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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2014900326 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W2943
審判 全部申立て  登録を維持 W2943
管理番号 1301767 
異議申立番号 異議2013-900327 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-09-19 
確定日 2015-06-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第5600708号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5600708号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5600708号商標(以下「本件商標」という。)は,「東京634バーグ」の文字を標準文字で表してなり,平成25年3月1日に登録出願,第29類「ハンバーグ,肉製品,食肉」及び第43類「飲食物の提供,ハンバーグを主とする飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として,同年6月7日に登録査定,同年7月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当し,その登録は同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第7号について
本件商標中の「バーグ」部分は,指定商品及び指定役務との関係より「ハンバーグ」を表すため,識別力がないかまたは極めて弱い部分であるから,本件商標の要部は「東京634」の部分である。そして,「東京634」の文字は,634mの高さを誇る我が国において著名な「東京スカイツリー」を想起させるものである。
これより,本件商標は,「東京スカイツリー」が持つ著名性及び顧客吸引力に便乗する意図のもとで出願されたものと推認されることから,「東京スカイツリー」の事業主体の許諾のもとで「東京スカイツリー」の登録商標を使用するライセンシーとの間に大きな商業的格差を生じて一般的道徳に反するとともに,競業秩序の維持という法目的からも是認できない。
以上のとおり,本件商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するものであるから,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標権者は,現に本件商標をその指定商品及び役務に使用しており,「東京スカイツリー」の事業主体がオフィシャルショップ内で販売するオリジナル商品や,事業主体の許諾を得て販売されるライセンス商品,あるいは「東京スカイツリー」及びその足元の「東京ソラマチ」で提供されている役務と出所の混同を生じるおそれがある。
また,他人による出願商標「東京634/むさし」(商願2012-052509)がその拒絶理由通知において,高さ634mの「東京スカイツリー」が我が国で著名であること,本件商標の要部と同じ「東京634」が「東京スカイツリー」を認識させることが特許庁において認められている。
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断
(1)「東京634」の文字と「東京スカイツリー」との関連性について
申立人は,(A)インターネットの検索サイトで「東京634」を検索すると,「東京スカイツリー」の開業後であって本件商標の出願前である平成24年9月12日時点においては,すべて著名な「東京スカイツリー」に関する情報が検索,表示されていたことから,インターネット上では「東京634」が「東京スカイツリー」を意味するものとして認識されていたと理解できること,(B)著名な「東京スカイツリー」の最高高さが東京の旧国名「武蔵」との語呂合わせにより決定されたこと,「634」は容易に「ムサシ」の称呼を生じ得ること,「東京スカイツリー」の最高高さが634mであることは多数報道されており,著名な事実であること,を総合的に勘案すると,本件商標の要部「東京634」が,世界一の高さを誇る634mの著名な電波塔「東京スカイツリー」を指すことはいうまでもない,と主張する。
確かに,我が国において「東京スカイツリー」が,東京都にある電波塔及び観光施設の名称として著名であり,その高さが634mであることが広く知られており,その634mの高さは,旧国名のひとつである武蔵国を連想させることから決定されたことについてもある程度知られていることが認められる(甲6,甲7)。
しかしながら,そもそも,「東京634」の文字は,「日本国の首都」を表す「東京」の文字と「634」の数字3桁とを結合させたものであるところ,数字「634」を語呂合わせで「ムサシ」と読むことで旧国名「武蔵」を連想させることがあるとしても,それぞれの文字が「東京スカイツリー」を想起させるものではなく,それらを結合した「東京634」全体としても「東京スカイツリー」を想起するような意味合いは生じない。
申立人は,インターネット上では「東京634」が「東京スカイツリー」を意味するものとして認識されていたと理解できると主張する。しかしながら,申立人が提出するインターネットの検索結果には,「東京634」のキーワード一連で検索結果が表示されているのは,本件商標に関するもの以外では,「東京スカイツリー」の事業主体である「東武鉄道株式会社」「東武タワースカイツリー株式会社」等が公認しているとする写真集「東京634 東京スカイツリー写真集」(審決注:「東京スカイツリー」の後には,登録商標記号((R)の文字又は○にR記号)が付されている。)に関する情報がわずかにヒットしているのみであるから(甲3,甲5の1及び2),「東京634」のキーワードにより,インターネットの検索で「東京スカイツリー」に関する情報が多数ヒットしたというのも,「東京634」のキーワード一連としてではなく,「東京」と「634」の2つのキーワードが別々に含まれていた結果にすぎないものと推認される。
そして,当該写真集は,初版本であって,その発行部数・売上げ部数,販売地域等は一切不明であるし,当該写真集における表示態様も,その表紙や奥付には,「東京」の文字と「634」の文字とが二段書きされたもの及び「東京634」の文字が表されているとしても,他に「東京スカイツリー」の文字及び「東京スカイツリー」自体の写真等,直接的に「東京スカイツリー」を示すものも同時に表示されているものである。
そして,他に,申立人からは,「東京634」の文字と「東京スカイツリー」とを明確に関連付ける証左の提出はない。
したがって,「東京634」の文字は,それのみをもって「東京スカイツリー」を一意的に想起させる語(俗称,代名詞等)であるとまでは認めることができない。
(2)本件商標について
本件商標は,前記1のとおり,「東京634バーグ」の文字からなり,その構成文字は,同書,同大,等間隔にまとまりよく一体的に表され,これから生じる「トーキョーロッピャクサンジューヨンバーグ」,「トーキョーロクサンヨンバーグ」及び「トウキョウムサシバーグ」の称呼も,無理なく一連に称呼し得るものである。
申立人は,本件商標中の「バーグ」の文字が「ハンバーグ」を表すことから(甲2),「東京634」の文字が要部として抽出される旨主張する。
しかしながら,甲第2号証に表された使用例は,いずれも「数寄屋バーグ」,「FireBurg」,「STONE BURG」及び「シェーンズバーグ」等のように,構成全体として店舗名,メニュー名を表すものとして使用されていると認められるものであって,提出された資料からは「バーグ」の部分を捨象し,その余の部分をもって取引に資されるような事情は見いだせない。
もとより,本件商標中の「東京634」の文字が「東京スカイツリー」を想起するものではないことは,前記(1)のとおりであるから,これに商品又は役務によっては「ハンバーグ」を想起する場合もある「バーグ」の文字を付して「東京634バーグ」とした本件商標も「東京スカイツリー」を想起するものではない。
(3)商標法第4条第1項第第15号について
本件商標は,「東京スカイツリー」を想起するものではないことは,前記(2)のとおりであるから,本件商標権者がこれをその指定商品又は指定役務について使用しても,取引者,需要者が直ちに「東京スカイツリー」を認識することはなく,その商品が「東京スカイツリー」の事業主体者あるいはその者と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者(他人)の業務に係る商品又は役務であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(4)商標法第4条第1項第第7号について
本件商標は,前記(3)のとおり,「東京スカイツリー」を想起するものとはいえない。
してみれば,本件商標の採択・登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,商取引の秩序を乱し,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反し,公正な取引秩序を乱すものとはいえないし,国際信義に反するものともいえない。
もとより,本件商標は,その構成自体がきょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形ではないし,他の法律によってその使用等が禁止されているものでもない。
さらに,他に本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではない。
(5)申立人の主張
申立人は,過去の出願商標「東京634/むさし」がその拒絶理由通知において,本件商標の構成からは「東京スカイツリー」を認識させることが少なくないと判断され,商標法第4条第1項第15号に違反すると認められている旨主張する。
しかしながら,申立人の挙げた商標登録出願は,商標法第4条第1項第15号だけでなく,同項第11号の拒絶理由も同時に通知された後に,意見書等の提出もなく,最終判断がされる以前に,その出願が取り下げられたものであるから,本件商標とは事案を異にするものであるし,そもそも,本件商標が申立人の主張する取消理由に該当するか否かは,本件商標の全体の構成に基づいて個別具体的に検討,判断すべきものであるから,上記過去の事例に係る商標についての判断が,本件における判断を左右するものでもない。
したがって,申立人の主張は,採用することができない。
(6)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-06-08 
出願番号 商願2013-14255(T2013-14255) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W2943)
T 1 651・ 271- Y (W2943)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
田中 幸一
登録日 2013-07-19 
登録番号 商標登録第5600708号(T5600708) 
権利者 株式会社ペッパーフードサービス
商標の称呼 トーキョームサシバーグ、トーキョーロッピャクサンジューヨンバーグ、トーキョーロクサンヨンバーグ、トーキョームサシ、トーキョーロッピャクサンジューヨン、トーキョーロクサンヨン、ムサシバーグ、ロッピャクサンジューヨンバーグ、ロクサンヨンバーグ、トーキョーバーグ 

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