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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服2013650102 審決 商標
無効2014890035 審決 商標
異議2014900283 審決 商標
不服201419393 審決 商標
異議2014900320 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 観念類似 無効としない X33
審判 全部無効 称呼類似 無効としない X33
審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効としない X33
管理番号 1299533 
審判番号 無効2013-890028 
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-04-05 
確定日 2015-04-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第5491888号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5491888号商標(以下「本件商標」という。)は、「粋」の漢字を標準文字で表してなり、平成22年12月16日に登録出願され、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同24年3月15日に登録査定、同年5月11日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が引用する登録第1652530号商標は、別掲のとおりの構成からなり、第28類「焼酎」を指定商品として、昭和52年3月31日に登録出願、同59年1月26日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、また、平成16年1月7日に指定商品を第33類「焼酎」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1ないし第3号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第3条第1項第3号について
請求人は、本件商標登録に対し、引用商標と類似するとの登録異議の申立てを行った結果、引用商標について、その構成中の「宝 焼 酎」の文字部分は、焼酎を取り扱う業界において、申立人の業務に係る商品「焼酎」の出所を表示する商標として相当程度広く知られているものであり、また、「粋」の文字部分は、品質表示的なものとして理解される語であるから、その指定商品「焼酎」についての商品の出所識別標識としての機能は、それほど強いものとは認められないものであるとされた(甲3:異議2012-900225号事件の異議の決定)。
この「異議の決定」の認定に従えば、「粋」は焼酎の品質表示にすぎず、商標としての自他商品の識別力を欠くのであるから、本件商標「粋」も当然焼酎を含む酒類の品質表示にすぎず、商標としての自他商品の識別力を欠き、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録できないものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
株式会社岩波書店広辞苑第六版により、「粋」を「いき」と読んだときは、「気持や身なりのさっぱりとあかぬけしていて、しかも色気をもっていること。」又は「人情の表裏に通じ、特に遊里・遊興に関して精通していること。」等の意味を有し、これを「すい」と読んだときは、「すぐれたもの。人情に通じ、ものわかりのよいこと。」等の意味を有する語であるところ、これは、必ずしも酒の品質に限定してみられない事柄について用いられる国語であり、むしろ、上記の国語の語意を想起するかぎり、「人の情感、気持ちや身なりのさっぱりしてあかぬけて、しかも色気あり、人情の表裏に通じて特に遊里・遊興に関して精通していること」をいうものであるから、この観念を想起するときは、この文字が酒について使用された場合でも十分商標として自他商品を識別するに足る機能を発揮し得るものである。
(2)引用商標
引用商標は、上段に「宝 焼 酎」の文字を、下段中央に「粋」の文字を書してなるところ、その構成中の「粋」の文字部分は、これを「いき」と読んだときは、「気持や身なりのさっぱりとあかぬけしていて、しかも色気をもっていること。」又は「人情の表裏に通じ、特に遊里・遊興に関して精通していること。」等の意味を有し、これを「すい」と読んだときは、「すぐれたもの。人情に通じ、ものわかりのよいこと。」等の意味を有する国語であって品質表示でない「イキ(粋)」又は「スイ(粋)」の称呼、観念を生じるものであるから、この商標よりは、その構成全体から「タカラショーチュースイ」又は「タカラショーチューイキ」の称呼を生ずるとともに、「宝焼酎」の文字よりは「タカラショーチュー(宝焼酎)」の称呼、観念と、「粋」の文字よりは「イキ(粋)」又は「スイ(粋)」の称呼、観念をも生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
両商標は、「イキ(粋)」又は「スイ(粋)」の称呼、観念を共通にする類似の商標であることは明らかである。
両商標の指定商品は、「日本酒」について抵触する。
したがって、本件商標は、「日本酒」について、商標法第4条第1項第11号により登録できないものである。
3 被請求人の主張に対して
(1)本件商標登録に係る「異議の決定」(甲3)において、引用商標の「粋」からは「出所識別標識としての機能は、それほど強いものとは認められない」として、称呼も観念も発生させていないが、本件商標と引用商標とにおける「粋」の識別機能は同じはずであり、少なくとも指定商品中の「焼酎」についての商品の出所識別標識としての機能は、本件商標についても同じ判断が下されるべきであり、「粋」は、商品「焼酎」に係る出所識別標識としての機能について、「それほど強いものとは認められない」が、「商品の出所識別標識としての機能がある」といえるのであるから、当然、称呼も観念も発生し、両商標は類似するものである。
(2)商標には、主商標とその下位に位置する一連の商標とがあり、例えばハウスマーク、ファミリーマーク(別名ファミリーネーム、シリーズマークとも呼ばれる)、さらに個別商標としてのペットネームと呼ばれる商標群がそれである。
それら一連の商標群は、請求人では「宝」、「寶」、「TaKaRa」等(ハウスマーク)の下位に、「宝焼酎」、「タカラみりん」、「清酒松竹梅」等(ファミリーネーム、シリーズマーク)があり、それらの各群に連なる個別商標として「宝焼酎」群の下には、「宝焼酎/純」、「宝焼酎/レジェンド」などがあり、これらは、全体で称呼されるほか、単に「ジュン」、「レジェンド」と称呼されて取引されており、個別商標「純」、「レジェンド」の識別力は、仮に「宝焼酎」に比べれば強くなかったとしても、それ自体が立派に商標としての自他商品を識別する能力を発揮しているものである。これら取引の実情下の商標の使用例は、他社においても同様である。
かかる事情の下で、引用商標に接する取引者、需要者は、「宝焼酎」と「粋」との2段に分かれて表示された態様から、これを「宝焼酎」のうちの「粋」の銘柄の商品であると理解することも、単に「粋」という銘柄の商品であると理解することも極めて自然であるといえる(もちろん、単に「宝焼酎」の銘柄の一商品と理解することもある。)。
また、例え商品に「主商標」及び「個別商標」が付されていたとしても、現代の迅速を旨とする取引の場面においては、「個別商標」のみによって商品を識別する必要性が高まっており、取引者、需要者もこのことを前提にして取引に係る商品の出所を識別する傾向にあるという実情が存在する。
これらの取引の実情を踏まえれば、引用商標中の「粋」は、その部分が取引者、需要者に対し、商品の出所標識として強く支配的な印象を与えるものであり、その結果、引用商標からは、「スイ」又は「イキ」の称呼と「粋」の観念を生じ、本件商標と引用商標とが類似することは明らかである。
(3)被請求人の答弁は、「最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決」(つつみのおひなっこや事件)の最高裁判決をその論拠としている。
そして、被請求人の答弁は、この判決で判示された「基本原則」に基づくとしても、個別商標における商標態様は、各事案によってそれぞれ異なり、結果も異なるものである。
本件は、被請求人の論拠とする「最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決」及び同判決引用の「最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決」(SEIKO EYE事件)とは、商標態様を著しく異にするものであって、「粋」の部分が出所標識として強く支配的な印象を与えるため、本件においては、「最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決」(リラタカラヅカ事件)の結論に従って判断すべきである。
4 むすび
上記のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し登録できないものであり、仮に、同号に該当しないのであれば、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録できない商標である。

第4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第8号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第3条第1項第3号について
「異議の決定」(甲3)は、「粋」の識別力があることを前提に、「焼酎」に係る取引の実情を考慮すると、引用商標の上段「宝焼酎」の文字部分は、出所識別標識としての機能が高く、それに比べ下段の「粋」は、商品の出所識別標識としての機能はそれほど強くないと認定したものであり、「粋」が自他商品の識別力を欠くと認定はしていない。
被請求人は、この「異議の決定」の認定のとおり、本件商標の指定商品に関し、「粋」は識別力を有すると考える。
また、登録例(乙1の1?6)からも明らかなように、「粋」が、自他商品識別力を有することは明らかである。
以上から、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)外観について
引用商標は、上段に同じ書体、同じ大きさの漢字3文字の横書き「宝 焼 酎」を配し、その下段中央にバランスよく、上段の「宝 焼 酎」と同じ書体、同じ大きさの漢字1文字の「粋」を配した二段書きの構成であり、視覚上、まとまりよく一体のものとして把握されるものである。
これに対し、本件商標の「粋」は、漢字1文字であり、かつ、標準文字である。
よって、引用商標と本件商標との外観は、明らかに相違するものである。
(2)観念について
引用商標は、下段の「粋」の観念は生じるものの、出所識別標識としての機能はそれほど強くなく、その構成全体から、上段の「宝 焼 酎」から「申立人の商標としての宝焼酎」の観念をも生じるものである。
これに対し、本件商標は、「粋」のみの観念を生じるものである。
なお、本件商標からは、多数の様々な意味合いが生じるもので、この点も考慮すれば、両者の観念は、明らかに別異といわざるを得ない。
よって、引用商標と本件商標との観念は、明らかに相違するものである。
(3)称呼について
引用商標からは、その構成全体から「タカラショーチューイキ」又は「タカラショーチュースイ」の称呼が生じるとともに、「宝 焼 酎」の文字部分から、「タカラショーチュー」の称呼を生じ得るもので、「スイ」又は「イキ」という称呼は生じない。
これに対し、本件商標からは、「イキ」又は「スイ」の称呼が生じる。
よって、引用商標と本件商標との称呼は、明らかに相違するものである。
(4)まとめ
以上から、引用商標と本件商標とは、外観、観念、称呼のいずれの点においても明確に区別でき、取引の場で出所の混同を生じさせるおそれのない商標である。
よって、本件商標は、第4条第1項第11号に該当しない。
なお、過去の登録例(乙2の1・2,乙3の1?3,乙4の1・2,乙5の1・2,乙6の1?3,乙7の1・2,乙8の1・2)は、二段書きから構成される結合商標と、その構成部分の一部が同一文字の商標とが非類似と判断されたものであり、これらの登録例からも引用商標と本件商標とが非類似であることは明らかである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第11号に該当しない。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本件商標は、「粋」の漢字1文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、例えば、「漢字源(改訂第四版)」(2007年1月10日株式会社学習研究社発行)において、「(1)小つぶできれいにそろっているさま。まじりけがないさま。(2)くわしい。きめ細かくて質がよいさま。(3)いき。野暮に対して、気がきいていて風流なこと。」の意味を有する漢字として収録され、また、「講談社新大字典(特装版)」(1993年3月11日株式会社講談社発行)において、字義として「(1)もっぱら。無雑。純一。専一。くわしい。精密/同じ。全し/霊気。すぐれたもの/あつまる。(2)くだけた米/くだける。」、注意として「我が国では、純一でくわしい義より転じて『すい』『いき』といい、よく世態人情に通じて物事に拘泥しないこと。さばけた人。または花柳界や芸人社会の事情に通じている義、またはしゃれている義とする。」と収録されており、さらに、「広辞苑第六版」(2008年1月11日株式会社岩波書店発行)において、「いき(粋)」の見出しの下、「(1)気持や身なりのさっぱりとあかぬけしていて、しかも色気をもっていること。(2)人情の表裏に通じ、特に遊里・遊興に関して精通していること。また、遊里・遊興のこと。」、「すい(粋)」の見出しの下、「(1)すぐれたもの。(2)人情に通じ、ものわかりのよいこと。特に花柳界または芸人社会などの事情に通じて、挙止行動、自らその道にかなうこと。また、そのひと。いき。」と収録されているものであって、その読みは、「スイ」又は「イキ」であり、意味は、概ね、物に関して「純一。すぐれたもの。」、人に関して「人情に通じ、ものわかりのよいこと。」であるといえる。
そして、本件商標「粋」が上記の意味を有する漢字であり、本件の指定商品との関係において、「混じりけのない酒、優れた酒」程の意味合いを想起させる場合があるとしても、該漢字1文字をもって、商品の特定の品質を直接的かつ具体的に表したものと理解、認識されるとまではいい難く、また、当審において職権をもって調査するも、「粋」の漢字1文字が、本件の指定商品を取り扱う業界において、商品の品質を具体的に表すものとして、取引上普通に用いられていると認めるに足る事実を発見することができなかった。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の品質などを表示するものでなく、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものであると判断するのが相当である。
(2)請求人は、異議2012-900225号事件の異議決定の認定に従えば、「粋」は焼酎の品質表示にすぎず、商標としての自他商品の識別力を欠くのであるから、本件商標「粋」も当然焼酎を含む酒類の品質表示にすぎず、商標としての自他商品の識別力を欠く旨主張する。
しかしながら、上記異議決定は、引用商標について、その構成中の「宝焼酎」の文字部分が焼酎を取り扱う業界において、請求人の業務に係る「焼酎」の出所を表示するものとして相当程度広く知られているのに対して、その構成中の「粋」の文字部分が、焼酎について、当業界における具体的使用例を挙げながら、商品の出所識別標識としての機能が強いとは認められないとして、同文字部分を分離・抽出して他の商標と比較すべきではないと説示したものであり、請求人の主張するように、「粋」の文字部分が、焼酎の品質表示にすぎないばかりでなく酒類の品質表示にすぎないから、焼酎を含む酒類について商標としての自他商品の識別力を欠く旨を説示しているとすることはできない。
本件商標が品質表示に該当することを立証するものとして、請求人は上記異議決定の写し(甲3)を提出するが、同証拠はもとより、本件全証拠によっても「粋」の文字が焼酎又は酒類の品質を表示するとの事実を認めるに足りない。
(3)したがって、本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の請求人の主張は、理由がない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記1(1)のとおり、「粋」の漢字1文字からなるものであり、同構成文字に相応して「スイ」及び「イキ」の称呼を生じ、「粋」の観念を生ずるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、「宝」、「焼」及び「酎」の各文字を同じ書体、同じ大きさ、一文字相当の等間隔で横書きし、「焼」の文字の下部にそれら各文字と同じ書体、同じ大きさで「粋」の文字を書してなるところ、その構成中の「宝焼酎」の文字部分は、焼酎を取り扱う業界において、本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人の業務に係る商品「焼酎」の出所を表示する商標として需要者の間に広く認識されていたと認められるものであり、この点について、当事者間に争いはない。
また、引用商標の構成中の「粋」の文字部分は、本件商標を構成する漢字「粋」と同一といえるものであり、本件商標について、上記1において述べたとおり、該文字単独では、商品の品質を表したものとまではいい得ないものであり、自他商品の識別標識として機能を果たし得るものである。しかしながら、「粋」の漢字は、該漢字が物に関して「純一。優れたもの。」の意味を有することから、これを引用商標の指定商品である「焼酎」に使用した場合は、「混じりけのない酒、優れた酒」程の意味合いを想起させるものであり、その意味合いからすれば、引用商標において、出所識別標識として強い識別力を発揮するとはいえないものである。
そうすると、引用商標は、「宝焼酎」の文字と「粋」の文字とを組み合わせた結合商標であると看取、理解されるものであり、その構成中において、請求人が焼酎に使用して周知商標となっているものであって、造語といえる「宝焼酎」の文字が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分として認められ、また、該文字が、既成語であって一般に広く使用されている「粋」の文字に対し、出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる部分でないことはいうまでもないところであり、さらに、「粋」の文字部分を引用商標における要部とみなければならない特段の事情もないことから、引用商標中の「粋」の文字のみを分離抽出して、これのみによって、取引に資されることはないとみるのが相当である。
してみれば、引用商標は、その構成全体から「タカラショーチュースイ」又は「タカラショーチューイキ」の称呼が生じるほか、「宝焼酎」の文字に相応して、「タカラショーチュー」の称呼を生じ、請求人の商標としての「宝焼酎」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標及び引用商標は、それぞれ、上記の構成のとおりであり、両者は、外観において、「粋」の文字部分を共通にするが、「宝焼酎」の文字の有無において顕著な差異を有するから、時と所を異にして観察しても十分区別することができるものである。
次に、本件商標から生ずる「スイ」又は「イキ」の称呼と引用商標から生ずる「タカラショーチュースイ」又は「タカラショーチューイキ」の称呼とを対比すると、両者は、称呼上、「スイ」又は「イキ」の音を共通にするが、「タカラショーチュー」の音の有無において顕著な差異を有するから、互いに聞き誤るおそれはないものである。
また、本件商標から生ずる「スイ」又は「イキ」と引用商標から生ずる「タカラショーチュー」の称呼とは、称呼上、別異のものであるから、聞き誤るおそれのないこと明らかである。
さらに、本件商標から生ずる「粋」の観念と引用商標から生ずる請求人の商標としての「宝焼酎」の観念とを対比すると、両者は、観念上、別異のものであるから、互いに紛れるおそれはないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(4)請求人の主張について
被請求人の答弁は、「最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決」(つつみのおひなっこや事件)の最高裁判決をその論拠とし、この判決で判示された「基本原則」に基づくとしても、個別商標における商標態様は、各事案によってそれぞれ異なり、結果も異なるものであるところ、本件は、被請求人の論拠とする「最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決」及び同判決引用の「最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決」(SEIKO EYE事件)とは、商標態様を著しく異にするものであって、「粋」の部分が出所標識として強く支配的な印象を与えるため、本件においては、「最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決」(リラタカラヅカ事件)の結論に従って判断すべきである旨主張する。
ところで、「最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決」(つつみのおひなっこや事件)は、「法4条1項11号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照),複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁参照)。」と判示されており、本件の判断において、請求人が採用すべきではないとする「SEIKO EYE事件」の判決も、採用すべきであるとする「リラタカラヅカ事件」の判決も、ともに参照判決として引用されているものである。
これを本件についてみるに、引用商標の構成は、「宝焼酎」と「粋」の文字が上下2段に表されているものであるところ、上記最高裁判決において本件の引用商標と比較の対象となる商標について、「つつみのおひなっこや事件」及び「SEIKO EYE事件」の「つつみのおひなっこや」及び「SEIKO EYE」が共に横一段に表されたものであるのに対し、「リラタカラヅカ事件」は、「リラタカラヅカ」、「図形」、「寳塚」、「LYRATAKARAZUKA」の文字又は図形が横4段に表されていることからすれば、確かに、横一段の構成からなる商標であるか否かでみれば、本件における引用商標と「リラタカラヅカ事件」における上記横4段に表された商標とが構成態様として似ているといえる。
しかしながら、商標法第4条第1項第11号に係る商標の類似は、商標の構成態様のみによって判断されるわけではなく、結合商標と解されるものにあっては、各構成要素から生じる称呼、観念等をも検討し、総合的に判断されるべきものである。その点において、請求人が引用した「リラタカラヅカ事件」の最高裁判決と他の2つの最高裁判決とにおいて違いがあるわけではない。そして、本件における引用商標の認定、判断は、上記(2)のとおりであって、「リラタカラヅカ事件」の最高裁判決の判示とも矛盾するものではなく、「『粋』の部分が出所標識として強く支配的な印象を与える」旨を始めとする請求人の上記主張は採用することができない。
(5)小括
以上によれば、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨の請求人の主張は、理由がない。
3 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第11号に違反してされたものでないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標


審理終結日 2013-10-15 
結審通知日 2013-10-17 
審決日 2013-12-17 
出願番号 商願2010-97605(T2010-97605) 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (X33)
T 1 11・ 13- Y (X33)
T 1 11・ 262- Y (X33)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 目黒 潤谷村 浩幸 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 手塚 義明
酒井 福造
登録日 2012-05-11 
登録番号 商標登録第5491888号(T5491888) 
商標の称呼 イキ、スイ 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 
代理人 吉井 雅栄 
代理人 吉井 剛 
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