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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服201411133 審決 商標
不服201716876 審決 商標
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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W4145
管理番号 1306555 
審判番号 不服2014-20783 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-14 
確定日 2015-10-09 
事件の表示 商願2013-46146拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「湯灌士」の文字を標準文字で表してなり、第41類及び第45類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、平成25年6月14日に登録出願されたものであり、その後、本願の指定役務については、同年11月15日受付の手続補正書をもって、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,カウンセリング理論とその技法の教授,資格検定試験に関する情報の提供,資格検定試験の実施,資格の認定及び資格の付与,講演会・セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音楽又は教育研修のための施設の提供」及び第45類「遺体の入浴・洗浄,湯灌,湯灌に関する相談,身の上相談,祭壇の貸与,墓地又は納骨堂の提供,墓地又は納骨堂に関する相談,納骨堂の管理,遺体への死化粧の施術」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『湯灌士』の文字からなるところ、その構成中の『湯灌』の文字は『納棺する前に死体を清めること』を意味する語であり、同じく、『士』の文字は『1.学徳を修めたりっぱな男子、2.男子の敬称、3.一定の資格・役割をもった者』等の意味を有する語であって、例えば、『弁護士、弁理士、税理士、栄養士』として用いられる語であることからすると、これに接する者は、単に『納棺する前に死体を清める人』程の意味合いを想起するといえる。そして、『湯灌士』の語は、葬儀に関する役務を提供するものとして、複数の者が使用している実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務中の第41類『湯灌士に関する知識の教授,湯灌士に関する資格検定試験に関する情報の提供,湯灌士に関する資格検定試験の実施,湯灌士に関する資格の認定及び資格の付与,湯灌士に関する講演会・セミナーの企画・運営又は開催』等、第44類『遺体の入浴・洗浄,湯灌,湯灌に関する相談』等に使用した場合、これに接する取引者、需要者に役務の質(内容)を表示したものと認識させるにとどまるものとみるのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「湯灌士」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、その文字構成に照らせば、「納棺する前に死体を清めること。」を意味する「湯灌」の語と「一定の資格・役割をもった者。」等の意味を有する「士」の語(各語の意味については、「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)から引用。)とを組み合わせてなるものと容易に看取、理解され、その構成全体をもって、「湯灌の役割をもった者」程の意味合いを認識させるものとみるのが相当である。
また、本願の指定役務中、例えば、第45類に属する「湯灌,湯灌に関する相談,遺体の入浴・洗浄」といった役務は、原査定において示した情報のほか、別掲に示す内容を総合勘案すれば、「湯灌士」と称する専門的な知識や技術を有する者により提供される場合があるというのが実情である。
そうとすると、本願商標をその指定役務中の第45類「湯灌,湯灌に関する相談,遺体の入浴・洗浄」について使用した場合、これに接する需要者は、その役務が「湯灌士」により提供されるものであること、すなわち、役務の質を表してなるものと認識するにとどまるとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定役務中の第45類「湯灌,湯灌に関する相談,遺体の入浴・洗浄」については、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、原査定において示された有限会社ミッグスタッフの求人情報における「湯灌士、納棺士」の使用例について確認した結果、誤記であるとして「湯灌師、納棺師」に修正されたこと(添付資料1)、多くの検索エンジンでは「湯灌士」と入力しても「湯灌士」以外のキーワードに置換されて検索された結果が表示される一方、「湯灌師」と入力したときはそのまま検索された結果が表示されること(添付資料2及び添付資料3)からすれば、本願商標の登録の可否の判断は、「湯灌士」の用例のみならず、「湯灌師」の用例をも含めて比較衡量の上でされるべきであり、このような状況を総合的に考慮すると、本願商標をその指定役務に使用した場合、出所の表示機能や自他役務の識別機能を果たすことは十分に可能である旨主張する。
確かに、本願の指定役務中、第45類「湯灌,湯灌に関する相談,遺体の入浴・洗浄」といった役務を提供する業界において、湯灌や遺体の入浴・洗浄といった行為をする専門的な知識や技術を有する者を指称する語として、「湯灌師」が用いられていることは請求人の主張するとおりであるが、そのような者を指称する語として、「湯灌士」が用いられる場合もあることは、上記(1)において認定したとおりである。そして、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、該商標の査定時又は審決時において、該商標の構成態様及び指定商品又は指定役務に基づき、該商標が使用される商品又は役務に係る取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標が、その構成全体をもって、「湯灌の役割をもった者」程の意味合いを認識させるものであり、本願の指定役務中の第45類「湯灌,湯灌に関する相談,遺体の入浴・洗浄」に係る取引の実情に鑑みれば、需要者をして、役務の質を表したものとして認識されるにとどまるものであること、上記(1)において認定、判断したとおりであるから、上記請求人の主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)2007年(平成19年)6月25日付け「毎日新聞」(西部夕刊、1頁)に、「YOU館:病院でエンゼルメイク 永遠の別れ、顔を美しく」の見出しの下、「病院で亡くなった患者にマッサージや化粧を施し、できる限り生前の面影を取り戻す『エンゼルメイク』が、九州・山口の医療機関で少しずつ広がっている。・・・今月16日、九州エンゼルメイク研究会が福岡兼志免町の栄光病院で開いた講習会。長崎や大分など九州各地から40人の看護師らが参加し、2人1組になって実技を学んだ。・・・講習会の講師で、亡くなった人に化粧などを施す湯灌士(ゆかんし)の川口多津子さんは『『亡くなったら病院の仕事は終わり』と考えている医療従事者はまだ多く、死後のケアを学ぶ場もないのが現状。だから、一般の人にこそエンゼルメイクを知ってもらい『最期にふさわしい姿にして』と言うようになれば、医療の現場は変わります』と話す。」との記載がある。
(2)2012年(平成24年)1月16日付け「琉球新報」(朝刊、28頁)に、「人生の締めくくり考える『終活』講座/桜坂劇場できょうから」の見出しの下、「映画『エンディングノート』の公開を機に、桜坂劇場と沖縄シニアの会は『終活』ワークショップを16日から2月20日までの毎週月曜午後7時から、同劇場2階『ふくら舎』奥で開催する。・・・高齢者の生きがいづくりなどに取り組んでいるシニアの会の榮朱里さんは県内外の葬祭業者に勤めた経験のある元湯灌士。『葬儀や相続など、気になっていることをまず気軽に話してもらい、それぞれの相談先につないでいくこともできると思う』と語った。」との記載がある。
(3)「千葉の葬儀・葬式・直葬(火葬)の大辞典」のウェブサイトにおいて、「湯灌について」の見出しの下、「葬儀の前の納棺(納棺とはご遺体を棺に納めること)に先立ちご遺体を洗うこと。洗う事を清拭と言います。故人が男性の場合には髭を剃り、女性の場合はお化粧をすること。また、地域差はありますが洗髪、復顔(生前の顔に近づける処置)、すること。末期の水を行うこと。これらの納棺以外の処置全てをひっくるめて湯灌と言います。看護師による簡易的な清拭は『エンジェル・サービス』と呼ばれ、体を拭いてくれますが、湯灌士さんの処置と比べると、当然の事ながら差は出ます。」との記載がある(http://sogi-chiba.com/yukan.html)。
(4)「おくりびと美納」のウェブサイトにおいて、「福岡県のおくりびと美納では、御遺族様が故人様とのお別れを安心して迎えられるよう、湯灌・メイク・特殊処置等さまざまなサービスをプロの湯灌士・納棺士の手により提供させていただいております。」との記載がある(http://www.okuribito-binou.com/)。
(5)「セレモニーホール平成記念館」のウェブサイトにおいて、「・湯灌・納棺」の見出しの下、「専門の湯灌士が清め・旅支度・化粧・納棺までのすべての事を行ってくれます。湯灌とは納棺の前にご遺体の汚れを清めるための儀式です。ご遺族は棺の中に入れてあげたいものを準備します。」との記載がある(http://heisei-kinenkan.com/flow/index.html)。
(6)「ceremony-youtei」のウェブサイトにおいて、「湯灌・納棺について」の見出しの下、「故人様のご逝去に際し、ご家族、御親族が集まって故人様の冥福を祈りながら、極楽浄土への見繕いを整えてさしあげ、無事成仏できるよう祈りを込めて送り出して差し上げる儀式です。ご遺体は死亡確認後、腐敗が始まってしまいます。悪臭・体液漏れや出血が非常に起こりやすくなり、お身体も硬直し始めます。私どもセレモニーようていでは、速やかに提携会社の湯灌士を手配し、技術的に可能な範囲で適切な処置をさせて頂いております。昔ながらの習慣を大切に、古式湯灌ををさせて頂くことによって、故人様の安らかな旅立ちをお手伝いさせて頂いております。」との記載がある(http://ceremony-youtei.com/gosougi.html#yukan)。
(7)「金華堂」のウェブサイトにおいて、「湯灌(ゆかん)及び納棺」の見出しの下、「湯灌とは納棺の前に死者の身体を清めることをいいます。現在では専門の湯灌士がいて、清め、旅仕度、死に化粧、納棺までのすべてを行ってくれます。」との記載がある(http://www.kinkado.net/manner/kitoku.html)。
(8)「平塚福祉葬祭」のウェブサイトにおいて、「湯灌(ゆかん)について」の見出しの下、「湯灌とは、古くは故人のお洋服(お着物)をお脱がせし、ご自宅において逆さ湯と言うぬるま湯を作って頂き、そちらに浸したタオルで足元から順番にお頭の方へ逆さまにお清めする儀式を湯灌と申していました。・・・また現在では湯灌士と呼ばれる人たちにより、ご家族と一緒に湯灌を執り行う事が出来ます。」との記載がある(http://www.hiratsuka-sougi.com/blog/2013/11/index_2.html)。
(9)「荼毘dear」ウェブサイトにおいて、「湯灌ってやっぱり大切です。昔ながらの湯灌は、水を入れたタライにお湯を注ぎ、ご遺体を綺麗にしました。・・・病院での死後の処置とは清拭(体を綺麗に拭く)する事のみがほとんどですが、湯灌士の方に依頼すると清拭の他に、整髪、お化粧(男性の場合はヒゲなどの処理)、複顔(顔を生前にちかづける)、身支度(白装束またはお気に入りの服)が行われ、故人様が眠っているように綺麗に、最後の旅立ちのご準備をしていただけます。」との記載がある(http://davidear.com/blog/%E6%B9%AF%E7%81%8C%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%B1%E3%82%8A%E5%A4%A7%E5%88%87%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82)。


審理終結日 2015-02-05 
結審通知日 2015-02-10 
審決日 2015-02-23 
出願番号 商願2013-46146(T2013-46146) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W4145)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 敬規
清棲 保美
商標の称呼 ユカンシ、ユカン 
代理人 星野 裕司 

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