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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y42
管理番号 1306576 
審判番号 取消2014-300636 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-08-18 
確定日 2015-09-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第5022627号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5022627号商標(以下「本件商標」という。)は,「CONDUCTOR」の文字を標準文字で表してなり,平成18年5月17日に登録出願,第42類「インターネットサーバーの構築又は保守,インターネット上におけるサーバーの記憶領域の貸与,サーバーに固定された電子計算機用プログラムを特定の者に専用させることにより行う電子計算機用プログラムの提供,気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定役務として,同19年2月2日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成26年9月3日である。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定役務中,第42類「インターネットサーバーの構築又は保守,インターネット上におけるサーバーの記憶領域の貸与,サーバーに固定された電子計算機用プログラムを特定の者に専用させることにより行う電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」(以下「取消請求役務」という場合がある。)についての登録を取消す,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,審判請求書,審判事件弁駁書及び上申書において,その理由及び答弁に対する弁駁等を要旨次のように述べ,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定役務中,第42類「取消請求役務」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから,その登録は取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証ないし乙第6号証
被請求人は,乙第1号証ないし乙第6号証を提示して,株式会社アクシイズ(東京都渋谷区,以下「アクシイズ」という。)が本件商標を取消請求役務に使用しており,被請求人が本件商標の使用をアクシイズに許可していた,と主張するが,アクシイズと被請求人との間の関係を客観的に証明する資料が一切ない等の理由で,証拠としての信頼性が低く,本件商標の使用証拠として認めるべきものではない。
また,これらの乙号証に表示されている本件商標に係るサービスは,取消請求役務ではない。
(2)乙第10号証及び乙第16号証
乙第10号証及び乙第16号証には,テクノ方圓株式会社(以下「テクノ方圓」という。)が発売する「生産カウンタ表示器」に関する記事が掲載されており,乙第10号証には,「Conductor LLC 2011」と表記されたカウンタ表示器の写真が掲載されているが,本件商標を取消請求役務に使用している表記はなく,また,乙第16号証には,客観的に日付を証明できる表記もない。
(3)乙第11号証
被請求人は,「カウンタ君」の取扱説明書であると主張するが,乙第11号証には「カウンタ君」の表記はなく,「カウンタ君」の取扱説明書であるとは認められない。また,乙第11号証には,日付がなく,使用証拠として認められない。
(4)乙第12号証ないし乙第14号証及び乙第20号証
これらの乙号証には,本件商標の表記はなく,かつ,本件商標の使用との関係が不明である。
(5)乙第15号証
被請求人は,テクノ方圓が2012年2月に作成した説明書であると主張するが,客観的に日付を証明できる書類ではない。また,乙第15号証には,複数の機器を使って作業の生産性を高めるソリューションのサービス名として「Conductorシリーズ」が使われており,本件商標を取消請求役務に使用していることを確認できる表記はない。
(6)乙第17号証ないし乙第19号証及び乙第23号証ないし乙第25号証
これらの乙号証には,客観的に日付を証明できる表記はなく,また,本件商標を取消請求役務に使用していることを確認できる表記はない。
(7)乙第22号証
乙第22号証は,株式会社AXYZ(多摩市鶴牧,以下「AXYZ」という。)側の捺印がなく,証拠としての信頼性が低い。
3 上申書(平成27年7月13日付け)
(1)乙第29号証及び乙第30号証は,日付等に客観的な信頼性がない。
(2)乙第31号証は,客観的な日付が示されておらず,また,本件商標を使用している主体が不明である。
(3)乙第33号証は,要証期間の日付が記載されておらず,また,本件商標を使用している役務が不明である。
(4)乙第35号証ないし乙第37号証,乙第60号証及び乙第61号証は,要証期間の日付が記載されていない。
(5)乙第38号証は,「2011.10.31」,「2011.10.24」の日付が記載されているが,本件商標を使用している役務及び役務の提供主体が不明である。
(6)乙第40号証は,指定役務との関係で本件商標が使用されておらず,また,役務の提供主体が不明である。
(7)乙第41号証及び乙第42号証,乙第44号証は,本件商標を使用している役務及び役務の提供主体が不明である。
(8)乙第43号証は,要証期間の日付が記載されておらず,また,本件商標を使用している役務及び役務の提供主体が不明である。
(9)乙第47号証は,「DATE Sun,17.08 Apr 2011」とあり,乙第52号証は,「DATE Fri,08.Apr 2011」とあり,要証期間外である。
(10)乙第48号証ないし乙第51号証は,日付の信頼性がなく,客観的に本件商標の使用事実を証明する証拠になり得ない。
(11)乙第59号証は,客観的な信頼性のある日付等が記載されていない。
(12)乙第62号証及び乙第63号証は,本件商標が指定役務に実際に使用されている写真等の書類がなく,使用証拠として認められず,また,本件商標を使用した日付の信頼性もない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求める,と答弁し,その理由を答弁書,口頭審理陳述要領書及び上申書において要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第64号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人の概要
被請求人は,事業目的である「陶磁器・ガラス器・日用品雑貨の製造,販売」を行う一方で,「コンピューターシステムを利用した情報ネットワークによる情報処理並びに情報提供業務」及び「著作権・著作隣接権・商標権・意匠権・特許権等知的所有権の取得,管理,譲渡及び使用許諾業務」の事業化については,「アクシイズ」,「テクノ方圓」,「AXYZ」の各社と協働して,目的とする事業を遂行してきた経緯がある。
(2)本件商標の使用の概要
被請求人は,平成18年6月,アクシイズが行う「インターネット広告情報・コンテンツ等配信サーバーの運営・管理」事業の提供サービス名として「CONDUCTOR」を使用することを提案した。
ア 乙第3号証は,アクシイズが事業開始時に作成・配布したパンフレットで,紙面の複数個所に「CONDUCTOR」が記載されている。
次に,アクシイズが提供するサービス名やシステム製品名である「CONDUCTOR」は,アクシイズが行う事業を紹介する広報記事として,インターネットメディアを通じて一斉に配信された。
YAHOO NEWSにおいて,LPOソリューション「ConductorLPO」,Venture Nowは,コンテンツを被せて表示「ConductorLPO」,Japan.Internet.comは,LPOソリューション「ConductorLPO」と,2006年8月24日付で発信された複数メディアの記事中に「CONDUCTOR」が使用されている(乙4ないし乙6)。
イ 被請求人では,テクノ方圓株式会社(以下「テクノ方圓」という。)の会社設立時の事業目的である「コンピューターを中心とする情報処理システムの設計・作成,電子計算機のプログラムの設計・作成・保守,ソフトウェアおよびハードウェアの設計・開発・製造・販売及び保守」等を実施する上で,「生産工程管理システムの設計・開発・製造・管理事業」や,「作業工程コントロールカウンターの設計・開発・販売業務」,「省電力コントロールシステムの設計・開発・設置・保守業務」等,電子計算機が関与する事業の提供サービス名として,本件商標の使用を許可し,現在も継続して許可している(乙8及び乙9)。
(ア)乙第10号証は,たましん法人総合サービスBOBが発行する「たまNAVI」(NO.33 2011.MAY)の表紙及び第2頁(縮小判コピー)であり,「たま産業ニュース」欄に,テクノ方圓の紹介記事と製品写真(2カット)が掲載されており,カウンタ君の表面には「ConductorLCC 2011」の文字が印字されている。
また,該記事中には,「この5月に発売したカウンタ君」と記載されており,「ConductorLCC 2011」が2011年5月には実在し,その発売時期が報じられている事実が示されている。
(イ)乙第11号証は,製品イラスト図に「コンダクターCC」の文字が配置されているカウンタ君の取扱説明書であり,乙第12号証は,平成23年5月20日発行のカウンタ君の納品書・請求書のコピーである。
(ウ)乙第16号証は,現在も掲出中のテクノ方圓のホームページ,Conductorシリーズ ラインコントロールカウンタ「カウンタ君登場!」(2014年9月17日打ち出し,全5頁)である。
ウ 乙第13号証は,平成23年6月28日発行の,電動ドライバ制御システム一式の納品書と請求書である。この製品は,大手電機メーカーの電子機器組み立て製造ラインにおいて,多数の電動ドライバ操作時に発生する作業ミスを抑制し,生産効率の改善を実現する目的で開発し,納品した。
(ア)乙第14号証は,平成23年12月19日発行の注文書に基づいて製作したセアピスシステム(「セアピス」は,経由する販売会社が指定する製品名であって,テクノ方圓の製品名は,Conductorシリーズ「ピッキングシステム」)の,平成23年12月26日発行の納品書及び同24年1月4日発行の請求書である。
(イ)乙第20号証は,2014年7月30日発行の電動ドライバ制御システムの納品書・請求書である。この納品書・請求書には「6月5日付,ご注文に基づく納入分であります」と記入されており,Conductorシリーズ製品群の「電動ドライバ制御システム」が,本年6月初旬に,相手先仕様で製作され,2014年7月30日付で納品されている事実が示されている。
エ 乙第15号証は,テクノ方圓が2012年2月作成の説明書「Conductorシリーズご利用の説明(全20頁)」であり,この説明書の第1頁と第2頁にはConductorシリーズが担うシステムの効能が記載されている。第9頁には「コンダクターCC」,第15頁には「ピッキング反射型センサ実装例」,第16頁には「多数の電動ドライバ使用例」がそれぞれ掲載されている。これらのConductorシリーズ製品群は,前述した「カウンタ君」,「電動ドライバ制御システム」,「ピッキングシステム」と,同種類,同型式のシステム製品である。
オ 乙第17号証は,テクノ方圓のホームページ(2014年9月17日打ち出し,全12頁)であって,第8頁ないし第10頁のソリューション事例1ないし事例3,第11頁のソリューション事例4には,Conductorが示され,乙第19号証には,Conductorシリーズの「省電力システムEMMS-A」について,その特徴や効能が詳しく説明されている。
乙第18号証は,省電力コントロールシステムEMMS-Aを説明するパンフレットである。Conductorシリーズのこのシステムでは,インターネットを利用して,離れたところにある各種機器(空調機や照明機器などの電気機器)の遠隔監視・遠隔操作も行う。
カ 被請求人は,平成25年(2013年)8月5日設立のAXYZが行う「インターネットサーバーの構築又は保守業務」,「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守業務」,「コンピューター等の情報処理機器を利用した各種情報処理システムの設計,製作,販売および保守管理業務」,「インターネットを利用したウェブページ及びウェブ情報の企画,制作業務」,「ウェブ情報配信サーバーの構築・運営・管理業務」等の事業に対し,本件商標の使用を許可し,現在も継続して使用中である(乙22)。
乙第23号証は,AXYZのホームページ(2014年6月21日打ち出し)で,ホームページの掲載内容を検討しようとした書込み文字が残され,乙第24号証(2014年9月10日打出し)にもAXYZが提案する「BIzモデル」が列挙されており,そのビジネスモデル提案例として,「CONDUCTOR緊急情報」,「CONDUCTOR LPCO」,「CONDUCTOR AD」,「CONDUCTOR アプライアンス」,「CONDUCTOR EC」,「CONDUCTOR MAP」などと掲載されている。乙第25号証には,テクノ方圓とAXYZのホームページのURLとが記載されている。
2 口頭審理陳述要領書(平成27年5月12日付け)
(1)乙第29号証は,「新事業(インターネット事業)相関図」であって,被請求人の表示枠内には「特許第3616022号(取得済)」,「国際特許PCT/JP02/06024(この時点では出願・審査中で,平成22年11月5日に特許第4618611号として登録),また,「Conductor商標出願」と記載されており,前記「特許第3616022号」の譲渡を受けた被請求人がAXYZと共に,当該新事業を担うアクシイズを支援している経過であり,本件商標が出願されていた時期に協働して携わっていたことを示している。
(2)乙第30号証は,アクシイズが2006年7月5日時点に発行していた資料であって,表紙には「次世代コンテンツ配信システム『Conductor』事業計画書」と記されている。
この資料のクライアント・サービス時システム構成図,「システム運用保守サービス概要」の提供しようとするサービスの内容,アクシイズが実施する事業の「業務フローイメージ」図,「Conductorサーバの基本アーキテクチャ(特許概要)」には被請求人がアクシイズに使用許諾する特許第3616022号の概要が説明されており,「Conductorサーバの基本配信機能」,「効果」がそれぞれ記載されている。
この事業計画書の資料類から,アクシイズが始めようとする「新事業」は,「第42類 インターネットサーバーの構築又は保守,インターネット上におけるサーバーの記憶領域の貸与,サーバーに固定された電子計算機用プログラムを特定の者に専用させることにより行う電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」に該当する事業であることがわかる。
(3)乙第31号証は,アクシイズが行う「CONDUCTOR LCO」無料試用キャンペーンを紹介するホームページ(2007年3月15日打出し)であり,乙第33号証は,「最新情報 LPOサービスと広告配信ASPの株式会社アクシイズ」の記載がある「成功事例集プレゼント中!」のホームページ(2010年2月15日打出し)で,最新情報欄には,2009年10月ないし2010年2月10日までに発信されていた情報が日付順に記録されている。
乙第35号証は,「行動ターゲティング型LPOツールCONDUCTOR LCOランディングページ最適化ツールで驚異的なコンパーション率を実現!」を説明するホームページ(2011年1月13日打出し)で,LCO関連情報欄には,2010年5月ないし2010年12月の間に発表されたトピックスが日付順に掲載されている。
(4)乙第36号証及び乙第37号証は,いずれも2011年11月6日打出しのホームページで,乙第36号証は,時間や特定の曜日を指定して配信する「時間・曜日指定配信サービス」の内容を紹介するものであって,乙第37号証は,CONDUCTOR LCOの導入事例を紹介するものである。
(5)乙第38号証は,ECサイト向け自動LPOを紹介するホームページ(2011年11月6日打出し)であり,乙第39号証は,「CONDUCTOR LCOにはどんな機能があるのですか?よくあるご質問」という内容で構成されており,利用申し込み,機能に関して,運用に関して等々,サービス利用希望者の質問に応える手法で,事業・サービスの内容を説明している。
(6)乙第40号証は,アクシイズが2005年度ないし2011年度の間に発表した「最新情報一覧」(全9枚)が掲載されているもの(2011年11月6日打出し)で,複数個所に「CONDUCTOR」が記載されている。
(7)乙第41号証は,会社合併のお知らせLCO関連情報CONDUCTORLCO「会社合併のお知らせ」と記載されているアクシイズのホームページ(2011年11月6日打出し)であり,2011年12月1日付でアクシイズと株式会社ユビキャストとの「会社合併」が実行に移され,アクシイズは解散するという事態となったこの時点をもって,被請求人とアクシイズの協働は終了することとなった。
(8)乙第47号証は,「Web Site Information」のホームページ(2014年9月3日打出し)で,「ピッキングシステム,入退出管理システム,省エネシステム等,現場改善やコスト削減につながるシステムならテクノ方圓にお任せください。」,また,「Tags:現場改善やコスト削減につながるシステムならテクノ方圓にお任せください。省エネシステム等,(中略)カウンタ君,ラインコントロールカウンタ,作業指示システム,セル生産,ソフトウェアシステム,ハードウェアシステム受託開発等・・・」と記載されている。
乙第48号証は,「Conductorシリーズ カウンタ君 ラインコントロールカウンタ」の説明パンフレット及び実物写真,乙第50号証は,テクノ方圓が,平成24年(2012年)2月24日に東京都立多摩職業能力開発センターで開催の「第11回たま工業交流展」に出展した際に作成・配布したパンフレット,及び,乙第51号証は,「Conductorシリーズ」省電力コントロールシステムEMMS-A説明書(全12頁)である。
(9)乙第52号証は,ヘッダー部に「Axyz.co.jp:LPOサービスと広告配信LPOの株式会社アクシイズ」と記されている「Web Site Information」のホームページ(2014年6月17日打出し)で,「LPOサービスと広告配信ASPの株式会社アクシイズ」,「Description:特許に基づいた自社開発広告配信システム『CONDUCTOR AD』,『CONDUCTOR LCO』を展開。費用対効果の高いインターネット広告を,コンサルティングから製作および配信・運用・管理までワンストップで提供します。」また,「Keywords:アクシイズ,AXYZ,axyz,株式会社アクシイズ,CONDUCTOR」などが表記されている。
(10)乙第55号証は,AXYZがhttp://www.axyz.co.jpにアップロードしているホームページ(2015年4月27日打出し)である。
3 上申書(平成27年6月19日付け)
(1)乙第56号証は,被請求人がアクシイズに対し,本件商標の使用許諾の期間を確認する目的で発行する「確認証」である。
(2)乙第57号証は,「投資者」が,「発行会社」である「株式会社アクシイズ」から発行される普通株式を取得する際に,経営支配者である,「海野雄史」,「有限会社方圓」,「株式会社アクシイズ(多摩)」の当事者間で締結した「投資契約書」の1頁と11頁であり,11頁には,平成18年12月15日当時の経営支配者が押印している。現在では,本店住所や代表者なども様変わりし,「有限会社方圓」も代表者名と本店住所は異なっているが,印鑑は現在と同じである。
(3)乙第60号証は,アクシイズにより事業計画され,設計され,構築され,運用されるインターネットサーバーの活用によって,提供されるサービスを紹介するホームページ(2011年11月6日打出し)である。
(4)乙第61号証は,CONDUCTOR LCO販売パートナーを紹介するホームページ(2011年11月6日打出し)であり,インターネット広告分野の企業などが表記されている。
(5)乙第64号証は,被請求人がAXYZに対して発行する「確認書」であり,乙第22号証を訂正して再度発行した。
4 まとめ
以上のとおり,本件商標は,その指定役務中,第42類「インターネットサーバーの構築又は保守,インターネット上におけるサーバーの記憶領域の貸与,サーバーに固定された電子計算機用プログラムを特定の者に専用させることにより行う電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」について,自他役務識別力を有する被請求人の商標として継続的に使用されており,現に実際の市場で機能している。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出した証拠について
(1)乙第30号証は,2006年7月5日付けのアクシイズの「次世代コンテンツ配信システム『Conductor』事業計画書」との表題の書面(写し)であり,その2葉目には,「クライアント・サービス時システム構成図」として「フローAXYZ広告システム(データセンターで運用)」の表示と,構成図が掲載されている。
そして,3葉目の「システム運用保守 サービス概要」には,「BS7799/ISMSに立脚したプロフェッショナルでセキュアなシステム保守運用をご提供いたします」の記載があり,「サービスの内容」において,例えば,「概要」の「DNS運用」の項の「詳細」には,「プライマリDNS/セカンダリDNSの運用サービス」及び「Optional:ドメイン取得代行」の記載,同じく「ソフトウェア運用」の項には,「ソフトウェア・アドミニストレーション」及び「データベース・アドミニストレーション」の記載,及び,同じく「リモート・バックアップ」の項には「バックアップ・プラン設計」及び「メディア交換など,別途費用が発生する場合があります」と記載されている。
また,6葉目の「Conductorサーバの基本配信機能」には,「設定できるトリガ条件」及び「配信機能」についての記載がある。
(2)乙第38号証は,アクシイズのウェブサイト(2011年11月6日印刷)であり,その左上のヘッダー部分には,「行動ターゲティングLPOツール【CONDUCTOR LCO】」の表示があり,その下には,「LPO(ランディングページ最適化)対策ツール」,「CONDUCTOR LCO」及びその下に小さく「Landing Contents Optimizer」の各文字が表示されている。
そして,「Point1」には「LPOで成功率アップ」,「Point2」には「コンテンツ自動最適化」及び「Point3」には「既存頁も最適化」の記載がある。
また,2/4ページには,「サイトを訪れるユーザーの目的や行動に応じて,あらかじめ登録されたコンテンツの中から最適なものを自動的に配信します。・・・」の記載があり,3/4ページの上部には,「そのコンバージョンレート(目的達成率)に応じて,複数登録されているクリエイティブのなかから効果の高いものの配信割合を高めるなど,自動で最適化を図ることができます。」の記載,及び,該頁の中程には,「CONDUCTOR LCOを使えば,新たにページを作る必要もなく,また,SEO対策で上位に上がってきている既存のページを作り直さずに,そのまますぐに訴求力の高いキーワードに連動型のランディングページに作り変えることができます。」と記載されている。
(3)乙第39号証は,アクシイズのウェブサイト(2011年11月6日印刷)であり,その左上のヘッダー部分には,「CONDUCTOR LCOにはどんな機能があるのですか?|よくある質問|行動ターゲティングL・・・」の表示があり,その下には,「LPO(ランディングページ最適化)対策ツール」,「CONDUCTOR LCO」及びその下に小さく「Landing Contents Optimizer」の各文字が表示されている。
そして,「CONDUCTOR LCOにはどんな機能があるのですか?」の記載の下,「CONDUCTOR LCOはASP(期間に応じてご利用いただけるアプリケーションのレンタル)型のLPO(ランディングページ最適化)対策ツールです。LPOとはランディングページ最適化という名前が示すとおり,お客様のサイトに訪れる一般消費者の方に対して,最初に表示されるページにてその方が必要としてる情報,もしくは必要とするであろう情報を察知して,目立つ箇所に表示することで,的確に購入や資料請求に結びつける手法です。」の記載がある。他に,「お申し込み・購入に関して」,「ご利用に関して」,「機能の関して」及び「運用に関して」等についての記載がある。
(4)乙第52号証は,「site info」のウェブサイト(2014年6月17日印刷)であり,「LPOサービスと広告配信ASPの株式会社アクシイズ」の記載の下,「Description:特許に基づいた自社開発広告配信システム『CONDUCTOR AD』と,その技術を応用したLPOマーケティングサービス『CONDUCTOR LCO』を展開。費用対効果の高いインターネット広告を,コンサルティングから製作および配信・運用管理までワンストップで提供いたします。」の記載がある。
(5)乙第55号証は,アクシイズのウェブサイト(2015年4月29日印刷)であり,大きく表示された図形の下部には,「ターゲティングオーバレイウェブページ生成システム」の記載がある。
そして,2/5ないし3/5ページにおいて,「『ターゲティングオーバレイ』ウェブページの生成」について記載があり,「●「『ターゲティングオーバレイ』ウェブページ生成のイメージ図」及び「●“Web情報”ターゲティング オーバレイウェブページ(=Targeting Overlay Webpage)の供給とは,クライアント側(ユーザ側)やリンク先サイト側からウェブサイトへのアクセスに際してAXYZ Webサーバ(Application Server)では,既存ウェブページ上の随所に配置するユーザニーズに則した“Web情報”(クリックポイントやリンク先ウェブ情報)をトリガ条件に基づいて規定し,ターゲットに合わせて抽出(ターゲティング)した“Web情報”を既存ウェブページ上の階層(Layer)に重ねて“表示”させる『ターゲティングオーバレイ』ウェブページを生成して,リンク先サイト側やユーザ側端末に応答・供給します。」の記載がある。
また,4/5ページの「『ターゲティングオーバレイ』ウェブページの供給概念」として「●『ターゲティングオーバレイ』ウェブページの供給方法を示す概念図」が掲載されている。
(6)乙第56号証は,平成27年6月16日付けの本件商標権者代表者名による「確認証」であり,その内容は,「当社は,アクシイズに対し,本件商標の登録日である平成19年2月2日から,・・・2011年(平成23年)12月1日に至るまでの間,・・・の指定役務中,(第42類)「インターネットサーバーの構築又は保守,インターネット上におけるサーバーの記憶領域の貸与,サーバーに固定された電子計算機用プログラムを特定の者に専用させることにより行う電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」の通常使用権を許諾していることを確認する。」旨が記載されている。
(7)乙第60号証は,アクシイズのウェブサイト(2011年11月6日印刷)であり,その左上のヘッダー部分には,「CONDUCTOR LCOとは|行動ターゲティングLPOツール【CONDUCTOR LCO】」の表示があり,その下には,「LPO(ランディングページ最適化)対策ツール」,「CONDUCTOR LCO」及びその下に小さく「Landing Contents Optimizer」の各文字が表示されている。
そして,その2/4頁には,「コンテンツごとにLPOを実現するASP型のLPOツール!」の表示と図が掲載され,該図の下には「ユーザーの行動や目的に合わせて,最適なコンテンツに差替えるASP型のLPOサービスです。」の記載がある。
2 以上によれば,次のとおり判断できる。
(1)通常使用権者について
乙第57号証によれば,本件商標権者とアクシイズは,投資契約書により,平成18年12月頃から,発行会社の事業においての関連会社であって,業務上,密接な関係にあり,また,乙第56号証の「確認書」によれば,本件商標権者は,アクシイズに対し,本件商標権ついて通常使用権を許諾しているものであるから,アクシイズは,本件商標の通常使用権者と認められる。
(2)提供に係る役務について
ア アクシイズは,インターネット広告についての,コンサルティング,製作及び配信・運用管理を行う会社であって,同社の事業は,「次世代コンテンツ配信システム『Conductor』事業計画書」によれば,「システム運用保守 サービス概要」には,「システム保守運用を提供」する旨が記載され,その「サービスの内容」は「DNS運用(プライマリDNS/セカンダリDNSの運用サービス),ドメイン取得代行」,「ソフトウェア運用(ソフトウェア・アドミニストレーション,データベース・アドミニストレーション)」,及び,「リモート・バックアップ(バックアップ・プラン設計)」等である(乙30)。
そして,要証期間である2011年(平成23年)11月6日に,自身のウェブサイトにおいて,「CONDUCTOR LCO」と表示して,自身が行う「行動ターゲティングLPO(ランディングページ最適化)ツール」の提供に関する情報を掲載したものと認められる(乙38)。
イ アクシイズが提供する「行動ターゲティングLPO(ランディングページ最適化)ツール」は,ウェブサイトを訪れるユーザーの目的や行動に応じて,あらかじめ登録されたコンテンツの中から最適なものを自動的に配信するための,広告配信ASP(期間に応じて利用されるアプリケーションのレンタル)型のLPO(ランディングページ最適化)サービスと認められる(乙39)。
そして,該サービスにおいて提供される「ターゲティングオーバレイウェブページ生成システム」は,クライアント側(ユーザ側)やリンク先サイト側からウェブサイトへのアクセスに際し,アクシイズのWebサーバ(Application Server)では,「ターゲティングオーバレイ」ウェブページを生成して,リンク先サイト側やユーザ側端末に応答・供給するものである(乙55)から,取消請求役務中,「インターネット上におけるサーバーの記憶領域の貸与,サーバーに固定された電子計算機用プログラムを特定の者に専用させることにより行う電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供」に含まれる役務と認められる。
(3)本件商標の使用について
前記役務の提供に関する広告(乙38,乙39,乙52,乙60)に表示された「CONDUCTOR LCO」は,「LCO」の欧文字部分が「ランディングページ最適化」を表すことから,役務の提供の質(内容)を示すにすぎず,「CONDUCTOR」の欧文字部分が商標としての使用と認められ,該文字は,「CONDUCTOR」の欧文字からなる本件商標と社会通念上同一のものと認められる。
(4)まとめ
上記(1)ないし(3)からすれば,本件の通常使用権者は,要証期間に日本国内において,その取消請求役務中,「インターネット上におけるサーバーの記憶領域の貸与,サーバーに固定された電子計算機用プログラムを特定の者に専用させることにより行う電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供」に含まれる「行動ターゲティングLPO(ランディングページ最適化)ツールの提供」の役務の広告に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示したものである。
本件の通常使用権者による上記行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものと認められる。
3 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が,その取消請求役務について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,その指定役務中,第42類「インターネットサーバーの構築又は保守,インターネット上におけるサーバーの記憶領域の貸与,サーバーに固定された電子計算機用プログラムを特定の者に専用させることにより行う電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-07-29 
結審通知日 2015-08-03 
審決日 2015-08-19 
出願番号 商願2006-45066(T2006-45066) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大井手 正雄 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 田中 亨子
大井手 正雄
登録日 2007-02-02 
登録番号 商標登録第5022627号(T5022627) 
商標の称呼 コンダクター 
代理人 高橋 康夫 

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