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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201713410 審決 商標
不服201815972 審決 商標
不服201416939 審決 商標
不服20187529 審決 商標
不服201515023 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 登録しない W30
管理番号 1304144 
審判番号 不服2015-1946 
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-02 
確定日 2015-07-30 
事件の表示 商願2014-35066拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第30類「紅茶,その他の茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,穀物の加工品,即席菓子のもと,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ」を指定商品として、平成26年5月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「宮本 英二」の氏名が掲載されているウェブサイト情報を示した上で、「本願商標は、『宮本 英二』の英語表記と認められる『EIJI/MIYAMOTO(『A』の文字がやや装飾化されている。)』の文字を有してなるところ、『宮本 英二』と称する他人が複数存在し、かつ、これらの者の承諾を得ているものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号の該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「EIJI」と「MIYAMOTO」(「A」の文字の中央部横線は、双葉様の図形の装飾がされている。)の欧文字を二段に書し、かつ、前記「EIJI」の文字の両側に流線型様の図形を左右対称に配してなるものである。
ところで、海外旅行に必要なパスポートの「姓」及び「名」の欄や、商品等の代金の支払手段の一つであるクレジットカードの「氏名」の欄には、本人の氏名の読みがローマ字で表記(以下「ローマ字表記」という。)されているように、氏名の読みをローマ字表記することが社会全般において広く行われているといえる。
そして、本願商標の構成中「EIJI」の文字部分は、該文字に相応した「エイジ」の称呼が生じ、我が国において、例えば「英二」、「英治」あるいは「英司」など該称呼が生じる日本人の名(名前)が多く使用されている実情にあり(別掲2及び3参照)、また、「MIYAMOTO」の文字部分は、該文字に相応した「ミヤモト」の称呼が生じ、我が国で多く使用される名字の1つとしてよく知られている「宮本」を容易に想起させるものである。
さらに、別掲3のとおり、「ミヤモト エイジ」と称呼される氏名において、「EIJI MIYAMOTO」あるいは「Eiji Miyamoto」の文字がローマ字表記として使用されている事実も認められるとともに、日本人名のローマ字表記について、「名(名前)」及び「名字」の順に記載されることも一般に行われているといえる。
そうとすると、別掲1のとおりの本願商標の構成においては、それに接する取引者、需要者は、その構成中「EIJI」と「MIYAMOTO」の欧文字を二段に書した文字部分を「ミヤモト エイジ」を読みとする氏名のローマ字表記であると容易に認識するものと判断するのが相当である。
そして、当該欧文字の読みに照応する「エイジ ミヤモト」、すなわち、「ミヤモト エイジ」の氏名の者は、原審説示のウェブサイト情報にある「宮本英二」のほか、別掲2及び3のとおり「宮本英治」あるいは「宮本栄治」などの存在が認められるものである。
してみれば、本願商標は、その構成中に、別掲のウェブサイト情報に掲載されている他人の氏名を含むものといえる。しかも、それらの者の承諾を得たものと認めることもできない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、別掲1のとおり、特異な態様にて構成されたものであるから、取引者や需要者が本願商標の「EIJI」及び「MIYAMOTO」について、氏名を表したものと把握、認識するとは考えられない旨主張する。
しかしながら、本願商標は、その構成が別掲1のとおりであるところ、たとえ、左右に図形を配しているとしても、該図形の輪郭よりも太い線をもって文字が表されており、その文字の構成に徴すれば、それぞれの文字が「EIJI」及び「MIYAMOTO」の文字と看取されることは、明らかであって、該文字部分は、氏名を表したものと容易に認識し得るものである。
イ 請求人は、商標法第4条第1項第8号に規定する「他人の氏名」とは、使用する者が恣意的に選択する余地がなく、特定人を指し示す法令上の正式な氏名というべきであって、日本人の氏名の場合は、戸籍簿で確定される氏名が、同号所定の「(他人の)氏名」に当たるというべきである旨主張し、その上で、「EIJI」及び「MIYAMOTO」の欧文字が多様な漢字の組み合わせと考えられることから、特定の者を表すものとは認められず、本願商標を本願の指定商品に使用しても、特定の者の人格権が侵害されることはない旨主張する。
しかしながら、上記のとおり、我が国において、氏名をローマ字表記することは、日常一般的に行われており、氏名のローマ字表記に対応する漢字等による表記が一通りでないとしても、呼び方を同じくする氏名は、これをローマ字表記する場合、同一のローマ字で表記せざるを得ないものであり、雅号、芸名若しくは筆名とは異なり、恣意的に選択し得るものではない。
また、氏名のローマ字表記は、特定の氏名とは結び付かないものではなく、そのローマ字表記による氏名に接した者は、それと同じ呼び名の者を認識するのであり、それと同じ呼び名をする者は当該表記を自己の氏名と認識するのである。
そうとすると、氏名のローマ字表記であっても、他人がそれを商標として、採択使用することは、そのローマ字表記された氏名の者の人格的利益を害するものといわなければならず、人格的利益の保護という同号の趣旨からも氏名のローマ字表記も同号に規定する「氏名」に該当するものというべきである。
ウ 以上のとおりであるから、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものであって、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)

別掲2 「ミヤモト エイジ」と称呼される氏名が使用されている例(なお、下線については当合議体が付加した。以下同様。)
(1)「ものづくり.COM」に係るウェブサイト
「専門家プロフィール」の見出しにて、「宮本 栄治(みやもと えいじ)」の記載がある。
(http://www.monodukuri.com/specialists/profile/43)
(2)「政治山」に係るウェブサイト
「選挙 大分市議会議員選挙」の項目とともに、「氏名 宮本 英二 みやもと えいじ」の記載がある。
(https://seijiyama.jp/area/card/14040/Ii_fj6/M?S=qenel0njkam)
(3)「田中綜合法律事務所」に係るウェブサイト
「弁護士紹介」の項目のもと、「宮本 英治(パートナー) Miyamoto,Eiji」の記載がある。
(http://www.tanakalaw.jp/lawyers.html#ll3)

別掲3 「ミヤモト エイジ」と称呼される氏名に「EIJI MIYAMOTO」あるいは「Eiji Miyamoto」のローマ字表記が使用されている例
(1)「公益社団法人日本ゴルフ協会」に係るウェブサイト
「選手プロフィール」の見出しにて、「宮本 英治 [ミヤモト エイジ] Eiji Miyamoto」の記載がある。
(http://www.jga.or.jp/jga/jsp/players/profile_33987.html)
(2)「SPORTS ALLIANCE」に係るウェブサイト
「講師紹介」の見出しにて、「宮本英治 EIJI MIYAMOTO」の記載がある。
(http://www.sports-alliance.org/%E8%AC%9B%E5%B8%AB-1/%E5%AE%AE%E6%9C%AC%E8%8B%B1%E6%B2%BB/)
(3)「山梨県」に係るウェブサイト
「特別セミナー 平成24年度地場産品プロデュース事業」(山梨県福工行技術センター主催)の講師として「宮本英治氏 Eiji Miyamoto」の記載がある。
(http://www.pref.yamanashi.jp/shinchaku/kougyo-fj/2403/documents/seminar3_chirashi.pdf)

審理終結日 2015-06-02 
結審通知日 2015-06-03 
審決日 2015-06-18 
出願番号 商願2014-35066(T2014-35066) 
審決分類 T 1 8・ 23- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 原田 信彦
真鍋 伸行
商標の称呼 エイジミヤモト、エージミヤモト、ミヤモトエイジ、ミヤモトエージ 
代理人 笠原 英俊 

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