• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X41
管理番号 1304086 
審判番号 取消2014-300060 
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-01-29 
確定日 2015-07-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第5383688号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5383688号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「たきゃらばこ」の平仮名を横書きしてなり、平成22年7月6日に登録出願、第41類「キャラクター図形の静止画像及び動画像の提供」のほか、第42類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同23年1月14日に設定登録されたものである。
なお、本件審判請求の登録は、平成26年2月17日にされている。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第41類「キャラクター図形の静止画像及び動画像の提供」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、本件審判の請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより使用されている事実を発見できない旨述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
なお、請求人は、後記3の被請求人の答弁に対し何ら弁駁していない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)を提出した。
なお、枝番すべてをいうときは、以下、枝番を省略して記載することがある。
(1)本件登録商標の使用事実についての説明
ア 本件指定役務についての本件登録商標の使用事実を証明する証拠方法として、被請求人の業務に係るパンフレットの写し(乙1)を提出する(乙1の1?乙1の4で一つのパンフレットである)。
被請求人のホームページ(http://www.generalasahi.co.jp/index.html)によれば、被請求人は印刷業からスタートし、現在では印刷加工事業、ダイレクトマーケティング支援事業、コンテンツ制作事業等複数の事業を手掛けており(乙2)、上記コンテンツ制作事業の一環として、オリジナル3Dコンピュータグラフィックスキャラクターコンテンツの提供を行っている。
そして、これらの複数のオリジナルキャラクターをパッケージ化して顧客に提案、提供する際に被請求人が使用する商標が、「たきゃらばこ」である。
乙第1号証は、キャラクターを提案、提供する際に、その広告、価格例として被請求人が顧客に配布するためのパンフレットである。顧客は、当該パンフレット見開き左ページ(乙1の2)に掲載されたキャラクターの中から希望のキャラクターを選択し、被請求人は顧客の要望に応じてそのキャラクターをカスタマイズして顧客へ提供するが、当該サービスは、まさに本件指定役務である「キャラクター図形の静止画像及び動画像の提供」に該当する。
イ ここで、乙第1号証を見ると、乙第1号証の1にはその上部に大きく、乙第1号証の2には左上に、別掲2のとおりの商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。この使用商標の態様は、本件商標「たきゃらばこ」とは異なるが、その相違は以下のとおり、商標法第50条第1項にいうところの社会通念上同一と認められる範囲内にあるものと思料する。
ウ 使用商標の態様をみると、上下二段併記の「たきゃら」と「ばこ」の文字であって、「ら」の字の終わりを左側に長く伸ばしたものに「たきゃらばこ」のローマ字表記である「TACHARABAKO」が白抜きされており、これにリスのシルエットの図が付加されたものとなっている。
上記したとおり、「たきゃらばこ」の文字はやや図案化されているが、青色を背景とする白地の中に「たきゃらばこ」が全て納まっている。そして、リスの図は「たきゃらばこ」の文字に比べて配色が暗く、その大きさも「たきゃらばこ」に比較すると小さいため、使用商標を目にした需要者は「たきゃらばこ」を瞬間的に容易に看取し、平仮名全体を「たきゃらばこ」として一体的に認識する。そして、このように一見して認識できる程度の変更は、取引において普通に行われているものである。
また、上記態様とローマ字表記の「TACHARABAKO」とが相まって、二段併記であっても「タキャラバコ」と一連に称呼でき、使用商標からは、称呼「タキャラバコ」が当然に生じる。すなわち、使用商標は「たきゃらばこ」として自他役務の識別標識としての機能を果たしている。
「たきゃらばこ」は造語なので、登録商標も使用商標も特別な観念は生じない。
平仮名「たきゃらばこ」については、構成文字が登録商標と同一の「たきゃらばこ」であり、書体は登録商標とは異なるが、書体にのみ変更した同一の文字からなる商標は、十分に社会通念上同一と認められる範囲にあると思料する。
また、登録商標も使用商標も、いずれも「たきゃらばこ」からなるものと認識され、称呼も「タキャラバコ」と同一であるので、商標の持つ出所表示機能自体に差異はない。
したがって、一定の変更がなされているとしても、使用商標は登録商標と社会通念上同一と認識し得る範囲内の商標であると思料する。
エ 乙第1号証は、印刷業を行っている被請求人自らが印刷したものであり、この印刷時期を証明する証拠として乙第7号証を提出する。
乙第7号証は、乙第1号証の印刷を行った際の受注伝票の写しである。乙第7号証に記載された納期及び数量から、乙第1号証は、2010年11月1日に3,000部作成されたことがわかる。
この日付は審判請求登録前3年以内ではないものの、被請求人は現在もキャラクターコンテンツの提供に関する営業の際は、当該パンフレットを顧客に対して提示若しくは配布している。
これについては、作成数量が3,000部であり、仮に年に500部、月に約40部配布したとしても使い切るのに6年間はかかる計算となるので、納期から3年5月しか経過していない現在も継続使用していることは合理的に理解できる。
さらに、被請求人の顧客が乙第1号証を受領したこと及びその受領日を証明する証拠として、被請求人の顧客が署名した受領証明書の写しを提出する(乙8)。
各証明書には、各顧客が被請求人より乙第1号証を受け取った日が、それぞれ、平成24年12月3日(乙8の1)、平成24年8月24日(乙8の2)、平成23年4月1日(乙8の3)と記されている。本件審判の予告登録日は平成26年2月17日(乙9)なので、上記受領日は全て審判請求登録前3年以内である。
なお、乙第8号証の信憑性の補足資料として、乙第8号証の1に署名した株式会社ピー・ビー・システムズ(以下「ピー・ビー・システムズ社」という。)が制作したアニメーション「リッキーと黒き炎」のチラシの写し(乙10)を提出する。
当該チラシには、乙第1号証に掲載された被請求人のキャラクターが記載されており、制作者として被請求人の名が載っているので、当該アニメーションの作成に当たって、被請求人がピー・ビー・システムズ社にキャラクターの画像を提供したことは明白である。
そして、当該アニメーションのナレーターが所属するプロダクションのホームページのトピックス(乙11)には、当該アニメーションが2013年4月27日に上映されたことが明示されている。
上記のとおり、2013年4月27日には乙第1号証は作成されていたので、これらの事実から、被請求人がピー・ビー・システムズ社とのキャラクター図形の提供についての商談の際、乙第1号証をピー・ビー・システムズ社に提示又は配布していたと考えるのが自然である。
したがって、被請求人が審判請求の登録前3年以内に乙第1号証を顧客に提示、配布していたことが推認されるので、乙第8号証の信憑性について疑う余地はない。
(2)まとめ
以上により、本件商標が被請求人により本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件審判請求に係る指定役務について使用されていることは明らかである。

4 当審の判断
(1)被請求人の主張及び提出された証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証について
(ア)乙第1号証は、被請求人がキャラクターコンテンツの提供に関する営業の際に用いるパンフレットと称しているものであり、その表紙(乙1の1)上部には、別掲2のとおりの使用商標が大きく表示され、左下部には、「キャラクターライセンス料315,000円?」の記載がある。
(イ)乙第1号証の2枚目(乙1の2)の左上部には、別掲2のとおりの使用商標が大きく表示され、下部には、「キャラクター大集合」、「個性豊かなキャラクター達が、企業イメージの向上や、販促のサポート等、様々なシーンでのお手伝いを致します。」の記載があり、18種類のキャラクターの図が表示されている。
(ウ)乙第1号証の3枚目(乙1の3)の上部には、「キャラクターを選んで簡単カスタマイズ」、「既存のキャラクターをカスタマイズ使用することにより、早く、安く、高品質でお望みのキャラクターをご提案できます。」の記載があり、左下部には、「Sプラン、1キャラクター、1年間非商用利用ライセンス料+2ポーズ、1ポーズにつき静止画2枚を提供」の記載があり、下部には、「Option」として「アニメーション 1秒?」の記載があるほか、キャラクターのカスタマイズ例やライセンス料等の記載がある。
(エ)乙第1号証の4枚目(乙1の4)の下部には、被請求人の名称、住所等の記載があり、「注意事項」として、「既存キャラクター、カスタマイズキャラクター、新規キャラクターの著作権・所有権は弊社に帰属します。」、「各プランは。ご購入したキャラクターに対する1年間の非商用利用としての料金となっております。」「『たきゃらばこ』固定プランでは、非商用のご利用に限り、ご自由に使えるようになっております。」等の記載がある。
イ 乙第7号証について
乙第7号証は、「受注伝票(営業控え)」であり、得意先名欄には「社用」、品名欄には「CGチーム/たきゃらばこチラシ」、数量欄には「3,000」、納期欄には「2010/11/01」等の記載がある。
ウ 乙第8号証の1について
乙第8号証の1は、ピー・ビーシステムズ社の代表取締役による平成26年4月11日付けの「受領証明書」であり、平成24年12月3日に乙第1号証の1と同一の表紙のパンフレットを被請求人から受領し、キャラクター図形の静止画像、動画像を被請求人に発注するための商談を行う際に予めもらっていたパンフレットである旨が記載されている。
(2)上記(1)によれば、次のことが認められる。
ア 乙第1号証のパンフレットは、被請求人がキャラクターコンテンツの提供と称する役務に関する広告用パンフレットであり、別掲2のとおりの使用商標が付されている(乙1の1、乙1の2)ことが認められ、そして、キャラクターコンテンツの提供と称する役務は、キャラクター図形の静止画や動画(アニメーション)をライセンスする役務と認められる。
イ 被請求人は、乙第1号証のキャラクターコンテンツの提供に関する広告用パンフレットを2010年(平成22年)11月1日に3,000部作成し(乙7)、当該パンフレットを平成24年12月3日にピー・ビーシステムズ社に頒布した(乙8の1)ことが認められる。
(3)判断
ア 商標使用者について
キャラクターコンテンツの提供に関するパンフレットの作成者は、被請求人であるから、当該パンフレットに表示された使用商標の使用者は、被請求人である。
イ 使用商標について
使用商標は、別掲2のとおり、「たきゃら」(「きゃ」の文字は小さい文字)、「ばこ」の平仮名及び小さく表示された「TACHARABAKO」の欧文字並びに動物と思しき図形からなるところ、「たきゃら」及び「ばこ」の平仮名部分は、まとまりよく一体的に表示されていることに加え、その構成中の「TACHARABAKO」の欧文字部分は、使用商標全体の読みを表示したものとみるのが自然であって、動物と思しき図形部分が使用商標から生じる称呼及び観念に与える影響も見いだせないから、使用商標は、容易に「たきゃらばこ」との一連の平仮名を認識させ、「タキャラバコ」の称呼を生じるものといえる。
そうすると、本件商標と使用商標とは、態様において差異があるものの、構成文字及び称呼を共通にする、社会通念上同一と認められる商標である。
ウ 使用役務について
キャラクターコンテンツの提供は、上記(2)アのとおり、キャラクター図形の静止画や動画(アニメーション)をライセンスする役務と認められるから、請求に係る指定役務「キャラクター図形の静止画像及び動画像の提供」の範ちゅうに属するものである。
エ 使用時期について
使用商標が付されたパンフレットがピー・ビーシステムズ社に頒布された平成24年12月3日は、本件審判の請求の登録(平成26年2月17日)前3年以内である。
オ 小括
以上のことからすれば、商標権者である被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、我が国において、その請求に係る指定役務「キャラクター図形の静止画像及び動画像の提供」について、その広告用パンフレットに本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号)というべきである。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件審判の請求に係る指定役務中「キャラクター図形の静止画像及び動画像の提供」について本件商標の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(使用商標)(色彩は原本参照)




審理終結日 2015-05-19 
結審通知日 2015-05-21 
審決日 2015-06-12 
出願番号 商願2010-53483(T2010-53483) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 矢代 達雄 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 原田 信彦
大森 健司
登録日 2011-01-14 
登録番号 商標登録第5383688号(T5383688) 
商標の称呼 タキャラバコ 
代理人 北村 周彦 
代理人 市川 泰央 
代理人 松尾 憲一郎 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ