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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W34
管理番号 1304209 
異議申立番号 異議2014-685016 
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-09-17 
確定日 2015-05-18 
異議申立件数
事件の表示 国際商標登録第1183169号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際商標登録第1183169号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1183169号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2013年5月7日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2013年(平成25年)9月6日を国際登録の日とし、第34類「Tobacco,including cigars,cigarettes,cigarillos,tobacco for roll-your-own cigarettes,pipe tobacco,chewing tobacco,snuff tobacco,cigarettes with or without filters,made of a mix of tobacco and cut clove,and wrapped in cigarette paper,oral,smokeless tobacco products made of heat-treated,moist to semi-moist ground tobacco which is used either loose or packed in portions,tobacco substitutes (not for medical purposes);smokers’ articles,including cigarette paper and tubes,cigarette filters,tobacco tins,cigarette cases and ashtrays,pipes,pocket apparatus for rolling cigarettes,lighters;matches.」を指定商品として、平成26年4月10日に登録査定、同年6月27日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立ての理由
1 本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第6号に該当し、商標登録を受けることができないと申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第13号証を提出した。
2 申立の理由
(1)本件商標の識別性について
ア 本件商標は、上段部分に「(開口部のある)二つの円」を模した図形、下段部分に英文字「FIRM FILTER」と「ROUND TASTE」を二段に書して成る。英文字部分「FIRM FILTER」は、単に「(たばこの)フィルターが固いこと」を意味し、英文字部分「ROUND TASTE」は、単に「(たばこが)豊かな、円熟な味を有していること」を意味し、図形部分は単にフィルターの末端部分を表したものにすぎない。
イ 本件商標のうち、「FIRM FILTER」の英文字部分は、ものなどが固いことを意味する英文字「F I RM」と、フィルターを意味する英文字「FILTER」からなる。いずれも非常に平易、もしくは日本語化している英単語であるから、需要者・取引者は、当該英文字部分から容易に「固いフィルター」の意味を想起することができる。
たばこのフィルターは、喫煙者が直接吸引する部分であり、その硬軟は商品の品質や、喫煙者の嗜好に直結するものである。より具体的には、近年、固いフィルターが「現代的で、高品質なもの」として需要者に受け取られる傾向があり、各社が好んで「固いフィルター」のたばこを製造・販売しているのが現状である。
してみれば、「FIRM FILTER」の英文字が、商品の品質として需要者・取引者に認識されることは疑いのない事実である。
ウ 「フィリップモリス フランス エスエイアールエル」(以下「本件商標権者」という。)は、「FIRM FILTER」という言葉を記述的に使用し、また「固いフィルター」を特徴とするタバコを製造・販売している。
例えば、甲第2号証は、ドイツにおいて頒布した広告物であるところ、その商品につき、「Features a hard filter for more stability」(その特徴は、フィルターが固いこと(hard filter)です。)と記述している。
また、甲第3号証は、Tax Free World Associationが開催した新商品シンポジウムにおいて配布された資料であるところ、「The new firm filter foraconsistent taste experience from start to finish」(この新しい固いフィルターは、最初から最後まで同じ味わいを提供いたします。)と記載し、「firm filter」を「商品の品質」として記述している。
さらに本件商標権者は、各国において固いフィルターに関する特許出願も行っており、「FIRM FILTER」が本件商標権者の商品の一つの特徴であることは、本件商標権者自身も認識しているものである(甲第4号証及び同第5号証)。
エ 本件登録商標のうち、英文字「ROUND TASTE」については、たばこの味を表すために一般的に使用されている言葉で、「(たばこが)豊かな、円熟な味を有していること」を意味している。
甲第6号証ないし甲第13号証においても、数多くの者が「roundtaste」という言葉を、「たばこが豊かで、円熟な味を有していること」を示す言葉として記述的に使用している。
上記のことからも、「ROUND TASTE」がタバコに関して記述的な言葉であることは明らかである。
オ 本件商標の上段部分に書された図形部分に関しては、開口部のある大小の円を二つ、内側と外側に配してなる。
当該図形は、たばこフィルターの断面を記述したものと容易に認識される。特に、「FIRM FILTER」の英文字と図形が共に使用されることにより、これに接した需要者・取引者は、当該図形部分が、フィルター末端部を表していると直截的に認識できるものと考えられる。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、「固いフィルター」を意味する「FIRM FILTER」の英文字、「(たばこが)豊かな、円熟な味を有していること」を意味する「ROUND TASTE」の文字、及びフィルターの末端部分を模した図形を表してなるにすぎない商標であるから、本件商標の指定商品中の「タバコ,フィルター」等、フィルターを有する商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。
「FIRM FILTER」、「ROUND TASTE」という言葉、及びフィルターの末端部を表した図形は、たばこ業界においてどの会社も使用できるよう確保されるべきものであり、一つの会社にのみ独占権を与えれば、無用な混乱と紛争を生じさせ、健全な産業活動を毀損する結果となるものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し商標登録を受けることができないものとして、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
第3 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中の図形部分は円の一部を切り欠いた、ゴシック体で表したローマ字の「C」字状の大きさの異なる二つの図形を、中心部を同一にして二重になるように描き、内側は下方に、外側を上方に開口させるように配してなり、当該図形部分の下に「FIRM FILTER」の英文字及び「ROUND TASTE」の英文字を上下二段に横書きしてなるものである。
2 本件商標の自他商品の識別標識としての機能について
(1)本件商標の図形部分について 申立人は、本件商標の図形部分について、「当該図形は、たばこフィルターの断面を記述したものと容易に認識される。特に、『FIRM FILTER』の英文字と図形が共に使用されることにより、これに接した需要者・取引者は、当該図形部分が、フィルター末端部を表していると直截的に認識できるものと考えられる。」と主張している。
しかしながら、提出された証拠中、本件商標の図形部分が示されているのは、甲第3号証(横長にして観察)の右上の写真中のものだけであり、これとて、たばこのフィルターの断面を示す図形ということはできないものである。
また、本件商標の図形部分と英文字部分が相互に関連するとの事情、証拠も認められない。
したがって、本件商標が、フィルター末端部を表していると直截的に認識できるとの申立人の主張は採用することはできない。
(2)「FIRM FILTER」の英文字について
申立人は、「本件商標のうち、『FIRM FILTER』の英文字部分は、ものなどが固いことを意味する英文字『FIRM』と、フィルターを意味する英文字『FILTER』からなる。いずれも非常に平易、もしくは日本語化している英単語であるから、需要者・取引者は、当該英文字部分から容易に『固いフィルター』の意味を想起することができる。たばこのフィルターは、喫煙者が直接吸引する部分であり、その硬軟は商品の品質や、喫煙者の嗜好に直結するものである。
より具体的には、近年、固いフィルターが 『現代的で、高品質なもの』として需要者に受け取られる傾向があり、各社が好んで『固いフィルター』のたばこを製造・販売しているのが現状である。」と主張している。
しかしながら、「FIRM FILTER」の英文字(語)が、申立人が主張するような「固いフィルター」の意味合いを想起させるものとしても、その主張を立証する証拠は、本件商標権者の商品における英文の使用例(甲第3号証)のみであり、申立人を含む第三者による一般的な使用の事実や実情を示したものではない。
さらに、職権による調査によっても、申立人提出の使用例以外発見することができなかった。
加えて、申立人の提出する証拠及び職権による調査をもってしても、指定商品の分野において、「FIRM FILTER」の英文字が、商品「たばこ」のフィルターが堅いことを示すものとして使用され、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないというに足るほど、広く一般に使用されているということができない。
したがって、申立人の上記主張は、採用できない。
(3)「ROUND TASTE」の英文字について 申立人は、「英文字『ROUND TASTE』については、たばこの味を表すために一般的に使用されている言葉で、『(たばこが)豊かな、円熟な味を有していること』を意味している。という言葉を、『たばこが豊かで、円熟な味を有していること』を示す言葉として記述的に使用している。」と主張している。
しかしながら、「ROUND TASTE」の英文字(語)が、申立人が主張するような「(たばこが)豊かな、円熟な味を有していること」の意味合いを想起させるものとしても、その主張を立証する証拠は、英語で書かれた文章中の記述である(甲第3号証ないし甲第13号証)。
さらに、職権による調査をもってしても、「ROUND TASTE」の英文字(語)が、商品の品質を表すものとして使用されている事実は発見できないものであるから、その証拠のみをもって、「ROUND TASTE」の文字が、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものとはいうことができない。
したがって、申立人の上記主張は、採用できない。
(4)小括
以上によれば、本件商標を構成する、図形部分及び英文字部分は、それぞれ自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないということはできず、本件商標は、全体として、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
3 まとめ
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するということはできず、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】

異議決定日 2015-05-12 
審決分類 T 1 651・ 16- Y (W34)
最終処分 維持  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 前山 るり子
田村 正明
登録日 2013-09-06 
権利者 Philip Morris Brands Sarl
商標の称呼 ファームフィルターラウンドテースト、ファームフィルター、ファーム、ラウンドテースト 
代理人 達野 大輔 
代理人 渡辺 広己 

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