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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 003
管理番号 1300637 
審判番号 取消2011-300756 
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-08-08 
確定日 2015-04-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4137154号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4137154号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4137154号商標(以下「本件商標」という。)は、「LULU」の欧文字を横書きしてなり、平成8年9月27日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同10年4月17日に設定登録され、その後、同20年4月15日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成23年8月23日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を、審判請求書、審判事件弁駁書、平成24年5月16日付け、同年9月12日付け、同25年1月24日付け及び同26年11月6日付け上申書並びに同25年6月11日付け回答書において、要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品である第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」について継続して3年以上日本国内において本件商標の使用をした事実が存在しないから、商標法第50条の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)乙第3号証について
乙第3号証には、本件商標の「LULU」は表示されていない。
被請求人は、乙第3号証に記載されている「ルル」の表示が本件商標と社会通念上同一である旨主張しているが、失当である。
「ルル」の片仮名をローマ文字に置き換える場合、「LULU」ではなくて、「RURU」が自然な表記であり、ラ・リ・ル・レ・ロの片仮名はRA・RI・RU・RE・ROのローマ文字に対応させるのがわが国では一般的であるから、「LULU」のローマ字を片仮名に変更しても「ルル」にはならない。さらに、「LULU」も、また、「ルル」も特定の観念を有さず、同一の観念も生じ得ない。
したがって、「ルル」の表示は本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当しない。
また、乙第3号証において、「ルル」の表示が使用されている商品は、本件審判に係る指定商品に該当しないから、このことからも、被請求人の主張は失当である。
よって、乙第3号証は、いずれにしても、本件商標が使用されている証拠とはならない。
(2)乙第4号証ないし乙第6号証について
乙第4号証ないし乙第6号証も、乙第3号証と同様に、本件商標が使用されている証拠とはならない。
(3)まとめ
以上のように、乙第3号証ないし乙第6号証は、いずれも、本件商標が使用されていることを示す証拠とはならないから、被請求人の答弁書における主張は失当である。
3 上申書及び回答書における主張
請求人は、平成24年5月16日付け、同年9月12日付け、同25年1月24日付け及び同26年11月6日付け上申書並びに同25年6月11日付け回答書において、当事者の間において、本審判請求の取下げを含む交渉を行っているとして、審理の猶予を求めている。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を、平成23年10月24日付け審判事件答弁書、同24年4月11日付けの審判事件答弁書(第2回)、同年5月10日付け、同年5月22日付け、同年9月26日付け、同年12月21日付け、同25年2月18日付け、同26年1月8日付け、同年3月28日付け及び同年12月9日付け上申書並びに同25年6月11日付け及び同26年11月6日付け回答書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁(第1回)の理由
被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内はもとより、従来から継続してその請求に係る指定商品に含まれる「洗口液、口内洗浄剤」、「身体洗浄剤」及び「身体防臭剤」等について、本件商標を使用している。
(1)商標の使用者
乙第3号証ないし乙第6号証は、それぞれ、被請求人による本件商標の使用に係る商品「ルル」(以下「本件使用商品」という。)に関するパンフレット、被請求人のウェブサイトの写し及び添付文書である。
このうち、乙第3号証(第2頁)には、被請求人の名称及び住所が示されている。乙第4号証は、現在の被請求人のウェブサイトの写しであるところ、その上部に被請求人の名称の略称が示されている。乙第5号証は、本件使用商品の添付文書であるところ、その右下に被請求人の名称及び住所が示されている。乙第6号証は、被請求人の名称変更前の使用に係るものであるところ、被請求人の旧名称が示されており、これにより、名称の変更前はもとより、変更後も引き続き、本件商標と社会通念上同一の商標「ルル」が、被請求人により、継続的に使用されてきたことが明らかである。
なお、旧名称が被請求人の名称変更前のものであることは、本件商標の商標登録原簿(乙第1号証)から明らかである。
(2)使用に係る商品
ア 本件使用商品は、被請求人の製造・販売に係る製品のひとつであり、我が国有数の著名商標のひとつとして、多彩なラインナップを有している。
乙第3号証には、本件商標と社会通念上同一の商標「ルル」が示されているほか、第1頁右下の「ルル○うがい薬」(審決注:「ルル」の文字の後の「○」は、小さな円で囲まれたRの文字を表す。以下同じ。)の項には、「口臭除去にも効果」の文字、「口腔内及びのどの殺菌・消毒・洗浄」及び「口臭の除去」の各文字が示されている。
乙第4号証は、被請求人のウェブサイトの写しであるところ、本件商標と社会通念上同一の商標「ルル」が示されている。そして、その「特長」の項には、「殺菌効果に優れた、塩化セチルピリジニウムを配合しています。」、「透明な液体なので、洗面台を汚しません。」、「口中に清涼感を与え、口臭除去にも効果があります。」及び「携帯に便利な小さなボトルです。」と記され、また、「効能・効果」の項には、「口腔内及びのどの殺菌・消毒・洗浄」、「口臭の除去」の各文字が示されている。
乙第5号証には、本件商標と社会通念上同一の商標「ルル」の表示とともに、「指定医薬部外品」として、「口腔内及びのどの殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去」の各文字が示されている。
乙第6号証には、本件商標と社会通念上同一の商標「ルル」の明示とともに、「口内殺菌剤」として、「口中及び咽頭の防腐・防臭、消毒及び殺菌剤として感冒の予防並びに下記諸症及び感冒時に起きる症状に使用します。」、「咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎、歯髄炎、口内炎、口中悪臭」、「抜歯手術または口腔手術後の消毒・殺菌及び虫歯の予防」の各文字が示されている。
イ 今までにない新たな商品が、日々、続々と開発され、日を置かずして需要者のもとに届く今日の取引実状においては、これら続々と登場するあらゆる商品を、画一的に一つの商品概念に属するものとみることは困難であるといわざるを得ないばかりか、敢えて杓子定規に処遇せんとするならば、商品の出所の混同を回避することを通じて、健全な競業秩序の維持を図り、需要者の利益を保護せんとする商標法の趣旨に却って反することとなる。
以上を前提として、本件使用商品が、商標法上如何なる商品に該当するのかを検討すると、本件使用商品は、「指定医薬部外品」に指定されたものであるが、これは、薬事法における概念であるところ、薬事法上の概念と商標法上の商品概念との間では、その概念の広さが同一とはならない場合があり、使用商品は、以下の商品の性質、用途、取引実情等よりすれば「薬剤」であるほか、「洗口液、口内洗浄剤」、「身体洗浄剤」及び「身体防臭剤」としての多面性を有している。
(ア)商品の表示、原材料
本件使用商品と「洗口液、口内洗浄剤」とを比較すると、「塩化セチルピリジニウム」、「グリチルリチン酸二カリウム」等を主成分とする点で共通し、その他に、植物由来の油分、アルコール、香料を含有する点でも共通し、洗浄・防臭等の効果においても共通するものである。すなわち、本件使用商品は、「洗口液、口内洗浄剤」としての性質を有することが明らかであるほか、その成分は、口腔を含む身体の洗浄、殺菌に使用される「身体洗浄剤」、「身体防臭剤」とも共通する。
(イ)商品の用途、作用
本件使用商品の用途、作用(効能・効果)について、例えば、乙第4号証によれば、「口中に清涼感を与え、口臭除去にも効果があります。」と記され、「効能・効果」の項においては、「口腔内及びのどの殺菌・消毒・洗浄」、「口臭の除去」の各文字が示され、乙第5号証においては、「口腔内及びのどの殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去」の各文字が示され、乙第6号証においては、「口中及び咽頭の防腐・防臭、消毒及び殺菌剤として感冒の予防並びに下記諸症及び感冒時に起きる症状に使用します。」、「咽頭炎、喉頭炎、・・・口中悪臭」、「抜歯手術または口腔手術後の消毒・殺菌及び虫歯の予防」と記されている。一方、乙第9号証ないし乙第11号証によれば、デンタルリンス(洗口液、口内洗浄剤)は、口腔内の殺菌、清涼感の付与、口臭の除去、虫歯の予防等がうたわれている。すなわち、両者は、その作用ないし作用のメカニズムにおいて共通し、本件使用商品は、「洗口液、口内洗浄剤」としての側面も有していることが明らかであるほか、これらの用途、作用は、口腔を含む身体の洗浄、殺菌に使用される「身体洗浄剤」、「身体防臭剤」とも共通するものである。
なお、本件使用商品は、使用上の注意の表示においても、デンタルリンス(洗口液、口内洗浄剤)等と共通している(乙第5号証及び乙第9号証)。
(ウ)使用方法
本件使用商品は、口腔内に含むことにより口腔内の洗浄が行われ、他社デンタルリンス(洗口液、口内洗浄剤)も、口腔内に含むことにより口腔内の洗浄が行われる点で共通する。
また、これら用法は、口腔を含む身体の洗浄、殺菌に使用される「身体洗浄剤」、「身体防臭剤」とも共通するものである。
(エ)商品の形態、包装
本件使用商品は、「液体状」であり、他社デンタルリンス(洗口液、口内洗浄剤)とも、「液体状」である点で共通する。また、本件使用商品は、樹脂製の包装容器に充填されて販売ないし使用される点で、他社デンタルリンス(洗口液、口内洗浄剤)と共通する。
また、これらの形態、用法は、口腔を含む身体の洗浄、殺菌に使用される「身体洗浄剤」、「身体防臭剤」とも共通する。
(オ)取扱い系統(製造者、取引者、需要者及び流通形態)
本件使用商品の製造者及び販売者は、いずれも製薬メーカーであり、「洗口液、口内洗浄剤」、「身体洗浄剤」及び「身体防臭剤」の多くも、薬剤を取扱う企業により製造ないし販売されている。
また、本件使用商品の取引者は、医療用医薬品とは異なり、むしろ、薬局、ドラッグストア、スーパー、コンビニエンスストア等及びそれら事業者に納入する卸売事業者等を対象とする点で、「洗口液、口内洗浄剤」、「身体洗浄剤」及び「身体防臭剤」の取引者と共通する。
さらに、本件使用商品の需要者も、医療用医薬品とは異なり、直接、一般需要者を対象とする点で、「洗口液、口内洗浄剤」、「身体洗浄剤」及び「身体防臭剤」の需要者と一致する。加えて、本件使用商品は、販売元から卸売事業者を通じて、薬局、ドラッグストア、スーパー、コンビニエンスストア等へ納品され、これらの店舗において、需要者に販売される点で、医療用医薬品とは異なり、「洗口液、口内洗浄剤」、「身体洗浄剤」及び「身体防臭剤」と流通過程を共通にする。
なお、「口臭予防・マウスウォッシュ」に分類される商品には、乙第12号証のように、「第2類 医薬品」に属するものも含まれており、これら流通過程は、いずれも極めて密接である。
(3)使用に係る商標
乙第3号証(第1頁及び第2頁)には、本件商標と社会通念上同一の商標「ルル」が大きく示されているほか、各ラインナップにおける項目及び製品の包装容器・包装箱にも、本件商標と社会通念上同一の商標「ルル」が示されている。
乙第4号証は、被請求人のウェブサイトの写しであるところ、本件商標と社会通念上同一の商標「ルル」が示されているほか、製品の包装容器・包装箱中にも明確に示されている。
乙第5号証及び乙第6号証においても、本件商標と社会通念上同一の商標「ルル」が大きく示されている。
したがって、その使用態様は、被請求人の名称の変更前から変わることなく使用され、社会通念上同一の態様によるものであることが明らかである。
(4)使用時期
乙第3号証においては、第2頁右下に、「2010.9.AG」の文字が示されており、2010年9月に発行され、配布されたものであることに疑義はない。
乙第4号証は、被請求人ウェブサイトの写しであり、乙第3号証に示される時期から継続的に本件商標が使用されていることが明らかである。
乙第5号証は、本件使用商品に添付されているものであるところ、乙第4号証のリンクにおいて、現在もダウンロードすることが可能となっている。
乙第6号証は、被請求人の旧名称に係るものであるが、これにより、名称が変更される以前はもとより変更後も引き続き、本件商標と社会通念上同一の商標「ルル」が継続的に使用されてきたことが明らかである。
(5)むすび
以上によれば、本件使用商品は、「洗口液、口内洗浄剤」、「身体洗浄剤」及び「身体防臭剤」に該当する多面性を有する商品であり、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標を取消請求に係る指定商品「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」に属する本件使用商品について使用してきたものと認められ、本件商標が取消審判請求の登録前3年以内に本件商標を指定商品について日本国内で使用していたものとはいえないとする請求人の主張は失当である。
2 審判事件弁駁書に対する答弁(第2回)及び平成24年5月10日付け上申の理由
(1)乙第3号証に関する請求人の主張について
ア 請求人は、「ルル」の表示は本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当しないとし、「LULU」の欧文字を片仮名に変更しても、「ルル」にはならないと主張するが、子音「L」と母音「U」を繰り返す「LULU」の構成文字からは、「ルル」以外の自然な称呼は生じ得ず、また、「ルル」の称呼を片仮名で表す場合に、「ルル」とする以外に他の適切な表記はない。
よって、「ルル」は、「LULU」の自然な片仮名への変更表記と言わざるを得ない。
イ 新たに提出する乙第13号証は、「ルル○グループのご案内」とする製品のパンフレットであるところ、その第1頁(表紙)には、本件商標と同一の構成文字からなる「LULU」の文字が表示されており、第3頁の下方には、本件使用商品が、本件商標と社会通念上同一の商標「ルル」の文字とともに表示されている。
したがって、乙第13号証により、本件使用商品を含むルル製品全般の広告において、本件商標と同一の構成文字からなる商標「LULU」が使用されていることが証明される。
なお、乙第13号証は、第4頁の下方の「2006.9」の文字より、2006年に印刷されたものであることが分かり、その後、継続的に、広く薬局・薬店等に配布されたものである。
ウ 請求人は、「ルル」をローマ字に変更する場合に言及し、「RURU」が自然であると主張するが、本件商標の使用に該当するかについては、これを「ルル」と表示することが自然である以上、その請求人の主張が、本件商標についての使用商標の社会通念上の同一性の判断に影響を与えるものではない。現実の指定商品の取引においては、例えば、「ロッテ(LOTTE)」、「ルミネ(LUMINE)」、「ルミナリエ(LUMINARIE)」、「ルナ(LUNA)」、「ルクセンブルク(LUXEMBOURG)」等のように、ラ行の音が「R」ではなく「L」に対応するものとして親しまれている実情があり(乙第14号証)、「ルル」と表示することが自然である以上、本件商標と本件使用商標との社会通念上同一性の判断に影響があるものではない。
エ 請求人は、欧文字と片仮名との相互の変更使用であるにもかかわらず、観念の同一性の観点からの社会通念上の同一性について言及しているが、欧文字より構成される特定の観念を有しない造語商標についての片仮名への変更使用は、称呼が同一であり、かつ、当該欧文字を表した片仮名であるとみるのが相当である限り、その識別機能を変動させるともいえないのであるから、これを社会通念上同一の商標とみてしかるべきである。
なお、過去の多くの審決は、造語で観念が生じない商標について、片仮名と英語との称呼の同一性のみを考慮して、社会通念上同一の商標であると判断している。
オ さらに言えば、著名商標の存在ゆえに商標の読み方が親しまれていることや、特定の読み方がなされている場合があること等が考慮された審決も複数存在する。
本件商標の場合、半世紀に渡り販売され、現在も著名ブランドとして親しまれた被請求人製品「ルル」以外には、「ルル」の称呼を生ずる著名な商品がなく、また、本件商標の使用の証拠となる乙第13号証のほかにも、1951年の発売時の容器のラペルに始まり、現時点に至るまで、広告、サイト名等について、「LULU」の綴りをもって使用され親しまれてきたのであるから(乙第16号証ないし乙第18号証)、これに接した需要者は、「ルル」と称呼し、また、その著名性ゆえ、被請求人の商品「LULU」の観念を想起する。
したがって、被請求人の著名な商品であるという観念を生ずる点においては、本件使用商標「ルル」は、本件商標と観念をも同一にするということができる。
カ 請求人は、弁駁書において、「乙第3号証に記載の『ルル』なる表示が使用されている商品は、本件審判に係る指定商品に該当しない」と主張する。
しかしながら、現実の商品が、二者択一的に、一の商品概念に収まるものばかりでないことは、ニース協定自体が予定するところと解されるのであるから(ニース協定における一般注釈(b))、本件使用商品がある一の分類に属するということは、本件使用商品が他の分類に属しないとの結論を当然に導くものではなく、また、これを証明することにもならない。
また、乙第7号証の判決では、「登録商標の使用されている当該商品の実質に則して、それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品であれば、当該二つの分類に属する商品について登録商標が使用されているものと扱って差支えないというべき」としている。
結局のところ、ある商品が、如何なる商品概念に属するかの決定は、商標法の趣旨(商標法第1条)及び同法第50条の規定趣旨に照らし、実際の商品の性質及び現実の取引の実情を踏まえて解釈する必要がある。
とりわけ、「薬剤」及び「化粧品」は、一般にも「薬粧」という語が広く用いられるように(乙第21号証)、もとより一体的に取り扱われることが多い商品の性状を有し(現に、被請求人自身が、他にも、複数の薬剤、化粧品をともに製造・販売している(乙第22号証))、また、「化粧品」にも「薬用化粧品」があり、「医薬品」にも「医薬部外品の歯磨き」と「医薬品の歯磨き」があり、また、「せっけん」についても、「日本薬局方の薬用石鹸」、「薬用石鹸」及び「化粧石鹸」があり、これらは、特定の成分の内容や数値のみで異なる分類に属することとなる場合もあるのであるから、「薬剤」と「化粧品」とが、互いに多面的性質を有するとしても、何ら不自然ではない。
そして、本件使用商品についてみれば、(ア)商品の表示、原材料の共通性、(イ)商品の用途、作用の共通性、(ウ)使用方法の共通性、(エ)商品の形態、包装の共通性、(オ)取扱い系統(製造者、取引者、需要者及び流通形態)よりして、本件使用商品は、「洗口液、口内洗浄剤」、「身体洗浄剤」及び「身体防臭剤」としての多面性を有することが明らかとなる。さらに、本件使用商品が、「洗口液、口内洗浄剤」、「身体洗浄剤」及び「身体防臭剤」等の性質を有しないとみるべき積極的かつ合理的な理由も見いだせない。
よって、乙第3号証について、本件登録商標の使用を示す証拠とならないとの請求人の主張は失当である。
(2)乙第4号証ないし乙第6号証に関する請求人の主張について
請求人は、弁駁書において、「乙第4号証ないし乙第6号証も、乙第3号証同様に、登録商標『LULU』が使用されていることを示す証拠とはならない」と主張する。
しかし、乙第4号証ないし乙第6号証において、片仮名文字よりなる商標「ルル」が使用されていることについて争いはないものと解されるところ、上記(1)と同様の理由によれば、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であることが明らかであるほか、本件使用商品が、「洗口液、口内洗浄剤」、「身体洗浄剤」及び「身体防臭剤」としての多面性を有し、また、本件使用商品が、「洗口液、口内洗浄剤」、「身体洗浄剤」及び「身体防臭剤」等の性質を有しないとみるべき積極的かつ合理的な理由も見いだせない。
よって、乙第4号証ないし乙第6号証について、本件商標の使用を示す証拠とならないとの請求人の主張は失当である。
(3)乙第23号証及び乙第24号証の提出
被請求人は、本件商標の使用状況の補足のため、乙第23号証及び乙第24号証を提出する。
乙第23号証は、製品のパンフレットであり、その第1頁(表紙)に、本件商標及びこれに相当する片仮名「ルル」が表示され、第3頁には、本件使用商品が表示され、口腔内の洗浄に用いられるものであることが示されているほか、口臭除去に用いられるものであることが表示され、また、第4頁下方には、「2008.8」の文字があり、その文字より2008年に印刷されたものであることが分かり、その後、継続的に使用されたものである。
また、乙第24号証は、被請求人の新商品に関する2008年9月16日付けのプレスリリースであり、「『ルル○のど飴 はちみつキンカン味』新発売のお知らせ」と題するものであるところ、乙第23号証の第3頁にも、同商品が「新発売」の文字とともに掲載されており、このことからも、乙第23号証が2008年8月発行のものであることが明らかである。
3 上申書及び回答書における主張
被請求人は、平成24年5月22日付け、同年9月26日付け、同年12月21日付け、同25年2月18日付け、同26年1月8日付け、同年3月28日付け及び同年12月9日付け上申書並びに同25年6月11日付け及び同26年11月6日付け回答書において、当事者の間において、本件審判請求の取下げを含む交渉を行っているとして、審理の猶予を求めている。

第3 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠をみるに、被請求人は、本件商標の使用を証明するものとしては、乙第3号証ないし乙第6号証,乙第13号証、乙第16号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。)、第23号証及び乙第24号証を提出しているところ、該証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第3号証
乙第3号証は、被請求人の商品のパンフレットの写しであるところ、その1枚目には、「ルル○グループのご案内」の見出しの下に、「かぜなどの発熱で体がだるい時の栄養補給に・・・ルル○滋養内服液シリーズ」として、「ルル○滋養内服液」、「ルル○滋養内服液 ゴールド」及び「ルル○滋養内服液 ローヤル」の各文字とともに、「ルル」の片仮名からなる商標を使用した各商品及び包装箱の写真が掲載され、「効能・効果」として「◎発熱性消耗性疾患・病中病後・食欲不振・肉体疲労・栄養障害・産前産後などの場合の栄養補給◎虚弱体質◎滋養強壮」と記載されている。
同じく、「のどの症状に・・・ルル○のど対策アイテム」として、「のどのあれ・痛みに」の文字の下に、「薬用」及び「ルル○のど飴」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真、「のどのあれ・痛み・たんに」の文字の下に、「薬用」及び「ルル○のど飴DX」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真、「のどの痛み・はれに」の文字の下に、「薬用」及び「ルル○トローチ」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真、また、「のどの殺菌・消毒に」の文字の下に、「ルル○うがい薬」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真が記載されている。
さらに、2枚目には、「ルル○グループ 指定医薬部外品 包装/価格/バーコード一覧」の見出しの下に、「ルル○滋養内服液シリーズ」、「ルルのど飴」、「ルルのど飴DX」、「ルルトローチ」及び「ルルうがい薬」の文字とともに、「ルル」の片仮名からなる商標を使用した各商品の写真が掲載されている。
しかし、乙第3号証には、第3類の「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」の範ちゅうの商品は掲載されていない。
(2)乙第4号証
乙第4号証は、被請求人のウェブサイトの写しであるところ、「製品情報」として、「ルルうがい薬」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した各商品及び包装箱の写真が掲載され、「効能・効果」として「口腔内及びのどの殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去」と記載されている。
しかし、乙第4号証には、第3類の「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」の範ちゅうの商品は掲載されていない。
(3)乙第5号証
乙第5号証は、被請求人の商品添付の文書の写しであるところ、「ルル○うがい薬」の見出しの下に、「販売名」として「ガラガンうがいぐすり」の文字、「効能・効果」として「口腔内及びのどの殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去」と記載されている。
しかし、乙第5証には、第3類の「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」の範ちゅうの商品は掲載されていない。
(4)乙第6号証
乙第6号証は、被請求人の名称変更前の商品添付の文書の写しであるところ、「口内殺菌剤」及び「ルル○うがい液」の見出しの下に、「<ルルうがい液>は、日本薬局方塩化ベンゼトニウム(ハイアミン)を主成分とした口内殺菌剤です。」の文字、「適応症」として「●口中及び咽喉の防腐・防臭、消毒及び殺菌剤として感冒の予防並びに下記諸症及び感冒時におきる症状に使用します。咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎、歯髄炎、口内炎、口中悪臭 ●抜歯手術または口腔手術後の消毒・殺菌及び虫歯の予防」と記載されている。
しかし、乙第6証には、第3類の「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」の範ちゅうの商品は掲載されていない。
(5)乙第13号証
乙第13号証は、被請求人の製品のパンフレットの写しであるところ、その1頁目には、「ルル○グループのご案内」の見出しの下に、「LULU」の文字が大きく表示されている。
そして、2頁目には、「かぜなどの発熱で、体がだるい時の栄養補給に」として、「ルル○滋養内服液ゴールド」及び「ルル○滋養内服液」の各文字とともに、「ルル」の片仮名からなる商標を使用した各商品及び包装箱の写真が掲載され、「効能・効果」として「◎発熱性消耗性疾患・病中病後・食欲不振・肉体疲労・栄養障害・産前産後などの場合の栄養補給◎虚弱体質◎滋養強壮」と記載されている。
また、3頁目には、「のどのあれ・痛みに」の文字の下に、「薬用」及び「ルル○のど飴C」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真、「のどのあれ・痛み・たんに」の文字の下に、「薬用」及び「ルル○のど飴DX」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真、「のどのあれ・痛みに」の文字の下に、「薬用」及び「ルル○のど飴グレープ」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真、「のどの痛み・はれに」の文字の下に、「薬用」及び「ルル○トローチ」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真、また、「のどの殺菌・消毒に」の文字の下に、「ルル○うがい薬」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真が記載されている。
さらに、4頁目には、「ルル○グループ 包装/価格/バーコード一覧」の見出しの下に、「ルル滋養内服液ゴールド」、「ルル滋養内服液」、「ルルのど飴C」、「ルルのど飴DX」、「ルルのど飴グレープ」、「ルルトローチ」及び「ルルうがい薬」の文字とともに、「ルル」の片仮名からなる商標を使用した各商品の写真が掲載されている。
しかし、乙第13証には、第3類の「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」の範ちゅうの商品は掲載されていない。
(6)乙第16号証
乙第16号証は、被請求人の製品の広告の写しであるところ、「LULU」の文字とともに、「ねつ・のど・はなに、ルルが効く。」の文字及び「新ルル○Aゴールド」の文字からなる商標を使用した商品の写真が掲載され、さらに、「新ルルAゴールド かぜの諸症状の緩和〔15歳以上1回3錠・・・〕この医薬品は『使用上の注意』をよく読んで正しくお使い下さい。特に、アレルギー体質の方は服用前に医師や薬剤師等にご相談下さい。」と記載されている。
しかし、乙第16証には、第3類の「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」の範ちゅうの商品は掲載されていない。
(7)乙第17号証
乙第17号証は、被請求人のウェブサイトの写しであるところ、「ルル星人」の見出しの下に、「ねつ・のど・はな・すべてのかぜに」の文字とともに、「ルル○ゴールド」の文字、商品の写真及び「LULU星人」の文字が記載されている。
しかし、乙第17証には、第3類の「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」の範ちゅうの商品は掲載されていない。
(8)乙第18号証(枝番号を含む。)
乙第18号証の1は、被請求人の製品の広告の写しとされているところ、「ルルトピックス」の見出しの下に、「ルル滋養内服液ゴールド」と思しき文字と「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真、さらに、「ルルのど飴」と思しき文字と「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真が掲載されている。
また、乙第18号証の2は、被請求人の製品に関する雑誌の記事と広告の写しであるところ、その2枚目には、「商品に歴史あり 203」及び「ルル」の見出しの下に、「家庭用常備薬といえば『ルル』を思い浮かべる人が多いだろう。1951年の発売以来、約60年間、日本人の身近な風邪薬として親しまれてきた。・・・薬の効用だけでなく、飲みやすさやパッケージにもこだわった薬は、当時ほかにないものであった。」の文字とともに、「新ルル○Aゴールド」及び「ルルアタック EX」の文字からなる商標を使用した商品の写真が掲載されている。
同じく、4枚目には、「カゼの炎はEXで消せ!」の文字とともに、「ルルアタック EX」の文字からなる商標を使用した商品の写真及び「かぜの諸症状の緩和〔15歳以上1回2錠・・・〕この医薬品は『使用上の注意』をよく読んで正しくお使い下さい。アレルギー体質の方は、必ず薬剤師、登録販売者にご相談下さい。」の文字が掲載されている。
しかし、乙第18証(枝番号を含む。)には、第3類の「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」の範ちゅうの商品は掲載されていない。
(6)乙第23号証
乙第23号証は、被請求人の製品のパンフレットの写しであるところ、その1頁目には、「ルル○グループのご案内」の見出しの下に、「LULU」の文字が大きく表示されている。
そして、2頁目には、「かぜなどの発熱で、体がだるい時の栄養補給に・・・」及び「ルル○滋養内服液シリーズ」として、「ルル○滋養内服液ゴールド」、「ルル○滋養内服液ミントプラス」及び「ルル○滋養内服液」の各文字とともに、「ルル」の片仮名からなる商標を使用した各商品及び包装箱の写真が掲載され、「効能・効果」として「◎発熱性消耗性疾患・病中病後・食欲不振・肉体疲労・栄養障害・産前産後などの場合の栄養補給◎虚弱体質◎滋養強壮」と記載されている。
また、3頁目には、「のどの症状に・・・」及び「ルル○のど対策アイテム」の文字の下に、「薬用」及び「ルル○のど飴シリーズ」として、「薬用 ルル○のど飴DX」又は「薬用 ルル○のど飴」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真、「のどの痛み・はれに」の文字の下に、「薬用」及び「ルル○トローチ」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真、また、「のどの殺菌・消毒に」の文字の下に、「ルル○うがい薬」の文字とともに「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真が記載されている。
さらに、4頁目には、「ルル○グループ 包装/価格/バーコード 一覧」の見出しの下に、「ルル滋養内服液シリーズ」、「ルルのど飴シリーズ」、「ルルトローチ」及び「ルルうがい薬」の文字とともに、「ルル」の片仮名からなる商標を使用した各商品の写真が掲載されている。
しかし、乙第23証(枝番号を含む。)には、第3類の「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」の範ちゅうの商品は掲載されていない。
(7)乙第24号証
乙第24号証は、被請求人のプレスリリースの写しであるところ、「薬用のど飴シリーズに新フレーバー登場」及び「『ルル○のど飴 はちみつキンカン味』新発売のお知らせ」の見出しの下に、「ルル」の片仮名からなる商標を使用した商品の写真が記載されている。
しかし、乙第24証には、第3類の「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」の範ちゅうの商品は掲載されていない。
2 判断
上記1によれば、被請求人が本件商標の使用を証明するために提出した乙第3号証ないし乙第6号証,乙第13号証、乙第16号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。)、第23号証及び乙第24号証においては、被請求人が「ルル」又は「LULU」の文字からなる商標を使用しているのは、発熱性消耗性疾患・病中病後などの場合の栄養補給のための滋養内服液、のどのあれ・痛み・たんなどのためののど飴、のどの痛み・はれなどのための薬用トローチ、のどの殺菌・消毒などのためのうがい薬、風邪の諸症状の緩和のための医薬品であって、請求に係る指定商品である第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」の範ちゅうの商品は掲載されていない。
そうすると、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標が請求に係る指定商品である第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」のいずれかについて使用されていたことが証明されたということはできない。
被請求人は、上記1のうちの「ルル○うがい薬」の原材料、用途、作用、使用方法等に共通性があるとして、該商品が洗口液や口内洗浄剤等に該当する二面性を有するから、請求に係る指定商品である第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」について使用していたといえる旨主張しているが、たとえ、原材料や用途等の一部に共通する点があるとしても、該商品は、上記1のとおり、「うがい薬」として取引されているのであって、本件商標の登録出願に適用された商標法施行規則第6条の別表では、「うがい薬」は第5類の「薬剤」の範ちゅうの商品といえるものであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
以上のとおりであるから、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、請求に係る指定商品いずれかについて使用されていたことが証明されたということができないものである。
また、本件審判事件は、被請求人が商標法第50条第2項ただし書の「正当な理由」を主張しているものではない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定に基づき、取り消すべきものである。
なお、本件審判事件の請求人と被請求人は、ともに、当事者の間において、本件審判請求の取下げを含む交渉を行っているとして、審理の猶予を求めているところ、当審において、平成26年10月2日付けをもって、交渉の結果の報告を求めるとともに、指定した期間内に本件審判の請求が取り下げられなかった場合には、本件審判事件の審理を終結する旨伝えたが、本件審判請求の取下げはされなかったものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-02-06 
結審通知日 2015-02-10 
審決日 2015-02-25 
出願番号 商願平8-108122 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (003)
最終処分 成立 
前審関与審査官 馬場 秀敏 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 林 栄二
中束 としえ
登録日 1998-04-17 
登録番号 商標登録第4137154号(T4137154) 
商標の称呼 ルル 
代理人 谷山 尚史 
代理人 大房 孝次 
代理人 八木澤 史彦 
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