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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) W03
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) W03
管理番号 1303167 
異議申立番号 異議2014-900168 
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-06-04 
確定日 2015-06-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5654917号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5654917号商標の指定商品中、第3類「せっけん類,化粧品」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5654917号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年10月23日に登録出願され、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」を指定商品として同26年2月18日に登録査定、同年3月7日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標はその指定商品についての登録を取り消されるべきであるとして申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第48号証を提出した。
本件商標は、「もっちもち」の平仮名を横書きしてなるものであるが、パック、美容液、化粧水等の本件商標の指定商品において、「もっちもちの肌に仕上げる商品」の効能、品質を表すものとして普通に使用されて、認識されている(甲1?32)。
また、洗顔用商品等の本件商標の指定商品においては、「もっちもちの泡状の商品」の品質を表すものとして普通に使用されて、認識されている(甲33?48)。
したがって、本件商標は、これを指定商品中「もっちもちの肌に仕上げる商品」に使用するときは、単にその商品の効能、品質を表す標章にすぎないものであり、また、指定商品中「もっちもちの泡状の商品」に使用するときは、単にその商品の品質を表す標章にすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本件商標は、これを「もっちもちの肌に仕上げる商品」及び「もっちもちの泡状の商品」以外の商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対し、平成26年9月29日付けで通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
本件商標は、前記1のとおり、「もっちもち」の平仮名を書してなるところ、別掲2のとおり、「もっちもち」の語は、本件商標の登録査定時前において、「もっちもちの肌(になる)」、「肌がもっちもち(になる)」、「もっちもちの潤い・ハリ・透明感のある肌へ」又は「もっちもちの洗い上がり」などと使用され、化粧品及びせっけん類を使用することによって「肌に弾力をもたらす効果のある」程の意味合いを理解させるといえるから、化粧品及びせっけん類においては、商品の効能、品質を表すものとして認識される。
また、せっけん類について、「もっちもち」の語は、本件商標の登録査定時前において、「もっちもち(の)泡」又は「もっちもちのマシュマロみたいな泡」と表現され、泡状の商品又は泡立てる商品において、該泡の感触が「もっちもち」であることを表す語として使用され、「弾力のある(泡)」程の意味合いを理解させるといえるから、せっけん類の品質を表すものとして認識されるものである。
そうとすると、本件商標は、その指定商品中、「肌に弾力をもたらす化粧品及びせっけん類」又は「泡に弾力のあるせっけん類」及び「(泡立てることによって)弾力のある泡になるせっけん類」に使用するときは、商品の品質を表示したものと認識し理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
また、本件商標をその指定商品中、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、その指定商品中「化粧品,せっけん類」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。

4 商標権者の意見
本件商標は、独特の書体の文字からなる造語であり、日本語辞典に掲載されていないものであるから、特別な意味合いを持つ言葉ではない(乙1)。また、申立人が提出した証拠をみても、「もっちもち」の文字が、その指定商品中「化粧品,せっけん類」について、直接的かつ具体的に、どのような効能、品質があるのか、また、具体的にどのような状態の肌になるかが、全く不明である。
本件取消理由通知書に記載された証拠を見ても、「化粧品,せっけん類」について「もっちもち」の文字が様々な意味に使用されているものであり(乙2?11)、また、何を意味するものなのか全く不明なものが多数あげられている。したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の効能や品質を暗示することはあっても、直接的かつ具体的に、一義的な商品の効能、品質を表すものではなく、間接的に表示したものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「化粧品,せっけん類」について、識別力を有しているものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当しないものであり、商品の品質の誤認を生ずるおそれもないから、同法第4条第1項第16号に該当しない。

5 当審の判断
(1)本件商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本件商標は、別掲1のとおり、「もっちもち」の平仮名を手書き風に横書きしたものであるところ、その構成は、「適度な弾力があること。」(広辞苑第六版)の意味を有する語として広く親しまれた「もちもち」の語に、その状態を強調する場合に用いられる促音「っ」を挿入したものであるから、「もっちもち」の文字は「相当弾力がある」程の意味合いを理解させるものである。
そして、本件商標の指定商品中「せっけん類,化粧品」を取り扱う業界において、別掲2のとおり、「もっちもち(モッチモチ)」の文字は、本件商標の登録査定時前から、商品を使用することによりもたらされる肌の状態や商品の泡の状態を表示するものとして広く使用されていることが認められる。
そうとすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「もっちもち」の文字が肌の状態及び商品の泡の状態について「相当弾力がある」ことを表すものとして理解するとみるのが相当であるから、本件商標は、その指定商品中「肌に弾力をもたらす化粧品及びせっけん類」又は「泡に弾力のあるせっけん類」及び「(泡立てることによって)弾力のある泡になるせっけん類」(以下「本件商品」という。)に使用するときは、商品の品質を表示したものと認識されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品中の本件商品について、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本件商標をその指定商品中、前記本件商品以外の「せっけん類,化粧品」に使用したときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標権者の意見について
本件商標の商標権者は、本件商標は独特の書体からなる造語であって、その指定商品について、様々な意味に使用されているから、商品の効能や品質を暗示することはあっても、直接的かつ具体的に、一義的な商品の効能、品質を表すものではない旨述べている。
しかしながら、本件商標は、その指定商品との関係において、別掲2のとおり、「もっちもち肌に!」(別掲2(1)ア)、「お肌もっちもち!」(別掲2(1)イ)、「もっちもちの弾力泡」(別掲2(1)セ)のように、いずれの記載も化粧品等の使用後の肌及び洗顔料の泡について記述する際に普通に使用されていることが認められる。
さらに、本件商標は、「適度な弾力があること。」の意味を有し、一般的に使用される「もちもち」の文字に促音「っ」を挿入して強調したものであるから、具体的な状態を表す擬態語「もちもち」から派生した語である。そして、化粧品及びせっけん類に係るウェブサイトにおいて、「もちもち」の文字は、例えば、「シート状の化粧品」について「つややかでもちもちとしたハリ肌に導く」(https://www.shiseidogroup.jp/releimg/2414-j.pdf)、「乳液」について「指先をはね返すようなもちもちとしたハリのある肌に導きます。」(http://news.kose.co.jp/pdf/news/20130801.pdf)、「化粧水」について「吸いつくようなもちもち素肌に導きます。」(http://jp.rohto.com/hadalabo/gokujun-lotion/)、「クリームソープ」について「もちもちとした弾力のある泡」(http://www.kanebo-cosmetics.co.jp/season/early_summer.html)、「洗顔料」について「大量のもちもち泡で気持ちよく洗えました。」(http://www.sofina.co.jp/facewash/product/)のように化粧品の効能による肌の状態及びせっけん類の泡の状態を表示するものとして普通に使用されていることが認められる。
そうすると、化粧品及びせっけん類を取り扱う業界における、「もっちもち(モッチモチ)」の文字に加えて、既成語「もちもち」の文字の使用に係る取引の実情からすれば、本件商標は、それ自体で商品の使用効果による肌の状態及び商品の泡の状態について、相当弾力があること程の意味合いを容易に認識させるといえるものであり、これがその指定商品中の本件商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者が、商品の出所を識別する標識としては認識しないものであり、商品の品質等を表示するものとして理解するというべきである。
また、化粧品及びせっけん類を取り扱う業界において、「もっちもち」の文字が、「もちもち」の語の意味を強調したものとは別異の意味を表すというような、特段の事情は認められない。
なお、擬音語・擬態語において、当該語に促音が挿入された場合にはその動作や描写対象の様子の程度が強調されて理解されるものであり、また、擬態語及びその強調した表現又は文字のデザイン(手書き風の文字を含む。)により商品の効能、品質等を簡潔に表す宣伝広告手法が普通に行われていることを踏まえると、本件商標は造語として認識されるものとはいい難いものであり、一般的に使用される手書き風の文字により表したものであることは明らかである。
したがって、本件商標は、その指定商品中、本件商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるというべきである。
よって、商標権者の主張は、いずれも妥当なものとはいえず、取消理由通知を覆すに足りるものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「せっけん類,化粧品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
しかし、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、取り消すべき理由が認められないから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないものであり、その登録は、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2
(1)本件商標の指定商品に関し、「もっちもち」の文字を使用していること
ア 「Hana’s Cafe?コスメ&生活雑貨」のウェブサイト(甲4)には、「2013.4.28」、「乳液・クリーム・保湿ジェル」、「ナイトクリーム,プラセンタ,桜花姫」との記載及び「【透潤肌プラセンタナイトクリーム】で、もっちもち肌に!」、「桜花媛の最高傑作プラセンタシリーズの【プラセンタナイトクリーム】を使ってみました。」との記載がある。
イ 「BE GARDEN」のウェブサイト(甲6)には、「News 2013.12.16【メディア情報】無添加炭酸パックが『Beas!UP 2014年1月号』に掲載されました」及び「無添加炭酸パック シーコラパーフェクトジェルパックN UPDATE:2013.11.14」との記載とともに「生プラセンタ配合の炭酸パック/お肌もっちもち!/使うたびに美肌に/近づく炭酸パック」との記載がある。
ウ 「ameblo」のウェブサイト(甲9)には、「◆お肌モッチモチ“超高濃度”炭酸コスメが・・・毎回20%offに!!◆」との記載とともに「2011年11月11日(金)」、「テーマ:炭酸コスメ」との記載がある。
エ 「@cosme」のウェブサイト(甲10)には、「ラピュレ ベジタブルスムージー」の商品情報が掲載され、発売日が「2013/9/26」、商品説明として「厳選野菜エキス&濃密な美容液成分で構成した美容水。・・・濃密な成分が角質深くまで浸透し、赤ちゃんの肌のような、もっちもちの潤い・ハリ・透明感のある肌へと導きます。」との記載がある。
オ 「@cosme」のウェブサイト(甲11)には、「リーフエージュソープ」の商品情報が掲載され、発売日が「2009/10/1」、商品説明として「生クリームのように弾力のある泡で、もっちもちの洗い上がり。」との記載がある。
カ 「@cosme」のウェブサイト(甲12)には、「ソービオ・エチーク ROジェントルフェイススクラブ」の商品情報が掲載され、発売日が「2011/7/1」、商品説明として「週に1?2回使用するクリーム状の洗い流しスクラブは、米ぬか由来のワックスで作った真球の微粒子だからマイルド。天然成分99%・・・シアバターを配合し、モッチモチの洗い上がりです。」との記載がある。
キ 「@cosme」のウェブサイト(甲13)には、「ジュジュ アクアモイスト ヒアルロン酸配合ハリ・つや化粧水」の商品情報が掲載され、発売日が「2008/2/20(2010/7/30追加発売)」、商品説明として「コクのある化粧水が、肌にスーッと浸透。うるおいで満たし、もっちもちのぷるっとつややか肌に整えます。」との記載がある。
ク 「株式会社石澤研究所」のウェブサイト(甲15)のクチコミレビューには、「ソーダピケ 炭酸うるおいミスト<化粧水>」に関して、「投稿日 2012.12.01 03:06:00」の「すっかり虜に」の項に「これまで乾燥対策にと何種類ものミストを試しましたが、肌の表面に水滴がつくだけで、それが蒸発すると返って肌が乾くという悪循環を繰り返してきました。ところがこのソーダピケはシュッと一吹きでもっちもちの肌に!」との記載がある。
ケ 「株式会社石澤研究所」のウェブサイト(甲16)のクチコミレビューには、「尿素とヒアルロン酸の化粧水N」に関して、「投稿日 2008.12.16 15:32:30」の「尿素とヒアルロン酸の化粧水N」の項に「さっぱりした使い心地なのにちゃんと潤っててとっても気持ちいいです。スッと肌に浸透していきます。少量でもさらっとのびるのでコスパ的にもいいです。翌日からお肌もっちもちです。」との記載がある。
コ 「@cosme」のウェブサイト(甲18ないし甲29)には、登録査定前の掲載日において、化粧水や美容液を使った結果の「クチコミ」の内容として「(お)肌がもっちもち(モッチモチ)」、「もっちもち肌」又は「もっちもちになります」などの記載がある。
サ 「アイビーニュース vol.421 2013年11月」(2013年11月1日 株式会社アイビー化粧品発行」(甲33)の2頁には、「シリーズで使ってさらに前向きなエイジングケアを。/全アイテムに『アイビーセーラムリキッド』配合」との記載とともに、泡を手のひらにつけた女性の写真の吹き出しに「もっちもちでマシュマロみたい。この感触、気に入りました!」との記載がある。
シ 「@cosme」のウェブサイト(甲42ないし甲45)には、登録査定前の発売日とする洗顔料や石鹸の商品説明として「もっちもち(の)泡」、又は「もっちもちのマシュマロみたいな泡」との記載がある。
ス 「@cosme」のウェブサイト(甲46)には、「ビューティラボ ふりふりホイップ髪色もどしヘアカラー」の商品情報が掲載され、発売日が「2010/7/20」、商品説明として「楽しく容器を振ってつくるホイップをすくって簡単にぬれて、一度でしっかり髪色が戻せるヘアカラーです。振ってつくったホイップはきめ細かく、モッチモチ。」との記載がある。
セ 「@BEAUTIST」のウェブサイト(甲48)には、「ポーラ 『B.A RED』誕生」の見出しの下、「投稿日:’11/8/17 21:24」の「B.A RED ウォッシュ」の項に「サンプルが少量だったのでこれで泡立つ?と思ったけど・・あらら、もっちもちの弾力泡が作れました!」との記載がある。
(2)以上によれば、「もっちもち」及び片仮名表記の「モッチモチ」の語は、本件商標の登録査定時前から、化粧品及びせっけん類について使用されているといえる。


異議決定日 2015-05-13 
出願番号 商願2013-82635(T2013-82635) 
審決分類 T 1 651・ 272- ZC (W03)
T 1 651・ 13- ZC (W03)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 堀内 仁子
藤田 和美
登録日 2014-03-07 
登録番号 商標登録第5654917号(T5654917) 
権利者 株式会社リアル
商標の称呼 モッチモチ 
代理人 明田 莞 

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