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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X42
管理番号 1300742 
審判番号 取消2014-300045 
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-01-22 
確定日 2015-05-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第5364126号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5364126号商標(以下「本件商標」という。)は,「CROOZ」の欧文字と「クルーズ」の片仮名とを上下二段に書してなり,平成22年2月15日に登録出願,第14類「キーホルダー,貴金属,記念カップ,記念たて,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」,第38類「電子掲示板通信,電子メール通信,その他の電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」,第41類「インターネットを用いて行う電子出版物の提供,その他の電子出版物の提供,インターネットを用いて行う画像の提供,インターネットを用いて行う音楽の提供,書籍の制作,写真の撮影」,第42類「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,ブログ作成用コンピュータプログラムの提供,インターネットにおけるブログ検索用の検索エンジンの提供,情報処理システムにおけるプログラムの設計・作成又は保守,情報処理システムに関するコンサルティング,情報処理技術の研究,気象情報の提供,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」及び第45類「インターネットの電子掲示板を用いたプロフィール・日記等の個人に関する情報の提供,インターネット上でのウェブサイトを通じた一般利用者向けの友達探し及び紹介のための情報の提供,ファッション情報の提供,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,占い,身の上相談,衣服の貸与,装身具の貸与」を指定商品及び指定役務として,平成22年10月29日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録は,平成26年2月10日にされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品及び指定役務中,第42類「インターネットにおけるブログ検索用の検索エンジンの提供,情報処理システムにおけるプログラムの設計・作成又は保守,情報処理システムに関するコンサルティング,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」(以下「取消請求役務」という場合がある。)についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,審判請求書及び弁駁書において,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,甲第1号証ないし甲第7号証(以下,甲各号証の表記にあたっては,「甲1」のように省略する場合がある。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,取消請求役務について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しない。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第2号証は,そもそも日付がないので,これが本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という場合がある。)の使用を証明するものであるか定かではなく,また,以下のとおり,その内容によっても,本件商標が取消請求役務について使用されていたことは立証されていない。
ア 乙第2号証の1は,「商標権者が管理・運営するブログのインターネットサイト『CROOZ blog』のインターネットページ」(答弁書第2頁第22行目以下)である。また,乙第2号証の2及び3は,いずれもスマートフォン用のアプリに関するものである。これらの記載及びインターネットの検索結果(甲2)をみると,「CROOZ blog」は,「無料ブログ作成サイト」の名称であることがわかる。
したがって,乙第2号証の1ないし4から確認できることは,被請求人が第9類「ダウンロード可能なブログ作成用コンピュータプログラム」ないし第42類「インターネットによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供」又は「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与」について本件商標を使用しているということであるが,これらの商品又は役務は,取消請求役務ではない。
イ 被請求人は,「乙第2号証の1の右上に検索バーがあることから,『インターネットにおけるブログ検索用の検索エンジンの提供』に上述の商標『CROOZ』を使用している」(答弁書第3頁第6行目以下)旨主張している。
確かに,乙第2号証の1の右上には検索バーが存在するが,該検索バーを用いて「商標」をタイトル又はコラムに含むブログを検索した結果は,該当なしであった(甲3)一方,ほかのブログサイトには「商標」をタイトル又は記事中に含むブログが複数存在するという事実がある(甲4ないし甲6)。このことからも明らかなように,該検索バーは,あくまで「CROOZ blog」内に存在するブログを検索する機能を提供するものにすぎず,このような限定された範囲についてしか検索できないサービス(機能)に接する取引者・需要者が,これを「検索エンジンの提供」と認識・把握するとは到底考えられない。
また,商標法上の役務とは「他人のために行なう労務又は便益であって,独立して商取引の対象たりうべきものをいう」ところ(甲7),上記検索バーは,無料ブログ作成サイト「CROOZ blog」において他人のブログを閲覧するために付随的に提供される機能にすぎず,言わば「検索機能付きブログ作成用コンピュータプログラムの提供」とでも表現されるべきものである。
したがって,乙第2号証の1にある検索バーは,そもそも「検索エンジン」に該当しないし,独立して商取引の対象となるものでもないので,被請求人の主張は,失当である。
ウ 被請求人は,「商標権者の管理・運営するインターネットサイトのURLの多くに本件商標と社会通念上同一と考えられる“crooz”が含まれて」(答弁書第3頁9行以下)いる点に言及するが,URLとは,いってみればインターネット上の住所のようなもので,ここにおける「crooz」の使用が商標としての使用に該当するとはいえず,加えて,取消請求役務について使用されていることの立証もない。
(2)乙第3号証は,商標権者が提供するサービスを提携希望企業に説明する資料であり,ここからは,「SHOPLIST.com by CROOZ」なるオンラインショッピングサイトが存在すること(乙3,第2頁),ブログサイト「CROOZ blog」が存在すること(乙3,第3頁),その他,コーディネートを共有するためのアプリ(プログラム)の「CodeNote」,ママ向けのブログサイト「mamaCROOZ」,レシピサイト「キッチンノート」,各種ゲームが存在すること(いずれも乙3,第4頁),被請求人と業務提携すると「相互送客」や「特典プレゼント」が可能であり,報酬はレベニューシェア方式に基づいて分配され,広告配信の依頼もあり得ること(乙3,第6頁以下)が読み取れるのみである。
しかし,ここで言及されているサービスは,いずれも取消請求役務とは関係がない。
(3)乙第4号証は,ショッピングサイト「SHOPLIST.com by CROOZ」に係る仕入支払報告書である。
ここで確認できることは,「SHOPLIST.com by CROOZ」なるショッピングサイトが存在していたということであって,取消請求役務とは関係がない。
(4)乙第5号証は,被請求人の管理・運営するサイトの検証レポート結果である。
ここで確認できることは,上述のショッピングサイト「SHOPLIST.com」と無料ブログ作成サイト「CROOZ blog」が存在していたということであって,いずれも取消請求役務とは関係がない。
(5)乙第6号証は,被請求人への倉庫会社からの請求書であり,いうまでもなく,取消請求役務とは無関係である。
(6)乙第7号証は,被請求人が本件とは無関係な第三者が開発した人事システムを導入したことを紹介するプレスリリースであるが,いうまでもなく,取消請求役務とは無関係である。
(7)乙第8号証は,「本件商標権者が管理・運営するインターネットサイト(例えば「CROOZ blog」や「mamaCROOZ」等)に,広告掲載する契約者を管理し,かつ広告を配信するシステム」である(答弁書第4頁)。
自社サイトへの広告を管理するシステムは,「他人のために行なう労務又は便益」でないことは明らかであり(甲7),そもそも商標法上の役務に該当しないし,仮に商標法上の役務に該当するとしても,取消請求役務と無関係である。
(8)乙第9号証は,平成18年9月8日付けのプレスリリースであり,これは要証期間より前の証拠であるから,その内容を検討するまでもない。
(9)乙第10号証は,2006年4月1日から2007年3月31日までの年次報告書である。これは,要証期間より前の証拠であるから,その内容を検討するまでもない。
(10)まとめ
以上述べたように,被請求人が,取消請求役務について,本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用していた事実は,存在しないものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求める,と答弁し,答弁書及び口頭審理陳述要領書等において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第34号証(枝番号を含む。以下,乙各号証の表記にあたっては,「乙1」のように省略する場合がある。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)乙第2号証は,本件商標権者が管理・運営するブログのインターネットサイト「CROOZ blog」のインターネットページ(乙2の1)の写しとiTunes及びGooglePlay(乙2の2及び3)で提供されている「CROOZ blog」のアプリの購入又はダウンロード画面を印刷したものであり,本件商標と実質同一の「CROOZ」の商標が表示されていること,その商標が2005年(平成17年)から現在に至るまで継続的に使用していること(乙2の4)を示すものである。
また,乙第2号証の1の右上に検索バーがあることから,「インターネットにおけるブログ検索用の検索エンジンの提供」に上述の商標「CROOZ」を使用していることは明らかである。
さらに,乙第2号証の1のとおり,本件商標権者の管理・運営するインターネットサイトのURLの多くに本件商標と社会通念上同一と考えられる“crooz”が含まれている。
(2)乙第3号証の「SHOPLIST.com by CROOZ」は,本件商標権者が提供するサービスを提携希望企業に説明する資料である。
本件商標権者は,「CROOZ」,「クルーズ」の商標の下,契約した提携企業のインターネットサイト内に展開できるコンテンツの提供や,提携企業のインターネットサイトを利用する顧客の情報に基づく広告配信システムの提供等を行っており,様々な提携方法を提案することにより,本件商標権者の管理・運営するインターネットサイトと提携先が管理・運営するインターネットサイト間との相互送客等を可能にするサービスを提供している。
なお,乙第3号証は,その10頁の記載から2013年(平成25年)6月頃の資料であると推認される。
(3)乙第4号証は,本件商標権者が管理・運営するショッピングサイト「SHOPLIST.com by CROOZ」の提携先企業への仕入支払報告書であり,この仕入支払報告書が示す契約期間(2013年(平成25年)12月1日から同月31日)は,要証期間に含まれるものであって,2014年(平成26年)1月1日に発行されたものである。
(4)乙第5号証ないし乙第10号証は,本件商標と実質同一である商標「CROOZ」の使用状況を示したものである。
ア 乙第5号証は,メール配信システム,マーケティング支援及びキャンペーン管理を行うエクスペリアンジャパン株式会社に依頼した本件商標権者の管理・運営するサイトの検証レポート結果(2013年7月5日付けのもの)の写しであり,継続して「CROOZ」の商標を使用していることを示すものである。
イ 乙第6号証は,本件商標権者が管理・運営する通販サイトで販売する商品を保管する倉庫会社からの2013年(平成25年)7月2日付けの請求書であり,継続して商標「CROOZ」を使用していることを示すものである。
ウ 乙第7号証は,本件商標権者に関する2013年(平成25年)2月26日付けのプレスリリース(写し)であり,インターネットコンテンツの配信・提供,通販サイトの管理・運営,ブログサイトの管理・運営等について,本件商標権者が継続して「CROOZ」の商標を使用していることを示すものである。
エ 乙第8号証は,本件商標の使用状態を示す管理・検索・配信のシステム「CROOZ!AdSearch(アドサーチ)」の画面を印刷したものであって,この管理・検索・配信システムの各ページに本件商標と社会通念上同一の「CROOZ!」の商標が表示されていること,2007年から現在に至るまで継続的にこのシステムが提供されていることを示すものである。
上記システムは,本件商標権者が管理・運営するインターネットサイト(例えば,「CROOZ blog」や「mamaCROOZ」等)に広告掲載する契約者を管理し,かつ広告を配信するシステムであり,広告掲載の契約者は,本件商標権者から契約時に発行されたID及びパスワードを入力することで,外部からこのシステムにアクセスすることができる。
オ 乙第9号証は,本件商標権者が提供しているIT・インターネット業界に特化した求人サイト「CROOZ!キャリア」に関する本件商標の使用事例を示すものである。
乙第9号証の1は,本件商標権者が,株式会社ウェブドゥジャパンと称していた2006年(平成18年)9月1日より開始した「CROOZ!キャリア」の同月18日付けのニュースリリース(写し)であり,また,乙第9号証の2は,現在,インターネット上で提供されている「CROOZ!キャリア」のインターネットページ(写し)である。これらは,本件商標が2006年(平成18年)9月1日から現在まで継続的に使用されていることを示すものである。
カ 乙第10号証は,本件商標権者の前身にあたる株式会社ウェブドゥジャパンの2006年(平成18年)4月1日から2007年(平成19年)3月31日までの年次報告書であり,その3頁及び9頁は,本件商標と社会通念上同一と認められるややロゴ化された「CROOZ!」の商標を2004年(平成16年)8月1日から携帯電話専用ロボット型検索エンジンに使用していることを示すものである。
2 口頭審理陳述要領書及び上申書
(1)本件商標権者の業務について
乙第27号証(乙11における黒塗り部分を視認できるようにしたものの写し)は,平成15年7月1日に株式会社三洋販売(名古屋市千種区今池三丁目9番21号)(以下「取引先」という場合がある。)と株式会社ウェブドゥジャパン(東京都千代田区麹町5丁目4番地クロスサイド麹町)との間で結ばれた業務委託基本契約書(写し)である。なお,株式会社ウェブドゥジャパンは,本件商標権者の商号変更前の会社名(乙17)である。
そして,上記業務委託基本契約書の第2条(委託業務の内容)及び第27条(契約の期間)により,本件商標権者は,平成15年7月1日から現在において,取引先との間で,「情報処理支援業務(データ入力・集計,テレマーケティング,送信代行等含)」,「コンピュータシステムおよびソフトウェア等各種情報処理に関する研究・開発ならびに技術支援」,「ウェブページの企画・デザイン・制作及び開発業務」及び「その他前号に付帯関連する一切の業務についての業務」を行っている。
(2)本件商標の使用について
ア 乙第27号証ないし乙第32号証(乙11ないし乙16のそれぞれにおける黒塗り部分を視認できるようにしたものの写し)は,本件商標権者が乙第27号証の業務委託契約書に基づいて取引先から受託した「スーパー海物語IN沖縄3」の携帯電話用ゲームプログラム(ゲームアプリ)の開発に関する一連の取引書類であり,乙第28号証は見積書,乙第29号証は注文書,乙第30号証は納品書,乙第31号証は検収通知書,乙第32号証は請求書である。
特に,注文書(乙29)には,「当社(以下「甲」といいます)は平成15年7月1日締結の『業務委託契約書』に基づき,クルーズ株式会社(以下「乙」といいます)へ下記を注文します。」と記載されており,乙第28号証ないし乙第32号証のそれぞれの書類には,本件商標権者である「クルーズ株式会社」及び取引先,開発したゲームアプリの名称である「スーパー海物語IN沖縄3」の記載があるから,これらの書類が一連の取引書類であることは明らかである。
なお,取引先の乙第27号証に記載された住所と乙第28号証ないし乙第32号証に記載された住所が異なるのは,乙第27号証に記載された住所が本社所在地であるのに対し,乙第28号証ないし乙第32号証に記載された住所が営業企画部の所在地であるためである。
イ 本件商標権者は,平成25年(2013年)9月5日付けの御見積書(乙28)及び注文書(乙29)のとおり,取引先に対し,取引先が提供する携帯電話用ゲームプログラム(ゲームアプリ)「スーパー海物語IN沖縄3 docomo,Softbank版」の開発をし,取引先に納入(乙30),その検収(乙31)を受けた後,報酬の請求(乙32)を行った。
そして,納品書(乙30)の区分の項目12段目には,区分として「サイト開発」,納品日として「12月26日」,摘要として「三洋パチワールドi/S/EZ(サイト開発)」及び「三洋モバイルホール新台追加対応 スーパー海物語IN沖縄3」と記載されている。
なお,上記納品書の区分に記載された「サイト開発」とは,取引先の新商品(「スーパー海物語IN沖縄3」)のリリースにあたって,取引先のウェブサイトの開発及び取引先が提供する携帯電話用ゲームプログラム(ゲームアプリ)の開発・作成を指すものである。
よって,遅くとも要証期間である平成25年12月26日において,本件商標権者が,「業務委託契約書」(乙27)の委託業務の内容に基づき,「ウェブサイトの開発及び携帯電話用ゲームプログラム(ゲームアプリ)開発」,すなわち,「ウェブページの作成及び開発,携帯電話用ゲームプログラミング」を行ったことは明らかであり,これらの業務は,第42類「情報処理システムにおけるプログラムの設計・作成又は保守,情報処理システムに関するコンサルティング」に包含される役務とみるのが相当である。
また,上記の納品書(乙30)及び検収通知書(乙31)の左上方に印刷された「CROOZ」の欧文字と本件商標とは,「CROOZ」の欧文字部分を共通にし,自他役務の識別標識として機能するのは「CROOZ」及び「クルーズ」の文字部分であるから,「クルーズ」の称呼をも共通にする社会通念上同一の商標といえる。
(3)まとめ
以上より,被請求人は,本件商標権者が,日本国内において,本件審判の請求の登録前3年以内に,本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を,取消請求役務中の第42類「情報処理システムにおけるプログラムの設計・作成又は保守,情報処理システムに関するコンサルティング」について使用した(商標法第2条第3項第8号)ことを証明したものといえる。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
(1)乙第27号証は,「株式会社三洋販売」(名古屋市千種区今池三丁目9番21号)を「甲」とし,「株式会社ウェブドゥジャパン」(東京都千代田区麹町5丁目4番地クロスサイド麹町)を「乙」として,両当事者間において,平成15年7月1日付けで締結された「業務委託基本契約書」(写し)であり,その「第2条(委託業務内容)」には,「(1)情報処理支援業務(データ入力・集計,テレマーケティング,送信代行等含)(2)コンピュータシステムおよびソフトウェア等各種情報処理に関する研究・開発ならびに技術支援(3)ウェブページの企画・デザイン・制作及び開発業務(4)その他前号に付帯関連する一切の業務」と記載され,同じく,「第27条(契約の期間)」には,「本契約の有効期限は平成15年7月1日から平成16年6月30日までとする。但し,契約期間満了3ケ月前までに甲乙いずれからも変更・解除などの申し出のない場合,更に1年間同1条件でこれを延長するものとし,その後も同様とする。」と記載されている。そして,その最終ページには,「株式会社ウェブドゥジャパン」の「代表取締役」として「小渕宏二」の記載がある。
(2)乙第28号証は,「クルーズ株式会社」から「株式会社三洋販売」への2013年9月5日付けの「御見積書」(写し)であり,その内訳の冒頭部には,「■三洋モバイルホール新台追加対応 1式」の記載があり,その下方に,「スーパー海物語IN沖縄3 docomo,SoftBank版」の記載の下,「・仕様策定,開発進行管理,アイテム,称号設定」,「・設定ファイルの修正」,「・モデルファイルの追加」,「・サイトプログラムの単体・結合テスト」,「・機種選択・台選択・DLページ作成」及び「・サイト検証デバッグ」の各記載とともに,それらに係る「数量」,「単価」及び「金額」が記載されている。
(3)乙第29号証は,「株式会社三洋販売」から「クルーズ株式会社」への2013年9月5日付けの「注文書」(写し)であり,その内訳には,上記(2)の「御見積書」(乙28)における内訳と同様の記載があるほか,「当社(以下『甲』といいます)は平成15年7月1日付締結の『業務委託契約書』に基づき,クルーズ株式会社(以下『乙』といいます)へ下記を注文します。」の記載がある。
(4)乙第30号証は,「クルーズ株式会社」から「株式会社三洋販売」への平成25年12月31日付け発行の「納品書」(写し)であり,その左上隅部には,「CROOZ」の表示がある。また,該「納品書」(写し)には,その内訳として,12月の12日,20日,26日及び31日を納品日とする複数の記載があるところ,そのうちの「12月26日」を納品日とするものについては,「区分」の欄に「サイト開発」,「見積総数」及び「単位」の各欄に「1」及び「式」,「摘要」の欄に「三洋パチワールドi/S/EZ(サイト開発):三洋モバイルホール新台追加対応スーパー海物語IN沖縄3」の記載がある。
(5)乙第31号証は,「株式会社三洋販売」から「クルーズ株式会社」への「検収日」を2013年12月31日とする「検収通知書」(写し)であり,その左上隅部には,「CROOZ」の表示がある。また,該「検収通知書」(写し)には,上記(4)の納品書(乙30)における内訳と同様の記載がある。
(6)乙第32号証は,「クルーズ株式会社」から「株式会社三洋販売」への2013年12月31日付け発行の「請求書」(写し)であり,その内訳の冒頭部には,「【12 26納品】■三洋モバイルホール新台追加対応 1式」の記載があり,その下方には,上記(2)の「御見積書」(乙28)及び上記(3)の「注文書」(乙29)のそれぞれにおける内訳と同様の記載がある。
(7)乙第17号証は,平成21年5月20日付けの「上場会社名 株式会社ウェブドゥジャパン(コード番号2138:大証ヘラクレス)」及び「代表者 代表取締役社長 小渕宏二」名による「商号変更及び定款の一部変更に関するお知らせ」であり,「1.変更理由」 の(1)には,「商号変更につきましては,・・・平成21年8月1日から実施する」旨,及び「2.変更の内容」の「(別紙)」によれば,「変更案」の「第1条(商号)」に,「当会社はクルーズ株式会社と称し,英文ではCROOZ,Inc.と表示する。」の記載がある。そして,乙第7号証の,2013年(平成25年)2月26日付けの「Kaonavi」によれば,「CROOZ株式会社」について,「株式上場 JASDAQスタンダード市場(証券コード:2138)」及び「代表者 代表取締役社長 小渕宏二」の記載がある。
2 以上によれば,本件商標の使用に関し,次のとおり判断できる。
(1)本件商標権者は,旧商号である「株式会社ウェブドゥジャパン」の名称の下,取引先との間において,平成15年7月1日に,「コンピュータシステムおよびソフトウェア等各種情報処理に関する研究・開発ならびに技術支援,ウェブページの企画・デザイン・制作及び開発業務」等を内容とする「業務委託基本契約書」を締結した。
その後,本件商標権者は,取引先との間で,上記「業務委託基本契約書」に基づき,要証期間である2013年(平成25年)9月5日から同年12月31日までの間において,「■三洋モバイルホール新台追加対応」として,「スーパー海物語IN沖縄3」というアプリの「docomo,SoftBank版」に関する,御見積書及び注文書の品名に記載された事項を内容とする「サイト開発」(以下「本件役務」という。)について,その見積,注文,納品,検収通知及び請求という一連の取引を行ったものであり,その取引書類である納品書に,「CROOZ」の欧文字(以下「使用商標」という。)を表示したものと認められる。
かかる本件商標権者の行為は,「役務・・・取引書類に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認められる。
(2)本件商標権者と取引先との間で締結された「業務委託基本契約書」の内容,及び本件の取引に関する御見積書及び注文書の品名に記載された事項からすれば,本件役務は,取消請求役務中,第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に相当する役務と認められる。
(3)本件商標は,前記第1のとおり,「CROOZ」と「クルーズ」とを上下二段に書してなるところ,その構成中,「CROOZ」の欧文字は,辞書類に載録されている既成の語ではないことから,特定の意味合いを生ずることのない一種の造語として看取,理解されるものであり,その文字配列からすれば,英語風に「クルーズ」の称呼を生ずるものというのが自然である。
そうとすれば,本件商標の下段に位置する「クルーズ」の片仮名は,その上段に位置する「CROOZ」の欧文字の読みを特定するものとして認識されるとみるのが相当である。
他方,使用商標は,「CROOZ」の欧文字からなるところ,該文字は,本件商標の要部である「CROOZ」の欧文字と綴りを同一にするものであって,本件商標と同様に,「クルーズ」の称呼を生ずるものである。
以上を総合勘案すれば,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(4)上記(1)ないし(3)によれば,本件商標権者は,要証期間に,日本国内において,取消請求役務中の第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に関する取引書類である「納品書」に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したものであり,その行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当するものと認められる。
3 当合議体は,本件審判について,期日を指定して口頭審理を行ったが,請求人は,期日に出頭せず,また,被請求人が提出した口頭審理陳述要領書及び平成26年10月23日付け上申書のいずれに対しても,意見を述べていない。
4 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,本件商標権者が,取消請求役務中の第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,本件審判の請求に係る指定役務について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2014-11-19 
結審通知日 2014-11-25 
審決日 2014-12-24 
出願番号 商願2010-10477(T2010-10477) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 海老名 友子日向野 浩志吉沢 恵美子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 敬規
田中 亨子
登録日 2010-10-29 
登録番号 商標登録第5364126号(T5364126) 
商標の称呼 クルーズ 
代理人 特許業務法人 英知国際特許事務所 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 山崎 和香子 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 

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