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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201518164 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X1636
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X1636
管理番号 1301686 
審判番号 不服2012-17723 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-09-11 
確定日 2015-06-09 
事件の表示 商願2011-73101拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「全国共通お食事券」の文字を標準文字で表してなり、第16類及び第36類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成23年10月13日に登録出願され、その後、本願の指定商品及び指定役務については、原審における同24年4月23日付け及び当審における同25年12月25日付けの手続補正書をもって、第16類「印刷物」及び第36類「全国の加盟店で利用可能な食事券の発行」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『全国共通お食事券』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『全国共通』の文字は、『全国に共通して用いられる(利用できる)』の意味を有し、例えば、『全国共通すし券』、『全国共通ゆうえんち券』、『全国共通図書カード』、『全国共通テスト』、『全国共通フリーダイヤル』のように使用されている語であり、『お食事券』の文字は、『指定された飲食店で、券面に記載されている金額分を利用できる金券』の意味をする語として飲食業界においては、普通に使用されている。そして、全国共通の取扱店で食事券が利用できるという意味で『全国共通お食事券』、『全国共通食事券』の文字が使用されている実情がうかがわれることから、本願商標は全体として、『全国共通の取扱店で利用できるお食事券』程の意味合いを容易に認識させるにすぎず、これを本願の指定役務『全国共通の取扱店で利用できる食事券の発行』に使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記意味合いであることを理解し、把握するにとどまり、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲1に記載の事実を発見したので、平成25年5月7日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、それを請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要点
「証拠調べ通知書」において示された事実は、以下の(1)ないし(4)の理由から本件事案と同列に扱うことができないものである。
(1)商標法でいう「役務」は、他人のためにする便益であるから、第三者発行型であるべきところ、自家発行型の前払式証票であるもの(証拠調べ通知書で示された事実(2)ないし(6)、(10)及び(11))。
(2)前払式証票ではなく、単なるクーポン券であるもの(同(7))。
(3)前払式証票の対象が特定の商品等に限ったものではないもの(同(8及び(9))。
(4)請求人のギフトカードの名称にフリーライドし、希釈化させるもの(同(1))。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「全国共通お食事券」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「全国共通」の文字部分からは「全国に共通して利用できる」程の意味を、同じく、「お食事券」の文字部分からは「食事に利用できる金券」程の意味を、それぞれ容易に看取、理解するといえるから、これに接する者は、その構成全体から「全国に共通して食事に利用できる金券」程の意味合いを認識するとみるのが相当であり、このことは、前記3の証拠調べ通知及び別掲2で提示した「?共通(お)食事券」、「(全国共通)商品券(ギフトカード)」等の使用に係る実情によっても裏付けられるところである。
そうとすると、本願商標をその指定商品及び指定役務中の「全国の加盟店で利用可能な食事券の発行」に使用した場合、これに接する需要者は、該役務の質、内容を記述的に表したものとして認識するにとどまり、自他役務の識別標識として認識することはないというべきである。
したがって、本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、使用された結果、需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識することができるに至った商標であるため、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し、原審ないし当審を通じて証拠を提出している。
そこで、請求人の提出に係る証拠をみるに、以下の事実が認められる。
ア 「全国共通お食事券」の文字の使用(態様)
(ア)食事券
請求人が発行する食事券(以下「本券食事券」という。)の券面には、その中央に「gourmet card」の文字を図案化してなる標章(以下「gourmet card標章」という。)及び「ジェフグルメカード」の文字を2段に配し、さらに、その上方に「ジェフグルメカード」の文字と「全国共通お食事券」の文字(後者は、前者に比して、やや小さく表されている。)を2段書きにしてなるものを配してなるほか、発行者を表示してなるものと理解され得る「株式会社ジェフグルメカード」の文字や券面額としての「¥500」の表示等が配されている(甲4ないし甲8、甲13、甲22ないし甲31、甲33、甲44、甲70、甲72の1ないし20、甲73ないし甲75、甲80)。
(イ)加盟店において掲示されるステッカー
加盟店の入口付近などにおいて掲示(貼付)しているとするステッカー(以下「本件ステッカー」という。)は、赤色の横長楕円形の略中央部を横断するように配してなる赤色帯状図形内に白抜きで「全国共通お食事券」の文字を表すとともに、当該楕円形内の上部に「gourmet card標章」を、同じく、下部に赤色で表してなる「ジェフグルメカード」及び「加盟店」の各文字を2段書きにしてなるものを、それぞれ配してなるものである(甲32)。
(ウ)加盟店リスト
請求人が発行する「加盟店リスト」(表紙又は抜粋の写しを含む。)とされるものは、以下のとおり。
a 1993年(平成5年)前期ないし1994年(平成6年)前期のものであって、リストの表紙に「全国共通お食事券 ジェフグルメカード」(「全国共通お食事券」の文字部分は、「ジェフグルメカード」の文字部分に比して、小さく表されている。)の文字や「gourmet card標章」のほか、「ジェフグルメカードは、この一覧表に記載の各加盟店にて額面と等額のお食事がお楽しみいただけます。」及び「ジェフグルメカードについてのお問い合わせは、下記までお願いいたします。」等の記載があるもの(甲71の1ないし3)。
b 1995年(平成7年)の7月並びに1996年(平成8年)の1月及び4月のものであって、本件食事券及び本件ステッカーの各絵図のほか、「全国共通お食事券 ジェフグルメカード加盟店舗名」又は「全国共通お食事券 ジェフグルメカード加盟社・店舗名」の見出し及び加盟店舗一覧並びに「こちらの店舗では、ジェフグルメカードをお買い求めいただけます。」の記載、「全国共通お食事券 ジェフグルメカードは、下記店舗でもお買い求めいただけます。」の見出し及び店舗一覧等の記載があるもの(甲33、甲72の1ないし3)。
c 2000年(平成12年)6月、2007年(平成19年)の2月、6月及び11月、2008年(平成20年)の3月及び7月、2009年(平成21年)の1月及び7月、2010年(平成22年)の1月、6月及び11月並びに2011年(平成23年)5月及び11月のものであって、本件食事券及び本件ステッカーの各絵図のほか、「全国共通お食事券」及び「ジェフグルメカード」の各文字を2段書きにしてなるもの(「全国共通お食事券」の文字部分は、「ジェフグルメカード」の文字部分に比して、小さく表されている。)、「ジェフグルメカード加盟店情報」の見出し及び加盟店一覧並びに「『ジェフグルメカード』のお買い求めはこちらで」、「ジェフグルメカードは、下記店舗でお買い求めください。」、「『ジェフグルメカード』お買い求めのご案内」又は「『ジェフグルメカード』の販売箇所」の見出し及び店舗一覧等の記載があるもの(甲44、甲72の4、6ないし16)。
d 2012年(平成24年)の6月及び11月並びに2013年(平成25年)の3月及び8月のものであって、本件食事券及び本件ステッカーの各絵図のほか、「全国共通お食事券」及び「ジェフグルメカード」の各文字を2段書きにしてなるもの及び「ジェフグルメカード加盟店情報」の見出し及び加盟店一覧等の記載があるもの(甲72の17ないし20)。
(エ)新聞、テレビ番組における宣伝広告
a 新聞
(a)平成7年6月27日付け「朝日新聞(夕刊)」に「サマーギフト・コレクション・95」の見出しの下、各種ギフト券に係る広告において、当該ギフト券の一として、「全国共通お食事券 ジェフグルメカード」の文字のほか、本件食事券の絵図等が掲載されている(甲18)。
(b)平成7年6月28日付け「日本経済新聞(夕刊)」に、「贈られたい ギフトを贈ろう/ギフト券特集」の見出しの下、各種ギフト券のプレゼントを内容とする広告において、当該ギフト券の一として、「全国共通お食事券」及び「ジェフグルメカード」の各文字を2段書きしてなるもののほか、本件食事券及び本件ステッカーの各絵図等が掲載されている(甲20)。
(c)平成7年6月29日付け「日本経済新聞」に、「ギフト券広告特集」の見出しの下、各種ギフト券に係る広告において、当該ギフト券の一として、「ジェフグルメカード」の文字のほか、本件食事券の絵図等が掲載されている(甲21)。
(d)平成7年11月28日付け「読売新聞(夕刊)」に、「贈る楽しさ、使ううれしさ、だからお歳暮はギフト券。」の見出しの下、各種ギフト券のプレゼントを内容とする広告において、当該ギフト券の一として、「全国共通お食事券」及び「ジェフグルメカード」の各文字を2段書きにしてなるもののほか、本件食事券及び本件ステッカーの各絵図等が掲載されている(甲15)。
(e)平成7年11月28日付け「朝日新聞(夕刊)」に、「ウインター・ギフト・コレクション‘95」の見出しの下、各種ギフト券に係る広告において、当該ギフト券の一として、「全国共通お食事券 ジェフグルメカード」の文字のほか、本件食事券の絵図等が掲載されている(甲16)。
(f)平成7年11月30日付け「毎日新聞(夕刊)」に、「’95冬のギフト(広告)」の見出しの下、各種ギフト券に係る広告において、「全国共通お食事券」及び「ジェフグルメカード」の各文字を2段書きにしてなるもののほか、本件食事券及び本件ステッカーの各絵図等が掲載されている(甲17)。
(g)平成8年1月1日付け「メトロ初詣ガイド」に「うきうきワクワク!/プレゼントコーナー」の見出しの下、各種プレゼント商品等の一として、「全国共通お食事券/ジェフグルメカード/プレゼント!」の文字のほか、本件食事券の絵図等が掲載されている(甲19)。
b テレビ番組
(a)平成8年の7月25日ないし8月29日の間の月曜日から金曜日放送の「ビッグトゥデイ」という番組において、「全国共通お食事券」の文字と本件食事券の絵図等が記載されたものの映像が映し出されたとされる(甲12)。
(b)平成9年11月の6日、13日、20日及び27日、同10年4月の7日、14日、21日及び28日、同年5月の5日、12日、19日及び26日、同年6月の2日、9日、16日、23日及び30日、同年12月の2日、9日、16日及び23日並びに平成11年11月の2日、9日、16日、23日及び30日放送の「はなまるマーケット」という番組において、「全国共通お食事券をプレゼント!」のテロップとともに、本件食事券の映像が各回10秒映し出されたとされる(甲4ないし甲8、甲13)。
(c)平成10年の11月30日及び12月7日放送の「ワンダフル」という番組において、「ジェフグルメカード/全国共通お食事券/¥20,000分プレゼント」のテロップとともに、本件食事券の映像が各回10秒映し出されたとされる(甲9)。
(d)平成10年12月9日放送の「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」という番組において、「全国共通お食事券『ジェフグルメカード』10万円」のテロップとともに、本件食事券の映像が5秒映し出され(甲10)、同月23日放送の同番組において、「サダーズ田代選手には全国共通お食事券『ジェフグルメカード』10万円」のテロップとともに、本件食事券の映像が5秒映し出されたとされる(甲11)。
(e)平成11年9月29日放送の「パパパパPUFFY」という番組において、「全国共通お食事券」のテロップとともに、本件食事券の映像が5秒映し出されたとされる(甲14)。
(オ)その他
a 請求人が1995年(平成7年)5月に加盟社向けに作成した「全国共通お食事券 ジェフグルメカード/’95.SUMMER感謝キャンペーン」に係る案内書とみられるものには、キャンペーンの目的として、「■人気プレミアムである海外旅行のプレゼントによって消費者の興味を集め、ジェフグルメカードのさらなる認知・浸透をはかります。」との記載があるほか、店頭告知ツールとしてのポスターやチラシには、「全国共通お食事券 ジェフグルメカード」の文字並びに本件食事券及び本件ステッカーの各絵図等が表されている(甲74)。
b 「日本経済新聞社 広告局マーケティング調査部」による「広告企画/『ギフト券アンケート』調査結果報告書」(1998年7月)には、「4.ギフト券ブランド認知度」、「5.第一希望プレゼント」及び「6.第二希望プレゼント」の各見出しの下、各種ギフト券の一として、「ジェフグルメカード」が掲載されている(甲3)。
c 「郵便局」が2005年(平成17年)の11月1日から12月24日までの間に実施した「年賀キャンペーン」に係る商品の一として、「全国共通お食事券/20,000円分/1,000名さま」及び「全国約25,000店で使用可能なグルメ券です。」の記載とともに、本件食事券の絵図が掲載されている(甲75)。
d 「住宅エコポイント」の交換商品一覧表(抜粋)において、「食品・飲食券」の見出しの下、各種ギフト券の一として、「ジェフグルメカード(全国共通お食事券)」及び「ジェフグルメカード 10,000円分」等の記載がある(甲40)。
e 「株式会社NTTドコモ」が2011年(平成23年)の10月1日から11月30日までの間に実施した「フォト配信 わくわくキャンペーン」に係る1等賞品として、「全国共通お食事券/ジェフグルメカード/(10,000円分)」及び「30名様」の記載とともに、本件食事券の絵図が掲載されている(甲41)。
イ 本件食事券等に係る「全国共通お食事券」の文字の使用の期間、数量及び範囲等
(ア)本件食事券は、1992年(平成4年)12月1日に、請求人を発行母体として発行が開始されたとされるものであり(甲1、甲35、甲70)、その後、その発行は、継続的に行われているといえる(甲3ないし甲31、甲33、甲40ないし甲42、甲44、甲47、甲70、甲71の1ないし3、甲72の1ないし4、6ないし20、甲74、甲75、甲80)。
(イ)本件食事券の発行数は、その発行開始から1994年(平成6年)3月期決算までの間に334万1,000枚を超えたとされ(甲1、甲35)、また、平成24年3月までの間の発行数は、1億5,000万枚以上とされる(甲69、甲70)。
(ウ)本件食事券が使用可能な店舗(加盟店舗)は、1994年(平成6年)3月時点では、1万9,500店舗とされ(甲70)、その後、2007年(平成19年)2月時点では25,000店舗(甲72の6)、遅くとも2011年(平成23年)末時点では、全国で3万5,000店舗とされる(甲44、甲47)。
(エ)本件ステッカーは、遅くとも1995年(平成7年)夏頃には、店舗の入口等に貼付されていたことがうかがえ(甲74)、その後、その貼付は、継続的に行われていることがうかがえる(甲33、甲42、甲44、甲72の1ないし4、6ないし20、甲80)。
ウ 判断
上記ア及びイにおいて認定した事実によれば、請求人は、1992年(平成4年)12月1日に、「ジェフグルメカード」との名称の食事券であって、全国の加盟店舗において共通して使用できるもの(本件食事券)の発行を開始し、その後、20年以上にわたり、その発行を継続していることが認められる。このことは、例えば、「社団法人日本フードサービス協会」が平成6年12月に発行した「外食の未来を見つめて/外食産業とJFの20年」と称する書物において、「ジェフグルメカードへの挑戦」の見出しの下、「1992年(平成3年)(審決注:正しくは「(平成4年)」と思われる。)12月1日、(株)ジェフグルメカードを発行母体とする全国共通お食事券『ジェフグルメカード』(500円券)の発行が開始された。」、「JF会員社を対象とする“全国共通ギフト券”(食事券)の構想が最初に提起されたのは小坂哲郎会長・・・時代であった。」、「1992年(平成4年)3月、JFはグルメカード事業計画にゴーサインを出すことになる。」及び「1994年(平成6年)3月期決算では・・・ジェフグルメカードの発行枚数は248万6000枚を数え、・・・1992年12月の営業開始以来の発行枚数は334万1000枚を超えた。」との記載があること(甲35)、1995年(平成7年)夏のキャンペーンに関する加盟社向け案内書とみられるものにおいて、請求人自ら、当該キャンペーンの目的として、「■人気プレミアムである海外旅行のプレゼントによって消費者の興味を集め、ジェフグルメカードのさらなる認知・浸透をはかります。」との記載をしていること(甲74)のほか、請求人の業務に係る本件食事券、本件ステッカー、加盟店リストにおいて、継続的に「ジェフグルメカード」の文字が「全国共通お食事券」の文字とともに使用されていることによっても裏付けられる。
また、本件食事券は、第三者の発行に係る新聞に取り上げられたことはあるが、その際には、例えば、本件食事券の発行に先立つ1992年(平成4年)7月23日に開催された請求人の設立総会を紹介する翌日の「毎日新聞」に、「全国の外食店共通の食事券」の見出しの下、「ハンバーガーショップやファミリーレストランなど全国の外食店で使える共通食事券を発行するため・・・発行母体になる株式会社ジェフグルメカード(富田昭平社長)を設立した。食事券は『ジェフグルメカード』の名称で、額面五百円」との記載、同じく、「読売新聞」に、「共通食事券の発行会社設立/JF」の見出しの下、「・・・全国のレストランやファストフード店で共通して使える食事券『ジェフグルメカード』を発行する株式会社、ジェフグルメカード(富田昭平社長)を同日付で設立したと正式に発表した。」との記載、同じく、「日本経済新聞」に、「全国共通食事券/JF、80社1万2000店で/11月から」の見出しの下、「外食企業の業界団体である日本フードサービス協会(略称JF=ジェフ、会長新道喜久治氏)は十一月から、全国共通の食事券『ジェフグルメカード』を発行する。・・・ジェフグルメカードは『図書券』や『おこめ券』の飲食店版。ファミリーレストランや居酒屋などで、現金代わりに利用できる。」との記載がある(甲39)ように、「ジェフグルメカード」との名称の食事券が、全国の加盟店舗において共通して使用できるものであることを紹介する内容の記事であったり、各種ギフト券の紹介ないしプレゼントを内容とする記事において、本件食事券又は本券ステッカーの絵図とともに、「ジェフグルメカード」の文字及び「全国共通お食事券」の文字の表示がされているものである。
さらに、本件食事券は、第三者の制作に係るテレビ番組に取り上げられたことがあり、その際に、本件食事券の映像上のテロップとして、「全国共通お食事券」や「全国共通お食事券をプレゼント!」の表示がされた場合があることはうかがえるものの、これらは、概ね視聴者へのプレゼント商品を5秒又は10秒という極めて短い時間内に紹介することを目的とするものといえ、その目的に鑑みれば、プレゼント対象商品の本質的内容(全国に共通して食事に利用できる金券であること)を視聴者へ端的に伝達するために用いた表示といい得るものである。
その他、請求人の提出した証拠を総合してみても、本願商標「全国共通お食事券」が、本願の指定役務「全国の加盟店で利用可能な食事券の発行」について使用された結果、需要者をして、請求人の業務に係る役務を表示するものとして認識されるに至っていると認めるに足る事実は見いだし得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項に定める要件を具備するに至っているものとは認められない。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の構成中の「全国共通」の文字から生ずる「全国に共通して用いられる(利用できる)」という意味合いは極めて漠然としたものであるため、その構成全体をもって、直接的かつ具体的な内容が看取され得ることはないから、本願商標は、本来的に自他役務の識別標識として機能する旨主張する。
しかしながら、本願商標は、上記(1)において認定、判断したとおり、これに接する者をして、その構成全体から「全国に共通して食事に利用できる金券」程の意味合いを認識させるものであることから、これを本願の指定役務「全国の加盟店で利用可能な食事券の発行」に使用した場合、これに接する需要者は、その発行に係る食事券が上記意味合いに照応するものであること、すなわち、具体的な役務の質、内容を記述的に表してなるものとして認識するにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないというべきものである。
したがって、上記請求人の主張は採用することができない。
イ 請求人は、自らが発行するギフトカード(前払式証票)は、「全国共通お食事券」という名称をもって、需要者に広く認識され、周知のものとなっていることから、当該「全国共通お食事券」との名称は、請求人の業務(前払式証票の発行)に係る商標として広く認識され、今日において、請求人の識別標識として機能している旨主張する。
しかしながら、請求人の主張及び同人の提出に係る証拠を総合してみても、「全国共通お食事券」の文字からなる本願商標が、本願の指定役務「全国の加盟店で利用可能な食事券の発行」について使用をされた結果、需要者をして、請求人の業務に係る役務を表示するものとして認識されるに至っていると認めることはできないこと、上記(2)において述べたとおりであるから、この点についての請求人の主張を採用することはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(証拠調べ通知により示した事実)
(1)株式会社ぐるなびのウェブサイト
・2011年9月15日付けNEWS RELEASE「『ぐるなびギフトカード』全国共通お食事券の販売を開始」の見出しの下、「全国の飲食店で使える『ぐるなびギフトカード』全国共通お食事券を2011年9月15日(木)から販売いたします。」、「チェーン店だけでなく全国の個人経営店で利用できる初めてのギフトカード」との記載がある。
(http://www.gnavi.co.jp/company/release/2011/pdf/110915_01.pdf)
・「ぐるなびギフトカード」のページ
「全国15,513店舗で使える」の見出しの下、「ご利用いただけるレストラン・飲食店の目印として、店内にお取扱店であることを示すご案内がございます(右図参照)。」との記載があり、その図中に「ぐるなび」、「ギフトカード」の文字と共に「全国共通お食事券」の文字が記載されている。
(http://www.gnavi.co.jp/giftcard/)
(2)ルートインホテルズのウェブサイト
「ルートイングループ共通お食事券販売中!」の見出しの下、「・本券はルートイングループが運営する海外を除く全国の飲食店でご利用頂けます。<花茶屋・花々亭・海鮮居酒屋はなの舞・海鮮ダイニングはなの夢など>」との記載がある。
(http://www.route-inn.co.jp/topics/detail.php?topics_id=64)
(3)焼肉ヌルボンうまかもん便のウェブサイト
「焼肉ヌルボングループ共通お食事券」の「商品紹介」において、「『黒和牛焼肉伝統料理ヌルボン』『焼肉ヌルボンガーデン』『レストラン風の邱』『団らん居酒家はな』のグループ全店でご利用いただけるお食事券です。」との記載がある。
(http://www.nurubon-shop.com/fs/royal/gr10/019)
(4)チケットショッププラスのウェブサイト
「物語グループ 共通お食事券」の見出しの下、「『焼肉一番カルビ』『焼肉一番かるび』『焼肉きんぐ』『丸源ラーメン』『二代目丸源』『大阪梅田お好み焼本舗』『魚貝三昧げん屋』『源氏総本店』の各全店でご利用可能です。」との記載がある。
(https://www.ts-plus.co.jp/e-commex/cgi-bin/ex_disp_item_detail/id/6187/)
(5)株式会社ひらまつのウェブサイト
・「ひらまつ共通食事券・共通ワインセット券」の見出しの下、「ひらまつグループ22のレストラン共通でご利用いただけるランチ券、ディナー券、ワインセット券です。」との記載がある。
(http://www.hiramatsu.co.jp/ticket/common.html)
・「食事券についてのご質問」の項中、「Q 複数のお店で使える食事券はありますか?」に対し「A 『ひらまつ共通食事券』(中略)は全国のひらまつグループ内レストランでご利用いただけます。」との記載がある。
(http://www.hiramatsu.co.jp/ticket/)
(6)ギフト券検索ならガリレオのウェブサイト
「ダイナック共通お食事券」の見出しの下、「ダイナック共通お食事券は、全国の提携レストランでお食事などに使用して頂けるギフトチケットです。」との記載がある。
(http://www.galireo.com/gift_ticket/dynac.html)
(7)パシフィコ横浜のウェブサイト
「みなとみらい21共通飲食券」のページにおいて、「みなとみらい21地区及び隣接するポートサイド地区の加盟飲食店約130店舗でご利用いただけるクーポンです。」との記載がある。
(http://www.pacifico.co.jp/promoter/support/sp06.html)
(8)JTBのウェブサイト
「全国共通商品券(ナイスギフト)」のページ中、「ショッピングやお食事に、使いみちいろいろ。全国50万店以上で使える、オールマイティな商品券。」との記載がある。
(http://www.jtb.co.jp/gift/ecopointjutaku/nicegift.asp)
(9)三井住友VISAカードのウェブサイト
「三井住友カードVJAギフトカード(全国共通商品券)のご案内」の項中、「全国で使える商品券」の見出しの下、「三井住友カードVJAギフトカードは全国50万店以上のVJAギフトカード取扱店(デパート、大手スーパー、ショッピングセンター、専門店、レストラン、ホテルなど)でご利用になれる全国共通商品券です。」との記載がある。
(https://www.smbc-card.com/mem/giftcard/)
(10)エス・ビー・システムズ株式会社のウェブサイト
「CGCグループ共通商品券 取扱い加盟店のご案内」の見出しの下、「北海道から沖縄まで全国のCGCグル-プ加盟3,500店舗でご利用いただけます。」との記載がある。
(http://www.sbsystems.co.jp/cgcgift/index2.html)
(11)株式会社セブン&アイHLDGS.のウェブサイト
「セブン&アイ共通商品券」の見出しの下、「商品券は、セブン&アイHLDGS.各店で共通してご利用いただけます。」との記載がある。
(http://www.7andi.com/company/giftcertificate.html)

(参考)
「金券」とは「特定の範囲で金銭の代りに通用させる券」を意味する(広辞苑第六版)。

別掲2(「全国共通○○券」の使用に係る実情)
(1)「全国すし商生活衛生同業組合連合会」のウェブサイトにおいて、「全国共通すし券」の見出しの下、「『全国共通すし券』は、『全国すし商生活衛生同業組合連合会』傘下の各県組合が直接取り扱っている全国統一の『すし券』です。全国どこでも組合に加盟している『すし店』で、ご利用いただけますように普及活動を続けておりますが、まだ完全徹底しておらず、取扱をしていない店もあります。」との記載がある。
(http://sushi-all-japan.com/index_c1.html)
(2)「株式会社文化放送開発センター」のウェブサイトにおいて、「全国共通ゆうえんち券」の見出しの下、「全国加盟レジャー施設でいつでも御利用いただけます。」との記載がある。
(http://joqr-bkc.ecsv.jp/front/bin/home.phtml)
(3)「Flower Gift Card」のウェブサイトにおいて、「全国共通フラワーギフトカード」の見出しの下、「日比谷花壇店舗をはじめイーフローラ加盟店も加わってご利用いただけるお店が全国に広がりました!!」との記載がある。
(http://www.flowergiftcard.jp/)
(4)「全国共通おこめ券」のウェブサイトにおいて、「おこめ券とは」の見出しの下、「おこめ券のご購入・お引き換えは全国のお米屋さん・スーパー・デパートなどで(一部お取扱いのない店舗もございます。)」との記載がある。
(http://www.zenbeihan.com/okomeken/about/)
(5)「たまごギフト券」のウェブサイトにおいて、「手軽さと便利さで、ますます人気のギフト券 贈って喜ばれる『全国共通たまごギフト券』」の見出しの下、「※全国の量販店、スーパー店舗等でご利用いただけます。」との記載がある。
(http://www.tamagoken.or.jp/)


審理終結日 2014-05-23 
結審通知日 2014-05-30 
審決日 2014-06-23 
出願番号 商願2011-73101(T2011-73101) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X1636)
T 1 8・ 17- Z (X1636)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 高橋 幸志
田中 敬規
商標の称呼 ゼンコクキョーツーオショクジケン 
代理人 本宮 照久 
代理人 飯田 昭夫 

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