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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y25
管理番号 1306509 
審判番号 取消2014-300115 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-02-18 
確定日 2015-09-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第4865644号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第4865644号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4865644号商標(以下「本件商標」という。)は,「イッキ」の片仮名を標準文字により表してなり,平成16年10月22日に登録出願,第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同17年5月20日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成26年3月10日である。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第4号証(枝番を含む)を提出している。
2 請求の理由
本件商標は,商標権者,使用権者のいずれもが,その全指定商品について,継続して3年以上,日本国内おいて商標権者,使用権者のいずれもが使用された事実が認められないので,商標法第50条の規定により取り消されるべきである。
3 答弁に対する弁駁
被請求人は,本件商標をその指定商品について使用していると主張しているが,同人提出の答弁書及び答弁書に添付の証拠によっては,本件商標を指定商品に使用している事実を証明するものではない。
(1)被請求人は,自動車用部品のオリジナルブランド「IKKI(イッキ)」を事業展開しており,当該自動車部品の展示会に出展する際,顧客への販促のためのノベルティ商品,キャンペーン商品として,社名入りのエンブレム,オーナメント,ステッカー,タオル,ポロシャツ,Tシャツ,作業着等を製作し,販売,配布してきた実績がある旨主張する。
また,被請求人は,本件商標をオリジナルのポロシャツ,Tシャツに付し,2014年開催の東京オートサロンの出展時,その他の自動車用品イベントにおいて,スタッフの着用並びにノベルティとしての配布を行った旨主張する。
しかしながら,スタッフが着用するための商品,顧客への販促のためのノベルティ商品,キャンペーン商品は商標法における「商品」にはあたらない。
よって,被請求人は,本件商標をその指定商品について,本件審判の予告登録前3年以内に日本国内において使用していない。
(2)商標法上の商品とは,商取引の目的物として,流通性のあるもの,すなわち,一般市場で流通に供されることを目的として生産される有体物であると解すべきである。
請求人提出の乙第1号証ないし乙第5号証に表されたポロシャツ,Tシャツは自動車用品の展示会に出展する際の宣伝広告として,顧客への販促のためのノベルティ商品,キャンペーン商品,スタッフが着用するための商品であって,それ自体が直接商取引の対象となるものではないことから,これらの使用は商標法上の「商品」への使用には該当しない。
(3)被請求人提出の乙第1号証及び乙第2号証に表された商標は,本件商標と同一又は社会通念上同一の標に該当しない。
(4)以上より,被請求人が提出する証拠によっては,被請求人が本件商標を,本件商標の指定商品について使用している事実をしめすことができないこと明かであり,答弁に趣旨には理由がない。

第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
2 答弁の理由
本件商標は,本件審判の請求の登録日前3年以内に使用している。
被請求人は,社名と同名の自動車用部品(エアロパーツ)のオリジナルブランド「IKKI(イッキ)」を事業展開している。
被請求人は,自動車用品の展示会に出展する際,顧客への販促のためのノベルティ商品,キャンペーン商品として,自動車部品以外の社名入りのエンブレム,オーナメント,ステッカー,タオル,ポロシャツ,Tシャツ,作業着等を製作し,販売,配布してきた実績がある。
被請求人は,本件商標をオリジナルのポロシャツ,Tシャツに付し,それらを2014年開催の東京オートサロンへの出展時にもノベルティとして配布した。また,その他自動車用品店イベントにおいても,スタッフの着用ならびにノベルティとしての配布を行った。
3 口頭審理における陳述
被請求人は,平成26年12月15日に行われた口頭審理に関し,口頭審理陳述要領書を提出せず,期日に出頭していない。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば,次の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証及び乙第2号証は,ポロシャツ及びTシャツに別掲1のとおりの構成よりなる商標(以下「使用商標」という。)が付されている写真であるが,この写真の撮影日,撮影場所,撮影者は確認できない。
(2)乙第3号証は,被請求人が2014年開催の東京オートサロンへの出展時の写真と主張するが,この写真には,本件商標が取消しに係る商品に使用されていることが確認できず,さらに,当該写真の撮影日,撮影場所,撮影者も確認できない。
(3)乙第4号証は平成25年4月28日に被請求人がポロシャツを発注した際の元帳であるが,当該発注されたポロシャツが,商品として販売された事実を証明するものではない。
(4)乙第5号証は,被請求人が,2013年(平成25年)5月31日に,株式会社KIプロモートに「IKKIノベルティグッズ」としてポロシャツ,Tシャツを納品したことが確認できる。
2 判断
(1)本件商標の使用について
ア 使用商標について
被請求人がポロシャツ及びTシャツに使用する使用商標は,別掲1のとおり,上段に「株式会社イッキ」の文字を表し,中段に「IKKI」の欧文字を太字で,その2番目の「K」を左右反転させ,前半と後半の文字とが円状の空間の中に一角獣のようなシルエットを配した図形を介して鏡文字となるように図案化して表し,さらに下段に「THE AERO REVOLUTION」(右に登録商標であることを表わす「○の中にR」の記号を配している)の文字を三段に外観上まとまりよく一体的に表した構成からなるものであるから,「イッキ」の片仮名を標準文字により書されてなる本件商標と,使用商標とは,その構成態様が明らかに異なり,社会通念上同一の商標とは認めることはできない。
イ 商品について
被請求人は,上記第3の2のとおり,自動車用品の製造販売の業務を行っており,自動車用品の展示会に出展する際及び自動車用品店イベントにおいて,被請求人の業務に係る商品,すなわち,自動車用品の顧客への販促のためのノベルティ商品,キャンペーン商品,または,スタッフが着用するための商品として,本件商標を付したポロシャツ,Tシャツを製作し,販売,配布してきた旨主張する(乙1ないし乙5)。
ところで,一般に,販促品に付された企業名は,専らその販促品とは別の当該企業が扱う商品,役務の宣伝広告のために付されるものであって,販促品を登録商標の指定商品とする限りについてみれば,これに接する取引者,需要者に対して,商標が一般に有する自他商品(役務)識別機能を有するものではなく,もとより,販促品の品質を保証し,その宣伝広告をするために付されるものではない(東京高等裁判所,平成12年(行ケ)第335号,平成13年2月27日判決参照)と判示されている。
そうしてみると,販促品としてのノベルティ商品,キャンペーン商品,または,スタッフが着用するための「ポロシャツ,Tシャツ」に付された使用商標は,専らその販促品である「ポロシャツ,Tシャツ」とは別に,被請求人が扱う商品である「自動車用品」の宣伝広告のための販促品に付されたものであって,当該販促品を本件商標の指定商品とする限りについてみれば,これに接する取引者,需要者に対して,商標が一般に有する自他商品識別機能を有するものではなく,もとより,販促品の品質を保証し,その宣伝広告をするために付されるものではなく,すなわち,商標として機能しないというべきである。
(2)そこで,審判長は,本件商標の使用の事実を確認するため,平成26年12月15日を期日として口頭審理を行うべく,同年10月22日付けで別掲2の審理事項通知書を送付したが,被請求人は,口頭審理陳述要領書を提出せず,当該期日に出頭しなかった。
(3)そうすると,被請求人は本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を「ポロシャツ,Tシャツ」について使用していたと認めることはできず,他に,本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていることを認め得る証拠も見いだせない。
したがって,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標の使用を証明していないといわざるを得ない。
3 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について,本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。また,被請求人は,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 使用商標



別掲2 平成26年10月22日付け審理事項通知書

1 当審の暫定的な見解
被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,その請求に係る指定商品について,本件商標を使用している旨主張し,その証拠として乙第1号証ないし乙第6号証を提出しています。
しかしながら,提出された証拠によっては,以下の理由により,被請求人が商標法第50条第2項に規定する証明をしたことを確認することができません。
(1)乙第1号証ないし乙第3号証に表示された標章は,その構成全体をもって一体的に使用しているものであるというべきであり,これらをもって,本件商標「IKKI」と社会通念上同一の商標の使用とは認められません。(2)被請求人は,イベントの際にスタッフが着用するための商品並びにノベルティとしての販売を行った旨主張し,仕分け検索チェックリスト(乙第5号証)及びポロシャツ及びTシャツを販売した際の納品書(乙第6号証)を提出しています。
しかしながら,イベントにおいてスタッフが着用することを目的とするTシャツやノベルティグッズは,一般にイベントで展示販売される商品(本件の場合「車」)の宣伝広告のために使用されるものであって,Tシャツ等の商品そのものの使用とみることは困難です。
また,乙第5号証及び乙第6号証からは,これらに掲載された商品(ポロシャツ,Tシャツ)が,一般の顧客に商取引の目的で販売されたことを認めることも困難です。
なお,作業着を販売する書類は,何ら提出されていません。また,作業着は,一般に製品の製造や修理を行う作業員が着用するものであって,これを商品の使用とみることは困難です。

2 口頭審理における審理事項
本件商標について,商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実の有無について

3 口頭審理陳述要領書について
(1)被請求人
前記1で示した暫定的な見解及び請求人が提出した平成26年7月3日付けの弁駁書に対し,意見があるときは,それらについて主張,立証をしてください。
また,提出された乙各号証以外に,商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている証拠があれば提出し,説明してください。
(2)請求人
被請求人の提出した口頭審理陳述要領書について,意見があるときは,反論してください。


審理終結日 2015-07-15 
結審通知日 2015-07-21 
審決日 2015-08-04 
出願番号 商願2004-96898(T2004-96898) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y25)
最終処分 成立  
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田中 幸一
前山 るり子
登録日 2005-05-20 
登録番号 商標登録第4865644号(T4865644) 
商標の称呼 イッキ 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 前田 大輔 
復代理人 朝倉 美知 
代理人 中村 知公 

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