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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201426550 審決 商標
不服20152012 審決 商標
不服20156792 審決 商標
不服201420713 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W30
審判 査定不服 外観類似 登録しない W30
審判 査定不服 観念類似 登録しない W30
管理番号 1303140 
審判番号 不服2014-17405 
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-02 
確定日 2015-07-09 
事件の表示 商願2013- 92493拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「喜久屋」の文字を標準文字で表してなり、第30類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品又は役務を指定商品又は指定役務とし、平成25年11月26日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、当審における同26年9月2日付け及び同年10月21日付けの手続補正書をもって、第30類「持ち帰り用ラーメンスープ付きのラーメンのめん」と補正されたものである。

第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶に引用した登録第2709513号商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、昭和60年9月13日に登録出願、商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成7年8月31日に設定登録され、その後、商標登録の取消し審判により一部の指定商品について取消とすべき旨の審決がされ、同13年12月5日その確定審決の登録がされ、さらに、同18年2月1日に第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」、第30類「コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」及び第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉,糖料作物,果実,麦芽」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は、前記第1のとおり、「喜久屋」の文字を標準文字で表してなるところ、語尾における「屋」の文字は、商売を営む家の屋号として用いることが一般に知られていることから、その構成全体として「喜久屋」の文字よりなる屋号を表した商標として看取、理解され得るものである。これより本願商標からは、その構成文字に相応する「キクヤ」の称呼が生じ、「『喜久屋』という屋号」の観念を生じるものというのが相当である。
2 引用商標について
(1)引用商標の構成について
引用商標は、別掲1のとおり、黒色ののれん図形に、やや丸味を持たせた特徴的な白抜きの太字で、漢字の「喜」の草書体(以下「▲七七七▼」と表す。)、と「久」及び「屋」の文字を、顕著に大きく目立つように配してなるものである。
そして、引用商標の文字部分の語尾における「屋」の文字は、商売を営む家の屋号として用いることが一般に知られていることから、その構成文字全体として「▲七七七▼久屋」の文字よりなる屋号を表した商標として看取、理解され得るものである。
さらに、引用商標の図形部分と文字部分は、視覚上分離して把握されるものであり、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものとも認められない。加えて、黒色ののれんの図形部分についても、のれんが、商店で、屋号などを染め抜いて店先に掲げる布であることが一般に知られていることからすれば、屋号を表したものと看取、理解される文字部分の背景と認識され、識別標識としての機能は極めて小さいといわざるを得ない。以上より、引用商標の構成中の文字部分が、指定商品の出所であることを示す識別標識として、強く支配的な印象を与えるものというのが相当である。
そうすると、引用商標は、その構成中の「▲七七七▼久屋」の文字部分のみをもって取引に資する場合も決して少なくないと判断するのが相当であるから、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際にあっては、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中に顕著に表され印象に残る「▲七七七▼久屋」の文字部分に着目して、それより生ずる称呼及び観念をもって、取引に資することも決して少なくないというべきである。
(2)▲七七七▼の文字が「喜」の文字の草書体として一般に知られていることについて
「▲七七七▼」の文字は、人の一生の通過儀礼として賀寿(還暦、喜寿、米寿、白寿など)を祝う風習の一である、七十七歳の祝いの「喜寿」は、「喜」の漢字が、これを草書体で書くと、「▲七七七▼」が七十七と読めることから(株式会社岩波書店 広辞苑第六版、株式会社学習研究社 漢字源、改訂第四版株式会社三省堂 新明解国語辞典、第七版岩波国語辞典 第3版、角川漢和中辞典 同趣旨)、「喜」の草書体である、「▲七七七▼」が使用され、これが「き」と読まれるということは、一般的に知られているというのが相当である。
また、別掲2のとおり、「▲七七七▼」の文字は、ラーメン店、そば店等の屋号に「▲七七七▼輪」を「きりん」、「▲七七七▼蔵」を「KIZO」、「松▲七七七▼」を「しょうき」、「▲七七七▼むら」を「キムラ」、「▲七七七▼膳」を「キゼン」のように、草書体以外の文字を組み合わせて普通に用いられていることが認められる。
そうすると、▲七七七▼の文字は、「喜」の文字の草書体として、一般に認識されているとみるのが相当である。
(3)引用商標から生ずる外観、称呼及び観念について
前記(2)からすると、引用商標の構成中「『▲七七七▼』久屋」の文字部分は、「喜久屋」の文字を表していると一般に想起させるものといい得るものである。
してみると、引用商標は、その構成文字に相応して「キクヤ」の称呼を生じるものである。
また、引用商標は、前記(1)のとおり、その文字部分が屋号を表した商標として看取、理解され得るものであるから、これより「『喜久屋』という屋号」の観念を生じるものである。
したがって、引用商標からは、その文字部分に相応して、「キクヤ」の称呼を生じ、「『喜久屋』という屋号」の観念を生じるというのが相当である。
3 本願商標と引用商標との類否について
(1)外観について
本願商標と引用商標とは、外観において相違するとしても、本願商標の「喜久屋」の文字と、引用商標の構成中「▲七七七▼久屋」の文字とは、語頭の「喜」と「▲七七七▼」の文字とが、楷書体か草書体かの相違にすぎず、残りの「久屋」の文字を共通にするものであるから、これに接した取引者、需要者に近似した印象を与える場合もあるといえる。
(2)称呼及び観念について
また、本願商標と引用商標とは、上記1及び2のとおり、「キクヤ」の称呼及び「『喜久屋』という屋号」の観念を同一にするものである。
(3)本願商標及び引用商標の指定商品について
本願商標及び引用商標の指定商品は、上記第1及び第2のとおりであるところ、引用商標の指定商品中の「穀物の加工品」には、穀粉を加工した「うどんの麺」、「そばの麺」及び「中華そばの麺」等を含むものである。
そして、本願の指定商品「持ち帰り用ラーメンスープ付きのラーメンのめん」は、引用商標中の「穀物の加工品」に含まれる「中華そばの麺」の一形態といえるものであるから、本願の指定商品と、引用商標の指定商品とは同一又は類似するものである。
(4)小括
本願商標と引用商標とは、外観において近似した印象を与える場合があり、「キクヤ」の称呼及び「『喜久屋』という屋号」の観念を同一にする相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当であり、ほかにこれを左右する取引の実情は見当たらない。
そして、本願の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 請求人の主張について
請求人は、出願人の商品「ラーメン」は「持ち帰り用」であって、商品の購入場所はラーメン店の店内であるため、常に商標を視覚で認識する取引形態であり、商標の外観が商品を識別する標識として重要な判断要素となる旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品が常に商標を視覚で認識する取引形態であるからといって、一概に、称呼、観念よりも外観を重視すべきものとまではいえず、また、本願の指定商品の取引の実情として、外観が重視されるとする証左の提出もない。しかも、本願商標と引用商標とは、外観においても近似した印象を与える場合があることは、上記3(1)のとおりである。
したがって、請求人の被告の上記主張は採用できない。
6 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 引用商標1


別掲2 ▲七七七▼が草書体以外の文字を組み合わせて使用されている実情について
草書体である▲七七七▼と草書体以外の文字を組み合わせて使用されている実情としては、以下の事実が認められる。
(1)株式会社スープレックスが運営する「ラーメンデータベース」のウェブサイトにおいて、「らーめん 『▲七七七▼』輪」の表示とともに「らーめん きりん」の記載及び「店名」の見出しとともに「らーめん 『▲七七七▼文字』輪」の記載がある(http://ramendb.supleks.jp/s/5260.html)。
(2)東京ステーション開発株式会社が運営する「1st 東京駅一番街」のウェブサイトにおいて、「仙台牛タンねぎ塩ラーメン『▲七七七▼』蔵」の見出しのもと、「牛タンねぎ塩ラーメンらーめん 『▲七七七▼』蔵」の記載及びその下に「KIZO」の記載があ(http://www.tokyoeki-1bangai.co.jp/shop/20)。
(3)株式会社カカクコムが運営する「食べログ」のウェブサイトにおいて、「松『▲七七七▼』」及び「(しょうきりゅう)」の見出しのもと、「福住駅[北海道] ラーメン 餃子」の記載がある(http://tabelog.com/hokkaido/A0101/A010303/1029303/)。
(4)株式会社ぐるなびが運営する「ぐるなび」のウェブサイトにおいて、「ソバドコロキムラ」「そば処『▲七七七▼』むら」の記載及び「店名」の見出しのもと「そば処『▲七七七▼』むら」「ソバドコロキムラ」の記載がある(http://r.gnavi.co.jp/3tx9969v0000/)。
(5)サッポロビール株式会社のウェブサイトにおいて、「お店とエリア」の頁中に静岡県掛川市の店として「和風居酒屋」の見出しのもと、「フジノボウ キゼン」及び「ふじの坊 『▲七七七▼』膳」の記載とともに、「ふじの坊」「『▲七七七▼』膳」の文字を配した店の入口の写真が掲載されている(http://www.sapporobeer.jp/gourmet/0000011152/)。

審理終結日 2015-04-28 
結審通知日 2015-05-07 
審決日 2015-05-28 
出願番号 商願2013-92493(T2013-92493) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W30)
T 1 8・ 261- Z (W30)
T 1 8・ 263- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 雅也 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 早川 文宏
前山 るり子
商標の称呼 キクヤ、ヨシヒサヤ、キク、ヨシヒサ 
代理人 橘 和之 

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