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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201510234 審決 商標
不服201611131 審決 商標
不服201514787 審決 商標
不服20159170 審決 商標
不服20151615 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 取り消して登録 W2930
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W2930
管理番号 1305183 
審判番号 不服2014-21741 
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-27 
確定日 2015-09-15 
事件の表示 商願2013-30993拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、「新得そば」の文字を縦書きしてなり、第29類「野菜の漬物,果物の漬物,加工野菜及び加工果実」及び第30類「そばの実を使用したかりんとう,そば粉を使用した菓子及びパン,そばの実を使用した菓子及びパン,そばつゆ,ざるそば用だしの素,そばの麺用調味液,そば用スープ,そば用の調味料,はちみつ」を指定商品として、平成25年4月24日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、北海道南部の町名『新得町』の略称と認められる『新得』の文字に、指定商品との関係において、商品の原材料を表す『そば』を一連に普通に用いられる方法で『新得そば』と縦書きしてなるところ、本願指定商品との関係では『新得町産のそばを使用した商品』であることを認識させるから、単に商品の原材料を表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲1のとおり、「新得そば」の文字を筆で書いたような特徴的な態様で縦書きにしてなるものである。
そして、本願商標は、その構成中の「そば」の文字が「タデ科の一年生作物。」(「広辞苑」第六版 岩波書店)を意味するものであり、その前に書された「新得」の文字が「北海道南部、十勝支庁上川郡。十勝川上流域を占める町」(「コンサイス日本地名事典」第5版 三省堂)を意味するものであるところ、同町のウェブサイト(http://www.shintoku-town.jp/shoukai/gaiyou/)によれば、「日本一のそばの町」として「昼間は温かく夜涼しい新得町の気候は、そばづくりに大変適しています。そばの産地は信州が有名でしたが今は圧倒的に北海道に移り、中でも新得町のそばの生産量は年間316tで、作付面積は250ha(平成26年度)です。」とあるとおり、同町は、そばの栽培地や生産地の土地柄といえる。
ところで、本願商標の指定商品は、上記1のとおり「野菜の漬物,果物の漬物,加工野菜及び加工果実,そばの実を使用したかりんとう,そば粉を使用した菓子及びパン,そばの実を使用した菓子及びパン,そばつゆ,ざるそば用だしの素,そばの麺用調味液,そば用スープ,そば用の調味料,はちみつ」であるところ、新得町は上記のとおり、そばの栽培地や生産地といえる土地柄ではあるが、その指定商品である漬物、菓子及びパンなどの産地、販売地として知られているわけではないから、「新得」の文字をもって直ちに該商品の産地ということはできないものである。
また、審判請求人(以下「請求人」という。)の主張及び提出した証拠によれば、請求人は、新得町特産のそばの製粉製麺工場を作る目的で、新得町農業協同組合とパシフィックエンタープライズが合弁して、昭和49年7月17日設立され、以後、現在に至るまでそば麺他の製造をおこなってきたことが認められる(甲第1号証ないし甲第15号証、甲第22号証ないし甲第29号証及び甲第51号証)。
そして、別掲2の新聞記事情報によれば、請求人は、新得町のそばを扱う事業者として広く知られた存在といえる。
さらに、請求人は、第30類「穀物の加工品」を指定商品として、本願商標の構成中の「新得」の文字の態様と同一といえる「新得」の文字からなる商標(登録第1679398号商標)等の登録商標を有しており、それら登録商標を長年使用してきたことが認められる。(参考資料1ないし参考資料3、甲第16号証ないし甲第21号証及び甲第34号証ないし甲第50号証)
そうすると、本願商標は、かかる特徴的な態様であることをも勘案すると、看者をして単に「新得町産のそば」の意味合いを認識するにとどまるものではなく、請求人を連想、想起することも否定できないものといえる。
以上の事情を総合して判断するならば、本願商標は、その指定商品について使用しても、直ちに商品の産地、原材料、品質を表示したものとはいえず、また、請求人の周知性からすれば、本願商標が直ちに自他商品の識別力がないとはいえないものであるから、商標法第3条第1項第3号には該当しないものである。
さらに、上記のとおり、本願商標は、商品の品質を表示したものとはいえないものである以上、商品の品質について誤認を生ずるおそれもないから、商標法第4条第1項第16号にも該当しない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(新聞記事情報)
(1)1993年5月28日付け日本食糧新聞(14頁)に、「北海道麺類特集 乾麺 前年比5%増で推移、本州勢流入で値乱れ危惧」の見出しの下、「『新得そば』で知られる新得物産(新得町)は昨年、日本初の完全冷風低温乾麺システムを導入した新工場を落成、高品質乾麺製造に努めている。同社は、そばの販売比率が八割。札幌圏と合わせて本州市場への販売も強化していく。」との記載。
(2)1996年1月19日付け日本食糧新聞(7頁)に、「新得物産、新開発商品が好評 そば粉比率高い『7割そば』」の見出しの下、「【札幌】『新得そば』ブランドで有名な新得物産(株)は、そば粉比率が7割の『特撰7割そば』を昨年暮れから新発売、好調な売れ行きをみせている。『7割そば』は、同社が操業を開始してから20周年、2億人分に当たる1億把製造達成を記念して、新発売。しかも同社20種類目の開発商品にあたるもの。」との記載。
(3)2003年5月7日付け日本食糧新聞(5頁)に、「取材手帖:新得物産・岩佐勲社長『産地にこだわる』」の見出しの下、「北海道有数のソバ産地“新得そば”で知られる新得物産(株)は会社設立29年目、来年は節目の30周年迎える。岩佐勲社長は『これからも産地にこだわりたい』と、6年前に手打ちそば道場を持つ・そばの館と本社工場を新設、観光ルートにもなって毎年10万人が訪れている。同社長は『昨年は開館5周年で50万人を突破、話題性もあって観光客の入り込みも好調』という。」との記載。
(4)2004年9月20日付け日本食糧新聞(14頁)に、「北海道秋需商戦特集:トピックス=新得物産、『源流新得そば』発売」の見出しの下、「新得物産(株)は8月20日、自社製粉し食塩無添加の新商品『源流新得そば』を発売、好評だ。新製品は、自社製粉工場で殻付きの玄そばから製粉した“一本挽き”そば粉100%を使用。『凶作時など、特殊な要因がない限り原則的に地元産そば粉を使っていく』(清水輝男社長)と原料にこだわって製品化。冷風低温乾燥し、健康志向にも配慮して食塩無添加で仕上げた。新得町は、大雪山と日高山脈の麓、十勝川の源流から拓けた山麓の高原地帯にあり、朝晩と日中の寒暖差がそば独特の風味を作り出す有数のそば産地。同社では、直営農園(55ha)も構え、そばの生産から製造加工・販売までの一貫体制で『新得ブランド』を訴求していく。」との記載。
(5)2008年10月3日付け日本食糧新聞(11頁)に、「新得物産、若葉の粉末練り込んだ『韃靼そば』発売」の見出しの下、「【北海道】“新得そば”で知られる新得物産は9月21日、同社サホロ農園で栽培・収穫したダッタンソバと若葉を使った『韃靼そば』を直営のそばの館や道内スーパーで新発売した。」との記載。
(6)2013年7月12日付け日本食糧新聞(10頁)に、「新得物産、主力『北海道十勝 新得そば』を増量」の見出しの下、「【北海道】新得物産は、主力商品『北海道十勝 新得そば』を増量して需要喚起を図っている。同品は、自社製粉の挽(ひ)きたて北海道産そば粉と道産小麦を原料に、自然に近い冷風低温乾燥でじっくり仕上げた。豊かな風味と食感の良さが特徴で、75年の創業以来、長年にわたって親しまれている同社の看板商品だ。通常250gの内容量を、5月から20%増量して300gで販売。価格は265円(税別)。同社は75年、そば産地・新得町に製粉製麺の一貫工場として創業。その後、そばの自社生産を目指し、無農薬、有機農法で手刈りにこだわったサホロ農園を設立、現在、75haでそば、10haで小麦を生産する。97年には手打ち体験道場を併設する、そばレストラン『そばの館』も開業。そばの生産から製粉、製麺、飲食、販売に至る一貫した体制を構築しており、『この強みを生かして、一層のブランド力アップにつなげたい』(同社)とアピールする。」との記載。




審決日 2015-09-02 
出願番号 商願2013-30993(T2013-30993) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (W2930)
T 1 8・ 272- WY (W2930)
最終処分 成立  
前審関与審査官 矢澤 一幸鈴木 雅也 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 原田 信彦
高橋 幸志
商標の称呼 シントクソバ、シントク 
代理人 大西 育子 
代理人 安原 正義 

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