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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200824615 審決 商標
不服200733142 審決 商標
不服200318034 審決 商標
不服2011650123 審決 商標
不服200910929 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
管理番号 1299573 
異議申立番号 異議2014-900248 
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-09-02 
確定日 2015-04-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第5675774号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5675774号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5675774号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年10月8日に登録出願、第28類「スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲームを除く。),愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具,昆虫採集用具」を指定商品として、同26年5月2日に登録査定、同年6月6日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の(1)ないし(6)に示すとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第589632号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和35年9月5日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同37年6月15日に設定登録され、その後、5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成16年9月22日に指定商品を第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,レコード」、第15類「楽器,演奏補助品,音さ」、第20類「揺りかご,幼児用歩行器,マネキン人形,洋服飾り型類,スリーピングバッグ」、第21類「コッフェル」、第25類「仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」及び第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具」とする指定商品の書換登録がされているものである。
(2)登録第1914410号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和59年8月17日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年11月27日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成20年5月14日に指定商品を第28類「昆虫採集用具」並びに第9類、第16類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされているものである。
(3)登録第2112754号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、昭和61年1月13日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年2月21日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同21年2月12日に指定商品を第28類「昆虫採集用具」並びに第8類、第16類、第24類及び第27類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされているものである。
(4)登録第2104840号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、昭和61年1月13日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年1月23日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同21年1月14日に指定商品を第28類「遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。)」並びに第6類ないし第9類、第11類、第12類、第15類ないし第17類、第19類ないし第21類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされているものである。
(5)登録第5383631号商標(以下「引用商標5」という。)は、「BARBIE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年4月21日に登録出願、第9類「サングラス,家庭用ビデオゲーム機,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,コンピュータゲームプログラム」、第25類「被服,婦人服,子供服,サスペンダー,ベルト,履物及び運動用特殊靴」、第28類「おもちゃ,人形,ゲーム用具」及び第35類「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告,コンピュータネットワークにおけるオンラインによる広告,広告場所の貸与」並びに第14類、第18類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同23年1月14日に設定登録されたものである。
(6)登録第2249120号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、昭和61年4月12日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同23年8月17日に指定商品を第6類「アイゼン,カラビナ,金属製飛び込み台,ハーケン,拍車」、第8類「水中ナイフ,水中ナイフ保持具,ピッケル」、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,ウエイトベルト,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,レコード」、第15類「楽器,演奏補助品,音さ」、第18類「乗馬用具,金属製あぶみ」、第20類「揺りかご,幼児用歩行器,マネキン人形,洋服飾り型類,スリーピングバッグ」,第21類「コッフェル」,第22類「ザイル,登山用又はキャンプ用のテント,ウインドサーフィン用セイル」,第25類「仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴,スポーツ用のウエットスーツ(潜水用のものを除く。)」、第27類「体操用マット」、第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具,スロットマシン」及び第31類「釣り用餌」とする指定商品の書換登録がされているものである。
(以下、上記引用商標1ないし引用商標6をまとめていうときは、「引用商標」という場合がある。)

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第52号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類否は、最高裁判決に判示されているとおり、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引に基づいて判断するのが相当である(甲9)ところ、ここでいう「取引の実情」には、登録商標の周知、著名性も含まれることは経験則によっても認められており、引用商標の周知著名性は、具体的な取引状況の下では、出所の混同のおそれを増幅させるものとなることは、東京高等裁判所判決(甲10)においても示されている。
したがって、本件商標と引用商標の類否判断に当たっては、引用商標の周知著名性を含む、具体的な取引の実情を勘案して判断すべきである。
イ 引用商標の著名性
(ア)申立人は、1945年に創業された玩具製造会社であり、世界150か国以上において商品を展開し、2009年の純売上高が54億ドルを超える世界規模のメーカーである(甲11及び甲12)。そして、引用商標は、申立人の代表的なブランドの一つである(甲13)。
(イ)「Barbie(バービー)」は、世界初の着せ替え人形として、1959年に発売され、現在、150を超える国と地域で販売されており、発売後50年以上を経た今日においても、世界中で毎秒3体のペースで販売され、1999年には世界中でおよそ10億の人形が売られ、年間販売額も約15億ドルに上るものである(甲14及び甲15)。そして、「Barbie(バービー)」の生誕55周年に当たる2014年には、各地において様々なイベントが開催されており(甲16)、また、我が国において、「Barbie(バービー)」がファッションドールを表示するものとして広く浸透していることは、複数の辞書や用語辞典の記載等からも明らかである(甲17ないし甲22)。
(ウ)「Barbie(バービー)」のようなロングセラーとなるファッションドールには、消費者にとってより身近な存在となるように、個々の世界観が詳細に設定されているところ、時代のトレンドや生活スタイルを反映させるべく、様々な関連アイテム(着せ替え用のドレスやアクセサリー、家具、ペット等)が販売されている(甲25、甲27ないし甲30)。
(エ)以上のとおり、引用商標は、着せ替え人形のみならず、その周辺玩具、雑貨等を含めた「Barbie(バービー)」ブランドとして、需要者等に広く認識され、周知著名性を獲得しているものである。
ウ 本件商標と引用商標との比較検討
(ア)外観
本件商標は、前記1のとおり、「バビエ」の片仮名と「Babie」の欧文字とを上下二段に書してなるものであるのに対し、引用商標は、前記2のとおり、「Barbie(BARBIE)」の欧文字又は「バービー」の片仮名からなるものである。そして、本件商標の構成中、顕著に表された欧文字「Babie」は、輪郭線を施し、縁取りされているものであり、また、引用商標3及び引用商標4は、欧文字「Barbie」に影を施し、縁取りされたものではあるものの、両者は、いずれも格別特異な表現態様からなるものではなく、普通に用いられる書体で表されているものである。
そこで、本件商標の構成中の「Babie」の欧文字と引用商標1ないし引用商標5を構成する「Barbie(BARBIE)」の欧文字とを比較すると、両商標は、前半の「Ba」の2文字及び後半の「bie」の3文字を共通にするものであって、全体の文字を認識する上で比較的印象の薄い中間に位置する「r」の文字の有無という差異があるにすぎないため、その文字構成上、似通った印象を与えるものであり、外観において類似するといわざるを得ない。
(イ)称呼
本件商標は、上述のとおり、「バビエ」の片仮名と「Babie」の欧文字とを上下二段に書してなるものであるが、本件商標のように振り仮名を付した文字商標の称呼については、決して片仮名部分の称呼のみに限定されるものではなく、複数の称呼を生じるものである(甲32、甲33)。
そこで、本件商標から生じる称呼について検討するに、本件商標の構成中、顕著に表された「Babie」の欧文字は、辞書等に掲載されているような既存の語ではないため、特定の称呼をもって親しまれているものではないから、英語の普及した今日においては、これに接する取引者、需要者の多くは、ローマ字風読みだけでなく、英語風読みに称呼すると考えるべきである。
そうすると、上記「Babie」の欧文字のうち、前半の「Ba」の2文字は、「バ」と発音することが自然であり(甲34)、また、後半の「bie」の3文字は、「ビー」と発音することが自然であるから(甲35)、該「Babie」の欧文字からは、ローマ字風読みである「バビエ」の称呼のほかに、英語風読みである「バビー」の称呼が生じると考えるべきである。
以上を踏まえ、本件商標から生じる「バビー」の称呼と引用商標から生じる「バービー」の称呼とを比較すると、両称呼は、語頭の「バ」の音に長音を有するか否かという差異があるにすぎないところ、該差異音である長音は、強く明瞭に発音される「バ」の音の母音「a」の余韻として残る程度の弱音であり、「バ」の音に吸収され、明確には発音、聴取され難いものであるから、両称呼を一連に称呼するときは、相紛らわしい類似の称呼と認めるべきである。
(ウ)観念
本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念の相違により明確に区別し得るというものではない。
(エ)取引の実情
本件商標は、引用商標と同様に、主に若い女性向きの人形に使用されているものであるから、その主たる需要者は、若年層を中心としており、さほど注意力は高くなく、商標の外観を中心とした印象や記憶を頼りにして取引が行われていることは想像に難くない。
そうとすれば、本件商標と引用商標とのように、文字のつづりによる外観の近時性が商標全体に与える影響は大きく、両商標の類似性が一層高まるものであると思料する。実際に、被申立人の製品「Puchi Babie」とそれに近似した申立人の製品「Barbie」ロイヤルホース等とは、いずれもネットショップで取り扱われているものであるから(甲29、甲42)、申立人の著名商標と外観において近似した本件商標が、申立人の主力商品である人形に使用された場合、混同を起こす可能性があるといわざるを得ない。
また、甲第43号証ないし甲第50号証は、一般の需要者が混同している(又は行動するであろう)事実を一部抜粋したものである。
(オ)小括
上記(ア)ないし(エ)によれば、本件商標と引用商標とは、観念において明確に区別し得るものではなく、外観及び称呼において相紛らわしい類似の商標といわざるを得ないものであり、また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。これに引用商標の周知著名性等を考慮すれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するというべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、上述のとおり、指定商品の分野において、周知著名性を獲得するに至っていることは明らかである(甲11ないし甲30)。
また、本件商標と引用商標とは、外観や称呼において共通する部分が多く、特に、ローマ字のつづりの大半を共通にすることから、共通した印象やイメージを感受させるものであることに加え、引用商標を構成する「Barbie」の欧文字又は「バービー」の片仮名が、いずれも特定の観念を生じることのない造語であって、独創性の高い商標であることから、一般に強い識別性が認められ、他人がその商標と類似するような商標を使用した場合には、既成の語から構成される商標よりも需要者に対する印象、連想作用等から出所の混同が生ずる幅は広いというべきである。
さらに、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品の一部と同一又は類似するものである上、本件商標の使用に係る製品と引用商標の使用に係る製品とは、その需要者を共通にするものである。
加えて、申立人の「Barbie(バービー)」は、ファッション業界をはじめ、飲食、雑貨、自動車、飛行機会社等の様々な企業と積極的にコラボレーションを行っているものである(甲52)。
以上によれば、本件商標をその指定商品について使用するときは、あたかもその商品が申立人の「Barbie(バービー)」商標に係る商品であるか、又は、これと何らかの関連性を有する商品であるかのように誤認され、あるいは、その商品の出所について、組織的又は経済的に申立人と何らかの関係がある者の商品であるかのように誤認され、出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、上述のとおり、ファッションドールを表示するものとして、世界的に極めて高い信用を形成していると認識されていることは明らかである(甲11ないし甲30)。
そして、引用商標を構成する「Barbie」の欧文字又は「バービー」の片仮名は、一種の造語として理解されるものであって、その独創性は高いものであるところ、出願商標の採択の範囲は広いにもかかわらず、申立人が偶然に他人の周知著名な商標と近似した商標を採択したとは考え難い。
したがって、本件商標は、周知著名な商標の出所表示機能を希釈化し、また、その名声を毀損させるといった不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであり、同法第43条の2第1号により、その登録の取消しを免れないものである。

4 当審の判断
(1)「Barbie」又は「バービー」の語について
申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、申立人の製造、販売に係る「Barbie(doll)」(バービー(人形))は、1959年に発案された「着せ替え人形」であって、1999年時点で、累計約10億体が世界中で販売され、年間販売額が約15億ドルにのぼるとされるものである(甲13、甲14、甲17ないし甲19、甲21、甲22)。該「着せ替え人形」は、我が国において、1962年(昭和37年)から販売されている(甲22)ところ、近年でも、インターネット通信販売サイトを通じて、人形本体のほか、いわゆる関連アイテム(着せ替え用のドレスやアクセサリー、家具、ペット等)も販売がされ、また、東京の原宿に専門店が設置されたり、デパートにおける生誕55周年記念イベントが開催されるなどしている(甲16、甲25、甲29、甲30)。
してみれば、「Barbie」又は「バービー」の語は、本件商標の登録査定時には既に、申立人の製造、販売に係る着せ替え人形である「バービー(人形)」を表彰するものとして、その取引者、需要者の間において広く認識されるに至っていたものと認められる。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「バビエ」の片仮名と「Babie」の欧文字とを上下二段に表してなるもの(該欧文字は、該片仮名に比して大きく表され、かつ、縁取りされている。)であるところ、下段の該欧文字は、辞書類に載録された既成の語とは認められないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものであり、また、上段には、該欧文字をローマ字読みしたときに生じる称呼である「バビエ」が片仮名で表記されている。
そうすると、本件商標は、これを構成する「バビエ」の片仮名と「Babie」の欧文字とにおいて、文字の大きさや表し方に相違する点はあるものの、上段の「バビエ」が下段の「Babie」の読みを特定したものと無理なく認識できるものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「バビエ」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生ずることのないものと認められる。
イ 引用商標
(ア)引用商標1ないし引用商標4は、それぞれ、別掲2に示すように「Barbie」の欧文字を筆記体で表してなるもの(引用商標1及び引用商標2)又は別掲3に示すように袋文字で表してなる「Barbie」の欧文字にいわゆる影文字様の飾りを施してなるもの(引用商標3及び引用商標4)であるところ、これらを構成する「Barbie」の欧文字は、上記(1)のとおり、申立人の製造、販売に係る着せ替え人形である「バービー(人形)」を表彰するものとして、その取引者、需要者の間において広く認識されるに至っていた語と実質的に同一といい得るものであるから、引用商標1ないし引用商標4は、いずれも「バービー」の称呼及び「バービー(人形)」の観念を生ずるものである。
(イ)引用商標5は、前記2(5)のとおり、「BARBIE」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ、該欧文字は、すべて大文字で表されているものの、上述した申立人に係る「バービー(人形)」を表彰する語として広く認識されるに至っていた「Barbie」とそのつづりを同じくするものであるから、引用商標5は、「バービー」の称呼及び「バービー(人形)」の観念を生ずるものである。
(ウ)引用商標6は、別掲4に示すように袋文字で表してなる「バービー」の片仮名にいわゆる影文字様の飾りを施してなるものであるところ、これを構成する「バービー」の片仮名は、上記(1)のとおり、申立人の製造、販売に係る着せ替え人形である「バービー(人形)」を表彰するものとして、その取引者、需要者の間において広く認識されるに至っていた語と実質的に同一といい得るものであるから、引用商標6は、いずれも「バービー」の称呼及び「バービー(人形)」の観念を生ずるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、それぞれ上記のとおりの構成態様からなるものであって、片仮名の有無又は欧文字の有無という差異があるほか、欧文字のつづりにおいては、「r(又はR)」の文字の有無という差異、片仮名のつづりにおいては、長音の有無及び語尾の「エ」と「ー」(長音)という差異があることから、外観上、互いに紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「バビエ」の称呼と引用商標から生じる「バービー」の称呼とは、3音又は4音(長音を含む。)という短い音構成にあって、語頭音である「バ」に長音を伴うか否かという差異があるほか、語尾音が「エ」か「ー」(長音)かという差異もあることから、それぞれを一連に称呼しても、語調、語感が相違し、互いに聴き誤るおそれはない。
さらに、本件商標は、特定の観念を生ずることのないものであるから、「バービー(人形)」の観念を生ずる引用商標との間において、観念上、相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標とは、たとえ引用商標が本件商標の登録査定時において既に、申立人の業務に係る着せ替え人形を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、上記(2)のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、ほかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせない。
しれみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、引用商標ないし申立人を連想、想起して、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように認識することはなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と引用商標とが互いに紛れるおそれのない非類似の商標であることは、上記(2)のとおりである。
また、申立人の提出に係る証拠のいずれを見ても、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る又は他人の著名商標に蓄積された信用若しくは名声にフリーライドするなどの不正の目的をもって使用すると認めるに足る事実は見いだすことができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとは認められないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 引用商標1及び引用商標2(登録第589632号商標及び同第1914410号商標)


3 引用商標3及び引用商標4(登録第2112754号商標及び同第2104840号商標)


4 引用商標6(登録第2249120号商標)


異議決定日 2015-03-26 
出願番号 商願2013-78530(T2013-78530) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W28)
T 1 651・ 271- Y (W28)
T 1 651・ 263- Y (W28)
T 1 651・ 222- Y (W28)
T 1 651・ 262- Y (W28)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中山 悦子椎名 実 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 田中 敬規
田村 正明
登録日 2014-06-06 
登録番号 商標登録第5675774号(T5675774) 
権利者 株式会社プライムナカムラ
商標の称呼 バビエ、バビー、ベビー、ベイビー 
代理人 小暮 君平 
代理人 工藤 莞司 
代理人 森川 邦子 
代理人 長谷川 芳樹 

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