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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
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審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1306655 
異議申立番号 異議2015-900081 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-03-13 
確定日 2015-10-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5724020号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5724020号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5724020号商標(以下「本件商標」という。)は,「carrymo」の文字を標準文字で表してなり,平成26年7月10日に登録出願,第18類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同年11月5日に登録査定され,同年12月5日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当し,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし同第21号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する商標は次のとおり(以下,それらをまとめて「引用各商標」という。)であり,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
ア 登録第2248143号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 KARRIMOR
指定商品 第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 昭和62年7月13日
設定登録日 平成2年7月30日
イ 登録第4288566号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 KARRIMOR(標準文字)
指定商品 第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 平成9年11月27日
設定登録日 平成11年7月2日
ウ 登録第4840932号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲1のとおり
指定商品 第12類,第18類,第22類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 平成14年9月30日
設定登録日 平成17年2月25日
エ 登録第4862614号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 平成16年3月22日
設定登録日 平成17年5月13日
オ 登録第5037384号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 KARRIMOR(標準文字)
指定商品 第4類,第6類ないし第9類,第11類,第17類,第18類,第20類ないし第22類,第24類,第25類,第28類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
出願日 平成16年11月29日
設定登録日 平成19年3月30日
カ 登録第5037385号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第4類,第6類ないし第9類,第11類,第17類,第18類,第20類ないし第22類,第24類,第25類,第28類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
出願日 平成16年11月29日
設定登録日 平成19年3月30日
キ 登録第5184309号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の態様 KARRIMOR(標準文字)
指定商品 第35類に属する商標登録原簿に記載の役務
出願日 平成19年5月16日
設定登録日 平成20年11月28日
(2)具体的な理由
ア 引用各商標の周知・著名性について
(ア)引用各商標の使用開始時期,使用期間及び使用対象商品
引用各商標を構成する「KARRIMOR」又は「karrimor」の語は,1946年(昭和21年)にイギリスのランカシャーにおいてサイクルバックについて使用が開始され,1957年(昭和32年)に登山用のリュックサックについて使用されると,引用各商標を付したリュックサックは,各国の山岳遠征隊及び数々の有名登山家・冒険家に採用されることとなった。その後,引用各商標は,リュックサックの他,キャリーバックを始めとするかばん類,ステッキ等の登山用具,運動用被服を中心とする各種被服等(以下,これらをまとめて「申立人商品」という。)にも使用され,現在に至るまで,約70年間に亘り継続して使用されている(甲9)。
(イ)引用各商標の海外における商標登録と商標の使用
申立人は,世界中の国々において,商標「KARRIMOR」「karrimor」又はこれらの表示を含む商標の商標登録を,国際分類第18類又は第25類の商品等について,日本を除く62か国に合計139件所有しており,これらは現在も有効に存続している。また,これらの登録商標は,本件商標の出願日より前に出願されたものである(甲10)。
そして,申立人は,世界各国に引用各商標を使用した商品を取り扱う店舗を出店しており,引用各商標は,世界各国で申立人商品について使用されている(甲11)。
また,申立人は,引用各商標を使用した商品(以下「引用商標使用商品」という。)の需要者である登山家,冒険家と共同研究を重ね,引用商標使用商品の開発,品質向上及び信用維持に努めている(甲9)。
さらに,申立人は,申立人のホームページの他,ツイッター,フェイスブック等のソーシャルネットワーキング・サービスを利用し引用各商標を使用した広告宣伝を行っている(http://www.karrimor.com/,甲12)。
そして,引用商標使用商品が,新聞,雑誌等の数多くのメディアに取り上げられ掲載されていることは,引用各商標の著名性を裏付けるものである。(甲13)。
(ウ)引用各商標の日本における使用
引用各商標のうち,最も登録の早い引用商標1は昭和62年に出願されたものであり,現在に至るまで約28年間に亘り,日本においてリュックサック・キャリーバックをはじめとするかばん類に継続して使用されている。そして,引用各商標を付した申立人商品は,株式会社エスビーエイが日本におけるライセンシーとなり,日本各地の小売業者により販売されている。引用商標使用商品は,日本全国の多数の店舗にて販売されている(甲14)。
また,申立人は,日本における引用商標使用商品の販売促進のため,日本語のホームページを立ち上げている(http://www.karrimor.jp/)。さらに,申立人は,引用商標使用商品の日本語版のカタログを毎年作成しており,該商品の広報活動に力を入れている(甲15)。日本語版のカタログの電子版に至っては,2014年の春より,登山情報サイトであるヤマケイオンラインにおいても掲載をスタートし,引用商標使用商品の更なる普及に努めている(甲16)。
(エ)「KARRIMOR」または「karrimor」を付したリュックサックの使用
引用各商標を構成する「KARRIMOR」または「karrimor」を付したリュックサックは,1957年(昭和32年)に登山用のリュックサックについて使用されて以来,日本では,1975年(昭和50年)に田部井淳子氏が女性としてエベレスト初登頂を果たした際に使用した他,数々の登山遠征隊に使用されている(甲17)。
また,登山用のリュックサックとして,当該リュックサックがおすすめ商品又は定番商品として多数取り上げられている他,登山用ではないタウンユースのリュックサックとしても,リュックサックの人気ランキング,おしゃれなアウトドアブランドとして紹介されるなど,当該リュックサックは,広く我が国の一般需要者に認識されている(甲18)。
なお,引用各商標を付したリュックサックを始めとするかばん類は,2015年の春夏モデルとして申立人のホームページに掲載されるだけでも61アイテムにも上り,そのラインアップは,登山用リュックサック,タウンユース用リュックサック,肩掛けかばん,ウエストポーチ,トートバック,キャリーバック等に亘り,引用各商標はリュックサック及びその他のかばん類に幅広く使用されている(甲19)。
(オ)以上より,引用各商標は,申立人商品について日本も含めた世界各国において使用されている商標であることは明らかであり,申立人の業務に係る商品,即ち,申立人商品を表示するものとして,需要者・取引者の間に広く認識されている商標である。
イ 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,本件商標の登録出願の日前の登録出願に係る引用商標1,3ないし7(以下,これらをまとめて「11号引用商標」という。)に類似する商標であって,11号引用商標に係る指定商品又はこれに類似する商品について使用するものである。以下,本件商標と11号引用商標との類否について検討する。
(ア)称呼の類似
本件商標は,「carrymo」と英文字で表示した構成態様からなり,「カリモ」又は「キャリモ」なる自然称呼を生ずる商標である。
一方,11号引用商標のうち,引用商標1,5及び7は「KARRIMOR」と英文字で表示した構成態様からなり,いずれも,「カリモー」「カリモア」「キャリモー」「キャリモア」なる自然称呼が生ずる商標である。
また,引用商標3及び6は,英文字「karrimor」及び図形からなり,該文字部分から,「カリモー」「カリモア」「キャリモー」「キャリモア」なる自然称呼が,引用商標4は,英文字「Karrimor\International」「Mountain\Marathon」及び図形からなり,「Karrimor」などの英文字部分から「カリモー」「カリモア」「キャリモー」「キャリモア」などの自然称呼が生ずる。
(イ)称呼の類似
そこで,本件商標の称呼「カリモ」と11号引用商標の称呼「カリモー」「カリモア」について類否を検討する。
本件商標の称呼「カリモ」と11号引用商標の称呼「カリモー」「カリモア」は,語頭から第3音までの「カリモ」の音を共通にし,相違するところは,語尾音における長音又は「ア」の有無にすぎない。
そして,当該差異音である長音又は「ア」は,それ自体が独立した1音として明確に発音されるものではなく,その前音である「モ」に吸収され,明確には聴取され難い微弱音となることから,該差異音の有無が,称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず,両者をそれぞれ一連に称呼した場合には,全体としての語調,語感が近似し,互いに聞き誤るおそれがあるものである。
また,本件商標の称呼「キャリモ」と11号引用商標の称呼「キャリモー」「キャリモア」についても,これと同様に互いに聞き誤るおそれがあるものである。
よって,本件商標の称呼と11号引用商標の称呼とは,互いに紛らわしく聞き間違えるおそれがあるものであり,本件商標と11号引用商標は,その称呼において類似するというべきである。
(ウ)観念の類似
11号引用商標に採用される「KARRIMOR」または「karrimor」の語源は「carry more=もっと運べる。」である。このことは,申立人のウェブサイトや第三者により繰り返し説明されている(甲20)。よって,11号引用商標からは「carry more=もっと運べる。」の観念が生ずる。
一方,本件商標「carrymo」は,「carry」及び「mo」を掛け合わせた造語であると考えられるところ,「mo」はmoreの略語として使用されることから(甲21),11号引用商標と同一の観念「carry more=もっと運べる。」が生ずる。
よって,本件商標と11号引用商標は,その観念において類似するというべきである。
(エ)指定商品の類似
本件商標の指定商品は,11号引用商標の指定商品・役務と同一又は類似の商品である。
(オ)小括
以上より,本件商標と11号引用商標とは,標章が類似する商標であるとともに,本件商標の指定商品は11号引用商標の指定商品・役務と同一又は類似である。
よって,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第10号について
上記アで述べたとおり,11号引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本も含めた世界各国の需要者の間に広く認識されている商標である。そして,本件商標は,本件商標の出願日並びに登録査定の時点において,11号引用商標に類似する商標であって,その商品又はこれに類似する商品について使用するものである。
よって,本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。
また,かかる周知な11号引用商標に類似する本件商標について,11号引用商標の使用されている商品・役務又はこれに類似する商品・役務について登録を認めることは,需要者・取引者に誤認混同を生じさせるおそれがあることは異論を待たず,火を見るより明らかであり妥当でない。かかる観点からも,本件商標は登録されるべきでない。
エ 商標法第4条第1項第15号について
(ア)上記アで述べたとおり,引用各商標は,申立人の事業に係る表示,即ち,申立人商品の商標として,広く一般に知られている商標である。
一方,本件商標は,申立人の商品出所標識として広く認識されている引用各商標と類似する称呼を生ずる商標である。
(イ)そして,本件商標の指定商品は,11号引用商標が使用されている商品と同一又は類似である。また,申立人は,引用各商標を,第18類の商品の他,様々な商品,とりわけ第25類の被服・靴等に使用しており,引用各商標が付された服,靴,かばん類に接した需要者・取引者は,これらの商品が同一人により提供される商品だと連想することは容易に推測できる。よって,本件商標の指定商品は,引用各商標が使用されている商品と極めて密接な関係性を有しているものである。
以上のことを勘案すると,本件商標の指定商品は,引用各商標が使用されてきた商品と同一,類似又は極めて密接な関係性を有する商品からなるものである。
よって,本件商標をその指定商品に使用したときには,当該商品が申立人の商品に係るものであると誤信されるおそれがあるのみならず,当該商品が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係等にある者の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるものである。
(ウ)さらに,審決取消請求事件(平成16年(行ケ)第85号)の判決に示された本号の判断基準に照らせば,本件商標と引用各商標との外観の相違及び称呼の類似性の程度をもって,本件商標を引用各商標と非類似のものと認定し,引用各商標の著名性の程度,申立人が取り扱う商品と本件指定商品との関連性の程度等を考慮することなく,商標が類似しないから出所混同のおそれは無いと判断することは妥当ではない。
本件商標と引用各商標の類似性の程度,引用各商標の周知著名性及び独創性の程度,本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性の程度に照らし,本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば,本件商標が申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがあることは明白である。
(エ)小括
以上より,本件商標は,その出願日並びに登録査定の時点において,申立人の商標として広く一般に知られている引用各商標と類似し,本件商標の指定商品は引用各商標の指定商品・役務と同一・類似又は密接な関連性を有するものであるから,本件商標がその指定商品に使用された場合,申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。
よって,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
オ 商標法第4条第1項第19号について
(ア)引用各商標の周知性
引用各商標が,本件商標の出願時には既に日本国内及び外国において,申立人の業務に係る商品の商標として広く認識されていたことは上記アで述べたとおりである。
(イ)商標の類似
そして,本件商標と引用各商標とは,上記イにおいて述べたとおり互いに類似する商標である。
(ウ)不正の目的
申立人が提供する商品・役務と同一又は類似若しくは密接な関連性を有する指定商品を取り扱う商標権者が,本件商標の登録出願時に,世界的に広く知られている引用各商標について不知であったとは到底考えられない(甲20)。むしろ,引用各商標及びその語源に依拠し,引用各商標に類似する称呼及び観念が生ずる商標として本件商標を採択したものと推認せざるを得ないものである。よって,本件商標は,引用各商標に化体した信用にただ乗りして採択されたものと考えられ,本件商標の使用により引用各商標の出所表示機能を希釈化しその名声を毀損させるおそれがある,すなわち,不正の目的があると推認し得るものである。
(エ)以上より,本件商標は,その出願日並びに登録査定の時点において,申立人の業務にかかる商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって,不正の目的をもって使用するものである。
よって,本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
(3)結語
以上詳述したとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号又は同項第19号に該当することは明らかである。

3 当審の判断
(1)引用各商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査によれば,次の事実が認められる。
(ア)申立人は,「KARRIMOR」,「karrimor」及び「Karrimor」の文字又は該文字を含む商標について,我が国を含む63の国(地域)で商標登録を保有している(甲10)。
(イ)遅くとも,2003年(平成15年)頃に引用商標6(白色で表したものを含む。以下同じ。)が付された登山用リュックサックが製造されたこと(甲9),2008年(平成20年)頃に引用商標6及び3が付された登山用リュックサック,リュックサック,バッグ等が我が国で広告・販売されていたことが推認できる(甲15の1)。
(ウ)引用商標6が表示されたウェブページには,リュックサックや衣類の広告・販売が行われている(職権調査:http://www.karrimor.jp/)。
(エ)しかしながら,本件商標の登録出願の日前(出願後も)における,我が国及び外国での引用各商標を使用した商品(引用商標使用商品)の販売額,シェアなどの販売実績,新聞・雑誌などの掲載事実や申立人のホームページ・SNSへのアクセス状況などの広告宣伝の実績に係る証左はいずれも見いだせない。
イ 上記アの事実からすれば,遅くとも平成20年頃に引用商標6及び3が付された登山用リュックサック,リュックサック,バッグ等が我が国で広告・販売されていたことは推認できるものの,我が国及び外国での引用商標使用商品の販売実績,広告宣伝の実績に係る証左はないから,引用各商標は,本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において,他人(申立人)の業務に係る商品又は役務であることを表示するものとして,我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また,「karrimor」及び「Karrimor」の文字からなる標章(以下「申立人使用標章」という。)についても同様に,我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお,申立人は,世界各国において商標登録を所有している(上記ア(ア))ことからそれら登録商標を各国で使用していることがうかがえ,また,世界各国(特に英国内)に多数のショップを有していることもうかがえる(甲11)ものの,引用商標使用商品の販売実績,広告宣伝の実績等が明らかでない以上,引用各商標及び「karrimor」並びに「Karrimor」の文字からなる標章が外国(特に英国)及び我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)本件商標と引用各商標の類似性について
ア 本件商標は,上記1のとおり,「carrymo」の文字を標準文字で表してなり,該文字に相応し「キャリーモ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものとみるのが自然である。
イ 引用各商標は,引用商標1,2,5及び7が上記2(1)ア,イ,オ及びキのとおり「KARRIMOR」の文字からなるものである。また,引用商標3,4及び6が上記2(1)ウ,エ及びカのとおり図形と「karrimor」又は「Karrimor」などの文字からなり,該文字が独立して自他商品・役務識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして,引用各商標は,その構成文字「KARRIMOR」又は構成中の文字「karrimor」又は「Karrimor」に相応し「カリマー」及び「カリモア」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものとみるのが自然である。
ウ なお,申立人は,本件商標から「カリモ」,引用各商標から「キャリモー」「キャリモア」などの称呼も生じる旨主張しているが,上記ア,イのとおり,本件商標からは「キャリーモ」の称呼を,引用各商標からは「カリマー」「カリモア」の称呼を生じるとみるのが自然であり,しかも,申立人のこの主張を裏付ける証左は見いだせないから,かかる主張は採用できない。なお,申立人提出の証拠によれば,引用各商標は「カリマー」と称呼されているといえる。
また,申立人は,本件商標はその構成中「mo」の文字が「more」の略語として使用されること,引用各商標は「KARRIMOR」などの語源が「carry more」であることを根拠として,両者はいずれも「carry more(もっと運べる)」の観念が生じる旨主張している。
しかしながら,両者の観念は上記ア,イのとおり,特定の観念を生じないとみるのが自然であり,申立人が「mo」の文字が「more」の略語として使用されるとする証拠(甲21)は「mo’」についてのものであるからその根拠となり得ない。また,例え「KARRIMOR」の文字の語源が「carry more」であって,そのことを紹介したウェブページがいくつかある(甲9,甲13,甲20)としても,それらによっては需要者が該文字から必ずしもその語源を想起・認識すると認めるには足りないから,申立人のかかる主張も採用できない。
エ そこで,本件商標と引用各商標を比較すると,まず,文字のみより構成される本件商標と引用商標1,2,5及び7とは,上記とおり,本件商標が「carrymo」の文字からなるのに対し,引用商標1,2,5及び7が「KARRIMOR」からなるものであるから,外観上,その構成文字が明らかに相違する。そして,本件商標から生じる称呼「キャリーモ」と引用商標1,2,5及び7から生じる「カリマー」及び「カリモア」称呼は,その語調語感がいずれも明らかに異なるものである。また,観念はいずれも生じず比較できない。したがって,両商標は外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
次に,本件商標と図形等を伴う引用商標3,4及び6とは,引用商標3,4及び6が図形等を伴うことから,外観上,明らかに相違する。そして,本件商標と引用商標3,4及び6の構成中「karrimor」又は「Karrimor」の文字は上記と同様の理由により称呼及び観念の点においても相紛れるおそれのない非類似のものであって別異のものということができる。したがって,両商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標であること明らかである。
してみれば,本件商標と引用各商標とは,非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
その他,両商標が類似するというべき事情も見いだせない。
(3)商標法第4条第1項第11号について
上記(2)のとおり,本願商標と引用各商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって,11号引用商標は引用各商標に含まれるものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(4) 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
上記(1)のとおり引用各商標及び申立人使用標章は,提出された資料からは,これが本件商標の出願時及び査定時において,他人(申立人)の業務に係る商品又は役務であることを表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。
また,上記(2)のとおり,本件商標と引用各商標は相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
さらに,申立人使用標章は,「karrimor」及び「Karrimor」の文字からなるものであるから,上記(2)認定と同様に,本件商標と申立人使用標章とは,非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
そうすると,本件商標は,これに接する取引者,需要者が引用各商標及び申立人使用標章を連想又は想起することのないものといわなければならない。
してみれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして引用各商標及び申立人使用標章を連想又は想起させることはなく,その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するものといえない。
(5)商標法第4条第1項第19号について
上記(4)のとおり,本件商標と引用各商標及び申立人使用標章とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標であり,本件商標は引用各商標及び申立人使用標章を連想又は想起させるものでもない。
そうとすれば,本件商標は,引用各商標及び申立人使用標章の名声にただ乗りするとか,引用各商標及び申立人使用標章の出所表示機能を希釈化しその名声を毀損させるなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当するものといえない。
(6)むすび
以上のとおりであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標3)


別掲2(引用商標4)


別掲3(引用商標6)




異議決定日 2015-10-02 
出願番号 商願2014-57715(T2014-57715) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W18)
T 1 651・ 262- Y (W18)
T 1 651・ 263- Y (W18)
T 1 651・ 25- Y (W18)
T 1 651・ 271- Y (W18)
T 1 651・ 261- Y (W18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田中 幸一
前山 るり子
登録日 2014-12-05 
登録番号 商標登録第5724020号(T5724020) 
権利者 広和エムテック株式会社
商標の称呼 キャリーモ、キャリモ 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 前田 大輔 
代理人 中村 知公 
代理人 朝倉 美知 

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