(平成19年(行ヒ)第223号)では,・・・のように判示されている。すなわち,結合商標については,原則として一体として類否判断を行うことが求められており,例外的に分離して判断することが許されるにすぎない,としている。・・・上記判例は,結合商標類否判断をまとめた規範であると解され,十分尊重に値し,実務では広く定着している規範である。しかるところ,審査官の判断は,結合商標につき,格別の事情がなければ一体的に観察するものではない,とする趣旨であろうと解されるが,かかる判断が,上記判例の規範に反することは明らかである。また,拒絶査定の理由において,結合商標について分離観察を行うとしたにもかかわらず,・・・上記判例における結合商標の一部分が強く支配的な印象を与えられる,あるいはそれ以外の部分が出所識別機能としての称呼,観念が生じないとしたことを前提とした判断と推察されるが,かかる規範は,『結合商標』を前提としたときの判断手法である。すなわち,上記判例は,結合商標類否判断について原則として一体的に観察をすべきであって,分離観察を否定し,分離観察が例外的に許容されるべき場合を示しているにもかかわらず,審査官の判断は,上記判例で原則として否定をしている分離観察を前提としている。そして,それにもかかわらず,上記判例の基準,すなわち結合商標について例外的に分離観察が許容される場合の基準を適用している。これは,明らかに論理的な矛盾であって,上記判例の解釈,適用を誤っている。したがって,審査官の判断は,結合商標類否判断についてその判断手法の解釈,適用自体に誤りがあるから,それに基づく拒絶査定は取り消されるべきである。 」旨を主張する。
しかしながら,引用商標1は,前記3(1)イに記載したとおり,丸い円形図形,顔的な図形及び文字からなる複数の構成部分からなる商標であり,また,上記判例は,分離観察を否定しているものではなく,商標の要部の抽出に関して,「複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合やそれ以外の部分から出所記別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないというべきである。」(抜粋:平成19年(行ヒ)第223号)と判示しているものである。
そして,拒絶査定においては,複数の構成部分からなる引用商標1について,「・・・『SMILE』の文字は,きわめて大きく,かつ,顕著に表示されており,強く支配的な印象を与えるというべきです。」と判断しており,上記判示に矛盾するものではない。
したがって,上記請求人の主張は,採用することができない。
イ 請求人は,「引用商標1は,一つの円の中に3つの構成が,円からはみ出ることもなく設けられていることからすると,強く一体として構成されていることは明らかである。また,顔の図形は,外円の3分の1程度の大きさで記載されており,中段の『SMILE』の文字は,横幅こそ直径よりやや小さい程度ですが,縦幅は20%程度にしかすぎない。さらに下段の3段表記の文字も,外円の3分の1程度の大きさで記載されている。そうすると,上段部分,中段部分,下段部分はほぼ同じような面積を円の中で占めており,中段の『SMILE』の文字部分のみが極端に大きいとはいえない。そのため,『SMILE』の文字部分のみが,取引者,需要者に対し商品または役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではないことは明らかである。・・・引用商標1において,中段の『SMILE』の表記は,下段の3段表記における『Service』の『S』,『Mirror』の『M』,『Identify』の『I』,『Level』の『L』,『Excellence』の『E』をそれぞれ組み合わせたものである。そうすると,引用商標1において,商標権者が生じさせている,また需要者が受け取る観念としては,『SMILE』の直接の意味である『笑顔』を観念するのではなく,下段の三段表記における意味『サービスは,優秀さのレベルを識別するための鏡である』を観念させている。」 旨を主張する。
しかしながら,一つの円の中に3つの構成要素が含まれているとしても,この一つの円は,ありふれた円図形であって,これによって直ちにその構成要素が一体不可分であるとはいえないものである。そして,3つの構成要素については,前記3(1)イに記載したとおり,丸い円形図形,顔的な図形及び文字からなる複数の構成部分からなる商標として容易に認識されるものであり,また,「SMILE」の文字部分が,取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められることは明らかである。さらに,「SMILE」の文字が下部の3段に表された文字部分と関連していると直ちに理解されるものではなく,かつ,該3段の文字部分は,記述的な表示と理解されるものであって,商標としての観念は生じないものというべきである。
したがって,上記請求人の主張は,採用することができない。
ウ 請求人は,「最判昭和43年2月27日民集22巻2号399頁では,『商標の類否は,・・・右三点のうちその一において類似するものでも,他の二点において著しく相違することその他取引の実情等によつて,なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては,これを類似商標と解すべきではない。』と判示している。・・・このように,上記判例なども踏まえると,商標が使用されている場合の商標の類否判断においては,その取引実情も考慮されなければならない。本願商標の取引実情については,平成24年12月3日提出の意見書に添付した参考資料1乃至参考資料3において,出願人が,電子計算機プログラムを提供し,それらの導入に関する助言等を行っていること,また,これらのシステムはネットワークシステムで繋がれていますので,ネットワークシステムの設計や作成,保守などを行っていること,電子計算機の操作等の知識について教授していること,セミナーの運営を行っていること,などが記載されている。出願人およびその親会社である株式会社大塚商会は,商標『SMILE』で統一した業務システムをシリーズ化して,1979年以降,製造,販売しており,2007年以降は,出願人名義に統一して製造,販売を行っている。そして,出願人は,現在に至るまで,商標『SMILE』シリーズで,業務システムにとどまらず,各種の役務を行っている。そのため,本願商標『SMILE』は出願人にかかる商標として,本願商標の指定商品,指定役務における需要者に広く知られている。そうすると,本願商標と引用商標1では,外観,称呼,観念が相違しており,さらに取引実情を踏まえると,本願商標と引用商標1とを需要者が混同することはない。」旨を主張する。
しかしながら,上記の判例においては,商標の類否判断に際して考慮される取引の実情は,一般的な取引の実情が参酌されるものと考えられるところ,請求人が述べているのは,自身の業務において本願商標を使用していること,及び提出された証拠から明らかではないが,本願商標の指定役務の需要者に広く知られていることなどであって,このような個人の商標の使用があるからといって,本願商標と引用商標1が類似しないということにはならない。
したがって,上記請求人の主張は,採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(引用商標1)


別掲2(引用商標2:色彩については原本参照。)




審理終結日 2015-08-10 
結審通知日 2015-08-14 
審決日 2015-08-27 
出願番号 商願2012-39832(T2012-39832) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W354142)
T 1 8・ 261- Z (W354142)
T 1 8・ 262- Z (W354142)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 田中 亨子
井出 英一郎
商標の称呼 スマイル 
代理人 生田 哲郎 
代理人 吉浦 洋一 

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