ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W18 審判 全部申立て 登録を維持 W18 審判 全部申立て 登録を維持 W18 審判 全部申立て 登録を維持 W18 |
---|---|
管理番号 | 1306647 |
異議申立番号 | 異議2015-900068 |
総通号数 | 191 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-11-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-02-25 |
確定日 | 2015-10-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5721058号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5721058号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5721058号商標(以下「本件商標」という。)は、「FLORENCE KELLY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成26年3月27日に登録出願、第18類「傘,袋物,かばん類」を指定商品として同年7月18日に登録査定、同年11月28日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録第4341534号商標(以下「引用商標」という。)は、「Kelly」の欧文字を標準文字で表してなり、平成11年2月5日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,皮革,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、同年10月21日に登録査定、同年12月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 申立ての理由 1 商標法第4条第1項第11号の該当性について (決定注:商標法第4条第1項第11号に係る引用商標は、「Kelly」(標準文字)であるが、申立人は、商標登録異議申立書中の「4(4)具体的理由」において「KELLY」と記載している。) (1)「KELLY」とは申立人が販売するかばん(以下「ケリーバッグ」という。)の名称であり、1956年、モナコ王妃であったグレース・ケリーにちなみ名付けられたものである。ケリーバッグは、申立人が販売する商品の代表として世界中で愛されており、その立体的形状については、その周知性が認められ、商標登録されている(登録第5438058号)。そして、ケリーバッグは、その商品の形態が著名であるだけでなく、その商品名である「KELLY」も同じく消費者間で著名であり、強い識別力を有する。 (2)本件商標は、「FLORENCE」と「KELLY」の2つの英単語からなる結合商標である。このうち「FLORENCE」はイタリアの都市フィレンツェの英語表記であり、商品の販売場所ないし製造場所を示すものとして捉えるべきものであって、この単語自体には識別力はない。他方、「KELLY」の語は、上記のとおり強い識別力を有する。 したがって、本件商標のうち「KELLY」の部分が、本件商標の類否判断における要部となり、本件商標について類否を判断するにあたっては、「FLORENCE」を除いた「KELLY」についてのみ検討をする必要がある。 (3)以上を前提に、両商標の類似性について検討すると、引用商標の「KELLY」と、本件商標の要部である「KELLY」とは完全に同一であるため、両商標が類似することは明らかである。 (4) したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号の該当性について (1)引用商標は、申立人の販売するかばんであるケリーバッグの名称である。ケリーバッグ及びその名称である「KELLY」は、世界的に高い著名性を有する。すなわち、申立人は、1837年、ティエリ・エルメスによりフランスで創業され、バッグ、高級婦人服、アクセサリー等に使用される「HERMES」「エルメス」の高級ブランドは、日本のみならず世界的に知られ、人気を博している。ケリーバッグは、モナコのレーニエ大公と結婚した女優のグレース・ケリーが愛用したバッグとして世界的に有名となったものであることから、本人から名前の使用の許可を得て「KELLY」と名付けられたものであって、申立人の代表的なハンドバッグとなり、1983年に日本において発売されてから、その売上高は、2006年時点において30億円を超えている。また、世界的に著名なハンドバッグのブランドとして、ファッション雑誌、新聞等で多数取り上げられているものである。このように、ケリーバッグは、日本のみならず、世界的にその著名性が認められ、その名称である「KELLY」についても同様に著名性が認められる。 (2)本件商標と引用商標とが類似する商標であることは、上述したとおりである。 そして、両商標の指定商品の一部は同一であり、両商標の指定商品にかかる商品は、その需要者・取引者を共通にする。特に、引用商標の「KELLY」の名称は、バッグの名称としては特に著名であり、これを含む標章をバッグに用いたときに、需要者がこれを申立人の販売する商品であると混同を生じるおそれは極めて大きい。本件商標が、その指定商品において使用された場合、需要者及び取引者において、申立人の商品若しくは申立人と経済的あるいは組織的に関連を有する者の業務にかかる商品と誤認し、その出所について混同を生じるおそれがあることは明白である。 (3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 結語 以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録は、取消されるべきものである。 よって、本件商標の登録を取り消すとの決定を求める。 第4 当審の判断 1 本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「FLORENCE KELLY」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ、「FLORENCE」と「KELLY」の各文字の間に1文字程度の空白があるものの同書同大の文字でまとまりよく一体的に表されてなるものであり、これより生じる「フローレンスケリー」の称呼もよどみなく称呼し得るものである。また、「FLORENCE」及び「KELLY」は、いずれも欧米人の人名に使用される語であることから、構成全体として人名を想起させるものと認められる。 そうすると、本件商標は、その構成全体として一体不可分の商標と看取されるものであり、「フローレンスケリー」の称呼のみを生じるというのが相当であり、また、人名としての「フローレンスケリー」の観念を生じるものである。 2 申立人が引用する商標について (1)引用商標 引用商標は、上記第2のとおり、「Kelly」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ、「Kelly」の文字に相応して「ケリー」の称呼を生じ、また、前述のとおり、「Kelly」は、欧米人の人名に使用される語であるから、人名としての「ケリー」の観念を生じるものである。 (2)「KELLY」商標 申立人が、国内外において著名であるとして引用する商標は、「KELLY」の欧文字を書してなるものである(以下「『KELLY』商標」という場合がある。)。 3 「KELLY」商標の周知性について 申立人は、「『KELLY』は申立人が販売するかばんであるケリーバッグの名称であり、ケリーバッグは、1983年に日本において発売されてから、その売上高は、2006年時点において30億円を超えていること、世界的に著名なハンドバッグのブランドとして、ファッション雑誌、新聞等で多数取り上げられていること、その商品の形態が著名であるだけでなく、日本のみならず、世界的にその著名性が認められ、その名称である『KELLY』についても同様に著名性が認められる。」旨主張している。 しかしながら、申立人は、主張するのみで、主張に係る各事実については立証していないのみならず、「KELLY」商標の具体的使用態様、「KELLY」商標の付された商品の各年別の販売数量、販売金額、国内における販売場所、市場占有率、広告の状況等を示す証左も一切提出していない。 当審においてこれらについて調査するも、「KELLY」商標が申立人のバッグを表示するものとして周知性を有するとすべき事実は発見することができなかった。 したがって、「KELLY」商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において、申立人のバッグを表示するものとして周知性を獲得していると認めることができない。 4 商標法第4条第1項第11号の該当性について 本件商標は、上記1のとおり、その構成文字に相応して「フローレンスケリー」の称呼を生じ、人名としての「フローレンスケリー」の観念を生じるものである。 引用商標は、上記2のとおり、その構成文字に相応して「ケリー」の称呼を生じ、人名としての「ケリー」の観念を生じるものである。 そこで、先ず、本件商標の外観と引用商標の外観とを対比すると、両者は、「FLORENCE」の文字の有無において顕著な差異を有するから十分区別することができ、外観において相紛れるおそれのないものである。 次に、本件商標から生じる称呼「フローレンスケリー」と引用商標から生じる称呼「ケリー」とを対比すると、両者は、「ケリー」の音を共通にするが、称呼の識別上重要な位置を占める語頭において「フローレンス」の音の有無において顕著な差異を有するから十分聴別することができ、称呼において相紛れるおそれのないものである。 さらに、本件商標は、人名としての「フローレンスケリー」の観念を生じるのに対し、引用商標は、人名としての「ケリー」の観念を生じるものであるから、両者は、観念において相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 なお、申立人は、同人がバッグについて使用する「KELLY」が著名性を有するから、本件商標構成中の「KELLY」の文字部分が要部となる旨主張するが、上記3のとおり、「KELLY」商標は申立人のバッグを表示するものとして周知性を獲得しているとは認められないから、この点に関する申立人の主張は採用することができない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第15号の該当性について 上記4のとおり、本件商標と引用商標が、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるのと同様に、本件商標と「KELLY」商標も非類似の商標といえるものであり、「KELLY」商標が周知性を獲得していないことは上記3のとおりである。 そうすると、商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者において、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるとはいえないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 6 結論 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2015-09-28 |
出願番号 | 商願2014-27819(T2014-27819) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W18)
T 1 651・ 263- Y (W18) T 1 651・ 262- Y (W18) T 1 651・ 271- Y (W18) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 南 めぐみ |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
原田 信彦 大森 健司 |
登録日 | 2014-11-28 |
登録番号 | 商標登録第5721058号(T5721058) |
権利者 | ローズ産業株式会社 |
商標の称呼 | フローレンスケリー、フローレンス、ケリー |
代理人 | 高松 薫 |
代理人 | 大澤 俊行 |