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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X091016414244 |
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管理番号 | 1301698 |
審判番号 | 取消2014-300353 |
総通号数 | 187 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-07-31 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2014-05-14 |
確定日 | 2015-05-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5410956号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5410956号商標(以下「本件商標」という。)は、「KXL」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年9月17日に登録出願、第9類「コンタクトレンズ,コンタクトレンズの部品及び付属品,コンタクトレンズ用容器」、第10類「医療用機械器具」、第16類「新聞,雑誌,書籍,その他の印刷物」、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」、第42類「眼科治療方法又は診断方法に関する調査又は研究,視力矯正方法又は視覚矯正方法に関する調査又は研究,医薬品・化粧品または食品の試験・調査又は研究,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用のプログラムの提供,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与」及び第44類「医業,健康診断,調剤,医療情報の提供,美容,医療用機械器具の貸与」を指定商品及び指定役務として、同23年5月13日に設定登録されたものである。 なお、本件審判の請求の登録は、平成26年5月30日である。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定商品・指定役務について、今日に至るまで、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張している。 なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。 3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)乙第1号証について 被請求人は、三井メディカルクリニック院長を務める眼科医であり、平成26年3月1日から乙第1号証の1のリーフレットを印刷、配布している。 該リーフレットは、被請求人が用いている視力矯正のための複数の治療方法を説明するものであり、そのうちの「クロスリンキング」の欄において、「KXL」の治療方法が記載されており、発行日は、該リーフレットの末尾ページの最下段に「2014.3.1」と印刷していることから明白である。 また、同リーフレットに記載された三井メディカルクリニックの住所は、「東京都港区虎ノ門2-4-1 虎ノ門ピアザビル7階」と表示されているが、これは、乙第1号証の2の「クリニック移転のお知らせ」にあるように、平成25年12月1日に移転した後の住所であり、移転後に直ちに印刷にかかり、移転から遅れること3ヶ月で配布を開始したものであり、本件審判請求についての予告登録日である、平成26年5月28日以前に配布されたことは明白である。 さらに、該リーフレットには、「KXL」と商標が記載され、その右肩には、いわゆるマルアール印を付して、これが登録商標であることを示している。 該リーフレットにおける、「KXL」の「使用」は、本件商標の指定役務中の「医業」についての、商標法第2条第3項第3号ないし第6号のいずれかの「使用」に該当する。 (2)乙第2号証について 乙第2号証により、被請求人が、その医業について本件商標を使用したことを証明する。 乙第2号証の1ないし3は、被請求人が、その治療の際に用いたカルテ(診療録及び問診票)であり、円錐角膜を治療するために、本件商標の「KXL」が使用されていることが明白である。 上記乙第2号証の1ないし3における、本件商標の「KXL」の「使用」は、本件商標の指定役務中の「医業」についての、商標法第2条第3項第3号ないし第6号のいずれかの「使用」に該当する。 (3)その他の乙各号証について 乙第3号証は、被請求人が、平成26年2月22日に開催された、円錐角膜研究会主催の「次世代のCXLを考える会」において、特別講演を行い、その際に、本件商標の「KXL」を使用したことを証明するものであり、乙第4号証は、東邦大学医学部の客員教授である被請求人が、同大学医学部において行った講義の際に用いたパワーポイントスライドにより、本件商標の「KXL」を使用したことを証明するものである。 これらの使用は、「技芸・スポーツ又は知識の教授,眼科治療方法又は診断方法に関する調査又は研究,視力矯正方法又は視覚矯正方法に関する調査又は研究,医業」についての、商標法第2条第3項第3号ないし第6号のいずれかの「使用」に該当する。 (4)むすび 以上のとおり、被請求人は、本件商標を本件審判の請求の予告登録がされた平成26年5月28日以前、過去3年以内に、本件取消審判の対象とされた指定役務中に含まれる「技芸・スポーツ又は知識の教授,眼科治療方法又は診断方法に関する調査又は研究,視力矯正方法又は視覚矯正方法に関する調査又は研究,医業,医療情報の提供」について使用しており、被請求人の提出にかかる乙第1号証ないし乙第4号証により、本件商標が使用されている事実が証明されている。 以上により、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当するものではなく、その登録が維持されるべきものであって、本件審判の請求は、理由がない。 4 当審の判断 (1)被請求人の提出した証拠及びその主張によれば、以下の事実が認められる。 ア 乙第1号証の1について 乙第1号証の1は、医療法人社団和邇会三井メディカルクリニック(東京都港区虎ノ門2-4-1 虎ノ門ピアザビル7階)を紹介するリーフレットであり、該リーフレット中には、院長としての商標権者を紹介し、2000年5月から開業、以来、2万人近くの視力回復に貢献し、2014年虎ノ門に移転し新たなステージを迎えた旨の記載がある。 また、該リーフレットには、「手術せずに視力が回復する画期的な治療法 レーシックより安全」、「老眼、円錐角膜なども治療可能」の見出しのもと、「4」としてそれぞれの右肩に「○」の中に「R」が表示されている記号(以下「○R記号」という。)が付された「クロスリンキング(CXL・KXL)」の項目があり、その説明として「クロスリンキングは、365nmの波長をもつ医療用紫外線とボフラビン(ビタミンB2)を用いて、角膜実質のコラーゲン繊維間に架橋を形成(クロスリンキング)して、コラーゲン繊維の強度を高めることで、角膜の形状変化を最小限のとどめる治療法です。・・・」との記載があり、最終ページの右下隅には、日付として「2014.3.1」が表示されている。 イ 乙第1号証の2について 乙第1号証の2は、クリニックの移転を知らせるチラシと認められるところ、そのチラシ中には、医療法人社団和邇会三井メディカルクリニックが平成25年12月1日に東京都港区虎ノ門2-4-1 虎ノ門ピアザビル7階に移転した旨の記載がある。 (2)上記事実によれば、以下のとおり判断できる。 ア 使用者について 上記(1)によれば、商標権者は、医療法人社団和邇会三井メディカルクリニックの院長として該クリニックを運営している者であり、該クリニックは、商標権者と実質的に同一人に該当するとみて差し支えないものである。 イ 使用時期について 該リーフレット(乙1の1)中の最終ページの右下隅にある「2014.3.1」の表示方法は、通常、リーフレット等の発行日を表示するものとして一般に理解されているものであるから、該リーフレットは、2014年3月1日に発行されたものと認められる。 そして、該クリニックが平成25年12月1日に移転した(乙1の2)後の発行であることからすれば、移転後の住所の記載された該リーフレットは、作成日以降に頒布されたものと優に推認できる。 ウ 使用役務、使用商標について 該リーフレット(乙1の1)中には、「クロスリンキング」として紹介する角膜に関する治療について、我が国において法令上規定された表示方法ではないものの、特定の国や地域において、付された語句や記号が登録された商標(Registered Trademark)であることを知らせるためのマークとして使用されている「○R記号」が付された「KXL」の文字が表示されていることから、商標権者は、「医業」に含まれる「角膜に関する治療」について、本件商標と同一綴りの欧文字「KXL」を使用しているものであり、これは、本件商標と同一(社会通念上の同一を含む。)の商標を使用しているものと認められる。 エ 判断 前記アないしウによれば、本件商標の商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成26年3月1日に、日本国内において、「角膜に関する治療」を含む「医業」についての広告用リーフレットに本件商標を付して頒布していたものである。 そして、上記行為は、商標法第2条第3項第8号にある「商品若しくは役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものである。 (3)まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定役務中「医業」について、本件商標の使用をしていたことを証明したものというべきである。 したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-12-25 |
結審通知日 | 2015-01-06 |
審決日 | 2015-01-20 |
出願番号 | 商願2010-73383(T2010-73383) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(X091016414244)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 箕輪 秀人 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
今田 三男 田中 亨子 |
登録日 | 2011-05-13 |
登録番号 | 商標登録第5410956号(T5410956) |
商標の称呼 | ケイエックスエル |
代理人 | 牧野 剛博 |
代理人 | 永岡 愛 |
代理人 | 北口 貴大 |
代理人 | 岩瀬 吉和 |
代理人 | 高矢 諭 |
代理人 | 城山 康文 |
代理人 | 松山 圭佑 |