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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
管理番号 1304211 
異議申立番号 異議2014-900314 
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-11-07 
確定日 2015-08-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5693289号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5693289号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5693289号商標(以下「本件商標」という。)は、「サイボン」の片仮名と「SAIBON」の欧文字を二段に書してなり、平成26年3月20日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,薫料,つけづめ,つけまつ毛,口臭用消臭剤」及び第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」を指定商品として、同年7月18日登録査定、同年8月8日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する登録商標及び標章は、以下の1ないし4の4件であり、2及び3を除きいずれも現に有効に存続しているものである。(以下これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)

1 国際登録第932369号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、2007年(平成19年)7月11日に国際商標登録出願、第3類「Soap, including hand, face and body soap; bath foam, bath milk, bath oil, mineral bath salt, mineral bath powder, bath sea salt, bath flavours, body gel, shower gel oil, bath gel so called "polisher" (with scrub beads), massage oil, body oil sprays, body lotions, body scrubs, foot lotions, hand lotions, face wax, facial cleansers, facial refreshers, moisturizers, facial creams, facial scrubs, all cosmetic.」を指定商品として、平成24年2月10日に設定登録されたものである。

2 申立人の業務に係る商品「ボディスクラブ・せっけん・ボディクリーム・アロマオイル・バスソルト・芳香剤等のボディケアプロダクト」に使用されている「SABON」の欧文字からなる標章(以下「引用商標2」という。)。

3 登録第1042392号商標(以下「引用商標3」という。)は、「SiBon」の欧文字を書してなり、昭和40年5月10日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤及び医療補助品」を指定商品として、同48年11月12日に設定登録され、その後、平成16年8月11日に第5類「薬剤」とする指定商品の書換登録がされたものである。
なお、上記登録第1042392号商標の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、平成25年11月12日に商標権の存続期間が満了し、その抹消登録が同26年8月6日にされている。

4 登録第726480号商標(以下「引用商標4」という。)は、「SIBON」の欧文字と「シボン」の片仮名を二段に書してなり、昭和37年8月24日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤及び医療補助品」を指定商品として、同41年12月8日に設定登録され、その後、平成20年5月21日に第5類「薬剤」とする指定商品の書換登録がされたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第184号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標1及び2との関係
(1)申立人のブランドの国内における周知性
申立人は、日本国内及び12ヶ国以上の外国において引用商標1及び2を使用した化粧品製造販売業を展開している。その店舗数は、2014年11月19日現在で、国内と外国とを合計して173以上にまで至る。最初の店舗が1997年にイスラエルでオープンして以来、引用商標1及び2は継続的に使用されてきている。
日本での引用商標1及び2の使用は2008年から開始され、現在では首都圏や主要都市を中心に全国的に展開された店舗で引用商標1及び2は使用されている(甲1の5)。
引用商標1及び2は、店舗の壁や看板及びウェブサイトのほか、商品のパッケージ、手提げ袋、パンフレット等々、様々なものに付されて使用されている。
引用商標1及び2の使用に係る商品の年ごとの国内売上高は、2008年=約1億1千万円(1ドル/118.40円)、2009年=約5億9千万円(1ドル/118.40円)、2010年=約10億6千万円(1ドル/118.40円)、2011年=約16億5千万円(1ドル/118.40円)、2012年=約21億2千万円(1ドル/118.40円)、2013年=約36億5千万円(1ドル/118.40円)であり、上記の数字から、大幅かつ急速に売上高を伸ばしてきていることがうかがえる。
そして、引用商標1及び2は、申立人のブランドとして2008年から継続的に多数の雑誌に何度も掲載され(甲2?甲120)、複数の書籍にも掲載され(甲121?甲124)、さらに、テレビ番組やウェブサイトの記事で紹介又は宣伝されている(甲125?甲134)。
このため、引用商標1及び2は、申立人の業務に係るものとして、需要者の間で広く認識されていたというべきである。
また、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」において、2010年及び2011年のベストコスメ大賞のせっけん・ボディ洗浄料部門において、2年連続2位を獲得している(甲129)。さらに、ボディスクラブ製品に関しては、クチコミランキングの1位、4位、6位及び8位を申立人の引用商標1及び2に係る商品が占めている(甲131)。
したがって、特に商品「ボディスクラブ」については、引用商標1及び2は、申立人の業務に係るものとして、需要者の間で広く認識されていることが明らかである。

(2)申立人のブランドの外国における周知性
引用商標1及び2が、ボディスクラブ・ボディローション・バスソルト・アロマキャンドル、せっけん等のボディケアプロダクトのブランドとして、米国の雑誌、新聞記事において、継続的に紹介又は宣伝されてきており(甲135?甲155)、オランダの雑誌、新聞記事においても、継続的に紹介又は宣伝されてきている(甲156?甲176)。
米国・オランダの雑誌及び新聞等に加え、日本の雑誌の記事において、引用商標1及び2が海外で人気又は有名であることに言及する記載が散見される(甲6、甲19等)。
したがって、引用商標1及び2が本件商標の出願日及び登録査定日において、外国にて広く認識されていたことが理解できる。

(3)商標の類似について
本件商標は、「サイボン」と称呼されるのに対して、引用商標1及び2は、「サボン」と称呼されると考えるのが自然である。
そうすると、これらの称呼は「イ」の音の有無が相違するのみであるところ、当該「イ」の音は、長音と同様に曖昧に弱く称呼される音であり、その印象は大きくないといえる。
また、「サイボン」及び「サボン」の両称呼のアクセントは「サ」の部分にあり、かつ、「サ」の音は、歯と歯の間から息を吐いて発せられる余韻の残る音である。
このため、後に続く「イ」の音は「サ」の音に吸収され一体化すると考えられる。さらに、「ボ」の音は、有声の破裂音で力強く発音される音である上に後に続く「ン」の音が弱く称呼されることによってより一層強く響くこととなる。
そうすると、その前音である「イ」の音は「ボ」の音に比べて弱く発音され印象に残りにくくなる。
したがって、「イ」の音の有無が両称呼全体に及ぼす影響は小さく、特に、簡易迅速を尊ぶ商取引において一気に称呼された場合、相紛れるというべきである。
また、外観上は、本件商標は片仮名部分とアルファベット部分に分離して認識可能であるため、アルファベット部分「SAIBON」を引用商標1及び2と比較すると、綴りにおいて「I」の有無が相違するのみである。
したがって、両商標は外観上近似した印象を与えるものである。特に、文字全体が小さく表示された際には、「I」の文字は、後に続く「B」の文字の縦線と平行である上、中央に位置するため、一見して区別がつき難いといえる。
そして、本件商標及び引用商標1及び2は、特定の意味を有しない造語であるため観念上は比較できず、観念は類否判断に影響を与えないこととなる。
よって、本件商標は、引用商標1及び2と称呼及び外観上紛らわしい商標であり、観念は類否判断に影響を与えないため、両商標は類似である。

(4)商品の類否及び関連性について
本件商標の指定商品の一部「化粧品,せっけん類,薫料」は、申立人の業務に係る商品「ボディスクラブ,せっけん,ボディクリーム,アロマオイル,バスソルト,芳香剤」等のボディケア製品を含んでいる。
また、これらの商品は、類似商品・役務審査基準において同じ類似群に属しており(04C01、04A01、04D01)、同一又は類似である。このため、これらの商品が密接な関係を有することはいうまでもない。
特に、商品「ボディスクラブ」は、本件商標の指定商品の一部「化粧品、せっけん類」と密接に関連しているということができる。
すなわち、「ボディスクラブ」とは、研磨剤を含む美容・洗浄用品であり、肌の汚れや角質を除去することによって肌が清潔でつるつるになるという効能を有している。このため、化粧品及びせっけん類のいずれの要素も有する商品である。
したがって、商品「ボディスクラブ」は、「化粧品,せっけん類」に含まれるというべきであり、これらの商品は同一又は類似であるといわざるを得ない。
一方、本件商標の指定商品の一部「歯磨き,つけづめ,つけまつ毛,口臭用消臭剤」は、申立人の業務に係る商品「ボディスクラブ,せっけん,ボディクリーム,アロマオイル,バスソルト,芳香剤」等のボディケアプロダクトと売り場が共通している。その例として、ドラッグストアやスーパーマーケットの美容コーナー等が挙げられる。
また、これらの商品は、効能としても身体の審美性を高めるという点で共通しており、一般消費者向けの商品であることから需要者も共通している。 このため、これらの商品は、密接に関連しているということができる。

(5)出所の混同のおそれについて
上記(1)及び(2)で述べたように、本件商標の指定商品の分野において引用商標1及び2は、その出願日及び登録査定日に需要者の間に広く認識されていた。
これに加えて、上記(3)の商標の類似性及び(4)の商品の類似性及び関連性を考慮すれば、本件商標に接する需要者は、本件商標が申立人の出所表示であるとして誤認するおそれ(狭義の混同)、若しくは、高額である申立人商品のグレードを一つ落とした姉妹商品等のように、申立人の業務と何らかの関係があると認識して出所を混同するおそれがある(広義の混同)。
仮に、引用商標1及び2が商品「ボディスクラブ」の出所表示としてのみ周知・著名であるとしても、上記(4)のとおり、商品「ボディスクラブ」は、商品「化粧品,せっけん類」と密接な関係を有するため、本件商標と引用商標1及び2は、少なくとも、商品「ボディスクラブ」及びボディスクラブ以外の商品「化粧品,せっけん類」の出所について、狭義又は広義の混同を生じさせるおそれがあるといえる。

(6)不正の目的について
上記(1)及び(2)で述べたように、本件商標の指定商品の分野において引用商標1及び2は、その出願日に既に日本又は外国の需要者の間で広く認識されていた。
また、上記(3)及び(4)で述べたとおり、本件商標は、引用商標1及び2と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品は申立人の商品と同一又は類似若しくは密接に関連する商品である。
これに加えて、本件商標の出願人「株式会社エイエムジー」は、化粧品パツケージの輸入、製造及び販売を主たる業務としている会社であることが伺える(甲184)。
そうすると、本件商標が既成語でないことも相まって、本件商標の出願人が、このような本件商標を偶然採用することは考え難い。
したがって、本件商標の出願人が、引用商標1及び2の著名性にフリーライドするという不正の目的をもって本件商標の出願をしたことが自然と推認できる。

(7)商標法第4条第1項第10号に該当する理由
上述のとおり、引用商標2は、日本国内の需要者の間に広く認識された商標である。また、本件商標は引用商標2と類似する商標であり、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品と同一又は類似する。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。

(8)商標法第4条第1項第11号に該当する理由
上述のとおり、本件商標は引用商標1と類似する商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標1に係る商品と同一又は類似する。また、引用商標1は申立人所有の先願先登録商標である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

(9)商標法第4条第1項第15号に該当する理由
仮に、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に該当しなかった場合においても、上述のとおり、本件商標に接する需要者は申立人の業務と何らかの関係があると認識して出所を混同するおそれがある。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

(10)商標法第4条第1項第19号に該当する理由
仮に、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当しなかった場合においても、上述のとおり、引用商標1及び2は、外国又は日本国内の需要者の間に広く認識された商標である。
また、本件商標は引用商標1及び2と類似する商標であり、かつ、本件商標は不正の目的をもって出願されたことが推認できる。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。

2 引用商標3及び4との関係
引用商標3からは、自然な称呼として「サイボン」の称呼が生じると考えられる。また、引用商標4には「シボン」の片仮名があるものの、「サイボン」の称呼も生じるといえる。
また、引用商標3及び4と本件商標は、「A」の綴りの有無のみが相違するため外観上も近似した印象を与える。
さらに、引用商標3及び4と本件商標は、ともに特定の観念を生じさせない造語である。
したがって、引用商標3及び4と本件商標は、観念上比較できず、外観が類似しており称呼が共通するため、類似の商標であるというべきである。
そして、本件商標の指定商品「口臭用消臭剤」は、引用商標3及び4の指定商品「薬剤」と類似するものである。
また、引用商標3及び4は、本件商標とは異なる商標権者が有する先願先登録商標である。
したがって、本件商標は、指定商品「口臭用消臭剤」について商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標1及び2の周知性について
(1)申立人の主張及び甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、2008年にイスラエル発のボディコスメブランド「SABON」として、申立人の商品を取り扱う店を東京表参道にオープンし(甲3、甲6、甲7等)、現在、我が国において首都圏や主要都市を中心として27店舗を有している(甲1の5)。
(イ)我が国で発売されたファッション関連の複数の雑誌等において、引用商標1及び2を表示したボディーケア用化粧品及び店舗が掲載されている(甲2?甲120)。
(ウ)申立人の主張によれば、引用商標1及び2の使用に係る商品の年毎の国内売上高は、2008年が約1億1千万円であり、2013年が約36億5千万円であった。
(エ)引用商標1及び2が使用されたボディスクラブについて、「2010年及び2011年@cosmeベストコスメ大賞 石けん・ボディ洗浄料部門で第2位」と記載されている(甲129)。
(オ)2003年から2008年に発行された米国の雑誌、新聞記事において、申立人又は申立人のボディーケア用化粧品が紹介又は宣伝されており(甲135?甲149)、また、2005年から2009年に発行されたオランダの雑誌、新聞記事においても、紹介又は宣伝されている(甲156?甲166)。
これらの雑誌、新聞記事において、申立人のボディーケア用化粧品に使用する表示若しくは該商品を紹介する表示又は申立人を紹介する表示として、引用商標1、引用商標2又は「SABON」若しくは「Sabon」の文字が使用されている。
その他の外国で発売された雑誌等においては、発行日等は不明である。

(2)以上によれば、本件商標の登録出願前に我が国において、申立人は、引用商標1又は2を表示したボディーケア用化粧品を2008年以降、販売してきたことがうかがわれ、また、引用商標1又は2を表示したボディーケア用化粧品あるいは同商品を取り扱う店舗が雑誌等に掲載されてきたこと、特に、2010年及び2011年頃に申立人の商品「ボディスクラブ」がある程度知られていた状況がうかがえる。
しかしながら、申立人が提出した全証拠をみても、引用商標1又は2を表示したボディーケア用化粧品に関する我が国における取引実績については、客観的・具体的に把握することができないといわざるを得ないし、また、当該ボディーケア用化粧品に係る広告宣伝活動についても、断続的で2008年以降継続的に行われていたことを把握できない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標1及び2が、我が国において、申立人の商品を表示する商標としてある程度知られているとしても、需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができない。
また、我が国以外の外国においても、同様に上記雑誌等に掲載された事実があるが、それらは2003年ないし2009年のものであり、その後の宣伝状況等は明らかでないから、そのことのみにより直ちに引用商標1及び2が、申立人の商品を表示する商標として需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができない。

2 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標
本件商標は、「サイボン」の片仮名と「SAIBON」の欧文字を二段に書してなるところ、その構成文字に相応して「サイボン」の称呼を生じるものであり、両文字ともに一般の辞書等に記載がなく、造語として認識、把握されるとみるのが自然であるから、特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標
ア 引用商標1は、別掲のとおり、二重に表された手書き風横長楕円の内側に「SABON」の欧文字を配したものであるところ、その構成中の「SABON」の文字部分に相応して「サボン」の称呼を生じ、また、「SABON」の文字は辞書等に記載がなく、造語として認識、把握されるとみるのが自然であるから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2は、「SABON」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「サボン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 引用商標3は、「SiBon」の文字を書してなるところ、その商標権は、存続期間満了により平成25年11月12日に消滅したものとみなされ、本件商標の登録査定時(平成26年7月18日)において存在していないから、本件商標との類否を検討することを要しない。
エ 引用商標4は、「SIBON」の欧文字と「シボン」の片仮名を2段に書してなるところ、一般に成語ではない欧文字と片仮名とを併記した構成の商標において、その片仮名が欧文字部分の読みを特定したものと認識し得るときは、片仮名部分より生じる称呼がその商標の自然な称呼とみるのが相当である。
これを引用商標4についてみると、「SIBON」及び「シボン」の文字は共に一般の辞書等に記載がないものであり、「シボン」の文字が欧文字「SIBON」の読みを特定したものと認識し得るから、引用商標4は、「シボン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。

(3)本件商標と引用商標1及び2との類否
本件商標と引用商標1及び2の外観について比較すると、本件商標と引用商標1及び2は、上記(1)並びに(2)ア及びイのとおりの構成からなり、一見して判然と区別し得る顕著な差異を有するから、全体から受ける印象が異なり、外観上相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標から生じる「サイボン」の称呼と引用商標1及び2から生じる「サボン」の称呼とを比較すると、両者は第2音における「イ」の有無の差異を有するが、当該差異音の「イ」は、唇を平たく開き舌の先を下方に向け前舌面を高めて硬口蓋に接近させ声帯を振動させて発する音であって、「サ」と「ボ」の音に挟まれても、それ自体明瞭に発音・聴取されるものであるから、前者が4音、後者が3音という短い音数構成においてこの差異が全体の称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼するときはその語調、語感が相違し、称呼上相紛れるおそれはないものといえる。
さらに、観念については、両者は特定の観念を生じないものであるから、観念上相紛れるおそれはないものである。
したがって、本件商標と引用商標1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない、非類似の商標である。

(4)本件商標と引用商標4との類否
本件商標と引用商標4とを比較すると、両商標は、上記(1)並びに(2)エのとおりの構成からなり、外観においては、それぞれ一見して判然と区別し得る顕著な差異を有するから、外観上相紛れるおそれはないものである。
そして、称呼においては、本件商標から生じる「サイボン」の称呼と引用商標4から生じる「シボン」の称呼を比較すると、両者は、語頭における「サイ」の音と「シ」の音の差異を有するものであり、前者は4音、後者は3音という短い音数構成においてこの差異が全体の称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、それぞれを一連に称呼するときは、語調、語感が明らかに相違し、相紛れるおそれはない。
さらに、観念については、両者は特定の観念を生じないものであるから、観念上相紛れるおそれはないものである。
したがって、本件商標と引用商標4とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない、非類似の商標である。

3 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、引用商標1及び4とは、上記2(3)及び(4)のとおり、非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第10号について
引用商標2は、上記1(2)のとおり、申立人提出の全証拠をみても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができないものである。
そして、上記2(3)のとおり、本件商標が引用商標2と類似するものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

5 商標法第4条第1項第15号について
引用商標1及び2は、上記1(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができないものである。しかも、本件商標と引用商標1及び2とは、上記2(3)のとおり、相紛れるおそれがない非類似の商標であって、これらを勘案するならば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く連想、想起するということはできない。
そうすると、本件商標は、その指定商品について使用しても、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

6 商標法第4条第1項第19号について
引用商標1及び2は、上記1(2)のとおり、需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができないものであり、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標1及び2とは、非類似の商標である。
また、本件商標が、引用商標の名声等にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

7 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 (引用商標1)



異議決定日 2015-07-30 
出願番号 商願2014-21711(T2014-21711) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W0305)
T 1 651・ 263- Y (W0305)
T 1 651・ 222- Y (W0305)
T 1 651・ 25- Y (W0305)
T 1 651・ 262- Y (W0305)
T 1 651・ 271- Y (W0305)
最終処分 維持  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 土井 敬子
原田 信彦
登録日 2014-08-08 
登録番号 商標登録第5693289号(T5693289) 
権利者 株式会社エイエムジー
商標の称呼 サイボン 
代理人 牧 レイ子 
代理人 牧 哲郎 
代理人 志賀 正武 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 久保 怜子 
代理人 大石 皓一 

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