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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W2931
審判 全部申立て  登録を維持 W2931
管理番号 1301771 
異議申立番号 異議2014-900281 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-09-29 
確定日 2015-06-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第5681979号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5681979号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5681979号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成26年1月30日に登録出願、第29類「加工野菜及び加工果実」及び第31類「野菜,果実」を指定商品として同年6月3日に登録査定、同年6月27日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下、申立人という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第8号及び同項第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第8号について
(1)申立人及び引用商標について
ア 申立人は、2008年に設立された、アメリカ合衆国ユタ州オレムに本社を置き、精油(エッセンシャルオイル)、サプリメント及びスキンケア製品等を販売する法人のホールディングカンパニーであり、その正式名称は、doTERRA Holdings LLCである。
イ 申立人は、日本において、以下の登録商標を所有している(甲1ないし甲8)。
(ア)登録第5282897号商標は、「doTERRA」(「o」の文字にはマクロン(長音記号)が付されている。以下、この審決において、「doTERRA」の文字があるときは、そのうちの「o」の文字にはマクロン記号が付されている。)の欧文字を書してなり、平成21年7月1日に登録出願、第9類、第16類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年11月27日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(イ)登録第5292055号商標は、「doTERRA」の欧文字を書してなり、平成21年4月1日に登録出願、第3類及び第29類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同22年1月8日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(ウ)登録第5593436号商標は、「doTERRA InTune」の欧文字を書してなり、平成25年1月23日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年6月28日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(エ)登録第5597630号商標は、「doTERRA Salubelle」の欧文字を書してなり、平成25年1月22日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年7月12日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(オ)登録第5609041号商標は、「doTERRA Essential Collection」の欧文字を書してなり、平成25年3月6日に登録出願、第3類及び第16類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年8月23日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(カ)登録第5701491号商標は、「doTERRA TriEase」の欧文字を書してなり、平成26年4月10日に登録出願、第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年9月12日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(キ)登録第5702980号商標は、「doTERRA Purify」の欧文字を書してなり、平成25年1月22日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同26年9月19日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(ク)登録第5707537号商標は、「doTERRA Verage」(「a」の文字にはアクサンテギュが付されている。)の欧文字を書してなり、平成26年4月28日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年10月3日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
ウ 申立人の親会社である、「doTERRA International LLC」は、日本法人の「doTERRA CPTG Essential Oils Japan合同会社」(以下「ドテラジャパン」という。)を初め、メキシコ法人の「doTERRA do Mexico」、欧州法人の「doTERRA Europe」等、世界各国に多数の関連会社を有している。
そして、申立人を初めとするこれらの会社(以下「申立人ら」という。)は、自らを「doTERRA」と称しており、世界各国の「エッセンシャルオイル」を取り扱う業界において、「doTERRA」の文字は、申立人を初めとするグループ会社を指称するものとして、周知著名になっている。
なお、申立人らは、「doTERRA」はラテン語で「地球からの贈り物」という意味を有すると説明しているが、「贈り物」を意味するラテン語は「donum」であり(甲10)、「doTERRA」は申立人らの創作に係る造語である。
申立人の日本法人を設立したのは、平成24(2012)年4月であるが、それ以前から、申立人の関連会社の製造販売に係るエッセンシャルオイルを初めとする商品を購入することが可能であった。事実、平成22年(2010年)ないし同23年(2011年)に日本人向けの商品カタログが存在した(甲11)。
そして、日本法人設立の前後より、申立人の「独立プロダクトコンサルタント(IPC)」が多数存在し、平成26年4月の時点で、日本における会員数は、4万人を突破し、毎月平均1700人が会員登録しており、アメリ力本社も、2008年の設立から僅か5年の間で、会員数が約50万人、売上が500億円近くとなった(甲12)。そして、IPCがネット広告等をすることにより、少なくとも本件商標の出願時である平成26年1月30日の時点では、我が国においても、「doTERRA」の文字は、申立人らを指称するものとして周知著名になっていた(甲13ないし甲36)。
(2)本件商標
本件商標は、その構成中、下方部分が、多少図案化されているとはいえ、欧文字「DoTERRA」を表したものであることは容易に認識、理解できるところである。しかも、2文字目の「o」の上部には、植物の双葉のような図形が施されており、マクロン記号を模して表したことが窺えるところである。
そして、この欧文字「DoTERRA」は、英語の辞書等に掲載されている既成の英単語等ではなく、上述したとおり、ラテン語に由来するものであって、我が国の一般需要者にとっては、極めて馴染みの薄いものである。
このように、我が国の一般需要者にとって極めて馴染みの薄いラテン語を含む本件商標を、申立人とは無関係に、個人が自ら創作し採択したとは到底想定できるところではない。むしろ、申立人の存在を知った上で、それを無断で借用し、採択しようとしていることは客観的に明白である。
(3)小括
したがって、本件商標の該構成部分は、極めて特徴的な欧文字であることからしても、申立人の著名な略称を含むものであることが明らかであって、申立人の承諾を得たものでもないから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人の製造、販売に係る商品「精油」(エッセンシャルオイル)(以下、「使用商品」という。)には、全て「doTERRA」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)が付されている。そして、その引用商標を付した使用商品は、我が国において、申立人の出所に係るものとして、広く需要者の間で知られている。
また、申立人は、使用商品の他、サプリメントやスキンケア製品をも製造、販売しており、いずれも人の健康に関する商品である。
他方、本件商標は、その構成中に、「DoTERRA」の欧文字を包含するものであって、本件指定商品は、第29類「加工野菜及び加工果実」及び第31類「野菜,果実」である。
このように、本件商標は、極めて特徴のある欧文字の組み合わせを含むものであって、かかる欧文字の組み合わせは、申立人の周知著名な引用商標と実質的に同一である。
また、野菜及び果実並びにそれらの加工品は、近時の健康ブームとも相俟って、人の健康に関する商品であり、取り分け、野菜及び果実は、いわゆる健康食品の原材料として多数使用されている。
したがって、人の健康に関する商品である点で、申立人の業務に係る商品と本件商標の指定商品とは共通する。
そうとすれば、本件商標がその指定商品に使用された場合、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤信し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同項第15号に該当するものであって、商標法第43条の2第1号により、その登録が取り消されるべきものである。

第3 当審の判断
1 「doTERRA」の文字の周知性について
(1)申立人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 甲第9号証は、2014年12月24日に紙出力された「doTERRA-Essential Oils-Japan」のウェブサイトであるところ、「doTERRAのご紹介」の見出しの下、「 エッセンシャルオイルとは植物の種、樹皮、茎、根、花、そしてその他の部分にある天然の芳香族化合物です。・・・doTERRA (「地球からの贈り物」という意味)CPTG Classified Pure Tested Grade(「e」の後に○の中に「R」の文字がある。)のエッセンシャルオイルは今日手に入るオイルの中で最も安全、純粋で体に優しいものです。」の記載及びエッセンシャルオイルの瓶に「doTERRA」の欧文字を付した各商品(ラベンダー、レモン、ペパーミント等)が紹介されている。
また、製品の購入方法として、会員登録をして、独立プロダクトコンサルタント(IPC)又はプリファード・メンバーを通して購入する方法及び、会員登録をせずに、ドテラジャパンが運営するショッピングサイトを通して購入する方法が紹介されている。
イ 甲第12号証は、2014年9月6日付けの「ネットワークビジネスを勧誘しないで成功させるブログ!」と題する、ドテラジャパンのウェブサイトであるところ、ドテラジャパンの会員数が約4万人で、新規会員登録数は月平均1700人に上ること、米本社も2008年の設立から、5年で会員数50万人、500億円近くを売り上げたこと、製品はエッセンシャルオイルだけでなく、ミネラルを主体にした栄養補助食品やパーソナルケア製品も取り扱っていること、ドテラジャパンのIPCはネットワークビジネス未経験者の方が多いこと等の記載がある。
ウ 2014年12月19日又は同月24日に紙出力された、申立人の「独立プロダクトコンサルタント(IPC)」等によるウェブサイト(甲13ないし甲36)によれば、「セラピー等級のdoTERRA社のアロマオイルの購入・販売、通販サイト」、「ドテラ社のCPTG認定純粋セラピー等級エッセンシャルオイルとその製品を・・・ドテラ社の個人プロダクトコンサルタントとしてご紹介・・・」、「アロマタッチテクニックは、doTERRA(ドテラ)のエッセンシャルオイルを使って、背中、頭、足裏をトリートメントしてきます。」、「世界で最高品質を誇るdoTERRA-ドテラ-社の100%純粋で安全なCPTG認定純粋セラピー等級エッセンシャルオイルのご案内です。」等の記載と共に、瓶の側面に引用商標が付された使用商品の写真が紹介されている。
なお、上記ウェブサイト中には、「当サイトは一般会員によるサイトです。ドテラ社が運営しているサイトではありません。」の記載がある(甲13、甲17及び甲21)。
(2)上記(1)によれば、申立人らの取扱いに係る商品「エッセンシャルオイル」(使用商品)について、「doTERRA」の商標(引用商標)が付されていること、その使用商品は、会員登録をした独立プロダクトコンサルタント又はプリファード・メンバーを通して購入する方法若しくはドテラジャパンが運営するショッピングサイトにおいて購入することができるものであること、使用商品は、独立プロダクトコンサルタントが運営するウェブサイトにおいて、「ドテラ社のCPTG認定純粋セラピー等級エッセンシャルオイル」等として紹介されていることが認められるとしても、引用商標を使用した使用商品についての販売量、販売額、販売地域等を具体的に把握できる証拠方法は提出されていない。また、宣伝、広告等についても、会員登録をした独立プロダクトコンサルタントのウェブサイトにおいて、使用商品の紹介がされることをもって、引用商標が周知になったものということはできないものであるし、職権をもって調査するも、引用商標を周知、著名とすべき事実を見出すこともできないものである。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人らの業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間で広く認識され、周知著名になっていたと認めることはできない。
また、申立人らを「doTERRA」又は「ドテラ社」と略称されていることは認められるものの、「doTERRA」の文字が申立人の著名な略称として認識されるに至っていたとまで認めることもできない。
2 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、別掲のとおり、図形部分と多少図案化されてはいるものの容易に「DoTERRA」の欧文字を表したものと認められる構成からなるものであるところ、図形部分と文字部分とは、それぞれの構成及び態様に照らすならば、これらが一体不可分のものとして結合しているわけではないから、その構成中の文字部分も独立して自他商品の識別標識として機能し得る要部といえるものである。そうすると、その構成文字全体から「ドテラ」の称呼が生じ、特定の観念を生じるものではないといえる。
他方、引用商標は、「doTERRA」の欧文字からなるものであるから、これより「ドテラ」の称呼が生じ、特定の観念を生じるものではない。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観においては、本件商標の要部である文字部分と引用商標とは、その構成文字の綴りが共通するものであり、また、称呼においても「ドテラ」の称呼を共通にするものであるから、類似の商標というのが相当である。
しかしながら、引用商標は、上記1のとおり、我が国における取引者、需要者の間で広く認識されているものと認めることができないものであること、及び本件商標の指定商品は、前記第1のとおり「加工野菜及び加工果実」等であり、一方の引用商標の使用商品は「エッセンシャルオイル」であり、その生産部門、販売部門、用途等が相違するものであることから、本件商標は商標権者がこれを本件商標の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が申立人商標を連想、想起するものとはいえず、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第8号について
上記1(2)のとおり、申立人らが「doTERRA」と略称されることがあったとしても、その略称が申立人らの著名な略称になっていたとまでは認めることができないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものとはいえない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)(色彩は原本参照)






異議決定日 2015-06-10 
出願番号 商願2014-6290(T2014-6290) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (W2931)
T 1 651・ 271- Y (W2931)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 中束 としえ
梶原 良子
登録日 2014-06-27 
登録番号 商標登録第5681979号(T5681979) 
権利者 永木 誠
商標の称呼 ドゥテラ、ドテラ、デイオオテラ、テラ、テッラ 
代理人 古関 宏 

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