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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X25
管理番号 1301741 
審判番号 取消2014-300297 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-04-23 
確定日 2015-06-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第5402963号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5402963号商標(以下「本件商標」という。)は,「HACCI」の欧文字を書してなり,平成22年9月16日に登録出願,第25類「被服,履物」,並びに,第3類,第14類,第18類,第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成23年4月1日に設定登録されたものである。
なお,本件の審判請求の登録は,平成26年5月16日であり,本件商標の商標権者の名称は,商標登録原簿の記載によれば,その設定登録時には,「有限会社B.bee」であったが,平成26年9月5日に登録名義人の表示の変更の申請がなされ,「HACCI’sJAPAN合同会社」となっている。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,第25類「被服,履物」について登録を取消す,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,審判請求書及び弁駁書において,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第25類「被服,履物」について,本件審判の請求の日前3年間継続して,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによっても使用されていないものであるから,商標法第50条第1項の規定により,取消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人のウェブサイトによれば,同社は,養蜂家の子女が設立した会社であり,蜂蜜を利用した「美容はちみつ製品」,「食用はちみつ製品」及びこれらの製品を贈り物用にパッキングした「ギフト製品」を製造販売している。
同社の「美容はちみつ製品」には,「ビタミンCシルクペプチド」,「ヒアルロン酸」,「フラバンジェノールコラーゲン」等を混入したはちみつ(商標:BEAUTY HONEY)の他,はちみつを混ぜたり浸透させたりしたせっけん・シートマスク・ボディークリーム・シャンプー・コンディショナー等がある。
また,「食用はちみつ製品」には,各国産はちみつ,はちみつキャンデー・ハーブティー・ラスク等がある。「ギフト製品」は,これらの贈答用商品である。
同社は,これらを,三越銀座店B1化粧品売り場,三越銀座店B2食品売り場の他,伊勢丹新宿店1F,高島屋新宿店B1,西武池袋本店1F等,全国計15店にて直販しているが,これらの店舗では,「コスメ商品のみ」,「食品のみ」あるいは「コスメ・食品」を取り扱っている。
また,同社の通販サイトにおいても,上記「美容はちみつ製品」,「食用はちみつ製品」及び「ギフト製品」を取り扱っている(甲3)。
このような次第につき,被請求人は,はちみつをベースに,これを利用したせっけん類や化粧品等の「美容はちみつ製品」,はちみつやはちみつを利用した食品等を製造販売するのみであり,被服や履物を製造販売していない。
(2)被請求人は,2013年のクリスマス商戦において,同社商品「シートマスク」を「マフラー」と「グローブ(手袋)」と組み合わせて販売した。また,同商戦において,同社商品「ハンドクリーム」と「はちみつ」を「ロンググローブ(長手袋)」と組み合わせて販売した。
このうち,前者は,被請求人の商品「シートマスク」(甲3の7)を販売するものであり,これに,他社製品である「マフラー」及び「グローブ(手袋)」を付加したにすぎないと思われる。
また,後者は,被請求人の商品「ハンドクリーム」及びはちみつ(甲3の8)を販売するものであり,これに他社製品である「ロンググローブ(長手袋)」を付加したにすぎないと思われる。
すなわち,答弁書に記載の商品は,被請求人が製造販売する商品の販促の一環としてなされたものであり,これをもって,「マフラー」,「グローブ(手袋)」,「ロンググローブ(長手袋)」が販売されたとは認められない。
(3)乙第1号証ないし乙第3号証によれば,被請求人の商品である「シートマスク」及び「はちみつ」に,本件商標が使用されていると認められる。
他方,同乙各号証をもって,「マフラー」,「グローブ(手袋)」,「ロンググローブ(長手袋)」について,本件商標が使用されたとは認められない。
(4)被請求人は,乙第11号証ないし乙第13号証は,本件商標を付した「マフラー」,「グローブ」,「ロンググローブ」等の写真であり,本件審判の請求の登録前から現在まで,該商品の販売を係属している旨を述べている。
しかしながら,上記のセット商品は,2013年クリスマス商戦に提供されたものであり,答弁書の記載からは,現在も販売されているとは理解されない。
また,答弁書には,「マフラー」,「グローブ」,「ロンググローブ」を単独で販売したとの記載はない。
さらに,乙第11号証ないし乙第13号証として写真に表示された「マフラー」,「グローブ」,「ロンググローブ」が,乙第1号証ないし乙第3号証に記載の商品セットに組み込まれたものと同一であることを示す証拠は一切ない。
これらの記載及び証拠をもって,乙第1号証ないし乙第3号証に記載の「マフラー」,「グローブ(手袋)」,「ロンググローブ(長手袋)」について,本件商標が使用されているとは認められない。
(5)被請求人の答弁は,全て理由のないものであり,これをもって,本件商標を,「被服」の範疇に含まれる商品「マフラー」,「グローブ」,「ロンググローブ」について,被請求人が,本件審判の請求の登録日前の3年以内(以下「要証期間」という場合がある。)に,日本国内で使用したことが明らかであるとは認められない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求める,と答弁し,答弁書において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用について
本件商標について,被請求人である本件商標権者は,要証期間に日本国内において,商品「マフラー」や「手袋」について使用をしている。
ア 本件商標は,一般的字体のアルファベット大文字5文字を,一連に横書きしてなる(甲2)。
そして,本件審判の請求に係る指定商品である第25類「被服」には,「マフラー」及び「手袋」が包含される。
イ 本件商標権者は,本件審判の請求の登録前から,本件商標を,「マフラー」及び「手袋(グローブ)」について使用している。
そして,2013年のクリスマス商戦に際しては,本件商標を付した商品「マフラー」と商品「グローブ(手袋)」と商品「シートマスク」とを,“ム・ジェーブの雪景色”とセットネーミングして,セット販売した(セット価格31,500円,2013年11月1日発売)。
また,商品「ロンググローブ(長手袋)」と「ハンドクリーム」と「はちみつ」とを,“フォーブル・サン・ジェルマンの集い”とセットネーミングして,セット販売した(セット価格12,600円,2013年11月1日発売)。
ウ 乙第1号証ないし乙第3号証は,共におしゃれ情報の月刊誌であるが,それぞれ,その2013年12月号に,本件商標権者が実施する上記セット販売の記事が掲載されている。
すなわち,「マフラー」や「グローブ」について,これら商品との関係で使用される本件商標や,上記セットネーミング等の記事が掲載されている。
なお,これらの雑誌の掲載記事は,巻末において,掲載商品の問い合わせ先「SHOP LIST」,「Telephone List」として,製造・販売社のフリーダイヤル等が記載され,本件商標権者の場合は,「ハッチ 0120-1912-83」,「東京都港区赤坂8-5-32-8F 0120・1912・83」,「HACCI 0120-1912-83」等と記載されている(乙10)。
エ 乙第4号証及び乙第5号証は,雑誌編集者等へのプレスリリースに際して,本件商標権者が資料として配布したパンフレットであり,これを基に,例えば,上記乙第1号証ないし乙第3号証が,作成,刊行された経緯である。
乙第4号証及び乙第5号証でも,「マフラー」や「グローブ」について,これら商品との関係で使用される本件商標や,前記セットネーミング等が,記載,表示されている。
そして,その下欄のお問い合わせ先には,「HACCI 1912 OFFICIAL WEBSITE」や,「HACCI 1912 ONLINE STORE」として,「http://haccil912.com」や「http://hacci1912.jp」と記載されている。
オ 乙第6号証は,オンライン上の雑誌書店サイトであり,乙第1号証について,その雑誌発売日が2013年10月23日である点,及び,本件商標権者が実施する前記セット販売について,発売日が11月1日である点やセット金額等がその記事として紹介されている。
カ 乙第7号証は,オンライン上の最新商品情報の紹介サイトであり,本件商標権者が実施する前記両セット販売について,発売日が2013年11月1日である点やセット金額等が,記事として紹介されている。
キ 乙第8号証は,本件商標権者のホームページ中のオンラインストアのページであり,その右上欄に示されたお問い合わせ・注文先のフリーダイヤル0120-1912-83は,本件商標権者のものである。
乙第9号証は,商品「シートマスク」のカタログであり,その価格が11,880円と表示されている。
ク 乙第10号証は,本件商標権者が本件審判の請求の登録前から継続掲載中のホームページであり,本件商標権者の詳細情報が示されている。
ケ 乙第11号証ないし乙第13号証は,本件商標を付した商品「マフラー」,「グローブ」,「ロンググローブ」の写真であり,それぞれの商品の全体写真と,商標部分の要部アップ写真よりなる。本件商標権者は,本件審判の請求の登録前から現在まで,該商品の販売を継続している。
・撮影年月日:平成26年6月24日
・撮影者の住所(居所)及び氏名:東京都港区赤坂8-5-32-8F 有限会社B.bee内 江畑 さやか
・撮影場所:東京都港区赤坂8-5-32-8F 有限会社B.bee内
(2)以上述べた各乙号証に関し,本件商標と,商標として使用されている商標とは,問題なく同一性の範疇にある。
また,使用に係る商品「マフラー」や「グローブ」は,指定商品に属している。
(3)以上のとおり,被請求人である本件商標権者が,要証期間に,日本国内において,商品「マフラー」及び「手袋」について,本件商標を使用している事実が立証された。
したがって,本件商標について,その指定商品中,第25類「被服,履物」は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきではない。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
(1)乙第2号証は,「bea’s up」(ビーズアップ)との題号の雑誌(一部,写し,2013年11月号 11月1日 株式会社スタンダードマガジン発行)であり,その53頁には,「HACCI」の表示があり,その他には,「11/1限定発売」,「・・・シートマスク6枚組み。マフラーとグローブは,フランスのGEORGES MORAN製。・・・<セット内容>右から:マフラー,グローブ,シートマスク32ml×6枚。ム・ジェーブの雪景色 ¥31,500」と記載され,「HACCI」と表示されたシートマスクと思しき商品と,マフラー及び手袋の写真が掲載されている。
そして,その61頁には,「HACCI」の表示があり,その他には,「11/1限定発売」,「・・・上質なウールレースでできたロンググローブは,女性らしいふんわり柔らかな雰囲気が魅力。<セット内容>右から:ハンドクリーム25g,ビタミンC+シルクペプチドはちみつ40g,ロンググローブ。フォーブル・サン・ジェルマンの集い ¥12,600」と記載され,他の商品と共に長手袋の写真が掲載されている。
また,その164頁には,この雑誌に協力したメーカーの一覧が掲載されており,その「は」の項に,「HACCI 東京都港区赤坂8?5?32?8F」と記載されている。
(2)乙第4号証は,「HACCI」の「ム・ジェーブの雪景色?セット内容?」に関するプレスリリース配布のパンフレット(写し)であり,「マフラー 160×23cm/グローブ 23cm」及び「2013年11月1日(金)発売 限定品『HACCI ム・ジェーブの雪景色』¥31,500(税込)」の記載がある。
乙第5号証は,乙第4号証と同様の「HACCI」の「フォーブル・サン・ジェルマンの集い」に関するパンフレット(写し)であり,「ロンググローブ 50cm」及び「2013年11月1日(金)発売 限定品『HACCI フォーブル・サン・ジェルマンの集い』¥12,600(税込)」の記載がある。
そして,これらには,「≪プレスお問い合わせ先≫」として,「OFFICIAL WEBSITE http://hacci1912.com」の記載がある。
(3)乙第10号証は,本件商標権者のホームページ(写し,2014年6月25日印刷)であり,その5葉目の「会社情報」には,本件商標権の旧商号である「会社名 有限会社B.bee(ビービー)」,「所在地 東京都港区赤坂8?5?32?8F」及び「URL http://hacci1912.com」の記載がある。
(4)乙第11号証は,「マフラー」,乙第12号証は「手袋」及び乙第13号証は「長手袋」の写真であり,いずれにも「HACCI」と表示された布タグが付されている。
2 以上によれば,以下のとおり判断できる。
(1)本件商標の使用について
ア 「HACCI」は,要証期間である2013年11月1日に発行された「bea’s up」(ビーズアップ)との題号の雑誌において,「HACCI」と表示された,商品「マフラー」,「手袋」及び「長手袋」に関する広告を行ったものである(乙2)。
イ 上記雑誌に広告された商品のメーカーの一覧に記載された「HACCI」の所在地である「東京都港区赤坂8?5?32?8F」及び該雑誌の「プレスお問い合わせ先」に記載された「OFFICIAL WEBSITE」の「http://hacci1912.com」は,本件商標権者のホームページ(乙10)に記載されている「所在地」及び「URL」と一致するものであるから,本件商標権者による広告と認められる。
ウ 「HACCI」の欧文字を付した「マフラー」,「手袋」及び「長手袋」は,本件審判の請求に係る指定商品中,「被服」に含まれる商品と認められる。
エ 本件商標は,「HACCI」の欧文字を表してなるものであり,「マフラー」,「手袋」及び「長手袋」に関して雑誌広告に使用された商標は,「HACCI」の欧文字からなるものであって,使用された商標は,本件商標と同一の綴りであるから,社会通念上同一の商標と認められる。
(2)上記(1)によれば,本件商標権者は,要証期間に,日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品中,第25類「被服」に含まれる「マフラー」,「手袋」及び「長手袋」に関する雑誌広告に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して使用したものであり,その行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものと認められる。
3 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者が,その請求に係る指定商品中,第25類「被服」に含まれる「マフラー,手袋,長手袋」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2014-12-26 
結審通知日 2015-01-07 
審決日 2015-01-22 
出願番号 商願2010-73015(T2010-73015) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯田 亜紀 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 亨子
井出 英一郎
登録日 2011-04-01 
登録番号 商標登録第5402963号(T5402963) 
商標の称呼 ハッチ、ハッシ 
代理人 特許業務法人きさ特許商標事務所 
代理人 合志 元延 

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