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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X0614
管理番号 1301661 
審判番号 取消2014-300463 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-06-20 
確定日 2015-05-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第5373915号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5373915号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年7月28日に登録出願、第6類「非鉄金属及びその合金,金属製のネームプレート及び標札,金属製立て看板」、第14類「貴金属,宝石箱,記念カップ,記念たて」及び第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定商品及び指定役務として、同年12月3日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成26年7月10日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第6類「非鉄金属及びその合金」及び第14類「貴金属」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中の上記本件審判請求に係る指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていることが確認できないものであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録は取り消されるべきものである。
2 被請求人の主張に対する反駁
(1)乙第1号証の1の1ないし4「バッカン写真(金属を回収するための鉄で出来たバッ缶)」について
アルミ合金屑の引取を示す写真であるかは不明であり、取消を求めた指定商品の何れかに本件商標を使用していることが伺えない。
(2)乙第1号証の2「リフト(小)写真」について
写真に表示されたものがリフトであるか否かは不明であり、本件商標と酷似した標章がいずれの商品についての使用か不明であり、さらには当該標章が付された時期も不明である。
(3)乙第1号証の3「基本取引契約書」について
「基本取引契約書」と称した印刷物(1枚)がいずれの商品についての使用か不明であり、さらに取引の主体、対象等も不明、取引の事実及びその時期も不明である。
(4)乙第1号証の4の1「名刺」について
「名刺」を使用した事実及び日付は不明である。
(5)乙第1号証の5「リフト(大)写真」について
写真に表示されたものがリフトであるか否かは不明であり、本件商標と酷似する標章がいずれの商品について使用しているか不明であり、さらには当該標章が付された時期も不明である。
(6)乙第1号証の6「サンコービル看板」について
不鮮明な写真からは建物に設けた看板であるか否かは不明である。
(7)乙第1号証の7の1ないし3「会社概要」について
会社概要(乙1の7の2)を非鉄金属、貴金属の営業の際に常時提出しているかは不明であり、中新開倉庫の写真にアルミのインゴットも映っているとの主張も何れの写真か特定する記載がなく不明である。当該会社概要からはインゴットは看取できない。また、アルミインゴットや非鉄金属の原材料となるスクラップ(破材)を運ぶリフト使用との主張があるものの、該主張内容からは本件商標の使用事実は不明である。
(8)乙第1号証の8の1及び2「弊社請求書」について
乙第1号証の8の1は、不鮮明な表示のため、本件商標と近似したものと思しき標章が小さく表示されているのが看取できるにすぎず、いずれの商品についての使用に関するものか不明であり、さらには宛名等の記名、使用の時期も不明である。
乙第1号証の8の2は、本件商標の記載がなく、更に、請求先の記名がなく、その確認が困難である。
(9)乙第1号証の9の1及び2「封筒ブルー」、及び乙第1号証の11の1及び2「窓付き封筒ブルー」について
未使用であり、取引書類として使用した事実は不明である。
(10)乙第1号証の12「社章」について
この金属製バッジが被請求人の主張するように社章として使用されるものであるならば、いわゆる商標法上の商品に該当するものではない。さらに、当該写真からは社章としての使用の事実及びその時期も不明である。
なお、仮に商標法上の商品「貴金属製バッジ」又は「金属製バッジ」での使用としても、請求人が取消を求めた指定商品の使用には該当していない。
(11)乙第1号証の13「領収証」及び乙第1号証の14の1及び2「計量証明書」について
「領収証」と称した写真(1枚)は、商品についての使用について何ら記載もなく、さらに商品についての使用の事実及びその時期も不明である。乙第1号証の14の2には、計量証明書の証明者等の記名がなく、計量証明者の確認ができず、さらには計量証明書としての真偽も不明である。さらにまた、本件商標の表示も確認することができない。
(12)乙第1号証の15「貴金属営業パンフレット」について
「貴金属営業パンフレット」と称した印刷物(2枚)では、買い取った貴金属製の身飾品等をどのようにするかは言及されておらず、いずれにしても上記印刷物からは「貴金属製の身飾品等の買取り」後の販売等は不明である。さらに、この作成時期の不明な印刷物をちらし、広告等として頒布した事実及び時期も不明である。
(13)乙第1号証の16「ゆうメール用白封筒(大)」及び乙第1号証の17「ゆうメール用白封筒(小)」について
いずれの商品についての使用であるか何ら記載なく、さらにいずれの商品についての使用の事実及び時期も不明である。
(14)乙第1号証の18「アルミネームプレート」について
「アルミネームプレート」が商取引の対象となる商品であるとは考え難く、単に被請求人が自家で使用するものといわざるを得ず、いずれの商品についての使用について何ら記載がなく、さらにいずれの商品についての使用の事実もその時期も不明である。
(15)乙第1号証の19の1及び2「来客用駐車場プレート」について
いずれの商品についての使用に関するものか不明であり、使用の時期についても不明である。
(16)乙第1号証の20の1及び2「貴金属仕入伝票」について
乙第1号証の20の1は、画像が不鮮明で、貴金属仕入伝票であるか否かは不明であり、いずれの商品についての使用について何ら記載なく、さらにいずれの商品についての使用の事実もその時期も不明である。乙第1号証の20の2には、仕入伝票として、「Sanko Osaka Co.,Ltd.」、本件商標とほぼ同一の標章及び貴金属元素記号の「Pt Au Pd Ag」の記載等があるものの、相手先の記名等の記載がなく、仕入れの事実を把握できない。
(17)乙第1号証の21「作業服(上着)」について
本件取消を求めた指定商品での使用なのかは不明であり、使用の時期も不明である。
(18)乙第1号証の22の1ないし3「原材料引取プレート」について
「原材料引取プレート」と称した写真(1枚)が添付されているが、方形状の薄板状部材に、大きく「使用済み印刷板」の文字と、その下に本件商標に近似する標章と、「株式会社サンコー大阪」の文字とが表示されているのみであり、当該写真からは、商取引の対象となる商品であるとは考え難く、単に被請求人が自家で使用するものといわざるを得ず、いずれの商品についての使用について何ら記載なく、さらにいずれかの商品についての使用の事実もその時期も不明である。
印刷版がアルミ合金で出来ており非鉄金属に含まれ、乙第1号証の10の6が印刷版の納品伝票と主張するが、当該納品伝票は表示が不鮮明で納品物が不明であり、さらに納品先の記名欄には記載がなく、納品の事実確認が困難であり、取引書類としての真偽も不明である。
(19)乙第1号証の23「見積書表紙」について
本件取消を求めた指定商品での使用かは不明であり、さらにはその使用の時期も不明である。
(20)乙第1号証の24の1ないし10「リサイクルネットワーク資料」について
乙第1号証の24の1は、2枚目の印刷物に示すようにリサイクルネットワークの一翼として「貴金属製の身飾品等の買取り」を表したものにすぎず、取消を求めた指定商品での使用かは不明であり、さらにその使用の時期も不明である。
乙第1号証の24の2及び乙第1号証の24の3のリサイクルネットワーク資料の印刷依頼が、乙第1号証の24の4及び乙第1号証の24の5の印刷物に対する印刷依頼であるとする点も不明である。「リサイクルネットワーク」という標題のみからでは、対象を特定することができない。
(21)乙第2号証の1「営業用名刺」について
名刺にはいずれの商品との関係についても何ら記載がなく不明であり、また使用の事実及びその時期も不明である。
(22)乙第2号証の2「営業用名刺」について
その名刺の裏面には事業内容の記載があるものの、本件指定商品との関係は何ら記載がない。
(23)乙第3号証「販促品ポケットティッシュ作成請求書」について
「請求書」の写しには、本件商標の使用等については何ら記載がない。
(24)乙第4号証「仮納品書作成請求書」について
当該請求書の写しには、取消を求めた指定商品についての本件商標の使用については何ら記載もない。また、振込明細書の写しには、本件商標については何ら表示もなく、本件商標の使用とは何の関係性もない。
仮納品書(控)、仮納品書及び仮受領書の各写しには、宛先名及び日付の記載がないことから、これらについての展示、頒布等の使用の事実、使用の時期は不明である。
(25)乙第5号証の1及び2「封筒」について
未使用の白封筒からは、使用の事実、使用の時期のいずれも不明であり、第5号証の1及び2とする請求書及び領収証の写し、封筒の写真及び陳述の要領の記載からは、取消を求めた指定商品の何れかに本件商標を使用している事実を確認できない。
(26)乙第6号証の1「客先にゆうメールを発送の際に同封する資料」について
発送の事実は不明であり、取消を求めた指定商品の何れかに本件商標を使用している事実を確認することができない。
(27)乙第6号証の2「金属買取資料」について
広告等としての配布の事実及び時期は不明であり、取消を求めた指定商品の何れかに本件商標を使用している事実を確認することができない。
(28)乙第7号証「社章」について
取消を求めた指定商品の何れかに本件商標を使用している事実を確認することができない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用
本件商標は、以下の乙第1号証ないし乙第8号証に使用していることを確認することができる。
(1)乙第1号証の1の1ないし4「バッカン写真(金属を回収するための鉄で出来たバッカン」について
アルミ合金屑の引取にバッカンを使用した写真(乙1の1の2)、アルミ切粉の引取にバッカンを使用した写真(乙1の1の3)及びバッカンの中身の写真(乙1の1の4)。
(2)乙第1号証の4の1及び2「名刺」について
名刺の裏に「地金事業・レアメタル再生事業・貴金属再生事業 鋳造加工事業」(乙1の4の2)の記載がある。
(3)乙第1号証の6「サンコービル看板」について
ア 会社概要に「ビルの住所、看板」の確認ができる(乙1の7の2)。 イ キンコーズ領収書(会社概要作成)(乙1の7の3)
(4)乙第1号証の7の1「会社概要」
ア 会社概要は非鉄金属 貴金属の営業の際に常時提出している。
イ 中新開倉庫の写真にアルミのインゴットも映っている。
ウ 目的の記載(乙1の7の2)がある。
エ アルミインゴットや非鉄金属の原材料となるスクラップ(破材)を運ぶ際にリフトを使用している。
(5)乙第1号証の2「リフト小」及び乙第1号証の5「リフト大」の補足
(6)乙第1号証の9の1「封筒ブルー」及び乙第1号証の11の1「窓付き封筒ブルー」について
封筒には「アルミ二次合金地金製造販売」と記載され、納品書や請求書を送る際に常時使用している。
(7)乙第1号証の10の1「納品書」について
ア 納品書記載分「アルミのインゴットAC4C-1を508kg販売を行った伝票」(乙1の10の2)
イ 亜鉛売却の仮納品書、仮受領書、仕切書(乙1の10の3)
ウ ステンレス、鉄等売却の仮納品書、仮受領書、計量証明書、請求書(乙1の10の3及び乙1の10の4)
エ ステンレス アルミ印刷版等の販売した仮納品書、仮受領書、計量伝票、仕切書、請求書(乙1の10の6)
オ アルミを販売した仮納品書、計量証明書、仕切書(乙1の10の7)
仮納品書(控)及び仮受領書に封筒(ブルー)(乙1の9の2)を使用、請求書に窓付き封筒(ブルー)(乙1の11の2)を使用し発送している。
(8)乙第1号証の12「社章」について
金属製バッチは銀で出来ており貴金属が含まれる。弊社社員に貸与し、関係会社には販売を行っている(乙第7号証に補足(2013年1月30日付け納品))。
(9)乙第1号証の14の1「計量証明書」について
計量証明書記人分(非鉄金属の原材料となる資源の回収)買取を行っている(乙1の14の1)。
ALD粉とはアルミを削って出てきたアルミの粉の事である。
(10)乙第1号証の15「貴金属営業パンフレット」について
買い取りに係るパンフレットであり貴金属の資源である。宝石などを買取リサイクルするための原材料を集める為の買取資料に本件商標を使用していた。日常生活の中古品等の買取もテレビ、パソコン基盤等から金属が取れる。
(11)乙第1号証の19の1「来客用駐車場プレート」について
貴金属の売買の際に来社したお客様に駐車場がわかるように本件商標を使用している。
アルミプレート(非鉄金属)(乙1の19の2)で作成しており、オリジナルで作成したプレートである。
駐車場には常時、本件商標のアルミプレートを設置している。
(12)乙第1号証の20の1「貴金属仕入伝票」について
貴金属の材料を買取、支払いを行い受領を頂いた伝票(乙1の20の2)。
(13)乙第1号証の21「作業服(上着)」について
非鉄金属の原材料引取作業やアルミインゴットの納品の際に上着を着用して常時作業している。
その上着に本件商標のマークを刺繍している。
(14)乙第1号証の22の1「原材料引取プレート」について
印刷版は、アルミ合金で出来ており非鉄金属に含まれる。原材料引取プレートを付けてパレティナー(籠)を客先に設置している。
印刷版を納品した伝票(乙1の10の6)
(15)乙第1号証の24の1「リサイクルネットワーク資料」について
リサイクルネットワーク資料を使用し貴金属の営業活動を行っている。
ア 資料の日程の特定((株)グラフィックで印刷を依頼したメール)
「リサイクルネットワーク資料印刷の依頼」(乙1の24の2及び乙1の24の3)により、「送信日時 2012年2月4日14:00 件名 注文内容ご確認メール カートNo.1538423」が確認できる。
イ 活動方法
(ア)「リサイクルネットワーク資料」(乙1の24の4及び乙1の24の5)により、営業が資料の手渡し訪問を行っている。
(イ)後納郵便差出表(ゆうメール特約)(乙1の24の6)、後納郵便物取扱控(乙1の24の7)、発送予定メール2012/03/27(乙1の24の8)、稟議書2012/03/26(乙1の24の9)及び稟議書2011/11/05(乙1の24の10)により、郵便局からのリサイクルネットワーク資料が発送された。
ウ ゆうメール用白封筒で提出の補足(乙1の10の7及び乙1の10の8)
(16)2号証ないし7号証について補足
ア 乙第2号証の1について
エース印刷には名刺を注文した。貴金属関係の営業の際に使用している(平成23年8月31日、同年9月30日、同年10月31日他)。
イ 乙第2号証の2について
グリーンクラフトにはH&Kの名刺作成を依頼した。H&Kに本件商標の使用を許可している。
ウ 乙第3号証について
井上文信堂には貴金属の営業の販促品としてポケットティシュの作成を依頼した(平成23年10月31日)。
エ 乙第4号証について
井上文信堂からの本件商標の仮納品書作成の請求書 非鉄金属の売買の際に使用している(乙1号の10の2ないし乙1の10の7)。
オ 乙第5号証について
(株)イシズミが、本件商標を使用した白封筒を作成。貴金属の営業活動に使用している。ゆうメール(ダイレクトメール)で客先に送る際に使用してる。
カ 乙第6号証の1について
(株)グラフディックには、客先にゆうメールを発送の際に同封する資料を印刷注文したメールのやり取りと振込証明。
アルミホイール、自転車等も非鉄金属の材料(アルミやステンレスを使用している。)2010年7月8日
キ 乙第6号証の2について
(株)グラフティックには 客先にゆうメールを発送の際に同封する資料を印刷注文したメールのやり取りと代引きの明細
リサイクルネットワーク(乙第1号証の24の資料を依頼)
ク 乙第7号証について
(株)三雄工芸で社章、本件商標マークの作成を依頼している
ケ 乙8号証の1について
三雄工芸とのメールのやり取り
プラチナ、ホワイトゴールド、銀等を使用した商品作成のメールのやり取り
コ 乙8号証の2について
納品請求書、Ag925(銀商品)を販売した事実。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証の7の1ないし3は、表紙上段に「CORPORATION GUIDE」と題した会社概要と認められるところ、中央には、別掲2のとおり、左下部から時計回り及び反時計回りの双方に右上部にいくにしたがって幅広になるように太い半円弧を描き、切り欠き部の右上部と左下部にかけて太いS字状の曲線を配した構成の図形を青色で大きく表し(以下「使用商標」という。)、その下段には、商標権者の名称の記載がある。
2葉目には、上段に「Company overview」及び「会社概要」と題し、商標権者の会社概要が紹介され、その「業務内容」の項には「非鉄金属合金地金等の販売、原材料の集荷、鋳造加工品の販売」の記載がある
3葉目は、キンコーズ・ジャパン株式会社キンコーズ・南森町店(以下「キンコーズ」という。)が商標権者に宛てた領収書写し2枚であり、入金日を「2012年6月1日」とする領収書には、会社概要作成代金として「¥19,950」、入金日を「2012年12月14日」とする領収書には、同じく「¥42,000」と記載されている。また、口頭審理おいて、被請求人から、上記領収書に係る印刷発注部数は、それぞれ20部及び50部である旨説明があった。
以上のことから、商標権者は、2012年6月1日及び同年12月14日の2度にわたり、業務内容を非鉄金属合金地金等の販売、原材料の集荷、鋳造加工品の販売とする自社の会社概要を作成したことが推認でき、その表紙には、本件商標とほぼ同一と認められる商標が認められる。そして、商標権者の事業に係る商品「非鉄金属合金地金」は、本件取消の請求に係る商品「非鉄金属及びその合金」の範ちゅうに含まれる商品と認められるものである。
(2)乙第1号証の8の2は、商標権者の作成に係る平成24年3月20日付けの「請求書」である。宛先人についてはマスキングされているものの、右肩には商標権者の名称と共に事業を示す「アルミ二次合金地金製造販売」が記載され、その下の「納品日」の欄には「3.6」、「商品名」の欄には「3299 AC4C 1」、「数量」の欄には「508」、「単位」の欄には「Kg」、「単価」の欄には「303」、「金額」の欄には「153,924」の記載がある。
乙第1号証の10の2は、平成24年3月6日付けの「仮納品書(控)」及び「仮受領書」であり、いずれも宛先人についてはマスキングされているものの、右肩には商標権者の名称と共に事業を示す「アルミ二次合金地金製造販売」が記載されている。その下の「品名」の欄には「AC4C 1」、「チャージNo.」の欄には「3299」、「数量」の欄には「508」、「単位」の欄には「Kg」の記載があり、仮受領書には、「栃木」とおぼしき捺印がされている。
以上のことから、平成24年3月6日付けの仮納品書(控)及び仮受領書と同月20日付けの請求書とは、納品日、商品名、チャージNo.及び数量が一致しており、商標権者によりアルミ二次合金が販売されたとみることができるものである。
2 前記1で認定した事実から、以下のとおり判断する。
商標権者は、事業内容を「非鉄金属合金地金等の販売」などとする会社概要を2012年6月1日及び同年12月14日の2度にわたり作成し、その表紙には、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標が大きく表示されている。してみれば、商標権者は、自社の取引者などに上記会社概要を利用して事業を紹介する中で、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)に使用されたと推認し得るものである。そして、商標権者の事業に係る商品「非鉄金属合金地金」は、本件取消の請求に係る商品「非鉄金属及びその合金」の範ちゅうに含まれる商品である。
また、商標権者は、平成24年3月6日にアルミ二次合金508kgを販売し、同月20日にこれに係る請求書を発行したことが、納品日、商品名、チャージNo.及び数量などが一致した仮納品書(控)、受領書及び請求書からみることができる。かかる使用をみれば、商標権者によりアルミ二次合金が要証期間に販売されたと推認し得るものであり、たとえ提出した請求書などの販売先にマスキングがあったとしても、上記推認を否定できない。そして、商標権者の事業に係る商品「アルミ二次合金」は、本件取消の請求に係る商品「非鉄金属及びその合金」の範ちゅうに含まれる商品と認められるものである。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品中、第6類「非鉄金属及びその合金」について本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1(本件商標)


2(使用商標)



審決日 2015-03-31 
出願番号 商願2010-59285(T2010-59285) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X0614)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 前山 るり子
手塚 義明
登録日 2010-12-03 
登録番号 商標登録第5373915号(T5373915) 
代理人 樋口 正樹 
代理人 井上 克己 

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