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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201513171 審決 商標
異議2014900275 審決 商標
不服201411133 審決 商標
不服201516548 審決 商標
不服20177137 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W30
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W30
管理番号 1303152 
異議申立番号 異議2014-900188 
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-06-30 
確定日 2015-06-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5660300号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5660300号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5660300号商標(以下「本件商標」という。)は、「ごちそうソース」の文字を標準文字で表してなり、平成25年11月13日に登録出願、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,粥,ぞうすい,即席菓子のもと,ミートソース,その他のパスタソース 」を指定商品として、同26年3月3日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件商標について、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第23号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は、「美味いソース」の如き意味合いを直感させる「ごちそうソース」の文字を書してなるにすぎないから、これを本件商標の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が「美味しいソース」であることを理解するにとどまり、単に商品の品質、原材料を誇称して表示したものと認識するにすぎないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
さらに、本件商標の末尾の「ソース」の文字は、「ソース(調味料)」の範ちゅうに含まれる商品を指称する言葉であるから、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「ソース」の文字部分より、その商品の内容、品質が、「ソース」であって、他の品質の「調味料」ではないと認識するのが自然であるから、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第3条第1項第6号について
本件商標は、「美味いソース」の如き意味合いを直感させる「ごちそうソース」の文字を書してなるにすぎないから、これを指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

3 取消理由通知
当審においては、本件商標の登録について、平成26年11月4日付けをもって、商標権者に対して取消理由の通知を行ったところ、その取消理由の要旨は、以下のとおりである。
(1)申立人の提出に係る証拠及び職権調査によれば、以下の事実が認められる。
ア 「ごちそうソース」の語の意味について
本件商標は、上記1のとおり「ごちそうソース」の文字を書してなるところ、甲第5号証の広辞苑第六版(写し)によれば、その構成中の「ごちそう」(御馳走)の文字が「馳走の丁寧語。ふるまい。もてなし。豪華な食事。うまい食べ物。」の意味を有すること、同じく「ソース」(sauce)の文字が「西洋料理の調味に用いる液体。料理の一部として作るほか、調味料として市販されているものもある。」の意味を有することが記載されている。
イ 新聞記事情報において「ごちそうソース」又は「ご馳走ソース」の語が使用されていることについて(下線は当合議体が付加。以下同じ。)
本件商標を構成する「ごちそうソース」の語又は該語に通じる「ご馳走ソース」の語が、新聞記事情報において、以下のとおり使用されている。
(ア)2012年2月6日付け日本食糧新聞には、「国分北海道グループ、展示商談会を開催 新100年商品『tabete』訴求」の見出しの下、「レンジ調理用の簡便調味料・おいしさのひみつ時短のひみつ『楽チンCook』(『ほっこり肉じゃが』『ブリ大根赤みそ風味』など6品)、・・瓶詰の具入り調味料・ごちそうソース『ONESPOON(ワンスプーン)』(『ざくざくオリーブソース』など6品)の3シリーズ20品を訴求した。」の記載がある(甲第8号証)。
(イ)2012年6月2日付け西日本新聞には、「これが旬=JA柳川のご馳走ソース 特産ナスをたっぷりと」の見出しの下、「JA柳川(福岡県柳川市)が新商品『柳川ご馳走(ちそう)ソース』を開発した。ナスとトマトがたっぷり詰まった万能ソース。・・・JA柳川は県内有数のナス産地で、・・・年間約3千トン、関東、関西など11市場に出荷している。・・・味は遜色ないのに市場では規格外になってしまう。加工品にして何とか消費者に届けられないかと試行錯誤を重ね、ようやく誕生したのが、この『ご馳走ソース』というわけだ。ナス部会長も『この前、たこ焼きに付けてみたら、おいしかったぞ』と太鼓判を押す。」の記載がある。
(ウ)2005年2月2日付け日本食糧新聞には、「『ピュアセレクト タルタルソース』発売(味の素)」の見出しの下、「『ピュアセレクト』シリーズから“フライがひきたつ、ごちそうソース”。最適な素材を選び抜いて作った新しいタルタルソース。ピクルスや玉ネギなどの具がたっぷり入っているマイルドなおいしさ。フライメニューに最適。」の記載がある。
ウ インターネット情報等において、「ごちそうソース」又は「ご馳走ソース」の語が使用されていることについて
本件商標を構成する「ごちそうソース」の語又は該語に通じる「ご馳走ソース」の語が、インターネット情報において以下のとおり使用されている。 (ア)「レシピtwit」のウェブサイトにおいて、「野菜と絶品バルサミコとお味噌のご馳走ソース」の見出しの下、「ご紹介」として「バルサミコ酢とお味噌などのソースはとても濃厚で、シンプルな蒸し野菜と焼き野菜に添えると、立派なメインディッシュになるのです。」の記載がある(甲第11号証)。
(イ)「調理力で健康!プロジェクト」のウェブサイトにおいて、「プロの活用術」の見出しの下、「かけるだけのごちそうソースはいかが? 」、「野菜たっぷりで彩りも美しい、かけるだけソースを作りました。」及び「野菜を細かく切って、オリーブオイルにつけておくだけなのに、こんなに美味しいなんて!と友人たちにも好評の驚きの味。」の記載がある(甲第14号証)。
(ウ)「レピレピ」のウェブサイトにおいて、「レーズンケッパーステーキ」の見出しの下、「レーズンの甘みとケッパーの酸味の溶け合ったごちそうソースです。」の記載がある(甲第15号証)。
(エ)「楽天レシピ」のウェブサイトにおいて、「鶏胸肉のしめじと蜂蜜マスタードソース焼き レシピ・作り方」の見出しの下、「蜂蜜の甘さと粒マスタードの酸味、黒胡椒の香りがいつもとは一味違うご馳走ソースになります!ソースをたっぷりつければ胸肉もしっとりジューシーに!!」の記載がある(甲第16号証)。
(オ)「お取り寄せスイーツ・グルメ通販記」のウェブサイトにおいて、「お勧め≪パスタソース≫のお取り寄せ情報♪」の見出しの下、「2006.02.17 Friday」として「今日は、簡単で美味しい≪パスタソース≫を紹介したいと思います。9種類のパスタソースが味わえるお試しセットです。・・美味しさが広がるごちそうソースばかりです。」の記載がある。
( http://maopon3.jugem.jp/?cid=8)
(カ)「cookpad」のウェブサイトにおいて、「椎茸香るマスタードクリームソース写真手順」の見出しの下、「口の中に広がる椎茸の風味を楽しんで! 肉はもちろん、魚にも合うご馳走ソースです。」の記載がある。
(http://cookpad.com/recipe/1111254?mobile_conversion_id=3&num=16&size=122&u=1272353911&user_id=532726)。
エ 上記アないしウによれば、「ごちそう」の文字は、「うまい食べ物。」等の意味を有する「御馳走」の語を平仮名で表したと認められるものであり、また「ソース」の文字は、「西洋料理の調味に用いる液体。」等の意味を有するものであり、これらの文字を結合させた「ごちそうソース」又は「ご馳走ソース」の語は、「ソース」あるいは、「ソースを使用した料理」について、「美味しいソース」あるいは、「使用すると料理が美味しくなるソース」程の意味合いを表すものとして使用されている実情があるといえるものである。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、上記1のとおり、「ごちそうソース」の文字を標準文字で表してなるものであって、その構成中の「ごちそう」の文字が「うまい食べ物。」の意味を有する「御馳走」の語を平仮名で表したと認められるものであり、また「ソース」の文字が、「西洋料理の調味に用いる液体。」の意味を有する「sauce」の英語を片仮名で表したものであるところ、両語がそれぞれ親しまれた語であることを踏まえるならば、これに接する取引者、需要者は、本件商標が両語によって構成されていることを容易に、把握、認識し得るものといえる。
そして、上記(1)エのとおり、本件商標を構成する「ごちそうソース」の語又は該語に通じる「ご馳走ソース」の語が、「ソース」又は「ソースを使用した料理」について、「美味しいソース」あるいは、「使用すると料理が美味しくなるソース」程の意味合いを表すものとして使用されている実情があることからすれば、本件商標は、取引者、需要者に、「美味しいソース」又は「使用すると料理が美味しくなるソース」程度の意味合いを容易に理解させるといえるものである。
してみれば、本件商標は、これを、登録異議申立に係る商品中、「ソース」の文字に照応する商品、例えば、「ミートソース,その他のパスタソース,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,ホワイトソース,マヨネーズソース」等の調味用ソース又はそれら調味用ソースを使用した商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、その商品の品質を表示したものと理解させるにとどまるものであり、上記以外の商品について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

4 商標権者の意見
前記3の取消理由に対し、商標権者は、要旨以下のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
(1)本件商標の構成中の「ごちそう」の文字が、「御馳走」の語を平仮名で表したものであるとしても、「ごちそう(御馳走)」の語を単に「うまい食べ物」という意味のみで捉え、本件商標を全体として「美味しいソース」あるいは「使用すると料理が美味しくなるソース」程の意味合いを表す品質表示であるということはできない。
「ごちそう(御馳走)」の語は、「馳走の丁寧語。ふるまい。もてなし」や「豪華な食事」等を意味する語として記載があり(甲5)、漠然とした品質を暗示させることがあるとしても、具体的かつ直接的な品質を表している言葉ではない。「もてなし料理」、[豪華な料理」とは、「高価な食材を使用した料理」や「多様な食材を使用した料理」等、その品質は様々であり、具体的な特定を品質を表しているものとはいえない。
(2)第30類において「豪華」の語からなる商標が登録され(乙1及び乙2)、また、「ごちそう」と「食品名」を組み合わせた商標が登録されており(乙3ないし乙10)、このことからも、「ごちそう」の語が単に「うまい食べ物」を表す品質表示でないことは明らかである。
(3)取消理由通知書において、新聞、インターネットでの使用例を挙げているが、これらの使用例をもって「ごちそうソース」の語が、単に「美味しいソース」又は「使用すると料理が美味しくなるソース」を意味するとまではいえない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「ごちそうソース」の文字を標準文字で表してなるところ、前記3の取消理由のとおり、その構成中の「ごちそう」の文字は、「うまい食べ物。」等の意味を有する「御馳走」の語を平仮名で表したものであり、また、「ソース」の文字は、「西洋料理の調味に用いる液体。」の意味を有する「sauce」の語を片仮名で表したものであり、いずれも広く親しまれた語であるから、これに接する取引者、需要者によって、容易にこれらの語によって構成されるものとして理解、把握されるものといえる。そして、本件商標の指定商品である調味料を含む食品を取り扱う業界においては、「ごちそうソース」の語又は該語に通じる「ご馳走ソース」の語は、前記3の取消理由通知のとおり、「美味しいソース」又は「使用すると料理が美味しくなるソース」程の意味合いを表すものとして普通に使用されているところである。
そうすると、本件商標は、取引者、需要者をして「美味しいソース」又は「使用すると料理が美味しくなるソース」程の意味を表すものとして容易に認識されるものといえる。
加えて、本件商標は、標準文字により表したものであるから、その書体に特異な特徴があるということもできない。
したがって、本件商標は、これを登録異議申立に係る商品中、「ソース」の文字に照応する商品、例えば、「ミートソース,その他のパスタソース,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,ホワイトソース,マヨネーズソース」等の調味用ソース又はそれら調味用ソースを使用した商品について使用するときは、その商品の品質を表示する標章のみからなるものといえるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、これを本件登録異議申立に係る商品中、上記以外の商品について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといえるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標権者の主張について
ア 商標権者は、「ごちそう(御馳走)」の語は「馳走の丁寧語。ふるまい。もてなし」や「豪華な食事」等を意味する語であり、漠然とした品質を暗示させることがあっても、具体的かつ直接的な品質を表している言葉ではなく、該語を単に「うまい食べ物」という意味のみで捉え、本願商標全体として「美味しいソース」あるいは「使用すると料理が美味しくなるソース」程の意味合いを表す品質表示ということはできない旨主張する。
しかしながら、「ごちそう(御馳走)」の語が複数の意味合いを有する語であるとしても、本件商標は、該語と「ソース」の語を組み合わせてなるものであって、その指定商品である調味料などを取り扱う食品分野においては、前記3のとおり「ごちそうソース」の文字が使用されているのであるから、前記(1)のとおり、商品の品質を表示するものとして認識されるといえる。
イ 商標権者は、「豪華」の語からなる登録例及び「ごちそう」と「食品名」を組み合わせてなる登録例があることから、「ごちそう」の語が単に「うまい食べ物」を表す品質表示でない旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かは、個別具体的に検討・判断されるべきものであって、商標権者が主張する商標登録例をもって、本件商標が同号に該当することが否定されるものではない。
ウ 商標権者は、取消理由通知書における、新聞、インターネットでの使用例をもって「ごちそうソース」の語が、単に「美味しいソース」又は「使用すると料理が美味しくなるソース」を意味するとまではいえない旨主張する。
しかしながら、例えば、前記3(1)イの(ウ)例によれば、「マイルドなおいしさ」の語とともに、また、同ウ(オ)の例によれば「美味しさが広がる」の語とともに、「ごちそうソース」の語が使用されており、「美味しいソース」又は「使用すると料理が美味しくなるソース」の意味合いで使用されるものであることが明らかであるから、商標権者の主張は、採用できないものである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-04-22 
出願番号 商願2013-88939(T2013-88939) 
審決分類 T 1 651・ 272- Z (W30)
T 1 651・ 13- Z (W30)
最終処分 取消  
前審関与審査官 馬場 秀敏 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 梶原 良子
中束 としえ
登録日 2014-03-28 
登録番号 商標登録第5660300号(T5660300) 
権利者 キユーピー株式会社
商標の称呼 ゴチソウソース、ゴチソーソース、ゴチソー 

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