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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) W3032
管理番号 1306656 
異議申立番号 異議2015-900072 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-02-26 
確定日 2015-09-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5721261号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5721261号商標の指定商品中、第30類「コーヒー,ココア」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5721261号商標(以下「本件商標」という。)は、「MY BOSS DAY」の欧文字を横書きしてなり、平成26年1月23日に登録出願、第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリ?ソルト,うま味調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと」及び第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」を指定商品として、同年10月20日に登録査定され、同年11月28日に設定登録されたものである。

2 引用登録商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、次の(1)ないし(5)の登録商標(以下、登録商標をまとめて「引用登録商標」という。)である。
(1)登録第2591447号商標は、「BOSS」の欧文字及び「ボス」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成3年7月2日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年10月29日に設定登録され、その後、同17年4月6日に、第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第2656927号商標は、「BOSS」の欧文字及び「ボス」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成4年2月18日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年4月28日に設定登録され、その後、同17年9月28日に、第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品とする指定商品の書換登録がされ、さらに、同19年9月28日に、指定商品中の第32類「清涼飲料,果実飲料」について登録を取り消す旨の審決の確定登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(3)登録第2685988号商標は、「BOSS」の欧文字及び「ボス」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成4年2月18日に登録出願、第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年7月29日に設定登録され、その後、同18年4月5日に、第1類「人工甘味料」、第5類「乳糖,乳児用粉乳」、第29類「食用油脂,乳製品」、第30類「みそ,角砂糖,果糖,氷砂糖(調味料),砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ(調味料),ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」、第31類「ホップ」及び第32類「ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」を指定商品とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(4)登録第4494036号商標は、「BOSS」の欧文字及び「ボス」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成12年9月7日に登録出願、第30類「コーヒー豆,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,菓子及びパン,即席菓子のもと,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,酒かす」を指定商品として、同13年7月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(5)登録第5318607号商標は、「BOSS」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年2月21日に登録出願、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス,ビール風味の麦芽発泡酒」を指定商品として、同22年4月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由の要旨
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標の構成中の「BOSS」の欧文字は、申立人の商標として広く一般に知られており、取引者・需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから、当該欧文字部分から「ボス」の称呼、観念が生じる。一方、引用登録商標は、いずれも「ボス」の称呼、観念が生じるものである。
そうすると、本件商標と引用登録商標とは、「ボス」の称呼、観念が共通で、互いに類似する商標であって、指定商品も互いに抵触するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用登録商標は、申立人の商標として広く一般に知られていることから、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生じるおそれがある。

4 取消理由通知
当審においては、本件商標の登録について、平成27年6月18日付けをもって、商標権者に対して取消理由の通知を行ったところ、その取消理由の要旨は、以下のとおりである。
(1)「BOSS」及び「ボス」の文字(語)について
ア 申立人提出の証拠、同人の主張及び職権調査によれば、申立人は平成4年(1992年)から「BOSS」という商品名のコーヒーの販売を開始したこと(甲3の2、3)、同コーヒーはその後平成26年(2014年)まで継続して販売されたと推認できること(甲3の2、甲6の1、2、甲11、他)、同コーヒーは飲料分野のブランドランキングで1999年ないし2013年には4位ないし7位であったこと(甲3の2)、同コーヒーの容器には「BOSS」の商標(以下「引用商標」ということがある。)が付されていること(甲各号証)、同コーヒーは「BOSS」又は「ボス」として遅くとも2012年以降、新聞、雑誌、テレビなどで多数紹介、広告されていること(甲各号証)、同コーヒーの販売、広告は現在も行われており、缶コーヒーの分野では第2位の規模に至っていること(別掲の職権調査)が認められる。
イ 上記アの事実からすれば、「BOSS」及び「ボス」の文字は、いずれも本件商標の登録出願の日前から、登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人の業務に係る商品(コーヒー)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標は、上記1のとおり、平易な英単語を組み合わせた「MY BOSS DAY」の欧文字からなるところ、外観においては、「BOSS」の欧文字の前後には一文字程度の間隔が空けてあり、その構成中に「BOSS」の欧文字が含まれていることが容易に認識、把握し得るものである。
次に、本件商標は、観念においても、その構成文字の全体に相応して、我が国において親しまれた熟語的意味合いが生じるとまではいえないものであり、また、称呼においても、その構成文字の全体より生じる「マイボスデイ」の称呼は、一気に称呼するというよりも、むしろ、それを構成する各英単語毎に区切って称呼するとみるのが自然といえるものである。
イ そして、本件商標の構成中にある「BOSS」の文字が、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願の日前から現在まで継続して、申立人の業務に係る商品(コーヒー)を表示するものとして需要者の間に広く認識されている事情があることから、本件商標をその指定商品中、第30類「コーヒー」及びそれに類似する商品「ココア」について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、本件商標の構成中「BOSS」の文字に着目し、引用商標を想起又は連想させることが少なくないというのが相当であり、このことは本件商標の登録出願の日前ないし現在においても同様であるということができる。
ウ してみれば、本件商標は、その登録出願の時ないし査定時において、商標権者が本件商標をその指定商品中、第30類「コーヒー,ココア」について使用したときは、これに接する需要者をして引用商標を想起又は連想させ、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
エ したがって、本件商標の指定商品中、第30類「コーヒー,ココア」についての登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。

5 商標権者の意見
上記4の取消理由に対し、指定した期間を経過するも、商標権者は何ら意見を述べるところがない。

6 当審の判断
本件商標について、その指定商品中の第30類「コーヒー,ココア」に使用した場合は、商標法第4条第1項第15号に該当するとした上記4の取消理由は、妥当なものと認められる。
しかも、商標権者は、上記5のとおり、上記4の取消理由に対して、何ら意見を述べるところがない。
他方、上記4のとおり、引用商標が周知となっているのがコーヒーという限られた商品の範囲であることを勘案すると、本件商標は、その指定商品中、第30類「コーヒー,ココア」以外の商品に使用した場合には、申立人の業務に係る商品を連想、想起するということができない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第30類「コーヒー,ココア」については、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(職権調査)
(1)exciteニュースのウェブサイト
「BOSSが首位ジョージアを猛追の缶コーヒー市場 増税でも火花」の見出しの下、「2014年2月4日 07時00分」の日時とともに、「市場調査会社の富士経済によれば、缶コーヒーの市場規模は7390億円(2013年予測)。飲料メーカー各社の集計では、ここ数年は縮小傾向が続き、2013年も対前年比でマイナス2%となる見込みだ、だが、市場の落ち込みが止まらない中、トップブランド同士のシェア争いは一転、激しさを増している。首位をかろうじて死守する『ジョージア』(日本コカ・コーラ)に対し、2位の『BOSS(ボス)』(サントリー食品インターナショナル)が猛追するといった勢力図である。月刊誌『飲料ビジネス』を発行する飲料総研取締役の宮下和浩氏がいう。『2000年の売り上げ比を見ると、100(ジョージア):33(ボス)と大きな開きがあった両ブランドですが、2013年は100:73とボスの追い上げが凄まじい。昨年、缶コーヒーで伸びたブランドもボスだけですし、首都圏では自動販売機の売り上げを除けば、ボスがジョージアを逆転してトップに立っている模様です』ボスだけが躍進しているのはなぜか。宮下氏は『幅広い商品群でブランドイメージが高まっている』と話し、こう続ける。『ボスブランドの四天王と呼ばれる<レインボーマウンテン・贅沢微糖・BLACK・カフェオレ>の売り上げを確実に伸ばしながら、毎年新シリーズを出すサイクルでブランド力を高めています。今年に入ってからも、トクホ(特定保健用食品)の『ボス グリーン』や、セブン&アイ・ホールディングスと共同開発してBOSSのブランドも冠した『ワールドセブンブレンド』も発売。味のバリエーションだけではなく、あらゆる販売チャネルで攻勢をかけています』」との記載がある。
(http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20140204/Postseven_239861.html)
(2)サントリー食品インターナショナル株式会社のウェブサイト
ニュースリリースとして「2012.8.20」の日付けとともに、「サントリーコーヒー『BOSS』販売計画を上方修正」の見出しの下に、「サントリー食品インターナショナル(株)は、サントリーコーヒー『BOSS』の2012年販売計画を当初の7,750万ケースから8,000万ケースに上方修正します。サントリーコーヒー『BOSS』は、1992年8月に発売、今年で発売20周年を迎えるロングセラーブランドです。“働く人の相棒コーヒー”として親しまれ、2011年には累計販売本数が300億本を突破、年間でも対前年102%と伸長しました。2012年も引き続き好調に推移、さらに8月21日に発売する新商品『ボス 超』の受注状況も好調なことから、今回、年間販売計画を8,000万ケース(対前年103%)に上方修正するものです。今後、本格的な缶コーヒーシーズンに向けて、TV-CMやキャンペーンなど、ソフトバンクモバイル(株)とのコラボプロモーションを実施、『BOSS』発売20周年を大々的に盛り上げていきます。」との記載がある。
(http://www.suntory.co.jp/news/2012/11533.html)
(3)2009年11月5日付け東京読売新聞(朝刊)には、「CMフェス受賞作 サントリー缶コーヒー『BOSS』など/ACC 」の見出しの下に、「全日本シーエム放送連盟(ACC)は4日、国内最大のCMのイベント『第49回ACC CMフェスティバル』の受賞作を発表した。最高賞の総務大臣賞/ACCグランプリに、テレビ部門はサントリー缶コーヒー『BOSS』の『宇宙人ジョーンズ』のシリーズCM、ラジオ部門はパナソニック美容機器『ナイトスチーマー』の『寝ても覚めても』がそれぞれ選ばれた。」との記載がある。
(4)2013年10月17日付け東京読売新聞(夕刊)には、「[語り継ぐテレビ60年]番組としてのCM 佐々木宏」の見出しの下に、「◆『面白くて役に立つ』追求」の項には、「頑固オヤジは白い犬、という家族構成が意表を突くソフトバンク『白戸家』(2007年?)、ハリウッド俳優のトミー・リー・ジョーンズが宇宙人になって地球の暮らしを調査するサントリーBOSS『宇宙人ジョーンズ』(2006年?)。鮮やかな印象を残すおなじみの作品は、国民的CMとして息の長いシリーズになっている。・・・ちょうどその頃にバブル崩壊の足音が響き始め、『才能ある作り手が自由に活躍していた空気が変わった』。モノを売るのが広告。面白くないCMの方が売れる、と説く者も現れた。だったら、面白くて役に立つCMを作ればいい。意地の結晶が、矢沢永吉をしがないサラリーマン役で登場させたサントリー缶コーヒー『BOSS』(92?97年)だ。各種調査で好感度1位を獲得すると同時に、伸び悩んでいた売り上げも倍増し、『BOSS』は一躍トップブランドの仲間入りを果たした。」との記載がある。


異議決定日 2015-08-20 
出願番号 商願2014-7869(T2014-7869) 
審決分類 T 1 651・ 271- ZC (W3032)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 黒磯 裕子 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 林 栄二
梶原 良子
登録日 2014-11-28 
登録番号 商標登録第5721261号(T5721261) 
権利者 成和株式会社
商標の称呼 マイボスデイ、マイボスデー 
代理人 中田 和博 
代理人 片山 礼介 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 

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