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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20156267 審決 商標
不服201421754 審決 商標
不服201417746 審決 商標
不服2015143 審決 商標
不服201426706 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W3043
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W3043
管理番号 1306528 
審判番号 不服2015-721 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-14 
確定日 2015-09-17 
事件の表示 商願2013-95979拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「パンケーキパイ」の文字を標準文字で表してなり、第30類及び第43類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成25年12月6日に登録出願されたものであり、その後、本願の指定商品及び指定役務については、同26年5月19日受付の手続補正書をもって、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,弁当,即席菓子のもと」及び第43類「飲食物の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『パンケーキパイ』の文字を標準文字で表してなるところ、最近では、菓子、パンの分野において、『ハイブリッドスイーツ』と呼ばれる、2種類の菓子、パンをかけあわせたものが製造、販売されており、『パンケーキ』や『パイ』についても、同状況がうかがえる。そうすると、本願商標は、『パンケーキ』と『パイ』という、極めて親しまれた語から組み合わされていることも相まって、『パンケーキとパイが組み合わさってできたもの』であることを理解させるので、これを指定商品中、『パンケーキを使用したパイ,パイを使用したパンケーキ,パイを使用するパンケーキのもと』に使用しても、これに接する需要者は、パンケーキとパイが組み合わさってできたものであること、パンケーキとパイが組み合わさってできたもののもとであることを認識するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「パンケーキパイ」の文字を標準文字で表してなるものである。
ところで、菓子やパンを取り扱う業界においては、原審における拒絶理由通知及び拒絶査定並びに別掲において示すとおり、近年、例えば、「クロワッサン」と「ドーナツ」、「ティラミス」と「パンケーキ」、「アップルパイ」と「フレンチトースト」、「パンケーキ」と「フレンチトースト」と「パイ」などのように、複数の菓子等を様々な方法で組み合わせてなるものが一般に広く製造、販売されている。
また、上記のように組み合わせてなるものを表す際には、「クロナツ(クロナッツ)」(クロワッサンとドーナツとの組合せ)のように、独自の名称を用いる場合がある一方、「ティラミスパンケーキ」(ティラミスとパンケーキとの組合せ)や「アップルパイフレンチトースト」(アップルパイとフレンチトーストとの組合せ)のように、組合せの基となる複数の菓子等の名称を結合してなる名称を用いる場合も少なくない。
そうすると、上記のとおり、「パンケーキパイ」の文字を標準文字で表してなる本願商標をその指定商品及び指定役務中、第30類「菓子」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該文字が「パンケーキ」の名称と「パイ」の名称とを結合してなるものと看取、理解し、その商品が「パンケーキ」と「パイ」とを組み合わせてなるものであること、すなわち、商品の品質を表したものと認識する場合も少なくないとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定商品及び指定役務中、第30類「菓子」に含まれる「パンケーキとパイとを組み合わせてなるもの」との関係においては、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また、上記商品以外の菓子に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、取引実情とは、通常、その指定商品全般についての一般的、恒常的なものを指すものであって、現在行われている一時的な事実をもって取引の実情とすることはできないことから、「ハイブリッドスイーツ」という辞書に掲載されていない語を持ち出し、2種類の菓子、パンを掛け合わせることが一般的な取引実情とすることは失当である旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品及び指定役務中に含まれる菓子やパンを取り扱う業界において、近年、複数の菓子等を様々な方法で組み合わせてなるものが一般に広く製造、販売されている実情にあることは、上記(1)において認定したとおりであり、また、そのような組合せからなるものについて、「ハイブリッドスイーツ」と称することがあることは、原審における拒絶理由通知及び拒絶査定並びに別掲において示した例からも明らかである。
よって、上記請求人の主張は、採用することができない。
イ 請求人は、本願商標をインターネットで検索した場合、その検索結果のほとんどは請求人の商品又はその商品の紹介記事であって、「パンケーキパイ」の文字が第三者によって商標又は説明的に用いられている事実は見当たらず、さらに、請求人の商品は、雑誌及びテレビ番組で紹介されたものであるから、本願商標は、登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう商品の品質に該当するというには、我が国の取引者、需要者が商品の品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものであり、実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることまでは必要としないと解されるところ、本願商標は、上記(1)において認定、判断したとおり、取引者、需要者をして、商品の品質を表示したものと認識されるといえるものであるから、「パンケーキパイ」の文字が商品の品質を表示するものとして使用されている事実がないからといって、商標登録を受けることができる商標ということはできない。
また、請求人の主張に係る雑誌「MAISHA」(甲9)については、その発行の時期及び部数等が明らかでないばかりでなく、その内容についても、「メープルスイーツ食べくらべ」の標題の下、他社の製品とともに取り上げられているにすぎないものであり、さらに、テレビ番組についても、わずかに2番組にすぎない上、番組名及び放送日は分かるものの、その番組内において、請求人の商品が具体的にどのように紹介されたかが不明であるから、これらをもって、本願商標が自他商品の識別標識として機能しているとはいい難く、よって、本願商標は、商標登録を受けることができる商標ということができない。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
ウ 請求人は、登録例を挙げつつ、本願商標が「パンケーキ」と「パイ」の極めて親しまれた語の組合せであるとしても、それゆえに識別力が否定されることはなく、その構成全体から特定の品質が想起されるか否かで判断されるべきであり、本願商標は、商品の品質を直接的に想起させるものでないから、識別力が十分に認められる旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、該商標の査定時又は審決時において、該商標の構成態様及び指定商品又は指定役務に基づき、該商標が使用される商品又は役務に係る取引の実情等を考慮し、取引者、需要者がいかに認識するか、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標は、上記(1)において認定、判断したとおり、その構成態様、指定商品との関係及び取引の実情等を勘案すれば、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきものである。
また、請求人の挙げる登録例は、いずれも本願商標とは構成態様を異にするものであるから、該登録例が存することをもって、その判断を覆すことはできない。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)2015年(平成27年)3月7日付け「FujiSankei Business i.」(19頁)に、「【ぐるなびのチョットぐな話】ティラミスパンケーキ ブレーク必至」の見出しの下、「パンケーキの進化がとまらない。パンケーキが日本で注目され始めたのは、2010年頃。シドニー発の朝食ブームの火付け役の店や、ハワイ発のホイップクリームをたっぷり乗せたパンケーキの店など、海外の有名店の国内出店が相次ぎ、ブームが起きた。専門店が数多く出店する一方で、ファミリーレストランでもさまざまなメニューが展開され、もはやブームから定番になりつつある。そんなパンケーキと、別のスイーツをかけ合わせた『ハイブリッドパンケーキ』が誕生し、中でもこの春は『ティラミスパンケーキ』が人気を集めそうだ。その名の通り1990年に大ブームになった、チーズを使ったイタリアのスイーツ『ティラミス』と『パンケーキ』の“いいとこどり”をしたハイブリッドパンケーキ。」との記載がある。
(2)2015年(平成27年)4月30日付け「産経新聞」(東京朝刊、20頁)に、「ハイブリッド菓子が人気 ドーナツサンドイッチ、ティラミスロール・・・」の見出しの下、「クロワッサンとドーナツ、ティラミスとロールケーキ-。複数の菓子などを掛け合わせた新感覚の『ハイブリッドスイーツ』が人気だ。東京駅では、人気の洋菓子店などでスイーツ選びを楽しめる。東京駅グランスタダイニングにある『パティスリーキハチ&ルサンパーム』の人気商品は、ドーナツサンドイッチ。2つに割ったドーナツにベーコンエッグやブルーチーズクリームとハムが挟まれ、甘さとしょっぱさが絶妙な組み合わせだ。・・・八重洲口の商業施設『グランルーフ』のカフェ『エール・エル・ワッフルカフェ』で提供するのは、ワッフルとフレンチトーストを合体させた『フレンチワッフル』。・・・駅構内のエキュート東京に出店している洋菓子店『シーキューブ』では、お土産用に『ティラミスロール』が人気だ。『店の代表商品ティラミスをロールケーキ形にして、手土産として持ちやすくしました』と新子未佳店長。・・・エキュート東京内のカステラ店『Hana SYUMPOO』の人気商品は、カステラに卵をしみ込ませて焼き上げた『かすてらフレンチトースト』。」との記載がある。
(3)「Sweetshome」のウェブサイトにおいて、「世界に拡散中!NY発の新スイーツ『クロナッツ』」の見出しの下、「米ニューヨークで発売され、ソーシャルメディアを通して世界的な話題となっている商品、それが『クロナッツ』。クロワッサンとドーナッツを掛け合わせた造語で、その名のとおり、クロワッサンの生地を揚げたドーナッツ。」との記載がある(http://cronuts.sweetshome.net/)。
(4)「薄皮たい焼き 銀のあん」のウェブサイトにおいて、「メニュー クロワッサンたい焼 (あずき)」の見出しの下、「特製生地で自家製餡を包み、銀のあん専用のたい焼器で香ばしく焼き上げたオリジナルたい焼です。24層に仕上げたクロワッサン生地を、鉄板の両面から高温で一気に焼き上げることで、独特の“サクッ”とした食感が生まれます。」との記載がある(http://www.ginnoan.com/contents/menu/tanpin/croissant2013.html)。
(5)「LAWSON」のウェブサイトにおいて、「新たなハイブリッドクロワッサン 7月15日(火)から全国のローソンで『クロワッサンベーグル』発売」の見出しの下、「今回発売する『クロワッサンベーグル』は、ニューヨークでは『クレーグル』と呼ばれている人気のベーカリーです。麦芽などが入ったクロワッサン生地を27層に折り込み、オーブンで焼き上げることで、中はベーグルのようにしっとりもちもちに、表面はクロワッサンのようにサックリと仕上げました。2つの食感を楽しんでいただけます。」との記載がある(http://www.lawson.co.jp/company/news/092566/)。
(6)「ぐるなび」のウェブサイト中にある「Butter Premiumららぽーと豊洲」に係る情報において、「メニュー」中の「ハイブリッド」の見出しの下、「3種のスイーツを掛け合わせたパンケーキ Pancake×French toast×Pie 旬の苺とベリーのフレンチパンケーキパイ包み焼き 特製アパレイユにつけたパンケーキ2枚で、クリームチーズをサンド。さらにパイで包み、オーブンでじっくり焼き上げました。」及び「2種のスイーツを掛け合わせたパンケーキ Popover×Pancake 発酵バターのポップオーバーパンケーキ?プレミアム ミルキーソフトクリーム添え? フレンチトースト風に漬け込んだパンケーキを包み込むようにポップオーバーで焼き上げた新感覚のパンケーキです。」との記載がある(http://r.gnavi.co.jp/gd26900/menu2/)。
(7)「Banq」のウェブサイトにおいて、「新食感!カリッと揚げたドーナツパンケーキがアクイーユから登場」の見出しの下、「今回、新たに登場する『ドーナツパンケーキ・いちごのミルフィーユ仕立て』は、特製パンケーキ生地を焼き上げた、特製ソースに漬けてから、”ドーナツ”のように揚げるパンケーキ。その上に、カスタード、イチゴ、パイをトッピングし、”ミルフィーユ”のように仕上げる。」との記載がある(http://banq.jp/15833)。
(8)「FASHION PRESS」のウェブサイトにおいて、「アフタヌーンティー・ティールームから冬限定『アップルパイフレンチトースト』発売」の見出しの下、「2015年1月8日(木)、アフタヌーンティー・ティールームから冬限定のスイーツ『アップルパイフレンチトースト』が全国の店舗で発売される。『アップルパイフレンチトースト』は、アフタヌーンティーが1990年の発売当時から変わらないオリジナルレシピで作るアップルパイと、今注目のフレンチトーストを組み合わせたハイブリッドスイーツだ。」との記載がある(http://www.fashion-press.net/news/14079)。
(9)「DAIMARU」のウェブサイト中にある「マミーズ アン スリール」に係る情報において、「洋菓子と和菓子のコラボはブームの予感!」の見出しの下、「パイ専門店<マミーズ・アン・スリール>が、サクサクのパイ生地を使った新作スイーツ“パイたい焼き”を完成させました。パイ生地に合う餡をポイントに、洋菓子と和菓子のイイトコドリをしました。」との記載がある(http://www.daimaru.co.jp/tokyo/mammies/)。
(10)「プチトリフ山屋」のウェブサイトにおいて、「パイ大福」の見出しの下、「粒あんを求肥もちでくるんで、パイで包み焼きにしました。」との記載がある(http://pt-yamaya.jp/about_cake/pg489.html)。
(11)「さかい珈琲」のウェブサイトにおいて、「スイーツ」の見出しの下、「パイ生地とワッフル生地を組み合わせた、さかい珈琲オリジナルの『ワッフルパイ』やグループ企業のイタリアンレストランのケーキ工房で製造したロールケーキやシフォンケーキなどのオリジナル商品を提供。」との記載がある(http://www.sakaicoffee.jp/about.html)。
(12)「Let’s ENJOY TOKYO」のウェブサイトにおいて、「元祖ハイブリッドスイーツはコレではなかろうか? ガトー・ド・ボワイヤージュ『窯出しパイカスター』」の見出しの下、「昨今は『クロワッサンドーナツ』といったハイブリッドスイーツがブームですが、もう10年以上も前から存在しているハイブリッドスイーツがこれ! パリパリのパイ生地とサクサクのシュー生地にトロリとしたバニラ香るクレームパティシエール(カスタードクリーム)が合体した『窯出しパイカスター』。」との記載がある(http://season.enjoytokyo.jp/depart_food/sweets/ginza_005.html)。


審理終結日 2015-07-16 
結審通知日 2015-07-21 
審決日 2015-08-03 
出願番号 商願2013-95979(T2013-95979) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W3043)
T 1 8・ 272- Z (W3043)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 洋子守屋 友宏 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 真鍋 伸行
田中 敬規
商標の称呼 パンケーキパイ 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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